麻奈実と過ごす時間 |
「……」
「…………」
「……平和だね〜きょうちゃん」
「そうだな。平和だな」
「……」
「…………」
沈黙の後の少しの会話。そして、また沈黙。
他の人なら退屈で仕方ないんだろうが、俺と麻奈実の場合はそうでもない。
無駄にまったりと過ごす時間。
コイツとこんな風に時間を消費するのは嫌いじゃない。
なんだか落ち着くし、心が癒される。
まぁ、会話の内容も含め、かなり年寄りくさい感じだけどな。
「ねぇ〜きょうちゃん♪」
しかし、今日の麻奈実は俺に緩やかな時間を過ごさせてはくれないようだ。
甘ったるい声で俺の名前を呼ぶ時は、絶対何か変な事を企んでいる時だから。
何か恥ずかしい事を言って、俺に羞恥プレイをさせようとか考えてるんだろ?
「お願いがあるんだけどぉ……」
ああ。間違いない。麻奈実の野郎、ぜってー変な事を考えてやがる。
何だ? 俺に何をさせたいんだ?
「ど、どんなお願いなんだ?」
ちっ、変に緊張して声が掠れてやがる。
仕方ないだろ。麻奈実が要求する羞恥プレイは本当に恥ずかしいんだから。
麻奈実は一つ深呼吸をし、
「あのね……」
そっと顔を近づけてきて……
「きょうちゃんに膝枕してあげたいな……なんて」
「な――っ!?」
とんでもない事を言いやがった。
つーか、マジで恥ずかしい事を言いやがったよコイツ。
膝枕だって!? そんなもん、する方もされる方も恥ずかしいっての。
「ねぇ……いいでしょ? きょうちゃん」
「そ、それは……」
完全には嫌と否定出来ないが、それでも――
「は、恥ずかしいだろ」
今は恥ずかしさの方が勝っているんです。
「きょうちゃん……」
「うぐ……っ」
その表情は反則だろ。
そんな子犬が物をねだるような表情をされてしまったら――
「す、好きにすればいいだろっ!」
「えへへっ♪ じゃあ、そうするね」
そう言って、嬉しそうに俺に膝枕をする麻奈実。
クソッ! 何が悔しいって、麻奈実に膝枕をされて俺自身も満更じゃないって思ってしまって
いるのが悔しい。
こんなの、ただ単に恥ずかしいだけなのに……
「平和だね〜きょうちゃん」
「……そうだな」
たまには、こんな風に過ごすのも悪くないって思っているんだから。
ほんっと、麻奈実には適わないよ。
説明 | ||
アニメ6話だったっけ? それを見た瞬間思いました。 ああ、麻奈実を書かなくては……と。 あれを見て麻奈実が好きになった人は多いはず。 自分もそんな一人だったり…… |
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俺の妹がこんなに可愛いわけがない 田村麻奈実 高坂京介 | ||
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