魏乃章 曹真伝 |
曹真
幼いころ父親を失った後、曹操に父(母ではない)代わりで育てられたため、曹操を親のように慕っている。
曹操を含めた天下の人材をすぐ側で見てきたため、自分を無能だと思い込んでいる。
しかし、宗族として重責を担うので、それを補おうと周りの才人(性格に難があっても)を受け入れる器量を持っている。
ちょっとポッチャリ、趣味は狩り(ダイエット半分)
『わ、わたし・・太ってるし』
※魏エンドで華琳と結婚直前とのご都合設定です。
三国同盟成立以降、幾度の苦難はあったが一応の平穏が保たれていた。
ただ、まったく争いがなくなったわけではない。
異民族とよばれる人々の中には略奪を糧にする人々がいる。
その人々の戦いは、後漢でも三国同盟下でも同じように続いている。
その一つが西平城を襲撃してきた。
魏はすぐさま救援軍を出し3日後には西平についた、ちなみに陣容は総大将が俺、軍師は風、現地の指揮官である曹真さん。
敵は早すぎる援軍の到達に慌てて自滅半分で討伐された。
本戦では殆んど被害はでなかったが、追撃線で深追いしすぎて曹真ちゃんが腕を負傷した。
前々から思っていたが、曹真ちゃんは指揮官なのに前に出すぎる所がある。
今回は軽症だったけど・・今後はどうなるか分からない注意しないと。
その日、俺は見舞い兼注意のため曹真ちゃんの病室を訪ねた。
「ひゃ!ほ、北郷さんどうしたの?」
「見舞いに着たんだよ」
「そ、そうなんですか・・ありがとうございますね」
「いや、いいよ・・それでどんな具合かな」
「これぐらいヘッチャらです」
そういいながら腕をブンブンさせるが。
「はぅ!!」
痛みが走ったようで・・うずくまる。
「だ、大丈夫」
「す、すみません・・調子のっちゃいました」
「気を使わないでいいよ、ゆっくりしてて」
「は、はい」
その後は雑談を交わしたが。
しばらくして俺は注意を始める。
曹真ちゃんはいい娘で、真剣に話を聞いてくれてる。
注意なんて基本いやなものだが・・彼女は真摯に受け入れ同じ誤りをしないようにしている。
ただ・・俺の「死んだら元もこうも無いよ」との言葉には珍しく口を挟んできた。
「で、でも・・わたしは無能だから死ぬぐらい頑張らないと」
「そんな事ないよ、曹真ちゃんは有能だと思うよ」
「そ、そんな事ありませんよ・・惇様のように武勇ないし、風様のような才もないし」
「比較対象が悪いよ・・あれは別格」
「で、でも」
「なによりも華琳は無能な人を将軍なんかにしないよ」
「わ、私は曹操様の親戚だから」
「本気でそう思ってる・・あの華琳が血を気にするなんて」
「そ、それは」
「曹真ちゃんはもっと自信を持っていいよ。華琳も認めてるし、頼りないけど俺も曹真ちゃんの将才を認めてる」
「そ、そんな頼りないなんて!北郷さんに認められるなんて恐れ多いですよ」
「なら・・自信を持って、そして自分を大切にしてね」
「は、はい」
「それに曹真ちゃんみたいな可愛い娘を傷物にしたら・・華琳に殺されちゃうよ」
「そ、そんな・・可愛いなんて嘘は駄目ですよ!」
顔を赤らめながら曹真ちゃんが全力で否定する。
「嘘じゃないよ」
「わ、わたし・・太ってますし」
「大丈夫、そんなに太ってないよ」
「・・そんなにってことは多少は太ってると思ってるんですね」
「うっ・・ご、ごめん誤解させる言い方だったよ」
「そ、そんな謝らないでください・・わ、私こそ言葉尻を捉えてすみません」
「・・曹真ちゃんはほんといい娘だね」
俺の周りの女性たちが些細な言葉すら脅しの材料にするのに比べれば、彼女は女神のようだ。
「北郷さんこそ・・、ほんとに優しいです人ですね」
そういいながら顔を赤める。
俺と曹真ちゃんの間に変な雰囲気が流れる。
・・嬉しいんだけど、後が怖い雰囲気になってきてないか。
そんな俺の思いに気づかずに、曹真ちゃんが言葉を発する。
「ほ、北郷さんは私みたいな普通の女の子って嫌い」
「いえ!!普通を切望してます!!」
個性的過ぎる周囲に囲まれてるため、普通の素晴らしさを俺は知る、そしてすごく求めていた。
「そ、そうなんだ」
そういった後、曹真ちゃんは覚悟を決めた顔で俺を見る。
瞬間俺には寒気が走る・・な、なんでだろう。
華琳に「また女を作ったの!!」と言われながらボコボコにされる気がしてきた。
え・・ええとー、とにかく曹真ちゃんを止めよう。
そう思ったが遅かった・・曹真ちゃんの口が動き出す。
「お、お父さん!!!」
「へっ?」
発せられたのは俺の予想を裏切る発言だった。
「あ、あう〜すみません!!」
「い、いや・・なんでお父さん?」
「わ、わたし勝手にだけど・・曹操様の事を親みたいに思ってるんです」
ああ・・たしか曹真ちゃんは華琳が親代わりになって育てたんだよな。
「北郷さんは、その曹操様の伴侶だし優しいし・・だからお父さんって呼びたいなーって」
恥ずかしいらしく、顔を赤らめながらも言葉を続ける。
「だ、駄目ですか?」
子犬のようにすがる目、・・うん!断るのは無理だ。
「う、うん・・いいよ」
「あ、ありがとう!お、お父さん・・えへへ〜♪」
北郷一刀・・・妻なし子持ちになりました。
「(お父さんっか・・デヘへへ)」
あと・・・ちょっと鬼父にもなりました。