真・恋姫†無双?虚像の外史☆三国志演義?(蜀編)
[全11ページ]
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第一話

 

『作られる物語』

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 目覚めはいつも唐突だ。

 気が付けば見知らぬ荒野を歩いていた。広く、長く、地平まで続く荒野を。

 そこに、誰かが倒れていた。顔を確認すると見知らぬ服装を着た少女。歳もさほど彼とそう変わりない。

 声をかけてみるが、返事がない。

 今度はゆすり起こそうと体に触れ、気付く。彼女が冷たいことに。それを知った瞬間、彼の血が凍るような感覚に襲われ混乱する。

 その時。

「なんだぁ〜? おまえ?」

 いつから居たのか見知らぬ三人組みの男達が立っている。そして真ん中にいる男の右手を見ると赤い液体が付着した剣を握り締めていることに気付いた。

「おまえこの女の友人か? だったら再開はあの世でな」

 そう言い切ると三人の男達は取り囲む。その手には剣を。目は殺意。そして殺すことに快楽という表情が。

 このまま死んでいくのだろう。彼らの制裁を受けれいれて、彼も彼女の仲間入り。それで彼の『物語』は終焉だ。

 でも……それで本当にいいのだろうか?

 まだ、彼は何もしていない。抵抗も言葉も声さえも出していない。それで……本当にいいのだろうか?

 思えばなぜ、彼が殺されなければいけないのか疑問を抱く。彼女とは無関係なのに関係者と思われて殺されるからか。それとも一切の『何』もしていないからか。考えれば考えるほど『ここで終わり』にすることに疑問を抱く。

 だったら………諦める必要ないと。このまま、終わらせる必要もないと彼は思った。

「こ、こいつっ!?」

 気付けば彼は抵抗していた。顔を上げて男達を見てみると歪み、醜く、そして汚い人間だな……と思えていた。やがては、彼はこんな奴らに殺されることが馬鹿馬鹿しく思う。

「死ねっ―!」

 男達は一斉に襲いかかってくる。これは状況的に危機のはずなのだが、なぜか恐怖も恐れもない。むしろ『力』が湧く。

『貴方ならきっと、この世界を……そしてあの人を止めてくれます』

 そう思った瞬間、声が聞こえた。優しく天使のような声だ。と同時に剣が彼の頭上に振り下ろされた…………が。

「我が兄者には、指一本触れさせないっ!」

「そうなのだっ! お兄ちゃんは鈴々が守るのだっ!」

 剣は跳ね返され、彼の目の前には長い黒髪と赤い髪が入る。

 

 

―――そして、『彼の物語』は開かれた。

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 そこでは見慣れた景色になっていた。

 人と人とが血を流し争う姿、平和の2文字は欠片さえ見えず、上に立つ者の多くは己のために金と力を振る、全てのしわ寄せは弱き者と集まった。

 『闇』

 そんな言葉で象徴される乱世にひと筋の光が落ちてから、いくばくかの時が流れたある荒野。

 ある将軍が黄巾党と戦っていた。

 彼女の名は董卓。だが、彼女は戦場に顔を出すつもりはなかった。己の無力と自身の存在意義を一番知っていたからだ。だけど朝廷に”自身が戦場で指揮をしろ”と命令されては何も言えず泣く泣く出撃するしかない。

「大丈夫よ。ボクが月を守ってあげるから」

 友達であり、自国の軍師賈駆は董卓を守ることを約束する。しかし現実は甘くなかった。

「申し上げますっ! 敵軍が本陣まで…………ぎゃぁ―っ!」

 飛び交う矢、人々の叫び声。耳を塞ごうと目を閉じようと現実は変わらない。圧倒的な戦力と自軍の力の無さが不幸を呼び総崩れになってしまう。

 董卓は唇をかみしめた。

 もっと自分に力が欲しいと。誰一人倒れることのない圧倒的な『力』が。

「ん? なんでこんな所に小娘がいる?」

 見つかった。賈駆に指定された場所へ隠れていたが見つかってしまった。

「は、離してく、くださいっ!」

 男は腕を掴む。その掴む力は強く董卓の力では引き離せない。

「兄キィ〜」

 そこへもう一人現れた。

「おい、アニキじゃねーよ。張角様って呼べ」

「あ、すんません。アニキィ〜」

「………」

 張角という名を聞いた瞬間、董卓の脳裏にこの黄巾党を束ねている首謀者の名を思い出させた。

(この男を殺せば……)

 敵は自分が弱い存在だと認識して油断している。今ならもう片方の手から懐に入っている短刀を取り出して彼を刺せる。

 だけど震えが止まらない。心が恐怖に煽られている。自分に人が殺せるのか、こんな怖い人間を殺せるのか、と……。

「兄キィ〜」

 さらにそこへもう二人現れた。だが一人は友達の賈駆だ。

「おい、アニキじゃねーよ。張角様って呼べ」

「あ、すんません。アニキィ〜」

「………もういいよ。それでその女は?」

「へい。なんか可愛いのでアニキに献上しようと連れてきました」

「ん―……ん―……」

 口を布で押さえらつつも暴れる賈駆だったが、張角も掴んでいる董卓を見るとさらに暴れだした。だが……。

「少し黙れっ! 小娘が」

 抵抗が少し激しかったためか捕まえた男が賈駆を気を失わせた。そのため賈駆はグッタリとして動かなくなる。

「詠ちゃんっ!」

 友が目の前で倒されたことが引き金となったのか董卓は懐に入っている短刀を取り出して張角を刺そうした。が……。

「おっと、そうはいくか」

「あっ………」

 剣は弾かれ董卓は突き倒された。

「たくっ………少しお仕置きしなきゃわからね―みたいだな」

「い、いや……た、助けて……」

 怖がる董卓。そんな光景に張角は微笑みを浮かべてこう言った。

「呪うなら、己の無力と力の無さに呪うんだな」

 そしてゆっくりと董卓に近づいた。

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 いつの間に気を失っていたのだろうか。気が付けば見知らぬ荒野に賈駆と董卓だけがいた。他は誰もいない。

 そこへ馬に乗った男女が現れる。男性の方は白馬に乗っていて女性の方はとても綺麗な長い黒髪が目についた。

「気が付いたみたいですね。よかった……」

 女性は董卓が目が覚めた事に安堵した。どうやら彼等が助けてくれたらしい。

「あ、あなた達は………?」

「私は関羽。董卓将軍ご無事で何よりです」

「あの……他の兵の方々は?」

「………」

「そうですか……」

 董卓は再び唇をかみしめ、一粒の涙が零れ落ちる。それを見た白馬に乗った男性は、馬から降りると懐から小さな布切れを取り出して董卓の涙を拭く。

 董卓は、唐突な男性の行動に動くことが出来なかったがすぐさま、はっとして男性から離れた。

「………」

 男性は無言のままニコリと微笑みを浮かべると馬に跨った。そこへ遠くの方から『董』と書かれた軍勢がこちらに近づいてくるのが見える。おそらく董卓の味方だろう。

「………」

 男は”もう大丈夫ですね”と言うような笑顔を見せると馬を走らした。

「あ、待ってください……これ」

 先ほどの驚きで彼の布切れを奪ってしまったために、返そうとしたがもう彼はいない。

「あ、兄者っ! 待ってくださいっ!」

 続けて関羽も董卓に一礼すると立ち去ってしまう。それに連動するように今度は董卓軍の兵士達が董卓達を取り囲んだ。

「大丈夫ですか月殿、詠殿〜っ!」

 取り囲む陣営の中、小柄な少女と赤髪の女性が出てくる。

「はい、大丈夫です」

 董卓は自分が無事を笑顔で答えつつ、立ち去った彼等の方へ目を向けた。

「………私は」

 そして彼に返しそびれた布切れをぎゅっと握り締めた。

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手に入れるのは金か?

 

力か?

 

それとも希望か?

 

人はとても甘く

 

弱さを見せればより甘く

 

そして強くなれば脆い人間

 

だが、それこそが人間の良き部分

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 現実は常に冷酷だ。

 人の夢を希望を簡単に壊し、理性や判断力も鈍らせる。

 張三姉妹もまた、そうだった。彼女らの夢は”自分達の歌を人々に聞かせる”という一見素晴らしい夢。しかし現実は、ほとんどの人達が歌を聞くことも見ることもなかった。

 当然そんな状況では生活など満足に出来きるわけもなく、しかたがなく慣れない曲芸などでその日その日を稼いでいたのだが、無理がでたのか三姉妹の長女張角が倒れてしまう。だけど医者に姉を見せる金もなく、また姉が倒れてしまったことで稼ぎも激減してしまったために、より厳しい生活へと変わり困っていた。

 そんなある日。

 ある金持ちが条件を飲めば沢山の礼金を出すと提案してくる。その条件は『張姉妹の名前の剥奪』、以後は真名で生きて行くという条件。

 当然三人は悩んだ。真名とは、真に心がつながりあった者同士が呼び合う『真の名前』。その名は、その者の『本当の心と姿』をあらわし、心を許しあった仲間同士でしか使われず、口に出すことさせ許されない。いわば名前による『心の絆』『心の契約』だからだ。

 だけど苦しむ姉の姿を見れば、残された妹達に名前を奪われることに躊躇いなどなかった。何よりそれで姉が助かるなら安いことだから。幸いにも姉も礼金のおかげで元気になり再び三人で、夢を目指そうと動き出したが……。

「お久しぶりですね。お嬢さん達」 

 あの時の金持ちに捕まってしまい監禁されてしまう。しかもその金持ちは姉の名前を使って黄巾党達の首領にまで上り詰めてしまっていた。

 男は言う。今の大陸は腐っている、と。誰かが革命を起こし朝廷を壊して新しい時代に創り変えるべきだと。そして将来は世界すべてを自分の帝国にして支配するという。

「そんな……大陸を平定した後も戦争を続けるなんて……」

 末の妹である張宝は彼に意義を申し立てる。すると男の返答は意外な答えだった。

「何を言っているかな。これは『君達』が犯している戦争だよ?」

 名前を奪った理由。自身に野望を抱きながらももしもを考え、偽名を名乗りいざとなったら逃げるという人間として最低な作戦。

「安心していい……私の野望は確実だ。何もごともなく達成できたら自由にしてあげるよ」

 男はそういうと再び戦場へ行く。一方の彼女達は彼を止めることを考え始める。この戦争を止めなければ沢山の無実の人が死に、自分達自身も罪を被せられてしまう。だが……果たしてこの真実を素直に信じてくれる人はいるのか。

 それとも無力な自分達でだけ彼を殺すしかないのか、自分達が『死ぬ』しかないのか。

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 個の力などたかがしれている。

 董卓を助けた彼らはその後、張角軍を追撃するが圧倒的な兵の数に押されてしまい、いつしか三人は崖の上から三万五千の黄巾党に囲まれてしまっていた。

「たった三人でよく頑張ったが、それもここまでだ。董卓軍での借りをここで返させてもらうぞ」

 黄巾党の首領張角はそう言うが三人の瞳に”絶望”という文字が刻まれていないことに気付く。どんな事があろうと決して諦めなるつもりはない瞳だと。

「………気にいらないな」

 人の嘆き、悲しみ、苦しみ、絶望といった不幸を趣味とする張角にとっては、それは気に入らない。どうしても彼らに絶望を与えたい。

「ならば……切り札を使うか」

 数分後、部下に命じて連れて来させたのは張三姉妹。張角は彼女達を関羽達に見せると同時にその一人に剣を突きつけた。

「ひ、卑怯なっ!」

 これでは些細な抵抗もできない。唇をかみ締め悔しそうな顔をする三人に張角は再び笑った。

「はっはっはっ。いいぞ、その絶望に満ちた顔は。………だがな」

 とんっと張角は一人を突き落とした。

「!?」

「悪いな。『本物』以外は必要ないだよ。悪いけどここで死んでくれ」

「――――っ!」

 手足を縛られ口も塞がれている彼女に助かる術はない。彼女はそのまま地面に………。

「兄者っ!?」

 一瞬の判断。

 張角が彼女を突き落とした瞬間、三人の長兄である彼は落ちる地点を予測して彼女を助けようと走った。

 が、漫画のようにはいかず彼の体をクッション代わりに衝撃を弱めから地面に着地させる。幸いにも両方に怪我はない。

「ちっ!」

 失敗に終わったことにイラついたのか張角は、舌打ちをしつつもう一人を突き落としてきた。今度は助けたようとしたら矢がオマケでつくように指示を出して。

「………っ!」

 だけど彼は再び走った。彼女を助けるために。

「馬鹿め。死ねっ!」

 数本の矢が彼に放たれた。コースは直撃。当たれば命が危ない。

 だけど彼は走った。なぜなら心強い妹達がいたからだ。自分が危険になれば必ず助けてくれ、どんな時でも協力してくれる妹達が。

「させるかっ!」

「うりゃ―なのだ―っ!」

 放たれた矢はすべて落とされ彼は今度も彼女を助けた。ただし、体をクッション代わりに衝撃を弱めから地面に着地させる方法だが。

「………」

 なかなか漫画のようにはいかないな……とそう思いつつ彼は二人の手足、口を自由にするとその一人が怒った顔で文句を言ってきた。

「ちょっと―! うまく掴みなさいよアンタ。もう少しで死ぬところだったじゃないっ!」

「………」

 一瞬だけだが、彼は”助けなけばよかったかな”と思ってしまう。もちろん本心ではない。

「くそ、くそ、くそ――っ!」

 その光景を見て悔しいと感じ、今度は彼が唇をかみ締めていると部下の一人が大慌てでやってきた。

「アニキ―っ! 大変です。曹操軍がこっちに向かってきています―っ!」

「何っ!? 曹操だと!? すぐに撤退だ―!」

 一度戦って、苦い敗北をした張角は曹操が嫌いだった。今度も戦えばきっと負けてしまう。それ思うと大慌てで撤退の指示を出す。しかもよほど苦い思い出だったのか最後の人質の存在を忘れてしまうほどだ。

「………」

 そして一方の彼も曹操の名前に厳しい表情するのだった。

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夢のすべてを手に入れたとしよう

 

しかし、彼女は求める

 

もっと、欲望を

 

もっと、己の名を

 

その形は悪魔か? それとも神か?

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 許晶を中心として勢力を伸ばす者がいた。

 器量、能力、兵力とすべてを兼ね備えのちに魏を建国して大陸を統一してしまう、三国志において孫権、劉備と同じく歴史に名を残した英雄……曹操。

 ただし……この『世界』では『彼女』であり、『非道』ではなく『誇り』を持ち備えてしまっていることや『彼ら』の存在で歪みが生じているため『結末』がどうなるかは定かではない……が。

 そんなことを知らない曹操は、大陸平定に向けて今日も突き進んでいた。

「華琳様。西方より砂塵を確認しました。どうやら黄巾党は華琳様に恐れをなして撤退した模様です」

 長い黒髪を垂らし、赤い服の上に肩に骸骨の鎧を装着した夏侯惇は、曹操の真名を呼んで状況の報告をした。

「………そう」

 曹操は顔を表情を崩さずに返事を返す。そこに猫耳頭巾を被った荀ケも現れた。

「偵察として向かった秋蘭の部隊からの報告で、先ほどまで黄巾党と戦っていた者達が解放した人質を安全な場所へと移すためにその場を離れたそうです」

「ふむ……。あれだけの数を相手にたった三人で立ち向かい、そして人質さえも解放する者達を一度顔を見てみたいと思っていたけど……仕方がないわね」

 髪をサラリとなで少し残念そうな顔をした。しかし、曹操が残念がる理由は他にもあった。それはその三人の中に関羽という武将がいること。

「ぜひ、天下に美しいっていう美髪公の関羽を見てみたかったわ。そして噂通りの髪で良き腕なら私の配下に……」

「………っ!」

 まるで恋する乙女のような顔をする曹操だが、そんな彼女の姿に荀ケや夏侯惇は不服そうな顔で見つめていた。それに気付いた曹操は優しい顔で微笑みを返しながら二人の頭を撫でた。

「ふふ……二人はそんな私にヤキモチを焼いてくれるの? 可愛い二人ね」

「華琳様……っ!」

 二人はまるで恋人のような目で曹操を見つめる。

「では春蘭、桂花。このまま秋蘭達と合流して黄巾党を追うわよ。狙うわ張角の首のみっ!」

「はっ!」

 曹操の愛を受けた影響なのか二人の声や動きは先ほどより高まっていた。実は、曹操はワザと二人にヤキモチを焼かせ、そのあと奮起させるように仕組んだ策。

「………ふふ」

 ただしその反面、曹操自身もまんざらではないためこの策は一種の『遊び』に部類するかもしれない……が。

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 敗戦、敗戦、敗戦。

 黄巾党は曹操によって敗戦の連続を味わった。結果、黄巾党の力は弱くなり黄巾の乱の閉幕を余儀なくされていた。

 そして……。

「くっ、そ………こんな、こんなハズでは……」

 首謀者張角はなんとか生き延び、誰も知らぬ荒野を歩いていた。フラフラな体に鞭を打ちつつ再起を望みがら……。

「まだだっ! あの男が、あの男さえいればっ! 俺はっ!」

「それは俺のことか?」

 神はまだ彼を見捨ててはいなかったのか。目の前に彼の望む男が現れる。

「おお……アンタか。頼むっ! 俺に兵を……力を再びくれっ!」

 しかし、彼は微笑みを浮かべたまま何もしようとしない。それに気付く張角は叫んだ。

「俺はお前の言われた通りしたんだぞ! 張角の名を奪い、奴らを戦争へと走らせたんだぞ!」

「……だからだよ」

「何?」

「目的を果たした以上……もう、人形に思いをかける必要はないだろう?」

「!? き、貴様ぁぁ―――っ!」

 腰に差してある剣を抜く張角はとそのまま彼に襲いかかった………が。なぜか体が動かないことに気付いた。

「な、なんだっ!? これは、一体、なんだっていうんだっ!?」

 足元には黒い穴。しかも次第に張角の体をスッポリと落とせるぐらいのサイズへと広がっていく。

 その光景に彼は再び微笑を浮かべた。

「来たようだな。おまえの死神が………」

「死神だ、と?」

 言葉とともにゾクリと寒気が走る。それどころか足には『感触』を感じた。

「あ、ああああああ……あああ」

 恐る恐る下を見るとそ黒い穴から手が………あった。

「―――――見つけたわ」

 そして次に声が。長い髪が。体が。顔が。

「お、お前は……こ――」

 口は塞がれ、手足も髪に縛られ『ソレ』は笑った。

「さぁ……行きましょう。たっぷりとお礼をしてあげるわ……」

 ズブズブズブズブと張角は黒い穴に『ソレ』と共に引き込まれていく。やがて張角は………………消えた。何もなかったように。彼だけが残った。

「じゃぁな偽張角。どうやらあの人形の子供を誘拐した瞬間から、貴様の運命は決まっていたようだ」

 彼は空を見上げる。そこは月のない夜。

「あの男が意外にも戦いを続けたせいか歴史にさらなる歪みが生じたみたいだな。だが……」

 右手を軽くあげる。そこから光が現れたかと思えば鏡が現れた。

 彼はその鏡の中を覗きこむとこの世界にはあまりにも場違いな白い服を着た男と栗色の髪色した男が映った。

「同じ外史に英雄は二人はいらない。いずれどちらかが……」

 男は微笑んだ。

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――舞台は揃った。

 

さぁ………始めよう

 

本当の戦いを

説明
前回のお話
聖フランチェスカ学園に通う少年は、ある夜、学園内で泥棒と北郷が戦って所に遭遇する。そこで助けに行こうとしたその時、光り輝き、彼は見知らぬ世界へと飛ばされてしまうのだった。
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