恋姫小説15〜蒼天賛歌〜決の玉『前』 |
注意!!
二次創作です、原作のイメージをぶち壊されたくない方は回れ右
基本、妄想です
オリキャラでますよ、嫌な方は回れ左
強い一刀君が出ます、嫌な方は回れ右左
誤字脱字多いかも、多めにみてください
時間軸滅茶苦茶です、あと設定も滅茶苦茶ですそれでもいい?
以上がいいならどうぞ先にお進みください
連合野営地
ゴウゴウと篝火が燃える
その数は尋常ではなく、見張りの人数もこれまた尋常ではなかった。
しかし、兵たちの表情には疲れがありありと浮かんでいた。
一刀が仕掛けた妨害を取り除く作業だけではここまで疲れはしないだろう。
なら、どうして彼らは此処まで疲れているのかそれは
「敵襲ーーーーー!!」
一際大きな声が聞こえた次の瞬間、黒い影が数十騎猛然と此方に迫る。
先頭に立つ隊長格らしき人物が、手で指示を出す。
それを受けた影達は、雲の様に散っていく。
「迎撃しろ!急げ!」
野営地は、鶏小屋に爆竹を投げ込んだかの様に騒然となる
それを軽々と流し、影達は疾走する。
ある者は兵糧庫に火を放ち、ある者は武器庫を、またある者は兵舎
野営地はたちまち火の海に包まれる
「頃合か・・・」
隊長格の男が笛を吹く、甲高い音が四方に響く、光に集まる虫の如く影達が集まる。
そして何事も無かったかのように、夜の闇に消えていった
昼の作業から合計して四度目の襲撃はこれで終わりを告げる
呉軍野営地
雪蓮「母様、どうだった」
紅蓮「チッ、どうもこうもねぇよ。連中かなりの手だれだ、追いついちまえば負けないんだがな」
蓮華「母様の軍馬でも追いつけなかったのですか?」
紅蓮「追いつくとかそんな問題じゃねぇ。妙な走り方してやがったからな、馬が混乱して上手く走ってくれねぇんだ」
雪蓮「一刀の部隊かな?」
紅蓮「たぶんな、今回の被害は何処の軍だ?」
蓮華「曹操と袁紹の軍です、双方共にそれなりに痛手を負ったみたいです」
紅蓮「くそっ!こんな事考えるなんざ、随分と一刀は性格悪いなぁ」
雪蓮「妨害に妨害で被せて来るんだからね、冥琳凄く楽しそうだった」
紅蓮「アイツも性格悪いしなぁ・・・、とにかく警戒を怠らないようにするしかないか・・・」
雪蓮「そうだね〜、面倒臭いなぁ・・・蓮華、諸隊長に通達よろしくね」
蓮華「はい」
魏軍野営地
桂花「・・・・・・」
夏侯淵「桂花?どうした」
桂花「黙って」
夏侯淵「っと」
桂花「・・・・・・・・・」
夏侯淵「・・・・・・・・・・」
夏侯惇「おーい!秋蘭なにをしているんだ?」
夏侯淵「しー」
夏侯惇「むお!?」
桂花「・・・・・・・・応用可能ね・・・・」
夏侯淵「ふむ、我らが軍師殿、その金色に輝く頭で考えた事を教えて下さらぬか?」
桂花「気持ちの悪い言い方しないでよ、それにかなり局地的な運用になるからまだ言えないわ。今回限りでね」
夏侯淵「なるほど、ではその時まで待つとするよ。姉者報告か?」
夏侯惇「あぁ・・・そうだ、華琳様の所に行こうと思ってな」
夏侯淵「では御伴しよう」
夏侯惇「おう、ではな桂花」
桂花「えぇ・・・・・・全ては天任せか・・・」
蜀野営地
朱里「・・・・・・・・」
雛里「朱里ちゃん」
朱里「雛里ちゃん?」
雛里「考え事?」
朱里「うん、こんな戦略聞いた事無いから・・・その事ともう一つ」
雛里「もう一つ?」
朱里「これは水面ちゃんが提案したのかな?それとも」
雛里「一刀さんだと思う」
朱里「雛里ちゃん?」
雛里「あの人は凄いよ、この世界の知略を吸収したら・・・本当の化物になると思う」
朱里「雛里ちゃんの太鼓判かぁ・・・」
雛里「私はあの人の知識が欲しい」
朱里「私もだよ」
雛里「頭の中がざわついてるの、この戦略を忘れないように、どうにか応用できないか。
そんな事ばかり浮かんでくる」
朱里「眠れない?」
雛里「うん・・・」
朱里「ふふっ、じゃあ今日は夜更かししちゃおうか」
雛里「うん」
洛陽
雷轟「ただいま戻りました」
一刀「おつかれ、首尾は?」
雷轟「上々にて」
一刀「うん、それならよかった休んでて」
雷轟「はい」
一刀「それじゃ第二波行こうか」
楓「あたしだな!」
一刀「うん、出来るだけ大きな音出しながら接近、そのまま撤退で」
楓「了解!うっしゃー!お前ら!銅鑼もってあたしについて来い!!」
一刀「元気だなぁ」
雷轟「しかし、音だけでいいのですか?」
一刀「うん、恐怖は昼と夜ので十分だろうしね。人はさ散発的に刺激を与えられるとストレスがたまるんだ」
雷轟「すとれす?」
一刀「あー・・なんて言ったらいいのかな。折角寝てる所を起こされたらイライラするだろ?あれの事」
雷轟「はぁ、すとれす」
一刀「でだ、それだけでもかなり参ってしまうのに、いつ襲撃があるかわからないだろう?それによる恐怖でストレスは加速する」
雷轟「はぁ・・・」
一刀「よく解らないかな?まぁそれでいいよ。人間はさ、与えられすぎると負担になるんだ、食欲、睡眠、快楽、
一方的な欲と感情の過剰摂取は簡単に人を殺せる物理的じゃなく精神を。今回の作戦は物理的に殺す事は二の次
本命は心を殺す、心の死んだ兵士は使い物にならないただの荷物だからね」
ニヤリと口角を上げ笑う、背筋がゾッとする程の恐怖。
どうすれば有効に人を『壊せるか』それを熟知しすぎている、
歳相応の少年のする顔で無く、一介のテロリストの様に歪みすぎた笑顔
雷轟「っ・・・しかし、どこでこんな事を学んだのですか?聞いていた天の国の学校ではとても教えそうに無いのですが」
一刀「師匠だよ、歌枕美影。傭兵で英雄で暗殺者で罪人」
雷轟「罪人・・・どう言う事ですか?」
一刀「ふふっ、さぁ!戦争の準備準備」
雷轟「一刀様!!ごまかさないでください!!聞いていますか!!」
一刀「(∩゚д゚)アーアーきこえなーい」
雷轟「ちょっと!そんな事言って子供ですか貴方は!」
一刀「雷轟と比べたらね」
雷轟「失敬な!!これでもまだ27です!」
一刀「はははっ」
軽口をたたきながら次の作戦の為に準備を始める。
あの一件の後随分と打ち解けた二人、歳の離れた兄弟の様に、時には親子の様に笑い合う
このひと時の幸せを守れるように負けられぬ決戦に望む
数刻の後、連合軍は強行策に打って出る。
夜間の進軍である。
犠牲をよしとするこの策に一刀はソッと口角を上げる。
思う壺なのだ、考えていたとおり、とある神もどきの言葉を借りれば計画通り。
これで策は成った。
連合側では不審が蔓延していた。
なぜ絶好の機会を捨てるのか、なぜ奇襲をしてこないのか。
疲弊している兵たちは物音一つに恐怖を覚え、逃げ出す者、精神をやられた者。
まさに満身創痍、兵糧も十分ではなくその事は将達にも疲弊をもたらしている。
「狼は群れに対しては優しく信頼に答えるが、敵には容赦はしない。」
一刀の言である。
お膳立ては済んだ、後は勝つのみ。
勝利を心優しき悪王に、敗北を気高い善王に。
血で血を洗い、肉を切り裂き、突き刺し、踏み躙る、血涙を流す程の美しい闘争を。
悪鬼羅刹の如く人を殺し、魑魅魍魎の如き雑兵でもって将を打ち倒す、吐き気を催す程の醜い闘争を。
さぁもうじき決戦が始まる
一刀「遊撃隊ねぇ、自由に動き回れと。まぁ幾分楽かな」
詠から貸し与えられた兵を後ろに携え、一人ごちる
一刀「とにかく危険な部隊を引き付けようか。脇っ腹に突っ込むのもいいけど・・・うーん」
「一刀様、刻限です」
一刀「うん、わかった。兵数は8000・・・か」
ふと思う。
この中の何人が生きて帰れるだろう、全員を守るなど不可能で、自分がちっぽけな存在だと嫌でも理解する。
きっと師でもそんなのは不可能だ、自分より数倍強いあの人たちでも。
ただ例外はいる、美影。
歌枕美影なら、兵など要らないだろう。
あの人は、一途に武を高めすぎている、ただ戦う事でしか己を見出せなかった。
壊れた最終兵器、彼女を戦場に投入すれば必ず勝てる。
そんな迷信じみた事を平然とやってのける人だ、彼女なら犠牲を出さずに勝てるのだろう
しかし、その代償は大きい。大きすぎるのだ、誰も並ぶことの出来ない高みそれはとても見晴らしは良いだろう。
だが孤独だ。化け物と蔑まれ、解放した者達からも真の信頼は向けられない。
向けられるのは畏怖と妬み。
だから、背負う。
今自分は8000の命を背負った。
一刀「よし、行こう」
目に光が宿る。
戦争だ、命が散るのは当たり前。
いとも簡単に、吹けば飛ぶ芥の如く
だから、今のうち
一刀「ありがとう、ごめん・・・」
この戦争で散るすべての命に
一刀「全員、抜刀」
感謝を、謝罪を
中央で怒号が響く
一刀「まずは出鼻を挫くぞ!突撃!」
「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
さぁ開戦だ!
戦局は董卓側の圧倒的優位。
各戦場の旗色は素人目に見ても分るぐらい程の優勢。
その中で連合側にも奮闘している軍があった
魏、呉、蜀。
後に三国時代の覇権を競う三国。
少数ながらも巧みな戦略と一騎当千の武将の勇で劣勢を跳ね返している蜀。
一糸乱れぬ兵の統率と、錬度で地力に勝り、蜀に負けぬ勇将を保持する魏。
君主のカリスマの下、絶対の絆で結ばれ、虎の如く敵をなぎ払ってゆく呉。
北郷傭兵団はそれぞれこの三軍に宛がわれていた。
楓「おらおら!押せ押せ!押し切れ!!」
冥琳「くそ!猪め!」
穏「一刀さんがまた来ましたよ〜!」
冥琳「ちぃ!右翼の防御を固めろ!呂蒙!」
呂蒙「はい!」
冥琳「思春に伝令を出せ!北郷の足止めを」
紅蓮「亞莎それは聞かんでもいいぞ」
呂蒙「はい?」
冥琳「紅蓮様」
紅蓮「足止めだろ?あたしが行ってくりゃいいこったろ」
冥琳「駄目です、あなたは我らの大将・・・」
紅蓮「んなこたぁいいんだよ、それにだ。サシで一刀を止められんのはあたしか呂布ぐらいだ」
冥琳「ですが!」
紅蓮「それによ、そろそろ家督譲ろうと思ってたしな、ちょうどいいだろ。今よりあたしらの大将は雪蓮。
君主命令な」
冥琳「そんな!勝手な!」
紅蓮「あたしはそういう奴なんでな、んじゃ行ってくる」
シニカルな笑みを浮かべ、愛馬にまたがり颯爽と翔ける
呂蒙「よかったのですか?」
冥琳「よくも悪くもないが・・・今は戦線を維持する事に専念しよう」
呂蒙「はい!」
一刀「深追いはするな!一当てするだけでいい!」
「一刀様!単騎でこちらに向って来る者が!」
一刀「単騎で・・・分かった。全員下がれ」
「はっ?いえ我々が対処いたしま・・・」
一刀「彼女をか?」
「なっ!?孫堅!!」
紅蓮「よお、一刀」
一刀「呉の王が単騎で来てもいいの?死にに来るもんだよ」
紅蓮「かまいやしねぇよ、どこに居たって人ってのは死ぬもんさ。あたしはなぁ戦場に居るときは前線で死ぬって決めてんだ、だから此処に来た」
一刀「足止め?それなら豪華すぎるね」
紅蓮「足止めなんてちゃちなもんじゃねぇよ、殺し合いをしに来たんだ。ここで殺してくれてもいいんだぜ?
無論てめえの命も賭けてくれなきゃなぁ!!」
一刀「っ!!!」
馬上から飛び降り際の攻撃、無理な体勢で放った攻撃とは思えぬ衝撃に一刀が落馬する。
紅蓮「立ちな、こんなもんじゃねぇだろ」
一刀「これは・・・手を抜いて勝てる相手じゃなさそうだ」
額からボタボタと血を流し、双刀を構える
紅蓮「当たり前だ。手なんか抜きやがったらぶっ殺すぞ」
一刀「だね。・・・呉の王孫堅。その命頂戴仕る・・・いざ」
紅蓮「・・・ヘヘッ・・・来い!!一刀ォ!!!」
〜魏軍前線〜
雷轟「攻めよ!敵は疲弊しきっている!恐れるな!勇を振るえ!!」
前線で手甲を振り上げ兵を指揮する
雷轟(さて、敵前線の将は夏侯か。ならばそろそろ・・・)
夏侯惇「貴公がこの軍を率いる将か!!」
雷轟(来たか)
夏侯惇「我が名は夏侯元譲!名のある将とお見受けする!名を名乗れぃ!」
雷轟「我が名は巌創。巌想溢。北郷一刀が家臣の一人。高名な夏侯惇殿に会えるとは光栄だ。」
夏侯惇「そうか、私が此処に来た訳は分かっているのだろう?」
雷轟「あぁ、謹んでお受けしよう。魏武の大剣、どれほどの物か見せてもらうぞ!」
夏侯惇「はいたな巌創!ならとくと見るがいい!魏武の大剣を!!」
〜蜀軍前線〜
水面「右翼、左翼前進!敵を方位してください!」
美冬「恐れず、進みなさい!敵に休む暇を与えないで!」
霞「ミナモン、ウチはどうすればええのん?早よぉ関羽と戦いたいんやけど」
水面「もう少しすれば、両翼が崩れます。そこに吶喊してください」
霞「了解。しかしよう耐えるなぁこの兵力差で」
水面「相手は諸葛亮、鳳統。兵が本調子なら苦戦してますよ」
霞「知り合いか?」
水面「・・・・・・」
コクンと頷く
霞「辛いなぁ・・・まぁ戦に出たって事は覚悟してるんやろ?なら迷わずに采配振るい。ウチも美冬もそれに従うで」
美冬「がんばろう水面ちゃん」
水面「はい!・・・今です!吶喊してください!!」
霞「よっしゃ!ほな行って来るわ!」
水面「御武運を!」
霞「あいよー!!まっとれや!関羽!!」
〜両軍激突地最前線〜
恋「ふっ!」
ドォーン!とゆう音と共に数十人の兵が空に舞う
その数秒後、蛙が潰れた様な音と共に振ってくる
葵「恋!敵陣に動きがあった!後退するみたいだ!追うぞ!」
恋「分かった。音々」
音々音「了解です!恋殿!全員陣形を突撃陣形変更!合図と共に敵陣に雪崩れ込むのです!!」
雄叫びを上げ敵陣に突撃していく兵たち
ふと、恋が立ち止まる。
葵「恋?どうした?」
恋「・・・・・・大丈夫」
葵「そうか、なら行こう」
恋(・・・・・・気のせい?)
紅蓮「はぁ!!」
一刀「っ!」
紅蓮「オルァ!!!」
一刀「ぐぅ!」
剣がぶつかり合う音が響く。
兵たちが見守る中、赤と黒の獣が交差する。
紅蓮と一刀の一騎打ち、手数に勝る一刀が前半を押していたが、数撃当てるだけで太刀筋を見極められ徐々に追い詰められていた。
紅蓮「ははっ!どうした一刀ぉ!こんなもんじゃねぇだろぉ!!」
一刀「くっ・・そぉ・・・!」
一撃、二撃。
一刀(クソッ!紅蓮も恋と同じ直感で戦うタイプかよ!やりずらいったらない!!)
紅蓮「考え事してる場合か?おらよ!!」
一刀(っ!しまった!!)
一瞬の油断を突き、黒陽を弾き飛ばす。
一刀「この・・・」
紅蓮「おらよこっちもだ!!」
一刀「うわっ!」
白月も黒陽と同じ末路を辿る。
次の一手を避けるべく大きく後ろに跳ぶ。
紅蓮「丸腰だな一刀?どうするよ?」
一刀「取りに行きたいけど行かせてくれないだろ?」
紅蓮「たーりめぇだ。殺し合いだぜ?」
一刀「ふふっ。殺し合いなのに話しかけてくるのはどうなの?」
紅蓮「それは構わないだろ、最後の言葉になるかもしれないがな・・・」
一刀「適当だなぁ・・・でも殺される訳にはいかないね」
紅蓮「素手でやろうってか?」
一刀「そのとおり・・・北郷流には無手の技もあるからね」
紅蓮「へっ!面白れぇ!見せてみなぁ!その無手って奴をよぉ!」
猛進する赤の獣。
しかし、そんなのお構いなしに一刀はそっと目を閉じる。
一刀(イメージは柳。心を静めて。円を描け。)
首を目掛けて迫る剣。
迫る、迫る、迫る。
一刀(・・・今!!)
紅蓮「っ!?」
次の瞬間一刀の姿は無く、紅蓮の剣は中間からポッキリと折れていた。
一刀「北郷流無手居合『霧柳』」
後方からの声に振り返れば、首筋から微かに血を流し、折れた剣の片割れを両の手で挟みこんでいる一刀。
紅蓮「・・・名刀だったんだがなぁ」
一刀「だと思った、手が血まみれだ」
互いに柄と刃を捨てる
一刀「南海覇王だったら死んでたね。腰に挿してるやつ」
紅蓮「そうかいそりゃあ惜しかった。次はこいつで行くぜ?」
一刀「どうぞ?こっちも得物を回収できたしね」
紅蓮「なら遠慮なく」
スラリと差した刀剣を抜く、細身ながらその刀身から放たれる神々しい気。
紅蓮から放たれる王の気も合わさり、皮膚が焼け付く様な錯覚に陥る。
一刀「・・・ふぅー・・・」
対する一刀は、二刀の内白月を納め黒陽を構える。
その構えは、顔の真横辺りまで両手を近づけ、刀を垂直に構える。
『蜻蛉』と呼ばれる構え、薩摩藩に伝わる古流剣術、示現流の構えの一つである。
北郷氏つまり一刀の家は島津家の有力分家であり、その中で剣の才能が飛び抜けていた総鉄が示現流を学び、独自の流派の製作時参考にした。
北郷流のある意味基本の型であり、二の太刀要らずと称されるほど強力な斬撃を繰り出す
紅蓮「一刀流か?二刀じゃ無くてもいいのか?」
一刀「気にせずどうぞ?ただし気を抜かないほうがいい」
紅蓮「あぁん?」
一刀「死ぬときは一瞬だよ」
言い終わるかどうかという所で一刀が飛び出す。
一気に距離をゼロにする程の前進、そのままの勢いでやや斜めから相手の頭部を狙う。
しかし、勘を使い戦う紅蓮はそれに反応する。
紅蓮「っお!?」
防いだ、そう確信したのも束の間一刀に言われたことを思い出す。
威力が減っていない、防いだ剣ごと此方の頭部を狙っている。
こんな記録が残っている、幕末期に薩摩藩と戦った武士の中に『自分の刀の峰や鍔が頭部に食い込んで絶命した者が要る』と。
薩摩藩の人間が全員示現流だった、そんな筈はなくほかの流派も取得している者も居ただろうが、
ここでは重要ではなく、問題は『自分の刀の峰や鍔が食い込んで』が重要なのである。
基本的な概念として、攻撃は防げる、と言う事が人の頭にある。
まぁ例外もあるが大抵はそのとおりである、特に銃器などが開発されている筈もない次代だ特にそれは顕著であろう。
しかし、この示現流は違う。防いだ所で力で押されてしまうのだ。
師達から『ドキッ!一発昇天♪地獄のレッスン☆(命名、美影)』を受けている一刀の筋力では並大抵の男の腕力では防げない。
さらに紅蓮は女性である、いくら戦場で戦っているとはいえ女は女、圧倒的な体格差、筋肉量は覆せない。
強靭な一撃を受けても折れない名刀『南海覇王』のおかげで一撃死は免れたもののこのままでは確実に死が待っている。
すべてがスローモーションの中紅蓮は冷静に対応策を弾き出す。
紅蓮「っそがぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
押し付けられている刀を強引に弾き後方へ跳ぶ。しかし
一刀「北郷流一刀蜻蛉『鬼蜻?』」
見計らったタイミングで空を裂く突き。
紅蓮「ちぃ!!」
体を捻り、ぎりぎりの所でかわす。
一刀「北郷流一刀蜻蛉『秋茜』」
紅蓮「んなっ!?」
急激な方向転換による横薙ぎの一閃。
人間離れした動きに動揺がはしる。
紅蓮「んなくそ!!!」
一刀「『腰空』」
紅蓮「がっ!!」
横薙ぎを無理な体勢で止めた所に柄から滑る様なバックナックルによるボディブロー。
衝撃のすさまじさを物語る様に紅蓮が吹き飛ぶ。
紅蓮(くそ!体制を立て直す暇が・・・!?)
一刀「『瑠璃星蜻蜒』」
いつの間にやら空中に跳んだ一刀の切っ先が喉を狙っていた、このまま地面に叩き付けられたら確実に死。
紅蓮「ああああああああああああああああああああああああああっ!!!!!」
一刀「!?」
蹴り飛ばした、無理な体勢と知りつつ蹴り飛ばす。
太もも、脹脛の筋肉が筋が腱が悲鳴を上げる。
しかし代償を払った分、報酬は大きかった。
予想外の攻撃に対応しきれず吹き飛ぶ一刀。
また戦局は仕切りなおしになる。
紅蓮「はぁ・・はぁ・・・くそっ・・・やばかった」
一刀「まさかあそこで抵抗されるとは思わなかった」
紅蓮「ちっ・・こっちは息切れしてんのに余裕だな・・・」
一刀「まさか、一杯一杯だよ」
紅蓮「冗談ぬかせ(足が死んだか?・・・いや・・・辛うじて歩く事はできそうだ・・・)」
一刀「足は大丈夫?紅蓮」
紅蓮「っ!気付くか・・・」
一刀「そりゃあね、それなりに医学にも詳しいですから。こっちも色々とね」
紅蓮「その強さは努力の証か・・・」
一刀「文字通り生きるか死ぬかの二択でした」
紅蓮「そりゃご苦労様で」
お互いに笑いあう。
実際一刀も限界が近い。
繰り出した技の要所要所でリミッターを外している。
本来の使い方だがやはり体にかかる負担は膨大である。
そして紅蓮も限界。
最後に放った蹴りによる予想以上の足へのダメージ。
雑兵程度になら遅れはとらないが、一刀ほどの武人と殺りあうのは不可能だ。
二人が思考をフル回転させている時、この戦を決めた大きな事件が起こる。
「報告します!!」
一刀「っ!どうした!!」
紅蓮「んあ?」
「洛陽が・・・!洛陽が・・・!」
一刀「洛陽?・・・!?クソォ!!!!」
紅蓮「おい!一刀!!」
一刀「全員撤退!!急ぎ洛陽に戻るぞ!!!」
「ぎょ・・御意!!!」
血相を変えて撤退した一刀を見て首を傾げる
蓮華「母様!!」
紅蓮「おぉ!蓮華!ちょうどよかった状況を説明してくれ。あと馬に乗っけてくれない?馬逃げちゃった」
蓮華「その歩き方・・・怪我をなさったんですか!!?」
紅蓮「まぁ掠り傷だよ、どっこいしょっと。いいぞ」
蓮華「掠り傷って歩くのも億劫じゃないですか!」
紅蓮「いいから走らせろよ、それと状況説明しろって」
蓮華「はっはい!」
紅蓮「なるほどな、道理で一刀が血相変えて後退した訳だ」
蓮華「なっ!一刀と一騎打ちを!?」
紅蓮「おう、一進一退の攻防で楽しかったぞぉ!」
蓮華「何を考えているのですか!!貴方は呉の誇りであり呉そのもので・・ウンタラカンタラ」
紅蓮「だぁーーー!至近距離で説教はやめろぉ!」
一刀「月・・!詠・・!クソッ!」
一刀がここまで急ぐ理由。
それは洛陽から火の手があがっているからである。
決戦が始まる前からしていた嫌な予感。
派閥のリーダーを殺せば報復が帰ってくるのは目に見えている
だから派閥を潰す時は徹底して殲滅せねばいけない。
一人でも残せば相手は何でもして来るだろう。
たとえ戦時中であっても、いや戦時中だからこそ行動を起こすのだ。
甘い汁を啜りブクブクと肥えてしまった者は、その汁の味を忘れられずとんでもない暴挙に打って出る。
民が居る城下に火を放つのも、宮殿に私兵を用いて攻撃するのも。厭わない。
一刀「クッ!間に合ってくれ!!!」
「一刀様!我らの事は構わず行って下さい!」
一刀「えっ?」
「董卓様、賈駆様をどうかお守りください!」
一刀「ありがとう!」
このタイミングを見計らったように天登がグンッと速度を上げる。
一刀「こんな時に当たらなくてもいいじゃないか!最悪だ!最悪だ!」
自分の勘の良さに悪態を吐きつつ戦場を見やる。
一刀「みんな気づいてるか・・・」
連合の喉元に食い込んでいた董卓軍が退却を始めていた。
連合軍はこれが好機と見て逆撃をかけていた。
一刀「こっちの方が被害が酷いな・・・これはもう・・・いや・・まだ諦めない」
首を振って弱気を飲み込む。
洛陽の城壁が見えてきた所で天登を飛び降りる、その勢いのまま全速力で走る。
うっすらと開いた城門に体を滑り込ませすぐさま指示をだす。
一刀「城門を開け放て!一兵でも多く収容するように!兵を半分に分け、もう半分は城下の消火を優先せよ!」
指示を出し終えた所で、目に飛び込んでくる、城壁の上、月と詠が所属不明の兵士に追われている。
向かった方向から察するに宮殿に逃げようとしているらしい。
一刀「野郎っ!」
恋「一刀」
一刀「恋!行けるか?」
恋「・・・(コクリ)」
一刀「よし、行くぞ」
その場から消える様に駆ける獣二匹、城壁の階段をほぼ跳ぶ様に走る。
速度を落とさず、角を曲がり最後尾の兵見えた瞬間
一刀「恋!突っ込め!」
恋「(コクリ)」
スローイングナイフを投げる。
突然の後ろからの奇襲に後続の兵たちに動揺が走る。
続いて恋の攻撃が決まり、数人の兵が空を舞う。
恋「一刀、行く。道は恋が作る」
一刀「分かった、頼む恋」
恋「ん・・・ふっ!!」
爆音を響かせ、恋が走る。その後を縫う様に駆ける一刀
恋「一刀・・行く・・・」
一刀「ありがとう!恋!!」
足止めの為、その場に留まる恋に感謝をしつつ宮殿へ急ぐ。
詠「はぁ・・はぁ・・月急いで!」
月「うん・・はぁ・・・」
詠「もう少しだから・・・っ!」
「どこに行かれるのですか?賈駆殿」
長い廊下の影から現れる細身の男。
細身というより貧相と言った方がいいか、下卑た笑いを浮かべている顔は鼠を彷彿させる。
詠「あんた・・・状況わかってるの!?」
「ひひひ・・・こんな状況だからですよ賈駆殿」
詠「十常侍はもう居ないのよ、あんたみたいな小物がこんな事して」
「小物ですか・・・それは自分でも知っていましたがあらためて言われると傷つきますねぇ」
口角がニィィと上がり、生理的な嫌悪が詠を襲う
月「詠ちゃん・・・」
詠「大丈夫、月は僕が守るから」
「内緒話ですか?あまり関心しませんよ人の前でするのは」
詠「黙りなさい!あんたの目的は何なの!?」
「私は小物ですから大層な事は望みませんよ・・・ただ私も人の上に立ちたいと思うわけですよ」
詠「何を・・・」
「戦争をしているからいいんじゃないですか。こんな状況だから貴方達の首に色々上乗せされるのですよ。
聡明な詠殿ならお分かりになるでしょう?」
ダランと下がった袖から除く鈍色の刀身。
詠「っ・・・そう言う事ね」
「えぇそう言う事ですよ、抵抗は無駄ですよ?」
パチンと指を鳴らせば、ぞろぞろと私兵が集まる。
「一応使えた主君ですからなぁ、苦しませたくないんですよ」
詠「ふざけた事を言うのね、逆賊が」
「ひひひ・・・最後に立っていた者が勝者なんですよ。捕らえろ」
詠「っ!」
月「待ってください!」
「ひょほ?」
一歩進み出る、白い少女。
月「詠ちゃん・・・賈駆は見逃してください。私の首一つでも貴方の望む地位は手に入るでしょう」
詠「月!!」
「ふ〜む・・・それもそうですなぁ。よろしいでしょう董卓様、貴方が抵抗しなければそして私の言うとおりにして下されば賈駆殿は見逃しましょう」
月「その言に嘘偽りは無いですか」
「もちろんでございます」
詠「月駄目よ!そんな奴が約束を守る訳が」
月「大丈夫だよ詠ちゃん」
詠の元に駆け寄り、抱きしめ耳元にそっと呟く。
月「きっと一刀さんが来てくれるよ」
詠「それじゃ月は・・・」
月「うん、少しぐらいなら時間稼げるから」
詠「そんな月・・・」
月「今度は私が詠ちゃんを守る番だよ」
詠「月ぇ!!」
離れていく温もりを留めようと手を伸ばすがふわりと手からすり抜ける
「お話は終わりましたか?」
月「お待たせしてすいません、まずはこの私兵を下げていただけますか」
「ひひひ!いいでしょう」
またもやパチンと指をならす
「これでいかがですか?」
月「はい」
「ひぃひひひ!では行きましょうか董卓殿?」
ぽんと馴れ馴れしく肩に手を置く
詠「・・・!、お前ぇ!」
月「詠ちゃん!」
詠「ぐっ!」
「ひぃひぃひぃ!・・・おや?」
一刀「・・・・・・」
「これはこれは傭兵団の体長殿」
詠「一刀・・・一刀!!そいつから月を!!」
「ひひ!動かないで頂きたい、これが見えるのならねぇ」
一刀「・・・・・・」
月「一刀さん・・・」
月の喉元に突き立てられる剣、首から一筋の血が流れる。
一刀「!・・・・・・」
「貴方はここで死んでもらいましょうかねぇ、色々邪魔になりそうですから。や・・・」
一刀「『蜂鳥』」
風切り音が響いたと思った瞬間。
周囲からドサッと人の倒れる音がする。
見れば額に寸分違わぬ制度でスローイングナイフが突き刺さっている
「なっ!あれだけの兵を一瞬で!?」
一刀「おい、その剣どうすんだ?」
「ひぃ!」
一刀「刺すのか?切るのか?どっちなんだ?」
「え?あっえっ?」
一刀「自分の身を守るために構えるか、刺すために構えるか、どうする?じゃないと・・・」
「ちっ・・・近づくなぁぁぁぁっぁ!!!」
カチンと収納音が聞こえ、男の傍に月の姿は無く一刀の腕の中に居た
一刀「どう殺していいか分からないだろ」
「きさまっ!いったいどうやって!!」
ボトリ
「えっ?あれ?私の手がっ!あれ?どう言う事だ!?痛い!!痛い痛いぃぃぃぃぃ!」
両手が手首からスッパリ落とされ、血を撒き散らしながら呻く男。
一刀「月遅れてごめんね?詠もよくがんばった」
月「一刀さん・・・」
怖かったのだろう、一刀の服をギュッと掴み震える月
詠「あいつにとどめ刺さないの?」
一刀「もう死んでるさ」
詠「?」
外套をバサァと広げ詠の視界を遮る
「私の手がぁぁぁぁぁ!あぎぃぃぃぃぃ!あっ」
一刀「『薊』」
パシャン
一刀「見ないほうがいい」
詠「きゃ!」
自分の胸に詠を引き寄せる。
呻いていた男は細切れになって死んでいた、周りは肉塊と血の海。とても女性に見せるものじゃない。
一刀「行こう」
詠「えっ!あの下ろしてもいいんじゃないの?」
一刀「ははっどうせならもう少し感触を楽しませてよ」
詠「なっ!馬鹿じゃないの!!月もなんか言ってやってよ!」
一刀「月はこのままでもいいよね?」
月「えっ・・・はい・・・」
顔を真っ赤にしながらコクンと頷く \カワイイ!/
詠「ちょ!下ろせー!!」
雷轟「一刀様」
一刀「戦況は?」
雷轟「全部隊退却を終え入城しました、現在は城の守備についています」
一刀「追撃は?」
雷轟「今の所ありません」
一刀「分かった、全員召集してくれ、それと」
雷轟「はっ」
一刀「あれ片付けてくれ」
雷轟「御意」
詠「やっぱり撤退したのね」
一刀「皆、月と詠が心配だったんだよ」
詠「ごめ・・」
一刀「謝るのは無しだよ、勝利はできないかもしれないけど諦めたらそこで終わりだ」
詠「そう・・・そうね・・・」
一刀「行こう、皆待ってる」
霞「月は?」
詠「無理してたみたいでね、美冬に診てもらってる」
霞「さよか、ほんでこれからどうするか決めようやないの」
楓「もう一度決戦だ!それしかねぇ!」
葵「私も楓に賛成だ、夜更けと同時に奇襲をかけよう」
恋「恋はどっちでもいい」
音々音「音々も恋殿と同じですぞー!」
葵「霞は?」
霞「んー・・・ウチも賛成したいけどなぁ・・・」
葵「けどなんだ?」
霞「随分静か奴らがおるなぁーって」
水面「うぅ・・・」
一刀「・・・・・・」
詠「・・・」
葵「意見があるなら言ってくれ」
詠「確信をもてないからやめておくわ、一刀は?」
一刀「水面と同じだよ」
水面「うに・・・」
霞「水面そないびびらんとおしえてーな、ほれ頭巾ちゃんとせぇ」
水面「・・・私はご主人様から天界の知識を教えてもらいました」
直した頭巾を深めに被り直す、考る時の癖なのだろう。
視線を下に落としたまま話を続ける。
水面「ご主人様、私や雛里ちゃん朱里ちゃん以外に詳しく天界の知識を教えた人は居ますか?」
一刀「居るよ、一人ね」
水面「!そうですか・・・」
霞「なんやねん!さっきからもったいぶった言い回ししてからに」
水面「私たちの勝率が下がったかもしれないです・・・」
葵「どういうことだ?」
一刀「天界にはコンビニってのがあってね」
一刀の口から飛び出した単語に水面以外の面子が首を傾げる
一刀「正式な名前はコンビニエンスストア。まる一日開いてるの万屋の事、年中無休で食べ物から飲み物、日曜用品、一部医薬品まで何でもござれ」
霞「あー・・・その、こんびにちゅうのが便利なのは分かった、せやけどそれがウチらの勝率に関係・・・」
詠「一日中ね・・・」
葵「詠?」
詠「一刀が連合の連中に仕かけた策覚えてる?」
霞「やったら相手に妨害しかけた奴やろ?」
詠「そう、一刀以外に聞くわ、一刀抜きであの策を思いついた人は居る?」
「「「・・・・・・」」」
詠「居ないでしょうね、似た様な策はあってもあそこまで執拗に攻めるのは初めて見た、一刀コンビニってのは一人で管理するのもなの?」
水面「数人です。それぞれ仕事をする時間を決めて交代しながら管理運営していく店、そう聞きました」
詠「水面・・・そう・・・」
霞「うわっ・・・分かってもうた・・・」
葵「嫌な・・・予感がするな」
詠「話によれば、相手側に少なくとも三人いるのよね?こんびにの事を知っているの」
一刀「あぁ。・・・今夜は寝れないな」
これ書いてる時が一番辛かった・・・
突然書けたり書けなくなったり
本当に大変だった・・・・
後編急いで仕上げます!
説明 | ||
15作目です。 生暖かい目でごらんください。 |
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コメント | ||
トマトさん無事ですか?(黄昏☆ハリマエ) 24時間営業(戦闘)がうちの売りです。by一刀(皆が死んだ魚の目です)(黄昏☆ハリマエ) どんなところにも屑はいるもんですね 次作待ってます(悠なるかな) |
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