あなた。 |
<注意!!>
この作品は、ちょろっと……いや、ガッツリ?…いわゆる女性向け作品であります。
作者自身初めての試みです!!(勉強します!!)なので、どういったレベルになるかわかりません!!
とりあえず、男の子と男の子がいちゃいちゃはするでしょう。
なので、そういったものが苦手な方は閲覧はやめてください。
不快な気分になっても作者は責任は負えません。
私自身、そこまで深ーいとこまでは表現はしないでしょうが…というかできません(泣)
それでは、次ページからです。
Color1
どうして僕はキミと出会ってしまったのだろうか。
こんな結果が待っているのならば出会わずにただ横を通り過ぎればよかったのに。
もう少しだけ、早く君と出会えていたのならば。
世界は違って見えていたのだろうか。
『キミ』という存在を見続けていられただろう。
でも、現実はそこまで甘くないものだね。
どれだけ『キミともう少し早く出会えていたら。』と思っただろう。
『いつまでもキミを見ていたい。』と思っただろう。
それでも時の流れは止まることなく皮肉にもキミは姿を消した。
「陽介。早く起きなさい。」
「ん……。」
爽やかな太陽の光が陽介の顔を照らす。
陽介はうっとうしそうに顔を歪め布団をかぶった。
「……ちょっとぉ、陽介!!いい加減に起きなさい!!遅刻するわよ。」
「あと、もうちょっと……。」
陽介の母親の玲子が眉間にしわをよせて陽介の部屋に入ってきた。
玲子は無理矢理陽介のかぶった布団を引きはがした。
「あんた、今何時だと思ってんの!?」
「え……っうわ!!」
玲子に促され時計に目をやると7時20分を指していた。
いつもならもうすでに家を出ている時間だ。
陽介はベットから跳ね起き、急いで身支度をし始めた。
「朝ご飯は?」
「い、いいいらない!……学校行く途中で買ってく!!」
陽介は鏡を見る暇もなく、家を後にした。
「……やっべぇ…このままじゃ遅刻する!!」
陽介は起き抜けの体に鞭打ち、最寄駅まで死ぬ気で走った。
彼がようやく自分の寝癖に気づくまでにはもう10分かかった。
寺内陽介は勉強も運動もでき、顔もなかなかな高校3年生だ。
おまけにピアノを弾かせたら右に出るものはいないだろうというくらいの腕前の持ち主。
だが、今の彼にはそんなところ微塵も感じなかった。
ネクタイはぐしゃぐしゃ、ワイシャツのボタンは掛け違えている。
おまけに頭はところどころ寝癖が目立つ。
「………昨日、レッスンが長引いたから……。」
陽介は電車の中でぶつぶつとレッスン講師の上条を恨んだ。
昨日は珍しく上条がレッスンに遅刻してきたのだ。2時間も。
もちろん陽介のレッスン時間はずれ、帰宅したのは夜中の12時。
翌日起きられないのも無理もない。
「あー……どうしようこの髪型…。」
ワイシャツのボタンや、ネクタイは直せるがこの髪型だけはどうにもならない。
あいにくワックスは鞄の中には入っていなかった。
「……遅刻しようかな……。」
ワックスを買って髪を直していたら確実に学校には遅刻する。
陽介は最悪の決断をするほかなかった。
「このままじゃ、学校行けないしな……。」
皆勤賞がかかっていたのが惜しいが、と思いながら陽介は携帯に手をかけた。
「あの……ワックス、貸しましょうか?」
「え………?」
といきなり頭上からかけられた声。
そこには見知らぬ男の顔があった。
「どうぞ。」
「あ、ありがとうございます。」
ニコリと柔らかな笑みを浮かべる男は、すっとワックスを陽介に手渡した。
陽介も少々不審に思ったが、その好意に甘えることにした。
「(まあ、皆勤賞かかってるし。)」
「………。」
陽介は渡されたワックスを少量手になじませて髪型を整えた。
その様子を男はじっと観察するように見続けた。
「………あの……なにか?」
「いや……別に。」
陽介が不安そうに顔を上げると男はすぐに目をそらしてしまった。
「君、藤学院の子?」
「あ、はい。そうですけど?」
男は急にそんな質問をし始めた。陽介も何の気なしに返事を返す。
「そこにさ、寺内陽介っていうめちゃくちゃピアノが上手い子がいると思うんだけど、知ってる?」
「!!」
男の発言に急に体が強張る。
確かに陽介は音楽界では若手の星とまで称されるほどの有名人だ。
だが、普段はそんな目立ったようなことはしない。
だから、目の前にいる男のように全く音楽に興味をもたなそうな人には陽介の名は浸透しきっていない筈だ。
「(これは……まさか……脅迫?誘拐?)」
陽介の頭の中には様々な妄想が渦巻く。
さっきまで善人のような男の顔も悪人に見えてきた。
「さ、さぁ?」
「ふーん。俺さ、その人に会いたいんだよね……。」
「はあ。」
陽介は自分の話す言葉一つ一つに細心の注意を払い、自分が寺内陽介であることを隠し通した。
男はそんな陽介の異変にも気づかずに話を続けた。
「うん。俺、ピアノ教えてもらいたいんだよね。」
「!?」
男の意味不明な発言に陽介の頭はさらに混乱に陥る。
「高校生であんな感動する演奏するんだぜ?すげーって思うじゃん。」
「………。」
そこで陽介は自分の事を恥ずかしく思った。
男は瞳をきらきら輝かせながら、寺内陽介のことを話し続けた。
「………。」
脅迫でも誘拐でもない。ただ単に男は寺内陽介を尊敬していた。
「………。」
「ん……どうした?」
そしてようやく陽介の変化に気づいた男が言葉を止めた。
「あの……さっきは信用してなくて言えなかったんですけど……。」
「ん?」
「俺が、寺内陽介なんです。」
一瞬男の表情が固まった。
嘘をついたことに怒られると覚悟し、陽介は目を瞑った。
「………。」
しかし数分たった後でも何も起こらず、恐る恐る目を開けると、
「やっぱし?寺内陽介だよな?」
そこには探し物をようやく見つけた子供のような無邪気な笑顔があった。
「じゃあ、僕はここで降ります。」
「あぁ……暇があったら連絡してくれよ。」
男は一枚の紙切れに携帯の連絡先を記して陽介に渡した。
「………ことりゆう……?」
連絡先の下には男の名前であろう漢字が記されていた。
名前は孝宏と読めるが、苗字が読めない。
『小鳥遊』と書いてあるのだがなんと読むかわからない。
「……なんだ?なぞなぞかな?」
ふと思考を巡らせるが、すぐさま今自分が置かれている状況に気づく。
「やっべ、遅刻!!」
ワックスを買う手間が省けたものの、それでも必死で走らなければ学校には遅刻する。
陽介はこの年一番の走りをして滑り込むようにして教室に入った。
「どうしたの!?」
「いや、今日寝坊しちゃってさ……。」
「なんだなんだ?女と寝てたのかぁ?」
「そんなんじゃないって。ただの寝坊。」
友人の里中悠一が陽介のギリギリ登校を茶化す。
陽介は上がりきった息を整えつつ、鞄の中からコンビニで買った朝食を取り出す。
「陽介、なんか落ちたぞ?」
「ん……?」
陽介は手探りで鞄から落としたものを拾う。
「なんだ……?」
おにぎりをくわえつつ、それがなんなのか確認する。
「!!!……っと。」
とっさに口をあけたのでくわえたおにぎりが口から落ちる。が、持ち前の動体視力と運動神経でおにぎりが床につくことはなかった。
そして自分のした過ちに気づく。
「どした?」
「いや……」
いきなり顔をこわばらせる陽介に悠一は不安げに声をかける。
陽介も気がどこかにいってしまったようで、空返事をした。
「………。」
陽介はあれからずっと考えていた。
手にはあの小さな紙切れが握られていた。
電車内での会話では孝宏は犯罪者というわけではないが、一つだけ違和感があった。
「なんで、やっぱしなんて言ったんだろう。」
最初から陽介が寺内陽介だとわかっていたら、あんな質問の仕方はせずにストレートに聞いてきただろう。
だが孝宏は初めは本人だと気づかないフリをした。
そしてわかりやすく違和感を残した。
疑問は広がるばかりだった。
「……でも、こんなことばっか考えていられないよな…。」
ワックスを返さずに持ってきてしまったのは自分だし、この疑問を聞くきっかけになるだろうと陽介は考え、携帯のキーをプッシュした。
「………。」
しばらく呼び出し音が続く。
「………。」
『はい。もしもし。』
「あ、あの………。」
電車で聞いたあの声が携帯ごしに聞こえてくる。
「寺内です……。」
『あー!!寺内さん!!電話してくれたの?』
「え…、えぇ……まぁ。」
孝宏はさぞかし嬉しそうで声が弾んでいた。
「えと……。」
陽介は孝宏の名前を呼ぼうとして、紙切れに目をやるがその時まですっかり苗字の読み方がわからないことを忘れていた。
「あー……。」
『……?』
孝宏はそのことに気づいていないらしく、黙ったままだ。
「苗字…なんて読むんですか?」
『あー!!そっか。俺の苗字ちょっと特殊なのか。』
陽介は気まずそうにそう告げると孝宏はようやく気づいたのか声を上げた。
『おれの名前は、小鳥が遊ぶって書いて“たかなし”って読むんだ。』
「へえー、珍しい名前ですね。」
『まあなー。』
ちょっと得意になったのか、声のトーンを上げた。
『で、なんでこんな時間に?まだ学校だろ?』
「あ……。」
陽介は時計に目をやる。昼休みが終わるまであと10分少々というところだった。
「あの、ワックス………。」
『あー!俺も忘れてた。』
意外にも貸してくれたくれた本人も忘れていたらしく、電話の向こうでは素っ頓狂な声が聞こえる。
「僕、そのまま学校に持ってきちゃったみたいで……。どうしたらいいですか?」
『……あー、じゃあ今日君の学校の最寄駅に行くわ。……何時に来れる?』
「いえっ!!……悪いです。」
朝見た顔からして、少なくてもに陽介よりは年上に見えた孝宏に気を遣わせることは失礼だと陽介は断りを入れようとした。
『いいの、いいの。そのかわりちょっとお願いがあるんだ。』
「はあ……。」
楽しそうに話す孝宏はこう告げた。
『君の演奏を生で聴きたいな。』
説明 | ||
「ほんのちょっと超能力」の削除は大変申し訳ありませんでした。 今回の作品は、『青春』を題材にしました。 少し、女性向け要素があります。 |
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