黒子シリーズ。その後……
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 上条さんに告白をして、恋人同士になったわたくし達。

 今日は、恋人同士になっての初めてのデートですの。

 さてさて、どんな素敵な日になるのでしょうか。

 

「早速、遅刻ですのね」

 待ち合わせの時間になっても上条さんが現れませんの。

 まぁ、どうせ面倒な事に巻き込まれているのでしょうけど……

「こういう時はちゃんとした時間に来て欲しいものですね」

 わたくしなんて、約束の時間の一時間も前から待っているというのに。

 少しは乙女心を理解して欲しいものですの。

 

「はぁ。はぁ。す、すまん黒子。結構待ったよな?」

 全力で走って来たのでしょう。肩で息をしながら上条さんが謝る。

「……特に気にしてませんの。どうせ不幸な目にあっていたのでしょう?」

 本当は結構な時間を待っていますが、敢えてそれは言わないでおきましょう。

 デートが始まる前にあまり余計な空気にしたくはありませんから。

「そっか。でも遅れたのは事実だからな。本当にすまん」

「上条さん……」

 はぁ。まったく、あなたは律儀と言いますか、真面目だと言いますか、変な所で紳士的なんですのね。

「よし。俺が言うのも変だけど、さっさと出発しようぜ」

「あ……」

「ん? どうした?」

「いえ、別になんでもありませんの」

 ただ、急に手を握られて驚いただけで……

 いきなり手を繋ぐなんて上条さんったら、結構大胆なんですのね。

 そんな感じでわたくし達のデートが始まり、その道中も楽しく過ごしていたのですが――

 

 ぴぴぴぴぴぴぴっ!

 

『白井さーん。申し訳ないですが、仕事が出来てしまったので、来てもらえますかぁ』

 実に間の悪い事に初春に呼ばれてしまったんですの。

 なにもこんな時に呼び出さなくてもいいのに。

 これは後でお仕置きをしないといけませんわね。

「あの、上条さん」

「どうした? 黒子」

「申し訳ございませんが、少し仕事が入ってしまったので今日のデートは終わりですの」

「事件か?」

「あ、いえ。そういうわけではなく、ただの書類の手伝いだと思いますの」

 そんなに必死に呼んでいるわけではなさそうでしたからね。

「そうか。仕事なら仕方が無いか」

「ええ。すみません。この埋め合わせは、また後日に……」

「おう」

「では――」

 後ろ髪を引かれる想いでこの場を去る。

 はぁ。せっかくのデートでしたのに。不幸ですわね。

 

 

 ――日も落ち、外もだいぶ暗くなってきましたの。

 上条さんと恋人になって初めてのデート。

 まさかこんな事になるなんて思いませんでした。

 せっかく楽しみにしていましたのに……

 色々な期待をしていましたのに……

「遅かったじゃねぇか。黒子」

「――――え?」

 落ち込んでいたわたくしの前に現れたのは――

「か、上条さん!? どうしてここに?」

 別れてから随分時間が経っていますのに、どうして……

「何でって、まだ俺達のデートが終わってないからだよ」

「終わっていない……?」

 それは一体どういう意味ですの?

「確かに色々と予定は崩れちまったけど、今日という日はまだ終わってねぇ。だからまだ俺達の

デートは続いているんだよ」

「…………上条さん」

 あなたは……あなたという人は……

「たいした事は出来ないが、今から俺達のデートを楽しもうぜ」

「はい……ですの」

 差し出される手を掴んで隣に並ぶ。

 普通の恋人達とは違いますが、それはそれで、わたくし達らしいような気がしますね。

 

「あーそうだ。黒子に一つ言い忘れてた事があった」

「なんですの?」

「今日も可愛いぞ。黒子」

「な―――――っ!?」

 ふ、不意打ちでそんな事を言うなんて……

「ははっ。顔が真っ赤だぞ」

「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ」

 う〜バカ。上条さんのバカ!

 なんでそんな事を……こ、こうなったら、わたくしだって――

「か、上条さ……いえ、当麻さんも格好いいですわ」

「お、おう……」

 ふふ……っ。驚いた表情をしてますね。

 これでおあいこですの。

 

 結局、変わったデートにはなりましたけど、これはこれで楽しかったですね。

 だって、こんなにも幸せな気分なんですから。

 

説明
最終回のその後のお話です。
これにて黒子シリーズは終わりですが、また新たな黒子シリーズが始まるかもしれません。
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