真・恋姫無双アナザーストーリー 雪蓮√ 今傍に行きます アフターストーリー第4話
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真・恋姫無双アナザーストーリー 

雪蓮√ 今傍に行きます アフターストーリー第4話

 

 

 

 

【小指の約束】

 

「わ〜!みんな生き生きしてるね!」

 

建業の城下町を歩きながら私は歓声の声を上げた。

 

「はい。これも一刀様のおかげです!」

 

私の護衛役として付いて来てくれた明命ちゃんが笑顔で答えてくれた。

 

明命ちゃんとは雪蓮さんのお見舞いに来た時に真名を交換して仲良くなった。

 

「一刀さんが?」

 

「はい!一刀様はホント凄いんですよ!」

 

明命ちゃんは一刀さんの凄いところを自分のことの様に嬉しそうに話してくれました。

 

「いいな〜、明命ちゃんは」

 

「はい?なにがでしょうか?」

 

「だって楽しそうだもん。一刀さんの話をしてる明命ちゃん」

 

「はうあ!そ、そんな事は!」

 

うらやましい。正直、そう思った。私も一刀さんの事をもっと知りたいし、傍にずっと居たい。けどそれは叶わないんだよね……

 

「ねえ、明命ちゃん。一刀さんのどんなところが好きになったの?」

 

「か、一刀様の好きな所、ですか?」

 

「うん」

 

「全部です、って言ったらおかしいですよね……そうですね。やっぱり、笑顔だと思います」

 

「そっか」

 

「はい!一刀様の笑顔は周りも笑顔にしてくれます。それに一刀様が笑っていられればどんな時でも頑張れると思うんです!」

 

「明命ちゃんは幸せ者だね」

 

「はい!」

 

笑顔で答える明命ちゃんの顔はとても眩しくて綺麗だなって思った。

 

「ねえ、明命ちゃん。もしもだよ?一刀さんが他の国に行っちゃったらどうする?」

 

「そんな事はありえません!」

 

「わわわっ!も、もしもだよ。もしも」

 

「もしもでも、そんな事はありえません!その前に阻止します!」

 

「そ、そうだよね。ごめんね」

 

「い、いえ。私も強く言い過ぎました。申し訳ありませんでした」

 

「い、いいんだよ。そんなこと、私もちょっと意地悪な質問しちゃったなって思ったんだし」

 

明命ちゃんは深く頭を下げてきたから慌てて顔を上げるように伝えた。

 

「あれ?あの行列ってなんだろ?」

 

「え?ああ、あれですか。行って見ますか?」

 

「うん!」

 

その行列に近づいていくと甘く美味しそうな匂いが漂って来た。

 

「ふわ〜♪凄く美味しそうな匂い!これって何?」

 

「これは天の国のお菓子で、名前は『すいぃとぽてと』と言うそうです」

 

「へぇ〜、美味しそうだな〜、食べたいな〜、美味しそうだな〜……」

 

「た、食べてみますか?」

 

明命ちゃんは苦笑いを浮かべて露店に見入っている私に話しかけてきた。

 

「うんうん!食べる食べる!」

 

私のこの一言で行列に並ぶ事になった。んだけど……

 

「ごめんね。今日はこれで品切れなんだよ」

 

「そ、そんな〜〜〜」

 

私の目の前の人で丁度品切れになっちゃって買うことが出来なかった。

 

「うぅ〜残念……」

 

私はがっくりとうな垂れると明命ちゃんが励ましてきてくれた。

 

「あのあの!元気を出してください!また明日来ればいいと思うのです!」

 

「ありがとうね、明命ちゃん。明命ちゃんはいい子だね〜〜」

 

「わぷっ!と、桃香様、く、くるしいです!」

 

「わああ、ご、ごめんね」

 

「い、いえ……」

 

「ん?どうかした?明命ちゃん」

 

「はうあ!な、なんでもないのです!別に胸なんか見てないのです!」

 

「?そう?」

 

「はい!」

 

元気良く返事をした明命ちゃんだったけど。やっぱり睨まれてる様な気がするのは気のせいかな?

 

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「と、桃香!そんなに急がなくても!」

 

「だってだって!売り切れちゃうかもしれないんだよ!」

 

今日は昨日買えなかったお店に行く為に走っている。

 

「ほら〜、一刀さんも早く!」

 

私の後ろで一刀さんが苦笑いを御浮かべて着いてきてくれていました。

 

なぜ、今日は一刀さんと一緒かと言うと、今日も明命ちゃんに護衛を頼もうと思ってたんだけど、昨日お願いしに行ったら。

 

『申し訳ありません。明日は、城の警備がありますので』

 

と、言われて断られてしまった。

 

まあ、お仕事があるから仕方ないんだけど、一人で出歩くなって愛紗ちゃんや雪蓮さんに言われてるから誰かと一緒じゃないといけないんだけど、皆忙しくて誰も私に着いて来てくれる人が居なかった。

 

愛紗ちゃんについて来て貰おうと思ったんだけど、

 

『申し訳ありません。少々、紫苑に聴きたいことがあるのでご一緒に街に行く事は出来ません』

 

って、言われちゃったし。

 

困って途方に暮れているところに一刀さんが現れて、事情を説明したら、

 

『だったら俺が着いて行ってあげるよ。明日も仕事は有るけど、今日中に全部終わらせたら大丈夫だろうしさ』

 

なんて、無謀な事を言ってたけど、その時は一刀さんが着いて来てくれる事が嬉しくてそこまで考えがいたっていなかった。

 

それで、実際に一刀さんは昨日の内に今日の分を終わらせて私に着いて来てくれてるんだよ。

 

「桃香!そんなに走ると転ぶぞ!」

 

「大丈夫大丈夫!転ばないよ〜♪っ!あわわ!」

 

転ぶっ!と思った時、誰かに支えられて地面にぶつかる事はなかった。んだけど……

 

「っと!ほら、言わんこっちゃ無い」

 

「〜〜〜っ」

 

「桃香?」

 

「あ、あの、一刀さん……手が……」

 

「手?」

 

――むにっ

 

「あんっ!!」

 

一刀さんに思いっきり胸を揉まれ思わず声がでた。

 

「うわぁ!ご、ごめん!ワザとじゃないんだ!」

 

「あはは、分かってるよ。助けてくれたんだよね。ありがとう一刀さん」

 

表面上は落ち着いた雰囲気で居る私だったけど、内心、心臓はドックンドックンと早くなりぱなしだった。

 

あぅ〜。か、一刀さんに胸もまれちゃったよ〜。あんっ!だなんて声だし恥ずかしい〜〜〜〜っ!

 

顔が熱くなってまともに一刀さんの顔が見れないで居ると、

 

「とにかく、また転ぶといけないから、さ」

 

そう言って一刀さんは恥ずかしそうにしながらも手を差し伸べて微笑んでくれました。

 

「う、うん……」

 

一刀さんの手を取ると不思議と心が落ち着いてきました。

 

「えへへ♪」

 

「ん?どうかしたか?」

 

「なんでもないよ♪ほら、早く行こう一刀さん!」

 

「また転ぶぞ」

 

「その時は一刀さんが助けてくれるから平気だよ!ね?」

 

「困った君主様だな」

 

「えへへ♪」

 

一刀さんは困った顔をしながらも否定はしなかった。

 

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「ごめんね、ついさっき売り切れちゃったんだよ」

 

「が〜〜〜〜んっ!……がっくし」

 

そして、今日も買えなかった……う〜!なんで買えないの?!

 

「桃香、もしかしてここのお菓子食べたかったのか?」

 

「うん。天の世界のお菓子って言ってたから食べてみたくて」

 

「いや、桃香も食べた事あるだろ?」

 

「そ、そうだけど、天の世界の出来事ってあんまり覚えてないんだよね。一刀さんとの事は覚えてるのに」

 

確かに管輅さんには天の世界での記憶を思い出させてもらったんだけど、殆どが一刀さんとの思い出だけだったんだよね。なんでだろ?

 

「そっか……ちょっとここで待ってて」

 

「うん。いいですけど」

 

そう言うと一刀さんは微笑んでお店の中に入っていきました。

 

暫くすると一刀さんがお店から出てきました。

 

「何を話してたんですか?」

 

「ん?秘密だよ。それじゃ行こうか」

 

「行くって何処にですか?」

 

「買い物」

 

「買い物?」

 

一刀さんはそれだけを言うと私の手を取って市場に向いました。

 

「あの一刀さん。何を買うんですか?」

 

「それはまだ秘密だよ」

 

「えー。教えてくれないんですか?一刀さんの意地悪」

 

「それじゃ、その一、桃香の好きな物」

 

「好きなもの?私が好きなのは一刀さんだよ?」

 

「ち、違うよ。『者』じゃなくて『物』だよ」

 

「〜〜〜っ!」

 

恥ずかしくなり顔が一気に熱くなってくるのがわかった。

 

「ま、まあ、嬉しいよありがとう桃香」

 

「う、うん……」

 

「……」

 

「……」

 

私も一刀さんもその後は一言も喋らずただ黙々と歩いていた。

 

うぅ〜、な、何か話さなきゃ。でも、何を話せばいいんだろ……

 

その場の空気に耐えられなくなった私は何か話を振ろうとしたけどまったく話題が出てこなかった。

 

「……成都はさ」

 

「ふえ?」

 

突然、一刀さんが話しかけてきて思わず変な声が出てきてしまった。あぅ、だから皆に少し抜けてるって言われちゃうんだよね。

 

「成都は、どんなところなんだ?」

 

「え、あ、うん!凄くいいところだよ!」

 

私は一刀さんが成都について聞いてきたからどんなところか、どんな人たちが居るのかを話して聞かせました。

 

「そっか、いいところだね」

 

「うん!すっごくいいところだよ!一刀さんも遊びに来てよ!」

 

「ああ、必ず行かせて貰うよ」

 

「うん!約束だからね♪」

 

「ああ、指きりだ」

 

「指きり?」

 

一刀さんは小指を差し出してきたから分からず握ってみた。

 

「ははは、違うよ。こうやるんだ」

 

一刀さんは私の手を取り一刀さんと同じ手の形にして小指と小指を絡めてきた。

 

「指きりげんまん嘘ついたら針千本飲〜ますっとね」

 

一刀さんは小指を離すとニッコリと笑った。

 

「……」

 

私はというと自分の小指をじっと見つめてから胸元で大事な物の様にもう片方の手で包んだ。

 

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「さてと、材料も揃った事だし早速始めようか」

 

買い物を済ませた私達はさっきのお店の厨房にお邪魔していた。

 

「あの、これから何を作るんですか?」

 

「ん?桃香が食べたがってたものだよ」

 

「?……あっ!もしかして、すいぃとぽてとですか?!」

 

「ああ、でもただ作ってもらうだけじゃなんだから俺らで作ろうってわけ」

 

「一刀さん作れるんですか!」

 

「元々これを教えたのは俺だからね」

 

「で、でも。私、料理は苦手で……」

 

「大丈夫だよ。誰でも最初は苦手なんだから、それにスイートポテトはそんなに難しくないんだ」

 

「わ、私でも作れるようになるんですか?」

 

「ああ、絶対になるよ」

 

「わかりました。教えてください、一刀さん!」

 

「よし!まずはこれだ」

 

そう言って一刀さんはさっき市場で買った赤紫っぽくて長細い物を手に取った。

 

「それはなんなんですか?」

 

「これはサツマイモって言うんだよ。焼いたり。蒸したりするととても甘くなるんだ」

 

「へ〜、こんな根っこみたいなのが美味しいんですか?」

 

「実際に根っこだけどね。この時代にあるのはビックリしたけど、確かもっと後のはずなんだけどな」

 

「ふえ?」

 

「ああ、なんでもないよ。独り言」

 

「?それで、これをどうするんですか?」

 

「まず、これを蒸す」

 

「蒸す?」

 

「ああ、本当は塩水に一日程度浸しておいた方がもっと甘くなるんだけど、そんな暇無いからね。そのまま蒸かすよ」

 

「どれくらい蒸かすんですか?」

 

「そうだな〜。大体、竹串がすっと通るまでだから四半刻くらいかな」

 

そう言うと一刀さんはお店の人に前もって頼んでおいたのか湯気が出ている蒸篭にさつまいもを入れて蓋をした。

 

「あとは、待つ」

 

「え、それだけでいいんですか?」

 

「ああ、蒸しあがったらまた作業開始だよ」

 

一刀さんは椅子に座りお茶を飲み始めたから私も椅子に座ってお茶を飲んだ。

 

「はぁ〜、美味しいですね」

 

「仕事の後のお茶は上手いだろ?」

 

「あはは、まだ蒸しただけじゃないですか」

 

「それもそうだな」

 

「あはは」

 

「はは」

 

お互い取りとめもない話をして時間を潰した。

 

……

 

…………

 

………………

 

「さて、そろそろいいかな?」

 

一刀さんは立ち上がると蒸篭の蓋を開けて串を手に持ちお芋に串を刺した。

 

「うん、大丈夫だ。それじゃ桃香、始めるよ。熱いから気をつけてね」

 

「は〜い!まずどうするんですか?」

 

「まずは皮を剥かなきゃいけないんだけど熱いから気をつけてね」

 

お互い熱いお芋と格闘しながら皮を剥いていく。

 

「あちちっ!」

 

「あはは、一刀さん自分で言っておいて、何してるんですか〜」

 

「面目ない」

 

「もう〜、……あつっ!」

 

「だ、大丈夫か桃香!」

 

「は、はい大丈夫です」

 

「とりあえず冷やそう」

 

「そんな大袈裟ですよ」

 

「いいから、ほら水の中に浸けて」

 

「は、はい」

 

一刀さんは強引に私の手を取ると、桶に溜まっている水の中に浸けさせた。

 

「大丈夫か?」

 

「はい、平気です。ありがとうございます。」

 

「いや、桃香の綺麗な手に痕が残ったら大変だからね」

 

「〜〜っ」

 

あぅ、その笑顔は反則だと思います。一刀さん……

 

「よし、それじゃ再開しようか、剥き終わったら次に潰すからね」

 

「ええ?!潰しちゃうんですか?!」

 

「ああ。ある程度潰したら、蜂蜜、卵黄、牛乳を入れて今度は混ぜ合わせる。これで、スイートポテトの素の完成。あとはそれを焼くんだ」

 

「ホントに簡単なんですね」

 

「まあね。これなら桃香でも簡単だろ?」

 

「はい!私の得意料理にしちゃおうかな〜♪」

 

上機嫌でお芋を潰して蜂蜜、卵黄を混ぜていく、一刀さんが言うには牛乳は好みで入れるらしいある程度粘りけが出てきたらそれでいいんだそうだ。

 

「できたー!これでいいんですよね一刀さん!」

 

「ああ、良く出来たじゃないか。偉いぞ」

 

「えへへ♪」

 

一刀さんに撫でられて私はとても嬉しくなった。

 

「あとはこれを食べ易い大きさと形に整える。最後に卵黄を上に塗って完成だ」

 

「っと……うん!出来たよ一刀さん!」

 

「よし、ならこの鉄板の上に乗せてあとは熱で焼くんだ」

 

「熱で焼く?どうやるんですか?」

 

「これはちょっと特殊な炉を使わないといけないんだけど簡単に作れるよ」

 

一刀さんは簡単に説明してくれたけど良く分からなかったからあとで紫苑さんに聞いてもらおっと。

 

「それじゃ、火に注意しながら15分、あ〜、八半刻っていうのか?また待つ」

 

「うわ〜!楽しみだな〜♪早く出来ないかな〜♪」

 

「うれしそうだね」

 

「もちろんだよ!だって初めてお料理したんだよ!それに、一刀さんと作ったんだから」

 

「ははは、それは光栄だな」

 

出来上がるまで待ち遠しくて何度も開けようとして一刀さんに注意されちゃいました。

 

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「ねえねえ!一刀さんまだから?まだかな?」

 

「そうだな、そろそろいいかもな」

 

「ホント?!早く開けてみようよ!」

 

「そんなに急がなくても大丈夫だよ」

 

「だって、早く見てみたいんだもん!」

 

「わかったわかった。はいこれ、熱いからこれを手に着けてね」

 

「なんですかこれは?」

 

「これは熱くなった物を掴める様になる手袋だよ」

 

「へ〜。便利だねこれ!」

 

「よし。開けるぞ」

 

「わくわくっ♪」

 

一刀さんが開けると、昨日漂ってきた匂いと同じ匂いが部屋中を満たした。

 

「うわ〜!いい匂い!美味しそうだね!」

 

「はい、桃香。これがスイートポテトだよ」

 

「すごい。宝石みたいに表面がキラキラしてる!」

 

すいぃとぽてとは表面がツヤツヤになってて、本当に宝石みたいだった。

 

「出来立てだから火傷しないようにね」

 

「うん、頂きます!ぱくっ……」

 

「どうだ?」

 

「ふわ〜〜〜〜!甘くてすっごく美味しいよ!すごいすごい!」

 

「そっか。それじゃ俺も……」

 

一刀さんは私の答えに満足したのか一刀さんもすいぃとぽてとに手を伸ばした。

 

「っ!か、一刀さん、それって!」

 

「ん?どうかしたか?」

 

一刀さんが手に取ったのは私が作ったものだった。って、そう言えば私が食べた方は一刀さんの方だ!うわうわ!ど、どうしよう!一刀さんの手作り食べちゃったよ!じゃなくて!

 

「一刀さん、それよりこっちの方がいいんじゃないかな?」

 

「え?どれも一緒だよ?」

 

「で、でも、こっちの方が綺麗だし」

 

「俺は気にしないけど?」

 

「あぅ……」

 

うぅ〜、か、一刀さんが私のを食べちゃうよ。不味いって言われたらどうしよう!

 

「はぐっ……もぐもぐ……」

 

「……」

 

あ〜、緊張するよ〜!

 

「……うん、やっぱり美味しいな」

 

「ホント?!ホントにホントに美味しかった?!」

 

「え、あ、ああ、美味しかったぞ?」

 

「〜〜〜〜〜っ!やった〜〜〜!」

 

思わず両手を挙げて喜んだ。

 

「そんなに嬉しかったのか?」

 

「うん!凄くうれしいよ!」

 

きっと一刀さんは自分が食べたのが私のだってわかってないのかもしれないけど、それでも私はうれしかった。

 

「それにしてもちょっと作りすぎちゃったかな?」

 

「そうだね〜。私達だけじゃ食べきれないよね……っ!そうだ!愛紗ちゃんや雪蓮さん達にも持って帰ろうよ!」

 

「名案だ。よし、さっそく持って帰る準備するか」

 

「はい!」

 

私と一刀さんは持って帰れるように包みにすいぃとぽてとを包んでいった。

 

「それにしても一刀さんと料理をしたのって天の世界でお休みの日にやって以来ですね」

 

「そう言えばそうだったかな。確か夏休みだったよな」

 

「えっと、そこら辺は良く覚えてないんですけど確か、華琳さんの別邸?でしたっけ」

 

「そうそう。でも、不思議な感じだな〜」

 

「何がですか?」

 

「だって俺には桃香や雪蓮たちが居ない世界と、居る世界の両方の記憶があるんだから、しかもその時系列が同じだから。時々わかんなくなるよ」

 

「そうなんですか?」

 

あ、そう言えば天の世界でなんか夢見たような気がするんだけどなんだったかな?

 

「桃香?どうかしたか?」

 

「え?ううん、なんでもないよ」

 

一刀さんが心配そうな顔をしてたから笑顔でなんでもないと答えたけど、なんだか夢の内容が気になってきちゃったな。

 

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「重たくないですか?」

 

「ああ、これくらいなら大丈夫だよ。桃香の方は大丈夫か?」

 

「はい!大丈夫です」

 

私と一刀さんはすいぃとぽてとをお土産にお城に帰る途中です。

 

う〜ん、それにしてもこの首飾りをくれた時に見た夢が気になるな……

 

今、服で見えていないけど、私の首には一刀さんから貰った首飾りを身に着けてる。

 

本当は出しておきたいんだけど。引ったくりに出会うかもしれないからと注意されてお城以外では服から出さないようにしている。

 

えへへ、そう言えばこれ貰った時に口づけもしてもらったんだよね♪……あれ?

 

その時、私はある事に気がついた。

 

この世界で一刀さんと一度も口づけしてない!

 

でもでも私の最初の口づけは一刀さんで、あれ?でもこっちだとまだだから……えっとえっと!

 

「……か……とう…………桃香っ!」

 

「ふえ?!な、なに?」

 

「どうしたんだ?急に黙り込んじゃって」

 

「な、なんでもないよ!ちょっと考え事してただけだから」

 

「ならいいけど、歩きながらは危険だからやめような」

 

「う、うん。そうだね」

 

さっきから私、一刀さんの唇ばっかり見てる。うぅ〜、一度気になりだしたら止まらないよ〜

 

「なんだか今の桃香は危なっかしいな。いつもだけど」

 

「もー!そんな事ないよ!」

 

「そうか?出かける時だって転びそうになっただろ?」

 

「うぐっ!」

 

一刀さんの最もな答えに何も言えなくなった。

 

「ぶー、一刀さん意地悪だよ」

 

「ははは、ごめんごめん」

 

「ふんだ、許さないもん!」

 

「ごめんって、それじゃ、どうしたら許してくれるかな?」

 

「そうだな〜……くちづけ……」

 

「え?」

 

「あっ!ううん!手!そう、手を繋いでくれたら許してあげようかな」

 

「お安い御用だよ」

 

ニッコリと微笑むと一刀さんは空いている私の手を握ってきてくれた。

 

なんでだろ、一刀さんと手を繋いでとすごく安心出来る。それに胸の辺りがぽかぽかしてくるよ。

 

「今日は楽しかった?」

 

「はい!一刀さんとお買い物も出来ましたし、食べたかったお菓子も食べられたし、それに、一刀さんと一緒にお菓子作りも出来たから……」

 

最後の方は、恥ずかしくなり声が小さくなってしまった。

 

「そっか。桃香が喜んでくれたんなら俺も嬉しいよ」

 

「〜〜〜〜っ」

 

一刀さんが笑顔でそんな事を言うから恥ずかしくなって顔を背けた。

 

「か、一刀さんは他にもお菓子とかお料理作れるんですか?」

 

私は恥ずかしさを紛らわす為に話題を変えた。

 

「ああ、簡単な物なら一応ね。ただ、この世界に同じ材料が在るかどうかはわからないんだよね」

 

「そっか。時代が違うんだもんね」

 

「ああ、俺がいた世界じゃ、大概の物はなんでも手に入ったけど、こっちじゃそうはいかないからな」

 

「そうだよね〜」

 

確かに、天の世界だとなんでも手に入ったと思う。思うって言ったのはそこら辺も曖昧だからなんだよ。って、誰に言ってるんだろ私?

 

「桃香は何か覚えてないのか?料理とか、よくお昼に弁当作ってくれただろ?」

 

「う〜ん……何か、緑色で棒の様な野菜にぺらぺらなお肉を巻いた奴?」

 

「緑色で棒の様な野菜にぺらぺらな肉……アスパラのベーコン巻きの事かな?」

 

「かな?良く分からない」

 

「そっか。まあ、無理に思い出す必要も無いだろうしいいんじゃないかな」

 

「うん……」

 

頷いてみたものの私は夢の内容が気になって仕方が無かった。

 

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「ただいま〜!」

 

一刀さんとお土産を持って帰ってくると何故か雪蓮さんを睨んでる冥琳さんが居ました。

 

「あっ!仕事ほっぽりだしてサボってた一刀だ!」

 

――ゴンッ!

 

「いった〜い!何するのよ冥琳!」

 

「まったく、それはお前だろ、一刀は昨日の内に全部終わらせて、朝一番に私の所に届けに来たんだ。お前とは違うんだぞ雪蓮」

 

「ぶーぶー!それなら私の仕事手伝ってくれてもいいじゃないの」

 

――ゴンッ!

 

「そんなに叩かないでよ〜。馬鹿になったらどうするの?」

 

「そんな事で馬鹿になっていたらとっくになっているだろ。それに、それはお前の仕事だ責任持って終わらせるんだぞ」

 

「ちぇ、冥琳のけち」

 

「けちで結構だ」

 

「あはは、仲がいいんですね。雪蓮さんと冥琳さん」

 

「私が説教されてるのになんでそう見えるわけ桃香?」

 

「だって、嫌いな人なら説教とかしないとおもうんですよ」

 

「はぁ?それだけ?」

 

「はい!」

 

「はぁ〜、あんたの頭はお花畑ね」

 

「酷いですよ〜確かに髪留めにお花使ってますけど、お花畑じゃありませんよ?」

 

「いや、そういう意味じゃないんだけど、まあ、いいわ」

 

雪蓮さんはなんだか諦めたように苦笑いを浮かべていました。

 

「それで一刀、その包みはなんなの?」

 

「ああ、桃香と一緒にスイートポテト作ったんだけど作りすぎたから皆に食べてもらおうと思ってさ」

 

「なにそれ!ちょっと見せなさいよ♪」

 

「こら!雪蓮!まったく……一刀、少しは空気を呼んでくれ」

 

「ご、ごめん」

 

一刀さんに注意をする冥琳さんだったけど、やれやれと肩を竦めて私達の所に来た。

 

「へ〜、表面が綺麗ね。まるで宝石みたいだわ」

 

「ああ、こんな食べ物は見たことがないな、これも天の世界の食べ物なのか?」

 

「ああ、甘くて美味しいよ。皆でお茶のときに食べようかなって思ってさ。な、桃香」

 

「はい!皆で食べるときっともっと美味しいですよ!」

 

「そうか、なら時間も丁度いいだろ。皆を呼んでお茶にでもしよう」

 

「さっすが冥琳!話が分かる〜♪」

 

「褒めても仕事の量は減らんぞ」

 

「バレたか。ねぇ〜少しくらいいいでしょ〜」

 

「知らん」

 

「ぶーぶー!あっ!なら一刀!手伝って〜」

 

「ええ?!俺が?!」

 

「なによ。こんな可愛い私がお願いしてるんだからいいじゃない」

 

「自分で可愛いって……はぁ、仕方ないな。でも、少しだけだぞ?」

 

「やったぁ、だから一刀って好きよ♪ちゅっ!」

 

っ!

 

雪蓮さんが一刀さんの頬に口づけした時、胸の奥が一瞬だけどざわついた。

 

なんだろ今の?凄く嫌な感じ……

 

「?桃香、どうかしたの?」

 

「え?な、なんでもないですよ」

 

「そう?ならいいけど……ほらほら、冥琳!皆を呼んでくるわよ」

 

雪蓮さんはなんだか腑に落ちない顔をしていたけど、直ぐにいつもの顔に戻って冥琳さんに話しかけていました。

 

「まったく、こう言った事には行動が早いな、お前は」

 

「ふふふ♪当たり前じゃない♪」

 

「やれやれ……では、私は皆を呼びに行く、一刀。お前も手伝ってくれ」

 

「わかった」

 

「雪蓮は、桃香殿とお茶の準備をしておいてくれ。くれぐれも、酒なんぞを持ってくるんじゃないぞ」

 

「う〜ん、こうまで行動が読まれると一緒に育つのも考え物よね」

 

「お前の行動が分かり易すぎなだけだ。さあ、行くぞ一刀」

 

冥琳さんは一刀さんの腕を取るとそのまま廊下を歩いていきました。

 

「ちょ、冥琳!なに一刀の腕取ってるのよ!」

 

「ん?ああ、これか?少々疲れてな。一刀に寄りかかっているだけだが?」

 

「ぐぬぬぬぬっ!桃香も何か言ってやりなさいよ!」

 

「え?えっと、お大事に冥琳さん」

 

「ああ」

 

「違うでしょ。桃香〜〜〜!」

 

「え?え?」

 

「はぁ、もういいわ。行くわ」

 

なんだか雪蓮さんは疲れた顔をして一刀さんたちとは反対の通路へと歩いていった。

 

「わわ!待ってくださいよ雪蓮さ〜ん!」

 

私は慌てて雪蓮さんを追いかけた。

 

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――コツコツコツ

 

「……」

 

「……」

 

廊下を黙々と歩く雪蓮さん。機嫌が悪いのかなんだか声を掛けずらいよ。

 

「それで桃香。何に悩んでいるの?」

 

「ふぇ?!」

 

急に声を変えられて驚いた私はすっとんきょな声を出してしまった。

 

「なんて声出してるのよ。まったく、これで蜀の君主って言うんだから呆れるわ」

 

「あぅ……」

 

「ほら、そこでいちいち落ちこまに!それで何悩んでるの?どうせ一刀関係なんでしょ?」

 

「どうして分かったんですか?」

 

「女の勘ってやつかしらね♪あの場には一刀も居たし話し辛そうだと思って冥琳に一刀を連れて行くように目配せしたのよ」

 

「ふぇ〜。凄いですね。そんな事できるんですか」

 

「まあね。長年一緒に居ればこれくらい出来るようになるものよ。さあ、私達の話はいいから話してみなさい」

 

雪蓮さんは優しく微笑む。

 

私は雪蓮さんに相談してみる事にした。

 

……

 

…………

 

………………

 

「なるほどね〜。夢の事は、私じゃどうしようもないけど、なんで口づけできないの?無理やりにでもしちゃえばいいじゃない」

 

「恥ずかしいじゃないですか!それに、一刀さんの唇見てると恥ずかしくなってくるし」

 

「純情ね〜。そんなんじゃ大事なもの取られちゃうわよ。天の世界の桃香はもう少し積極的だった様に思うんだけどね〜」

 

「やっぱり、雪蓮さんもそう思いますか?私もそう思ってるんですよ。なんで積極的になれないのかなって」

 

「まあ、夢の事は自分で何とかなさい。だけど一刀に口づけすることならいい方法があるから。夜、私の部屋に来なさい」

 

「夜ですか?今じゃダメなんですか?」

 

「色々と準備がいるのよ♪」

 

雪蓮さんはなんだか愉快そうに笑っていた。

 

「さぁ、早く厨房に行ってお茶の準備をしちゃいましょ♪」

 

「あっ、はい!」

 

とにかく今はお茶会の準備する事に集中しよう。うん。

 

……

 

…………

 

………………

 

「人数が多いと大変ですね」

 

「そうね。どうせ、匂いにつられて華琳たちも来るんだろうから多めに持ってきたけど」

 

「……匂いにつられて悪かったわね」

 

「あら、しかも地獄耳だったみたい」

 

「華琳さん!こんにちは!」

 

「一刀に天の世界のお菓子が食べられるって言われたから来て見れば……随分な言い様じゃない雪蓮?」

 

「本当の事じゃない。こうやってここに来てるんだから」

 

「一刀がどうしてもと言うから来ただけよ」

 

「本当かしら?実は『一刀がどうしてもって言うなら行ってあげてもいいわよ』なんて言ったんじゃないの?」

 

「ぐっ……」

 

「……もう少しましな言い訳を考えたら華琳」

 

「う、煩いわね!別にいいでしょ」

 

「まあ、いいんだけど。もう少し素直になった方が喜ぶんじゃない?」

 

「……別に一刀のことなんて……ブツブツ」

 

「あら?別に一刀のことなんて一言も言ってないわよ?」

 

「っ?!は、謀ったわね雪蓮!」

 

「自分から引っかかっただけじゃない」

 

「ま、まあまあ雪蓮さんも華琳さんも喧嘩はその辺にして、仲良くしましょうよ。ね?」

 

「別に?私はからかってるだけだけど、まあいいわ」

 

「……屈辱的だわ」

 

雪蓮さんは満足そうにしていて、華琳さんは怖い顔をして奥歯を噛み締めてるみたいでした。

 

-9ページ-

「あっ、そうそう。華琳」

 

「……なによ」

 

「夜、私の部屋に来て頂戴」

 

「なんで私があなたの部屋に行かなきゃ行けないのよ」

 

「ちょっと、三人で語ろうかなって♪」

 

「はぁ?まあいいわ。行ってあげてもいいわよ」

 

「まったく、素直じゃないわね」

 

「放っておいてよ」

 

「それじゃ、決まりね。桃香も華琳も夜になったら呼びに行かせるから覚えておいてね」

 

「わかりました」

 

「ええ」

 

雪蓮さんはこれで準備は完璧と言わんばかりに満面の笑みを浮かべていました。

 

「……なんだか嫌な予感しかしないわね」

 

「そうですか?雪蓮さん楽しそうにしてますけど」

 

「それが、嫌な予感だというのだけど……ホント、年中お花畑な子ね。桃香は」

 

「そんな事ないですよ〜」

 

華琳さんにも頭がお花畑って言われちゃったけど何処がお花畑なのかな?

 

「お待たせ!皆連れてきたぞ」

 

「待たせたな。こちらも全員連れてきた」

 

一刀さんと冥琳さんが皆を連れてきて中庭に集まってきた。

 

「あっ!おとうさんもいる〜〜♪」

 

璃々ちゃんはあの出来事があって以来ずっと一刀さんの事を『お父さん』と呼んでいます。みんな笑顔で今は見ているけど、最初はホントに凄かったです。私もですが……

 

「それで一刀、冥琳に言われたのだけれどどんなお菓子なのかしら?」

 

蓮華さんが一刀さんにどんなお菓子なのかを聞くと皆、興味があるのか一斉に一刀さんの方を見た。

 

「ああ、スイートポテトって言って、甘いお菓子さ」

 

「一刀さんの世界のお菓子には興味が在りますね〜。早くみたいです。一刀さん〜」

 

「わ、分かったから穏。擦り寄ってこないでくれ」

 

「あん、いけづですね。一刀さんは」

 

「と、兎に角、みんな座ろうか」

 

「「「は〜い!」」」

 

みんな思い思いに座る……と思ったんだけど誰も座る気配が無かった。

 

「?何でみんな座らないんだ?」

 

一刀さんは首を傾げて疑問に思ってるみたいです。なんとなくみんなの考えが分かる気がします。きっと、一刀さんの横に座りたいから一刀さんが座るのを待っているんだと思います。

 

「兎に角座ってもらわないと配れないんだけど」

 

「そうね。と、とにかく座りましょうか……一刀は何処に座るのかしら?」

 

雪蓮さん、いい仕事してます!

 

「俺?俺はこの椅子に座るから皆はそっちに座っていいぞ」

 

「「「……はぁ」」」

 

みんな一斉に溜め息を吐いて渋々、席についていきました。もう、一刀さんのバカ……

 

「み、みんなどうしたんだ?」

 

「なんでもないわよ」

 

少し不機嫌そうに雪蓮さんが言うとみんな一斉に頷いた。

 

「?まあいいや。それじゃ順番に配るよ」

 

一刀さんは一人ひとりすいぃとぽてとを一個ずつ置いていき全員に配り終わると自分も座った。

 

「へ〜、こんなお菓子見たこと無いわ。凄く綺麗ね」

 

「華琳に愛紗、優未は見たことがあるかもしれないね」

 

「え?……ああ、なるほどね。なんだか不思議な気分ね。初めてなのに初めてじゃないって。ふふふ」

 

華琳さんは自分の言ったことがおかしかったのは微笑んでいました。

 

「ん?ん〜〜……ん!これ、私の大好物だったやつじゃない?!え、嘘!この時代で作れるんだ?!」

 

優未さんは暫く唸った後、花が咲いたみたいに笑顔になり喜んでいました。

 

「ねえねえ一刀君!作り方教えてよ!私が一刀君の為に美味しいの作ってあげるから!」

 

――っ!

 

あ、あれ?空気がなんだか重たくなったような?

 

「し、仕方ないわね。一刀がどうしてもというのなら教えてくれてもいいわよ?」

 

「あ、あの一刀様、この私にも教えていただきたいです」

 

「優未には負けてられないわね。私にも教えなさい一刀」

 

あ、あれ?あれれ?優未さんを皮切りに、華琳さん、愛紗ちゃん、雪蓮さんと次々に名乗りを上げて言ってる。

 

「わ、わかった作り方を書いたメモを皆に渡すよ」

 

それなら、っとみんなが納得しようとしていた時だった。またもや、優未さんがとんでもない事を言い出した。

 

「え〜、一刀君に手取り足取り教えて欲しいな〜」

 

――っ!!!!

 

「「「「手取り……」」」」

 

「「「「足取り……」」」」

 

「「「「……」」」」

 

「「「「一刀(さん)(様)!!」」」」

 

「は、はいぃ?!」

 

もう中庭はお茶会どころじゃなくなっちゃいました。

 

みんながみんな一刀さんと一緒に作りたい為に一刀さんを囲んでいました。

 

「もぐもぐ、これ美味いぞ秋蘭!」

 

「ああ、だが姉者。食べながら喋るのは行儀が悪いぞ」

 

「おお!そうだったな!もぐもぐ」

 

「ああ〜!可愛いな姉者は〜」

 

二人だけは何事も無かったかのようにすいぃとぽてとを食べていました。

 

「ん?劉備殿はあれには加わらないのか?」

 

「え?あ、はい。実はこれ、一刀さんと二人で作ったんですよ♪」

 

「ほう、では既に独り占めしたということか」

 

「まあ、そうなるんですかね?えへへ……ん?」

 

なんだか視線を感じて辺りを見回してみると、一刀さんを囲んでいたみんなが一斉に私を見ていました。

 

「えっと……なんですか?」

 

「ちょっと一刀君!なんで桃香とだけ一緒に作ってるの?!」

 

「そうよ。だったら私達だって同じ扱いをするべきじゃないかしら一刀」

 

「華琳、あんたいいこと言ったわね。と、言う事だからちゃんと教えてねか・ず・と♪」

 

「わ、私、余計な事言っちゃったかな……」

 

「ふっ、もてる男はつらいな……」

 

「あんな男の何処がいいのだ?華琳様の方が数段よいではないか!もぐもぐ」

 

「ああ〜!可愛いな姉者は〜」

 

「はは、ははは……」

 

結局一刀さんが折れて数人ずつで教える事になったみたいです。

 

-10ページ-

『劉備様はいらっしゃいますか?』

 

「?は〜い。居ますよ」

 

夜、部屋を訪ねる声が聞こえてきた。

 

『孫策様がお待ちです』

 

「あっはい。ありがとうございます」

 

部屋から出ると呉の兵士の人が立っていた。

 

「ご案内いたします。こちらへ」

 

「ありがとうございます」

 

私は兵士の人に案内されて雪蓮さんの部屋へ行った。

 

「孫策様、劉備様をお連れしました」

 

『入って頂戴』

 

部屋の中から雪蓮さんの声が聞こえると兵士の人が扉の前から離れた。

 

――ガチャ

 

「いらっしゃい。桃香」

 

部屋の中には雪蓮さんの他に華琳さんも居ました。

 

「遅いわよ。待たせるなんていい度胸ね、桃香?」

 

「まあいいじゃないの。ほら、桃香も座って座って♪」

 

雪蓮さんは微笑みながら横にある椅子を叩いて座るように行って来た。

 

「それで、昼間の話なんですけど」

 

「もう、桃香はせっかちね。私や華琳が一刀に口づけしたことにそんなに焦ってるの?」

 

「なっ!なんで私が一刀と口づけなんかっ!」

 

「しなかったの?二人っきりで出かけた時、一度も?」

 

「うっ……」

 

華琳さんは顔を赤くしてそっぽを向いちゃいました。

 

「ふふふ、魏の覇王も一皮向けば、ただの女の子ってわけね」

 

「うるさいわね。そういうあなたはどうなのよ雪蓮」

 

「私?私は一刀にぞっこんよ♪最初の時は、誰かが一刀の子供を生めばそれでも良かったんだけど。今じゃ、誰よりも早く一刀の子供が欲しいって思ってるわ」

 

「……惚気?」

 

「そう聞こえるならそうなんじゃない♪」

 

「うらやましいな〜。一刀さんの子供か〜」

 

「桃香も欲しいの?一刀の子供が」

 

「ふぇええ?!そ、それはその〜〜〜〜っ」

 

「ふふふ、恥ずかしがっちゃって初心ね〜」

 

「あなた、からかいに来ただけなの?それなら帰らせてもらうわよ」

 

「まあまあ、落ち着きなさいって。少しは我慢も必要よ。それに今日は私じゃなくて、桃香の悩みを解決する為に催したんだから♪」

 

「は?桃香の悩み?なによそれ」

 

「桃香、もう一度話して頂戴。いいかしら」

 

「は、はい!華琳さんの意見も聞いてみたいですし」

 

私は昼間、雪蓮さんに話したことをもう一度、今度は華琳さんが居る前で話し始めた。

 

……

 

…………

 

………………

 

「は?恥ずかしくて口づけが出来ないって、別に初めてじゃないでしょうに」

 

「そ、それは天の世界であってこっちの世界だとまだ初めてだからなんだかそう考えると緊張しちゃって……」

 

「馬鹿正直と言うかなんと言うか」

 

「そう言う華琳はどうだったのよ。一刀に口づけされて」

 

「べ、別にどうもしないわよ」

 

「ふ〜ん♪」

 

「な、なによ……」

 

「べっつに〜♪」

 

「くっ、それで、桃香の悩みをどうやって解決するのよ!」

 

「慌てない慌てない。……よっと!取り出したこれは仙薬!」

 

「「仙薬?」」

 

「そう、代々孫家に伝わる薬なんだけど。これを飲むと、あら不思議!物凄く素直になっちゃうのよ!」

 

「……胡散臭いわね」

 

「本当ですか?!」

 

「ちょ!と、桃香。こんな怪しい物信じるわけ?」

 

「え?だって孫家代々伝わってるものなんですよね?だったら雪蓮さんも飲んだことがあるんですよね?だったら平気じゃないですか」

 

「まあ、効き易い、効き難いは有るみたいだけど、桃香なら大丈夫だと思うわ」

 

そう言うと雪蓮さんは杯を取り出してその中に注いでくれた。

 

「ちょっと待ちなさい。桃香だけ飲ませるのは危ないわ。私も飲むわよ」

 

「普通に素直になりたいから飲みたいって言えばいいのに」

 

「ち、違うわよ!私は、そんな薬信じてないけど、信じてないけどよ!桃香だけ飲ませるのはどうかと思っただけよ。勘違いしないでちょうだい!」

 

「はいはい。そういうことにしておいてあげるわよ」

 

雪蓮さんは苦笑いを浮かべながらもう一個の杯に薬を注いでいきました。

 

「さあ二人とも、ぐぐっっと飲んじゃいなさい」

 

「それじゃ、頂きます……ごくごく」

 

「……頂くわ……ごくっ!けほっ、けほっ!ちょ、雪蓮、あなたこれ!」

 

「ん〜?何の事かしら?ごくごく」

 

「騙したわね」

 

「別に騙してないわよ?お酒はね、自分の内に秘めた思いや、不満を吐き出させてくれるんだから。立派な薬じゃない♪ごくごく」

 

「あなたが呑みたかっただけではなくて?」

 

「そんなことないわよ〜。ほら」

 

「え?」

 

「……ひっく。あはは〜、なんだかいい気分になってきまひたよ〜」

 

「ちょ、と、桃香?」

 

「ん〜?あっれ〜?華琳さん、随分と胸が大きくなりましたね〜」

 

「それは私じゃないわよ!私はこっち!」

 

「あっ!本当だ!ぺったんこの華琳さんだ〜♪」

 

「だ、だれがぺったんこですって!控えめと言って欲しいわね!」

 

「桃香〜、どう?素直になれそう?」

 

「はひ!劉元徳!こえりょり、北郷一刀さんのとこりょにくちじゅけしにいってまいりまひゅ!」

 

「はいは〜い。気をつけてね〜」

 

「まかへてくだじゃい!……おっひょっひょ」

 

「ちょっと、桃香。大丈夫?」

 

「大丈夫、だいじょ〜ぶ!華琳さんはしんぱいひょ〜ですね〜。だから、胸が大きくならないんですよ?」

 

「む、胸は関係ないでしょ?!」

 

「あはは〜、怒り過ぎもだめでしゅよ〜。っと、それじゃいってきまひゅ〜」

 

――バタン

 

「……本当に大丈夫なのかしら」

 

「さあね。ほら、華琳もまだ呑むでしょ?」

 

「はぁ、なにが素直になれる薬よ……来て損したわ」

 

「ん〜?もしかして、素直になりたかったの?」

 

「ち、違うわよ!ほら!さっさと注ぎなさいよ」

 

「はいはい」

 

「まったく……ごくごく」

 

-11ページ-

「あはは〜、なんだかあひもとがふりゃふりゃする〜」

 

でも〜、これで一刀さんに素直に言えるんだよね〜

 

「ふ、ふふふ……まっへへね〜一刀さ〜〜〜〜ん♪」

 

フラフラと、おぼつかない足取りで一刀さんの部屋を目指す。

 

途中、誰かに会った気もしたけど全然覚えてないや。

 

……

 

…………

 

………………

 

「やっとちゅきましたよ〜……いへへ」

 

一刀さんの部屋につくまでの間に何度か柱にぶつかっちゃいました。きっとおでこが赤くなってるかな。

 

「しょんなこひょより!いみゃは一刀さんとくちじゅけすることが先決でしゅ!……ひっく!」

 

――コンコン

 

『は〜い。開いてるよ』

 

部屋の中から一刀さんの声が聞こえてきたから部屋に入ろうと扉に手とかけた。

 

――バンッ!

 

「うぉ!と、桃香か。どうしたんだ?そんなに勢い良く扉を開けて」

 

「……」

 

「と、桃香?」

 

「……」

 

「あ、あの桃香、さん?なぜ無言で近づいてくるのでしょうか?」

 

「……ひっく」

 

「へ?ひっく?」

 

「かじゅとさん!」

 

「は、はい!」

 

「わじゅとさん、わたひとくちづけひてくだじゃい!」

 

「……は、はい?」

 

「でぃやから!くちじゅけですく・ち・じゅ・け!」

 

「口づけってキスの事か?」

 

「きふ?よくわかりまへんけど、そうでふ、きふです!」

 

「いやいや!そんななげやりな!って、桃香酔ってないか?!」

 

「なげやりなんかでも酔ってなんかでもひゃないでふ!わたひ、本気でふ!……ひっく!」

 

「か、確実に酔ってるだろ!と、とにかく落ちつこう。ほら、そこに座って……」

 

「む〜、かじゅとしゃんはわたひときふするのいやなんでふか?」

 

「そう言うわけじゃないけど……」

 

「わたひ!今、薬のおかげで素直になってるんでふ!だから、わたひのきもひを伝えへるのに!かじゅとさんはわたひのお願いきいてくれないんでふか?」

 

「うっ……そんな涙目で訴えられても……とにかく、薬ってなんだ?」

 

「しぇへんさんがこれは素直になる薬でぃあって言っへ、飲まへてもらいまひた」

 

「はぁ〜〜〜〜〜、雪蓮は、何考えてるんだ……」

 

「も〜まへまへん!かじゅとさ〜〜〜〜んっ!……んっ!」

 

「ちょ、と、桃っ……んんっ?!」

 

「……んっ…ちゅ、あむ……」

 

ああ、今私、一刀さんときすしてるんだ。この世界で初めてのキス……

 

「んん……んむ……」

 

「ちゅっ……ぷはぁ……えへへ、きふしひゃった♪」

 

「と、桃香」

 

「これで、このへかいでもかじゅとさんと初めへのきふが出来てわたひ嬉ひいです♪」

 

「え……それってどう言う……」

 

「それはでふね……」

 

私はなんでこんな事をしたのかを一刀さんに話して聞かせました。

 

「そ、そんなこと?」

 

「むっ!しょんなことじゃないんだよ!わたひには大事な事なの!……ひっく」

 

「そ、そうだな。ごめんな桃香」

 

「ん〜ふふふ〜♪撫でへくれたからゆるひてあげる♪」

 

一刀さんに撫でられて私は上機嫌になった。

 

「……?かじゅとさんは何してたんでしゅか?」

 

「え?ああ、これは建業の警備状態を書いた書簡だよ」

 

「あれ?今日のおひごとは終わってたんじゃないんでしゅか?」

 

「帰ってきてから出てきた案件だよ。冥琳に出来るだけ早くまとめてくれって言われたからさ。今やってるんだよ」

 

「ふ〜ん……あっ!」

 

部屋を見回していた私は一刀さんが寝てる布団を見つけてフラフラと近づいた。

 

「ん〜♪かじゅとさんの匂いがしゅる〜♪」

 

布団に倒れこむと一刀さんの匂いがした。

 

「おいおい。そんな所で寝るなよ桃香?」

 

「わかっへるよ〜。大丈夫だいじょ〜〜ぶ!」

 

「本当に大丈夫なのかな?まあ、こっちももう少しで終わるから待っててくれよ?」

 

「ん〜、わかっひゃ〜」

 

私は布団の上で一刀さん見ると一刀さんは苦笑いをして私を見てから机に向き直りました。

 

「ん〜……」

 

あれ?なんだか目蓋が段々とおも……く…………

 

-12ページ-

「……」

 

みなさん、おはようございます。天の御遣いこと、北郷一刀です。

 

今、私は命の危機に瀕しております。それは……

 

「……んふふ〜、一刀さ〜〜ん♪」

 

ご覧の通り、桃香に抱きつかれ身動きが取れない状態になっています。なぜ、こんな事になったかと言うと……

 

『ふぅ、やっと終わった……さてと、桃香……?桃香?』

 

振り返ると桃香は俺の布団で眠ってしまっていた。

 

『はぁ、だから言ったのに……』

 

『う〜ん……一刀さん……』

 

『幸せそうな顔しちゃってどんな夢見てるんだろうな』

 

――ぷにぷに

 

苦笑い浮かべながら桃香のほっぺを突っついてみた。

 

『むぅ〜』

 

『はは、変な顔になっちゃってるぞ桃香』

 

――ぷにぷに

 

面白いからもっとほっぺを突っついてみる。

 

『むむっ〜……あむ』

 

『うぉ!桃香に指食べられた!』

 

『ん〜ちゅぱちゅぱ』

 

こ、今度は舐め始めた?!

 

『ちょ!ほ、本当に眠ってるのか?とう(がばっ!)かぁ?!』

 

『んふふふふ〜♪もう食べられないのに困っちゃうよ〜♪』

 

『むっ〜〜ん!ん〜〜っ!ぷはっ!し、死ぬかと思った』 

 

桃香に抱きつかれてそのまま布団に倒れこんだ俺はそのふくよかな二つの山の谷間に顔を埋められて窒息寸前になった。

 

『それにしても……桃香ってこんなに力あったのか?』

 

その力に驚いたのもそうなんだけど。

 

『ぬ、抜け出せない……』

 

桃香の腕は俺を放さないと言わんばかりにきつく抱きしめれていた。

 

『ん〜♪一刀さん……大好き♪』

 

『っ!』

 

はぁ、ホントにどんな夢見てるんだか、そんな顔されたら無理に抜け出したら可哀想な気がしてきた。

 

『まあ、実際抜け出せないんだから仕方ないよな。このまま寝るか……ふぁ〜』

 

そう思ったからなのか急に睡魔が襲ってきた。

 

『昨日からあんまり寝てなかったからな……そろそろ、体も、げん……か……い…………』

 

そして、ごらんの有様といった感じです。

 

「それにしてもマジでやばくなってきたな……」

 

なんせ今日は朝議があるんだ。昨日まとめていた街の警備の報告と改善点を報告しないといけないのだ。そしてその時間も着々と近づいている。

 

つまり、このまま時間になっても俺がその場に居なければ誰かが起こしに来るという事だ。

 

結果、この状況を見られてしまい……

 

「っ!!!と、桃香!本当に起きてくれ!お、俺の命が!」

 

必死に桃香に起きるように呼びかける。

 

「ん〜、あと一刻……」

 

「なにそのお決まりの台詞は……って一刻?!ちょ!マジで勘弁してください桃香さん!」

 

「んふふ〜♪肉まん美味しい♪」

 

「わぁぁぁあああっ!」

 

やばいやばいやばい!ホントに時間がぁ!

 

――コンコン

 

「っ?!」

 

『一刀く〜ん?もう朝議の時間だよ〜。まだ寝てるのかな?』

 

つ、ついに来てしまった?!しかも、よりにもよって優未だんて?!

 

『返事が無いな〜……にひっ!一刀君の寝顔見られる絶好の好機!ってことで、お邪魔しま〜す』

 

「だ、だめ〜〜〜〜っ!」

 

「ふぇ?」

 

「あっ」

 

時すでに遅し、優未は扉を開けて今の俺の状態を見てしまった。

 

「……」

 

「……」

 

「……ず……」

 

「え?」

 

「ずるいずるい!私も混ぜて〜〜〜!」

 

「そ、そっち?!」

 

――ボフッ!

 

「んふ〜♪一刀君あったか〜い♪」

 

「ゆ、優未!そんなことより早く王座の間に行かないと!朝議が!」

 

「えーっ!一刀君、桃香と寝てたのに私とじゃ寝てくれないの?」

 

「いやこれはだな!桃香が……っ!」

 

「……ダメなの?」

 

「うぐっ!」

 

そんな瞳を潤ませるなんて卑怯だぞ優未!

 

「うるうるうる……」

 

「……」

 

「……ひぐっ……」

 

「っ?!」

 

ま、まずい……このままだと確実に落ちる!何とかしないと!

 

「一刀君……」

 

「ぐぐぐっ……」

 

なんとかこの状況を打破しないと!

 

そんな事を考えているとさらに大変な事が起きた。

 

-13ページ-

「ん〜〜〜……一刀さ〜〜〜ん……あむっ」

 

「うひゃ〜〜〜〜っ!?!?と、桃香?!」

 

何を思ったのか桃香は俺の耳たぶをあま噛みしてきた。

 

「あっ〜〜〜〜!ずるい!私も一刀君の耳たぶはむはむする〜!はむっ!」

 

「うひゃ!ゆ、優未まで?!あぅ、そこだめ!」

 

これは本当に不味い!桃香に抱き着かれて身動き出来ないせいで抵抗できずなすがままだ!

 

「むふふ〜♪ほふ?はふほふん」

 

「み、耳たぶ噛みながら喋らないで!い、息が耳に!」

 

「ふ〜ん♪ふ〜〜」

 

「うひひっ?!」

 

まずいまずいまずい!だ、誰か助けてくれ〜っ!

 

俺が心の中で祈っていると願いが叶ったのか人の声が聞こえてきた。

 

『まったく、優未にも困ったものね。呼びに言ったまま帰ってこないんですもの』

 

もう誰でもいいから助けて貰おう!

 

「たすっ……」

 

『一刀?もう朝議が始まるわよ。まだ寝ているの?』

 

なっ!れ、蓮華!まずい!この状況を蓮華が見たら!

 

『もう、入るわよ?』

 

「ま、待ってくれ蓮華!」

 

「一刀、起きてるんだったら早く王座の間、に……」

 

蓮華は部屋に入って来ると今の俺の状況を見て入り口で固まってしまった。

 

「ん〜、一刀さ〜〜ん♪……大好き♪」

 

「なっななっ!」

 

あぁ〜桃香、なんてタイミングで言ってくれちゃうんだよ〜。俺も好きだけどさ……

 

「……か、ず、と……何をしているのかしら?」

 

「お、俺は何も!」

 

「来ないと思って呼びに着てみれば……他国の人間を部屋に呼んで……」

 

「ご、誤解だ!お、俺は呼んでない!」

 

「あまつさえ、呼びに行かせた優未にも手をかけるなんて……」

 

「だ、だから俺の話を!ゆ、優未も蓮華の誤解を……あれ?」

 

「それじゃ、先に王座のまで待ってるね〜♪」

 

「う、裏切り者〜〜〜!」

 

「裏切り者は、一刀の方よ!私だって我慢してるのに〜〜〜〜〜!」

 

「ぎゃ〜〜〜〜〜〜〜〜っ!」

 

母さん、俺、頑張ったよ。もう、ゴールしてもいいよね?

 

-14ページ-

「ごめんなさい一刀さん!」

 

私は、王座の間から出てきた一刀さんに頭を下げて謝りました。

 

「もういいよ。気にしてないからさ」

 

「で、でも……」

 

朝、起きると私の横で一刀さんが傷だらけで倒れていました。

 

どうやら、私はいつの間にか一刀さんの部屋で眠っちゃっていたみたいで、それを見た蓮華さんが勘違いをして一刀さんを殴ってしまったのだそうです。

 

「ほらほら、そんな顔してると折角の可愛い顔が台無しだぞ?」

 

一刀さんは私を慰めるために微笑み頭を撫でてくれました。

 

「……えへへ♪うん!」

 

「随分と仲がいいわね。か・ず・と♪」

 

「あっ!雪蓮さん!昨日はありがとうございました!」

 

「うまく言ったみたいね」

 

「はい!」

 

「それはよかったわ。私の方はちょっと後悔しちゃったんだけどね」

 

「?何かあったんですか?」

 

「まあね。今回の教訓は飲ませ過ぎには注意ってことね」

 

そう言うと雪蓮さんは苦笑いを浮かべて腰に手を当てました。

 

「雪蓮、なにやったんだ?」

 

「別に素直になる薬を飲ませただけよ♪」

 

「……」

 

「どうかしましたか一刀さん?」

 

「お……」

 

「「お?」」

 

「……お前のせいか雪蓮〜〜〜〜〜っ!」

 

「きゃっ!」

 

「人聞き悪いわね〜。私は別に悪い事してないわよ」

 

「悪い事してないならなんで逃げるんだよ!」

 

「気のせいよ」

 

「今回ばかりは許さないぞ!待て〜〜〜っ!」

 

「きゃ〜〜♪一刀が襲ってくる〜〜〜♪」

 

「人聞き悪い言い方するな〜〜〜〜っ!!」

 

「行っちゃった……」

 

一刀さんは笑いながら逃げていく雪蓮さんを追いかけて行っちゃいました。

 

「ん〜〜〜〜っ!なんだかスッキリした気分だな♪」

 

伸びをして空を見上げる。空は雲ひとつ無い晴天でした。

 

「なんだかとてもいい夢を見た気がするんだけど……〜〜〜っ」

 

なんだか思い出せないけど恥ずかしくなっちゃいました。なんでかな?

 

「桃香様、このような場所で何をしておいでなのですか?」

 

「あっ!愛紗ちゃん!あのね、私、一刀さんと!」

 

私は愛紗ちゃんに昨日の事を伝えると愛紗ちゃんはちょっと複雑そうな顔をしたけど喜んでくれた。

 

「そうだ!愛紗ちゃんも雪蓮さんから素直になる薬貰おうよ!」

 

「ええ?!」

 

「ほらほら、行くよ!」

 

「と、桃香様!そんなに引っ張らないでください!」

 

私は一刀さんと雪蓮さんが走っていった方に愛紗ちゃんの手を取って走り出した。

 

やっぱり、愛紗ちゃんとは公平な戦いがしたいし……あっ、でも、一刀さんは呉の人だから……

 

あっ!でも、約束したんだもんね。

 

私は自分の小指を見て微笑む。

 

うん、大丈夫!きっと大陸が平和になってみんなが笑える世界になったら一刀さんは蜀に遊びに来てくれるよ!

 

「がんばろうね。愛紗ちゃん!」

 

「は?な、何がですか?」

 

「色々だよ!」

 

そう、一刀さんも大陸を平和にする事もどっちも頑張るんだから!

 

-15ページ-

葉月「おとがきで〜〜〜〜っす!ども、今とてもナチュラルハイは葉月です」

 

桃香「みんな〜!こんにちわ!桃香だよ!」

 

葉月「今回は如何だったでしょうか?ちょっと壊れた桃香を書いてみようと思って書いてみたのですが」

 

桃香「はぅ〜〜。疲れたよ。葉月さん、あの薬なんだったんですか?」

 

葉月「え?……く、薬ですよ。素直になる」

 

桃香「愛紗ちゃんに聞いたらそんな薬ないって言われましたよ?」

 

葉月「……さぁて!みなさんは分かっていると思うのであえてここでは言いません!」

 

桃香「え〜、それって酷いです!教えてくださいよ〜」

 

葉月「だめです!教えたら私の命に関わります!」

 

桃香「なんでですか?」

 

葉月「私の後ろで虎視眈々と狙っているお人が居るからです」

 

桃香「後ろ?……あっ、雪蓮さんだ!雪蓮さ〜〜〜ん!雪蓮さんもこっち「だぁ〜〜〜!よ、呼ばないでください!」ふがふがっ?!」

 

雪蓮「はぁ〜い。呼んだかしら?」

 

葉月「誰も呼んでま「あなたには聞いて無いわよ」……」

 

桃香「雪蓮さん、あの薬は本当は何なんですか?愛紗ちゃんはそんな薬は無いって言ってましたけど」

 

葉月「もう正直に話し「そう、知られてしまったのね……」あ、あの私の話聞いてますか?」

 

雪蓮「あの薬はね。本当は素直になる薬じゃないのよ」

 

桃香「ええ?!そ、それじゃ何なんですか?」

 

雪蓮「あれはね……」

 

桃香「あれは?」

 

雪蓮「あれは……眠くなる薬だったのよ」

 

桃香「へ?」

 

葉月「は?違うでしょ雪蓮。あれ「そう!あれは催眠薬!」……そんなこと信じるわけが……」

 

桃香「そ、そうだったんですか?!」

 

葉月「信じたぁ?!」

 

雪蓮「そうなのよ。桃香、あなた急に眠くならなかった?」

 

桃香「っ!た、確かに一刀さんのお布団に横になったら急に眠たく……」

 

葉月「はぁ、勝手に話しててください。こっちは締めにはいりますか「そうは行かないわよ!桃香!」「は、はい!葉月さんごめんなさい!」ちょ!」

 

雪蓮「ふぅ、これで暫くは私とあなたの独壇場よ」

 

葉月「ん〜っ!んんっ!!」

 

桃香「で、でもよかったですか?」

 

雪蓮「いいのいいの。ほら、桃香、次回の予告やっちゃうわよ」

 

桃香「は、はい!……えっと、次回は誰なんですか?」

 

雪蓮「……」

 

桃香「……」

 

雪蓮「た、たしか残っているのは私と愛紗と管輅だったわね。私は一番最後ってこの駄作者が言ってたから愛紗か管輅なんじゃない?」

 

桃香「そっか〜、これでやっと愛紗ちゃんも一刀さんにキスしてもらえるんだね!」

 

雪蓮「まあ、そうなるわね……私も早く出番が来て欲しいものね……は・づ・き?」

 

葉月「む〜〜っ!むんっ!むっむ〜〜〜〜!」

 

雪蓮「なに言ってるかわかんな〜〜〜い♪」

 

桃香「あは、あはははは……」

 

雪蓮「それじゃみんな!次回も楽しみに待っててね!」

 

桃香「あ、あの!愛紗ちゃんをこれからもよろしくおねがいします!」

 

雪蓮「桃香、それじゃ締めの挨拶になってないわよ……」

 

桃香「えええぇぇぇ?!えっと、えっと……あっ!次回も見てくれるかな?!」

 

雪蓮「それ言っちゃダメでしょ!」

 

桃香「ふぇぇぇえええん!それじゃなんていえばいいんですか〜」

 

雪蓮「普通に言えばいいじゃない。それじゃみんな!またね〜〜♪」

 

桃香「み、みなさんまた次回に会いましょうね〜〜〜!……こ、これでいいんですか?」

 

雪蓮「うん!上出来♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

葉月「ん〜〜〜〜〜〜〜っ!!!!(わ、私を縛ったまま放置しないで〜〜〜〜〜っ!!)」

説明
二週間ぶり?になります。
年末はホント忙しいですね。
私も仕事が段々と忙しく……
さ、さて、こんな暗い話は置いといて。

今回はアフター第4弾です!
前回お伝えしたとおり?今回のお話は桃香です。

何分、忙しい中書いているので支離滅裂になっちゃっているかもしれませんが、生温かく見てください。

では、お楽しみください。

2010/12/05:誤字修正
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コメント
氷屋様>そこが蓮華のいいところじゃないですか。蓮華はかまってちゃんですからね。(葉月)
蓮華、さりげに本音でてるよwww(氷屋)
瓜月様>桃香の周りはいつだってお花が満開なんですよw(葉月)
Nyao様>誤字報告ありがとうございます。羨ましいですけど一刀みたいな生活していると身がもちそうに無いですよね(葉月)
1p:生き生き → 活き活き?、2p:御浮かべて着いてきてくれていました。 → 浮かべてついて来てくれていました。、なりぱなし → 鳴りっぱなし、5p:まだから? → まだかな?、繋いで → 繋いでいると、8p:落ちこまに → 落ち込まない、10p:生めば → 産めば、12p:抱きしめれて → 抱きしめて。相変わらず一刀はうらやま・・・ry もげてしまぇ!(ノ▽`)(Nyao)
320i様>酔った桃香は通常時以上に甘ったれな気がしますよね。華琳はいつでも素直になれない娘ですw(葉月)
mighty様>悶え苦しんでください!私は管輅とかの話しを考えるのにもがき苦しんでいますから!(葉月)
よーぜふ様>優未は蜀で言うと蒲公英と性格が似ているかもしれませんね。小悪魔的性格といったところでw(葉月)
tom様>そうかもしれませんね。もて過ぎるとかまってもらえない娘がそのうち後ろから、ブスリっと……うん、一刀はもげたほうがいいですね(葉月)
2828様>ふっふっふ、それは秘密ですよ。まあ、華琳は飲みすぎると絡み酒をしそうなキャラですからね。独断と偏見ですが(葉月)
紫電様>そうですね魏√の最後で華琳に絡んでいますから相当弱いと思いますね(葉月)
東方武神様>誤字報告ありがとうございます。桃香はどじっ娘ですが癒しキャラでもありますからね。そこがいいのか?(葉月)
ほわちゃーなマリア様>ほわちゃーなマリア様までもが雪蓮のお縄に!ぎ、犠牲者が増えていく?!(葉月)
砂のお城様>誤字報告ありがとうございます。桃香は甘えん坊ですからこれくらいしないと魅力を引き出せないかなと思いましてw(葉月)
たっちゃん様>ああっ!たっちゃん様までお縄に!(葉月)
無双様>それでこそ一刀です!リアルに居たらぶん殴りたいですけどねw(葉月)
poyy様>そんなに甘いですかね?いや、甘いかw(葉月)
あ、甘過ぎる!!そして桃香特有のぽわぁ〜んとした可愛さでさらにドォ〜〜ン!!葉月さん、自分を悶え狂わせる気ですか!?そして優未の可愛さは相変わらずっぷり♪今回もありがとです♪ 早く、管輅を(ボソッ(mighty)
甘かわですねぇ・・・はっはっ。 でも個人的には優未さんのほうが可愛かったりw(よーぜふ)
甘いですねえ。とっても楽しめました。 しかし、時と場所も選ばず無差別に女の子を寄せてしまう種馬スキルも、ある意味不幸体質なんでしょうかw  ち○こモゲろ(tom)
5pもって買える→もって帰る9p持てる男→もてる男 雪蓮華琳に襲われた?w(2828)
P5の買える→帰るでは?&P15の聞いた→聞いてでは?・・・それにしても桃香の純粋な性格は何度見ても癒されますな〜♪(東方武神)
葉月様!今助けに参ります!!うおおおおおお!!・・・・・ぎゃああああああ!!(ほわちゃーなマリア)
葉月さん!今助け…(たっちゃん)
sweeeeeeet!! さすが一刀ww(無双)
甘い。何がとは言わないが甘い。(poyy)
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