真・恋姫†無双〜天より来たりし戦士〜 第7話 |
一刀は城に連行された。
このまま牢屋にでも入れられるのでは。と考えていた一刀だったが、連れて行かれた先は城内のとある部屋だった。
といっても、特に特別な部屋というわけではなく、何の変哲もない『普通』の部屋。
「座れ。」と促されたので、一刀はライフルを椅子に立て掛け、不良の如く乱雑に座り込む。
そして、孫権は向かいの椅子に、上品な感じで座る。甘寧は、その横で無言で立っている。
「さて、まずは自己紹介から。我が名は孫権、字は仲謀だ。こちらは――」
「甘寧。だろ?さっき、本人が俺の首を絞めながら教えてくれたよ。俺は北郷一刀、字は無い。」
「(字が無いとは珍しい・・・・・。)」
字が無いことに少し驚きつつも、孫権は真剣な面持ちで一刀に問いかける。
「北郷。あの時、なぜ逃げたのだ??お前が『天の御使い』だからか??」
孫権の真剣な眼差しを見た一刀は、無表情で語り出す。
「逃げねぇと、あのデカブツと同様に甘寧と戦うハメになる。だから逃げた。」
「ふん、怖いのか。」
一刀の言葉を聞き、甘寧は蔑むような目で彼を見る。
「んだよ。俺の勝手だろ??」
その時、孫権がある事に気づいた。
「北郷、お前・・・・・武器は携行しておらんようだが、体術使いか??」
孫権の言う『武器』というのは、刀剣や弓といった『この世界の武器』のことだろう。
一刀はMP7を手に取る。
「こいつが、俺の武器の一つだ。」
「・・・・・それが??」
孫権はMP7をジッと見つめ、観察する。
「刃はついてないし、殴打するにしてもイマイチ使い勝手が悪そうだが??」
「まぁ、そうだな。」
一刀は、銃口を孫権に向ける。
だが、孫権と甘寧は『銃』という兵器の存在すら知らないので、一刀の行動に疑問を浮かべるだけ。
「まずは狙いを定めて、ここの『引き金』ってのをを引くと―――」
《タァン!!》
「え?」
「狙った先に向かって、小さな弾丸が飛んでいき、何でもかんでも『ぶっ壊す』。」
「な・・・!貴様、何をした!!」
「うしろ見てみ??」
弾は孫権の左頬スレスレを飛んで、壁に張り付いていた『黒い物体』を撃墜、そして壁を貫通した。
「ひっ!?」
孫権は、床に落下した『黒い物体』に恐怖した。
だが、甘寧は別の所で恐怖した。
「一瞬で壁に穴を・・・・・??」
見えなかった。否、それ以前に反応できなかった。
自分が反応できないほど高速で、且つ壁に穴をあける程の威力。
それが、自分が仕える主人に向けられて飛んできていたら??
そして、甘寧はさっきの一刀の言葉を独自に解釈し直した。
『逃げねぇと、あのデカブツと同様に甘寧と戦うハメになる。[殺意も抱いてない女の子を殺してみろ、客観的に正当性が無い俺はただの『殺人者』だ。]だから逃げた。』
そして、疑問も生まれた。
あの逃走の最中、例えば屋根で一刀の首を絞めたあの時、あの時なら正当防衛として、誰にも見られることなく殺せたのでは??
そもそも、どうして追っ手である孫権を助けたのだ??
「(こいつは一体・・・・・・??)」
甘寧を恐怖と疑問の渦中に陥れていることに気付くはずも無い一刀は、呆れ顔になってMP7をしまう。
「ちゃんと掃除しろよ?キレイにしねぇからゴキ―――」
「わあぁーっ!!わぁあーっ!!わぁぁーっ!!」
「蓮華さま!?」
孫権が急に耳を塞いで叫びだしたので、一刀は「は?」と首を傾げ、現実に引き戻された甘寧は少しアタフタする。
「そ、その名前を言うなっ!!!!」
「は?名前??あ、ゴキブ―――」
「わあぁーっ!!わぁあーっ!!わぁぁーっ!!」
「れ、蓮華さま、落ち着いてください。ただの虫です。それにもう死んでます。」
「そ、そうだな・・・・。」
「でもよ、『一匹出たら、あと二十匹くらいいる』って言うよな。」
一刀の言葉に硬直する孫権。
「蓮華さま!?」
「おい、大丈夫か??」
「あんなのが・・・・・まだ二十匹も・・・・・・(ブツブツ)」
「貴様が余計な事を言うから・・・・・・♯」
一刀は甘寧の怒りに怯える様子もなく、むしろ面白がっている。
「なぁなぁ、甘寧はゴキ―――「その名を言うな!!(by孫権)」―――・・・・あー、アレ大丈夫なの??」
「あの程度で取り乱しはせん。」
「つまんね。」
「・・・・何がだ??」
その後、平静を取り戻した孫権の提案で、庭に向かうことになった一刀達。
庭の一角に、お茶会用だろうか、木製のテーブルと複数の椅子が設置されているのだ。
そこに到着した一刀達は、話の続きを再会する。
「では、話の続きを・・・・。さっきのアレが北郷の武器ということだが、あのようなものは見たことがない。」
「コイツは『俺のいた世界』の兵器だからな。」
「『俺のいた世界』??・・・・ということは、お前が『天の御使い』なのか!?」
一刀は「あー・・・」と唸りながら頭をガシガシと掻き毟る。
「・・・・・俺が現状でちゃんと理解しているのは、『俺はこの世界の人間ではない』という事、そんで俺は『戦う』ためにこの世界に来たという事、それくらいだ。『天の御使い』とかはよくわかんねぇけど、該当してる部分もある。」
「『戦う』って、何と戦うの??」
「わかんね。」
一刀は庭の緑豊かな風景を眺める。
「けどよ、この国は、国民を救っていない。『無法地帯』もいいとこだ。」
「・・・・そうだな。」
「一人の女の子が笑顔で言ったんだよ。『天は私達を見捨てなかった。』って。つまり、その子にとって、いや、この時世に苦しめられてる人にとって、俺は『希望』なんだ。」
一刀は視線を孫権の方へ戻す。
「だから俺は、俺の届く範囲だけでも、無為に傷つけられる人達を救う。救うために、護るために、俺は戦う。」
「あ・・・」
「(む・・・)」
孫権と甘寧は、一刀の漆黒の瞳に、ほんの一瞬だが『焔』が宿っているのに気づいた。
そして、孫権は一呼吸し、口を開いた。
「だが・・・・・それだと限界がある。一人だと、本当に少しの人達しか救えないわ。」
「ああ、そうだな。」
「だが、我々孫呉が協力すれば、事態は変わるわ。」
「あ?」
「我々が援助する。その代わり、私の下で働いて欲しい。」
孫権の真剣な眼差しが、一刀の真っ黒な瞳を捉える。
「俺の利益は??」
「孫呉からの援助。あと、生活の保障。」
「俺の負担は??」
「孫呉独立への参加。これが成功すれば、さらに江東一帯の治安を保障する。」
「つまり、孫呉独立が、局地的であるにしろ乱世終結につながる、と。」
「そうだ。」
一刀は、フッ。と微笑み、テーブルの上に何かを置いた。
「コレは??」
「認識票だ。本来は死んだ時に回収するモンだが、契約の証として一枚、お前に預ける。」
「そうか。なら、お前には私の真名を預けよう。」
「蓮華さま!?」
「いいのか?」
「ええ。私の真名は『蓮華』。この真名を、お前に預ける。」
本来、死んだとき以外で他人が持つことを許されない認識票、通称『DOG TAG』。
そして、認められた人間以外が呼ぶことを許されない『真名』。
これらの交換は、『互いを信頼している』ことを証明するかのようだった。
説明 | ||
もうすぐ期末テストなんで、しばらく投稿できません。 気長に待ってくれると嬉しいです。 |
||
総閲覧数 | 閲覧ユーザー | 支援 |
3925 | 3120 | 37 |
コメント | ||
ふむ…今更な事ですが…Gの事をこの時代…ゴk『わあぁーっ!!わぁあーっ!!わぁぁーっ!!』…とは言わないかと記憶していますが…まぁ、良いんでしょうかね?^^;(kyou) ドッグタグ・・・かっこええ(森羅) ドッグタグ・・・あ〜あの兵隊が首に掛けてる文字入りの首飾りみたいなものか・・・あれってそんなルールがあったんだ!?(スターダスト) ぶっちゃけ一刀銃がなかったらどれぐらい強いんだろ?(poyy) ほほぅ・・・ドッグタグが真名かわりですか・・・渋いですねぇ。(よーぜふ) |
||
タグ | ||
真・恋姫†無双 二次創作 キャラ崩壊 | ||
マーチさんの作品一覧 |
MY メニュー |
ログイン
ログインするとコレクションと支援ができます。 |
(c)2018 - tinamini.com |