明久とアキちゃんと…… |
逃げる。
風のように素早く僕は逃げる。
え? 何から逃げているのかって? それは――
「あはっ♪ あははっ♪ 明久君……いえ、アキちゃん。どうして逃げるんですか?」
「ふふっ。うちから逃げるなんていい度胸じゃない」
「……アキちゃんの写真。高く売れる」
この危険な奴等から逃げるためだよ!
「クソッ! どうしてこんなことに……」
初めは姫路さんの謎の言動から始まったんだ……
“「明久君。お願いがあるんですけど」
「何? 僕で出来る事ならいいんだけど」
いくら姫路さんの頼み事でも僕に出来ない事なら無理だからね。
「大丈夫ですよ。これは明久君にしか出来ませんから」
「僕にしか……」
その言葉はとても嬉しいような、何か嫌な予感がするような。
そんな響きで……その予感は実に正しかったんだ。
「明久君……似合いますよ」
「ど、どうしてこうなった!?」
服を渡された時点で気付くべきだったのに、僕はなんて愚か者なんだろうか。
「はぁ……アキちゃん。素敵です♪」
恍惚の表情を浮かべる姫路さん。
これは、非常にマズイ。何か危険なスイッチが入ってる気がする。
「よし、逃げよ――っ!?」
「きゃっ!?」
逃げようとした瞬間誰かにぶつかった。
「ご、ごめんっ」
「い、痛ったー! 何よもう……って、アキ?」
マズイ。美波だ。この状況で美波に見つかるのはマズイ。
逃げなければ……
「ほ、本当にごめんっ!」
「あ、ちょっ、待ちなさいよ!」
制止をかける美波を無視して僕はここから逃げる。
クソッ! なんで僕がこんな目に合わなくちゃいけないんだろう。
逃げながら僕は考える。
どうして僕が不幸な目に合わないといけないのか。
こういうのは、雄二の役目なのに。”
「明久君。待って下さいよぉ」
「アキ〜逃げるなんて許さないわよ!」
「……写真」
あーもうっ! 何で皆こんなにも足が速いんだよ。
姫路さんなんて、明らかに普段より速くなってるよね。
それに、ムッツリーニなんていつの間に出てきたんだよ。
エロのためなら、何処にでも出てくるなぁ。
なんて感心してる場合じゃなくて、逃げる事を考えなければいけないよね。
ど、どうすれば……
「明久。こっちだ」
「ゆ、雄二」
さすが雄二。僕のピンチに駆けつけてくれるなんて流石だよ。
雄二の居る場所に逃げ込み、そして――
「かかったな。バカ明久め」
雄二に拘束され……え?
「なっ!? 雄二! 僕を裏切るのか!?」
「裏切るもなにも、初めから友情を結んだ覚えがないな」
「クソッ――!」
雄二を信じた僕がバカだった。こんなクソ野郎を信じるなんて、愚かにも程がある。
「はぁ。はぁ。明久君。覚悟はいいですか?」
「ひ、姫路さんっ!?」
「アキ。死ぬ覚悟はしてるわよね?」
「美波まで……」
終わった。僕の人生はここで終わるんだ。
「……アキちゃんの写真。大量にゲット」
何という恥辱を……ムッツリーニーめぇぇぇぇぇぇぇ!
「「「さぁ、覚悟」」」
「う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
三人が一斉に僕に襲い掛かる。
正直あの時の事は思い出したくない。
あれは、本当に地獄だったんだ……
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バカテスで、ただただバカなお話です。 久しぶりにこんな話を書きましたね。 |
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