偽物?
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「あの……ね、お兄ちゃん……」

「…………」

「お兄ちゃん? 聞いてる?」

「あ、ああ。聞いてる」

 これは夢か何かだろうか。

 妹の桐乃が俺の事を『お兄ちゃん』と呼んでいる。

 その何がおかしいって? まぁ、普通の兄妹なら何の問題も無いだろう。

 だがコイツはあの桐乃だ。

 機嫌が良い時は兄貴と呼んでくれるが普段は、『あんた』や『ねぇ』、『キモイ』等など

実に酷い呼び名ばかりなんだ。

 その桐乃が俺に対して『お兄ちゃん』って呼んだんだぞ! 夢かどうか疑ってしまうだろ。

「それでね、お兄ちゃんにお願いがあるんだけど」

「な、何だ?」

「こ、今度あたしとデートして欲しいんだけど……」

「なっ!? で、デートだと!?」

 お、おお、俺と桐乃がデート!? そ、そんなの無理に決まってんだろ!

 つーか、デートとか恋人のふりとかもう勘弁してくれよ。

「べ、別に恋人のふりとかしなくていいから、兄と妹としてでいいからデートして欲しいの!」

「―――――――っ!」

 こ、コイツ……本気で言ってるのか?

 桐乃がこんな事を……はっ!?

 読めたぞ! これは――

「桐乃! お前、偽物だな!」

「……は?」

 そうだ。そうに違いない。俺の知っている高坂桐乃はこんな事を言う奴じゃないからな。

 この桐乃は誰かが用意した偽物とみた!

「はは……俺を騙そうだなんて考えが甘かったな!」

 俺を騙すなら桐乃以外の人間を使うべきだったな。

「……ねぇ、それ本気で言ってんの?」

「ん? ああ」

 超本気ですよ。

「――チッ! 何なのよあんたは! このあたしが偽物なわけないでしょ! てか、あたしが

あんたの事を『お兄ちゃん』って呼んでお願いとかしたら変だって言うの?」

「あ、や、でも――」

 変な呼び方してたし、雰囲気も普段と違ってたし……

「マジでバカなんじゃない! 死ね!」

 こ、コイツ……言いたい放題言いやがって……

 でも――

 

「ああ。やっぱりこれだよな……」

 桐乃と言えばこのキツイ言葉だよな。

 これでこそ高坂桐乃だよ。

「うわ……キモッ」

 軽蔑の眼差しで俺を見る桐乃。

 俺はこれが――――――はっ!?

 

 い、いや……違う! 俺はキツクされて喜ぶような変態なんかじゃないんだ。

 ドMの変態なんかじゃ……ないよ……な?

 

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桐乃たん……ぺろぺろ
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俺の妹がこんなに可愛いわけがない 桐乃 高坂京介 

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