黙々・恋姫無双 最初で最後で、そして存在しない黙
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さて、

冗談はここまでじゃ。

お主らは覚えておるかね?

左慈……さっちゃんがまた再び北郷一刀を連れてこの『外史』に来たことを。

うん?もうさっちゃんが誰だったのか忘れておるものもおるの。

まあ、よい。どうせ長くも短くも皆そうなるじゃからよ。

 

 

 

『管理者』は『外史』を守るとか言うとるが、所詮は部外者じゃ。

故に、『外史』でしてならんことがおる。やれば『外史』は『管理者』敵と見てその管理者の存在こと完全に排除させてしまう。

それは我々が自主的に行う『排除』とは段違いじゃ。危険性を最小限にするために、その存在、記憶、生まれていたことすらも残って全ての存在の中から消しとる。

人間の記憶。その存在について書かれている記録。もちろんその存在が書いた記録も。

 

「さっちゃん」と言った存在は世界から「なかったこと」にされてしまうのじゃよ。

 

この物語がもし他のルーツを通っていればどんな風に終わっておったかの。

儂にはわからん。

 

………

 

紹介が遅れたの。

儂の名は……お前らが知っとる名前に言うと……南華老仙じゃったかの?

儂の呼び方なだ南華老仙でもみなみちゃんでも爺でも何でも構わん。

呼び方など所詮、その存在を区切る付けるためのものなまで。なら儂にはそんなものは必要ない。

 

さて、だ。

 

左慈は死んだ。

 

左慈はそれが贖罪と言ったの。

それは、……ただあ奴がそこで命を賭けるという意味だけではなかったんじゃ。

 

 

 

 

うん?わからんか?

この外史で左慈の存在がないということがどういうことなのかをの。

 

 

 

 

……まあ、何にせあの子にあの世は厳しかった。

どんな意志を持ってしても、その小さな身体でなんとかなる世界ではない。

 

ならば、せめて最初からやり直せるように、とな……

きっと左慈、さっちゃんもそう思っていたのじゃろう。

じゃから………

 

 

 

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崩壊……削除……

 

 

再構築

 

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ピピピピッ

 

ピピピピッ

 

……うん……

……うるさい。

まだ起きたくない

 

ピピピッ

 

止まった……また寝られる……

 

「……ぅぅうーーーん…」

 

誰?

 

まあいいや。

もっと寝よう……

 

「………」

 

つんつん

 

ぅん……何?

 

つんつん

 

やめて……

 

「ねぇ、……起きて」

 

もうちょっとだけ……

 

「早く起きないと………」

 

うん……?

 

 

 

がちゃっ

 

「紗江、起きなさい!早くしないと学校遅れ……って、一刀、あなたまたここで寝てるの?」

「おはようございます、お母様」

「あ、紗江、起きてたの」

「ええ……一刀ちゃんはもうちょっとここで寝かせてあげてください」

「もうこの子ったらいつもあなたと一緒に寝ようとするんだから。せっかく十歳になった誕生日プレゼントとしてお父さんの書斎を一刀の部屋に作ってあげたのに」

「いいじゃないですか。僕がこれでいいですよ?僕も、一刀ちゃんがいないと寝心地が悪いし」

「はぁ……あなたはあなたで後が大変だわ」

「何?結婚なら一刀ちゃんとすればいいじゃない」

「またあなたはそんなこと言って……」

 

「ぅぅ……ん」

 

うるさくてもう寝られない

 

「あら、一刀ちゃん、起きちゃったの?」

「………」

 

目の前にいる人は、長い銀色の髪をした、ボクより少し大きい女の人。

そしてその側には、エイプロンをしている人………

 

ボクとお姉ちゃんとお母さん。

 

「もっと寝てもいいよ?」

「何言ってるの、あなたは。ほら、早く起きなさい」

「もう、お母様ったら、もうちょっと寝かせてあげてくださいよ」

「どうせこの子もすぐ学校行かなきゃならないじゃない。ほら、一刀」

「………」

 

目をこしこしとしながら目に見えるのをたしかに見ようとする。

部屋は、とても女の人の部屋そうなところ。

写真とか、ぬいぐるみとかがたくさんあって……そっか、ここってお姉ちゃんの部屋なんだ。

ボクまたお姉ちゃんの部屋に来て寝ちゃったんだ。

せっかく自分の部屋ができたのに……

でも、お姉ちゃんと一緒に寝る方がよく眠れるから。

 

「朝から何騒いでるんだい、ふたりとも」

「あら、あなた、まだ行かなかったの?早く行かないと……」

「お父様は覗いちゃダメ!」

 

ドスン

 

「うおっっ!」

 

お姉ちゃんが部屋を覗こうとするお父さんに熊のぬいぐるみを投げ当てた。相変わらずの見事なスキルだよ。

 

「とにかく、二人とも早く起きなさい」

「もう仕方ありませんね。もうちょっと一刀ちゃんの寝顔を堪能したかったのに……一刀ちゃん、もう起きましょうね」

「……(コクッ)」

 

もうすっかり目も覚めちゃったし、起きよう。

 

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お父さんは会社に出て、食卓でお姉ちゃんと隣に座って朝御飯を食べるよ。

 

「ケチャップ要る?」

「……(コクッ)」

「はいっ」

 

トーストにつけるケチャップをもらってパンの上に何気にスマイルの顔文字みたいに作ってみた。

 

「あ、それいいね。お姉ちゃんのもやって」

「(コクッ)」

「ほら、ふたりとも食べ物で遊んでないで早く食べて学校いきなさい」

 

ケチャップでお姉ちゃんのトーストの上にもスマイルを描いていたらお母さんの説教が始まった。

 

「お母様のおかげで余るぐらい早く起きちゃったからいいんです!ね、一刀ちゃん?」

「……」

 

学院に行くまではまだ時間たくさん残ってる。

お姉ちゃんが通う中学部は、……それほど時間残ってないと思うけど。

 

「ぐだぐだしてまた遅刻しても知らないわよ」

「もう仕方ないですわね……じゃあ、一刀ちゃんがスマイルのトースト加えて出かけましょうか」

「ちゃんと食べてから行きなさい」

「いいんです。曲がり角えパン加えてぶつかるのはていば……あ、でも、一刀ちゃん以外の男の人と結ばれるのはいやだけど……」

「さーえー……?」

 

お姉ちゃんのいつもの戯れ言葉にそろそろお母さんが限界。

 

「仕方ありませんね。じゃあ……一刀ちゃん、お姉ちゃん先に行きます。後で学院の昼時間にまた会いましょう?」

「………」

「じゃあ、行ってきます!」

 

あ。

 

ぐいっ

 

「うん?どうしたの?」

 

ボクにスカートを掴まれて振り向くお姉ちゃんに、

何だか、どうしても言いたいことがあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「行ってらっしゃい、さっちゃん」

 

 

「はい、行ってきます、一刀ちゃん」

 

 

 

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黙々・恋姫無双

 

これで、本当におしまいにしようかと思います。

この外史を初めてちゃんとしちゃおうと思ったとき、自分で心配したことがあります。

ひとつは、自分があまり「魏」の外史を最後まで書く自身がなかったということ。

自分のプロフィールを見た方はおわかりだと思いますが、自分は「魏」よりは「蜀」を好きな方でして……「魏」の話は実は結構苦手だったんですよ。

特に董卓連合での話は、何回を脳内でやり直しても落ち着きのある話のまとまり方がなくて、拠点多くつくりながらここまで伸ばしてきたわけですが……

結局、春蘭の件を自分できめられずに、みなさんに投げてしまうはめになったわけです。

 

ここで自分が大勘違いしたのが、

自分はきっとみなさんが、1番を選んでくださると思っていたんですよ。それがなんとこんなことになってしまっていて、

ここまで来たらもうさっちゃん殺すしか他の方法がないっしょ、という話になったのですが、

正直さっちゃんをここで死んでしまうと、一刀ちゃんの心の声を聞いてくれる人がいなくなるわけで、

そうなったら「魏」ルートで一刀ちゃんを救える話を作る自身が、ボクにはありませんでした。

 

そこで最後に思いついたのが、結局この落ちだというわけです。

この後の一刀ちゃんと魏の人たち(特に華琳さんや、やたらと人気があった秋蘭さん)とのやりとりを期待しておられた方々には申し訳ありません。

これが、外国のファンの限界、というものみたいです。

 

と、もう時間がありませんね。

この外史はもうすぐこの世から取り消されてしまいます。

自分の頭の中からも、

そしてみなさんの中からも、

 

この外史は記録にも、記憶にも存在しません。

 

 

 

というか「そんなものはなかった」

 

 

 

 

「さっちゃん」という存在は最初からなかった。

 

 

 

ここまでみてくださったみなさんありがとうございます。

 

 

そして、

 

 

 

 

「楽しかったですわ。あなたは覚えてくれないでしょうけれど」

 

 

 

 

説明
今までありがとうござい……今までって、何かありましたっけ?
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コメント
さっちゃんが戻ってきて物語が蘇りました。めでたし、めでたし(TAPEt)
これもまた終わりのひとつなんですね。新たのに期待します。(ZERO&ファルサ)
最後に出てきたのは・・・カン・・・?(中原)
むぅ・・・読み返したかったがそれはもうできないのか・・・保存しとけばよかった(きの)
本当に消すの…私はいつまでも覚えていたい。長編お疲れ様でした。(山県阿波守景勝)
かなしいけど、これも一つの「外史」の結末・・・あらたな「外史」なんでしょう・・・ 名前も知らない誰か、この悲しみの理由はわからないけど、幸せになってくださいな・・・(よーぜふ)
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