真・恋姫無双 夜の王 第37話
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この作品の一刀は、性格、武力ともに原作とは異なっています。

 

また、一部キャラを否定する場面もございます。

 

ご理解をお願いいたします。

 

まだまだ誤字、脱字や分かりにくい表現などもあると思いますが、

 

こんな自分の作品でも楽しんでいただけたら幸いです。

 

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注意

 

対蜀編(前の話)とは雰囲気が違います

 

話の流れが速いように感じるかもしれません

 

それでもいい方は進んでください

 

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一刀「、、、、」 カリカリ

翆 「ふむ、、うーん、なるほど」

獅堂「、、、、う、、ぐ、、が、、」 カ リカ リ

 

蜀との戦争から数日後、

 

 

俺が執務をこなす横で翆は興味深かそうに風が麗羽用に書いた資料

 

(天の内政や法律についての内容を細切れにしてかみ砕き、粉砕機にかけた上でぬるま湯に付けた

と言う位分かりやすく書かれた。ここまで来ると風が麗羽に特殊な感情を持ってるんじゃないかと勘違いしてしまうモノ)を眺めている

 

 

一方獅堂は恋が 『これ、、、やれ』 と言って押しつけて行った音々の作った恋用報告書

 

(概要や面倒な文書は全て消し飛ばし、さらに砂糖の上に蜂蜜を塗るかのごとく易しい配慮の末、もはややることが○か×を書くだけと言う。完全に特殊な感情をいだいてるよなあ、間違えなく。と確信できるモノ)をこめかみをピクピクさせ、苦しみをあげながらやっている

 

 

というか、此処までやって貰ってもなお仕事を押し付ける恋には呆れを通りこして感心してしまう

しかもそれを、一蝶や逆狗じゃなく獅堂に押し付けるあたりは感動を覚える

 

 

そう言う訳で今、俺の執務室には俺と獅堂、そして翆が居る。簡単に説明すると、

親を殺された少女→仇の男→その主が一緒の部屋に居る訳だ。すごいだろ?普通なら修羅場一直線だ

普通その組み合わせは有り得ない。鰻と梅干ぐらい有り得ない。または天麩羅とスイカ

まあ、この状況を作ったのは俺なんだが

 

 

獅堂「ぐがあああ!もう無理、やってらんねえ、頭が割れる、、」

 

ついに我慢の限界に達した獅堂が叫びをあげて立ち上がった

 

その声に びっく と小さく反応した翆がかなり可愛かった。無性に苛めたくなる

 

一刀「獅堂、うるさい。翆が怯えてるだろ」

 

手を止めて、獅堂に注意をする

翆を苛めて良いのは俺だけだ、他の奴がやるのは許せない。身勝手?知ったことか

 

獅堂「何で俺がこんなことしてんだ。赤髪の奴、今度蹴りいれてやる」

一刀「恋が居ないんだ、なら軍部の代表は筆頭武将のお前だろう」

 

獅堂の真っ当な疑問に俺も真っ当な答えを返す。獅堂はこめかみを引き攣らせていた

後、蹴りいれるのはやめておけ、返り討ちに会うだけだ

 

一刀「それに読み物をしてる者も居るんだ、静かにしろ」

 

そう言うと、獅堂は部屋に入って初めて翆を見る。翆もまた本から顔を上げ、獅堂を見る

 

獅堂「、、、、、、、」

翆 「、、、、、、、、」

 

どちらともなく、お互いに顔を逸らし、部屋に重い空気が訪れた

そんな中、獅堂は何か思いついたのか、完全にチンピラの様な笑みを浮かべながら翆を指差した

 

獅堂「て言うかよう、こいつが降ったんなら筆頭武将はこいつだろ。強えんだし」

 

なんだ、そのしてやったり顔は?そこまで書類仕事が嫌いか?そんなに嫌か、筆頭武将?

 

翆「何言ってんだよ。その、私はまだこの国のこと良く解ってないし、そんなの無理だ」

 

至極真っ当な反論を返す翆に獅堂は 「そんなん知るか、ばーか」 と返す。病気かこの馬鹿は?

 

 

怒りを堪えながら、翆は俺に目線で助けを求めてくる

怒りを堪えているからか、目に少し涙を溜めているのが可愛くて

もしここで助け無かったら面白いことになるかな?という欲望を抑えながら助け船をだす

 

一刀「翆の言うとうりだ。それに、俺は誰が仲間になろうと筆頭武将はずっとお前だと思っている」

 

そう言うと獅堂は照れたのか怒ったのか分からない表情で舌打ちをしながら顔をそむけた

 

 

獅堂は仕事を再開し、俺も手を動かし始めた。そんな時、翆は本から頭を上げ呟いた

 

翆「なあ、一刀。もしかしてお前、意図的に私と興Uを会わせてるのか?」

 

俺は手を止めて翆を見ながら真剣な顔で返す

 

一刀「どうしてそう思う?」

翆 「だってさ、昨日だって食事に誘われて行ったらその、居たし。今日だって、」

 

バレたか、、、まあ、当然だよな。俺はため息をつく

すると獅堂が睨むようにしながら会話に入って来た

 

獅堂「同感だな。テメー、何考えてんだ?」

 

獅堂の言葉に翆も頷きながら俺に真剣な眼差しを送る

何を考えているか?少し考えれば分かるだろう。口で言わねば分からんのか、こいつらは

 

 

一刀「 ふう 」

 

俺は一呼吸を置いてから真剣な眼差しで獅堂の瞳を覗き込み

 

一刀「俺はな、獅堂。今まで付いて来てくれたお前を大切な仲間だと、友達だと思ってる」

獅堂「うなっ、いきなりなんだよ、、その、ふざけたこと言うなよな、、カスが」

 

その言葉が以外だったのか妙な奇声を発したと思ったら顔を逸らし、力のない罵倒を浴びせる

何時ものような棘のないそれが印象的だった

そんな獅堂の反応に少し喜びを覚えながら、名残惜しいが翆に眼を移す

 

一刀「翆、」

翆 「なっなんだ」

 

声をかけられるとは思わなかったのか、少し慌てて返事をしてくる

 

一刀「俺はお前が好きだ。愛していると言ってもいい」

翆 「へ、、、なな、ななああああ!なっなんだよ、突然変なこと。すっ好きって、その」

 

沈黙をしていた翆は言葉を理解した瞬間、眼を丸く見開いて、真っ赤になった

 

 

そうして、顔を背ける獅堂とチラチラと見て来る翆を見ながら説明を始める

 

一刀「俺は二人とも大切だと思ってる。だから、二人が避け合ってるのは嫌だった。それがお前達を故意に会わせようとする理由だよ」

翆 「、、、、、、」

獅堂「、、、、、」

 

言い終わる頃には、顔を背けていた獅堂も、伏せぎみだった翆も俺の瞳を見ていてくれていた

 

一刀「許せなんて言わない、謝れとも言わない。けど、分かりあってくれないか?」

 

そう言うと、獅堂は舌打ちしらがら小さい声で呟く

 

獅堂「、、、獅堂だ」 ボソッ

翆 「、、、え?」

 

獅堂「俺の真名だ、わかんだろ。たっく」

 

獅堂は顔を逸らしながら、何時もとは比べ物にならないくらい小さい声そう言う

 

翆 「そっそうか、、私は、、翆だ」

獅堂「知ってるよ。ばーか」

 

そう言って途中の報告書を置いて、獅堂は部屋を後にしていった

 

 

そんな姿を見送りながら

 

一刀「口は悪いが、悪い奴じゃないんだよ」

翆 「みたいだな」

 

俺達は笑い合っていた

 

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翆と獅堂の和解から数日

 

その日の軍議は険悪な雰囲気に包まれていた。

 

何時もなら俺の横に居る麗羽が対立するように正面に立ち、玉座に座る俺を見上げている。

また、それに連なる様に風、音々、逆狗、斗詩が後ろに控える

 

俺の横には恋は眠そうに、獅堂は欠伸をしながら、一蝶は苦笑いを浮かべながら控えている。

その他、明命や翆達はオロオロしながら様子を窺っている

 

 

一刀「まるでクーデター見たいだな」  ボソッ

 

 

一見すると暴政を退く君主に部下が力を合わせて立ちあがっているように見えなくもない。

なるほどな、そうなると俺が残虐君主、獅堂や一蝶が片腕で、恋は情婦ってとこか?

そう思い視線を横に向ければ、映るのは恋の寝顔。訂正、情婦じゃなくてペットだな

 

 

麗羽「一刀さん、聞いてますの!」

一刀「ああ、聞いてるよ」

 

よそ見をしている俺の耳に麗羽の怒鳴り声が響く。

聞いてなかったとは言えないから、適当に相槌を打ったが

風にはばれてるな、宝ャと共に睨んでくる

 

麗羽「それで、考えを変える気はありませんの」

 

腕を組み、眼に力を入れながら睨んでくる、一時とはいえ河北四州を納めただけはあるな。

華琳にまでは及ばないが確かな覇気を感じられる。覇気に当てられ周りの兵士達は怯えている

 

一刀「無論だ。劉備達の処刑など、行う気はない」

 

麗羽達の言っていることは分かる。

あそこまで天に敵対していた国の重鎮達を罰しもせずに生かすんだ。

反乱分子を飼っている程度の話じゃない

 

麗羽「一刀さん、貴方、馬鹿ですの?」

 

王である俺に、公衆の面前で馬鹿呼ばわりか。周りのざわめきに反して、俺は笑みを浮かべる

自分の言っていることが間違ってはいない。そう信じられるからの発言

昔のお前からしたら自分より位の上の者への反抗など考えられなかったんだが

 

一刀「麗羽、その成長嬉しく思うぞ。そうか、火種は完全に消せと?」

 

その言葉に麗羽は無言で頷く。そして麗羽の横に居た風が眉を顰めながら口を開いた

 

風「お兄さんの遣ろうとしていることは、折角消しかけた火種に薪をくべる様なものなのです」

 

 

ああ、分かっている。知っている、理解している。

けれど、俺はもう迷わない。自分の生きたいように、歩みたい道を行く。

風の考えは認め、それでも賛同しない自分に苦笑を浮かべながら、言葉を紡ぐ

 

一刀「敵には死を与えよう。欠片の慈悲を与えない。だが、敗者は敵じゃない。ならば、慈しもう。言っただろう、俺は全てを手に入れると」

 

麗羽「なら、一刀さん。それが貴方の、、」

 

一刀「ああ、大義だ」

 

その言葉に周りは静まりかえる。

獅堂と猪々子、小蓮は笑みを浮かべ。明命と斗詩、翆は驚き。恋と音々、逆狗は俺を見つめる。

 

そして、麗羽は

 

麗羽「おーほっほっほ、なるほど、そうですの。なら、もう私は何も言えませんわ」

 

そう言い、満面の笑みを浮かべていた

 

 

一刀「さて、納得がいったなら、本題を話し合おうか」

 

そう言い、視線を獅堂に向ければ苦笑しながら前へと出た

 

獅堂「分かってると思うが、今日の軍議の本題はこんな飯事じゃねえ」

 

事前に話していなかった部下たちは少し、驚きの表情を浮かべながら耳を傾けている

 

獅堂「俺達天は、君主の命の元、洛陽に向かう」

 

普段の獅堂からは考えられぬほど静かに放たれた言葉に、驚きは驚愕に変わる

 

斗詩「え、どうして、、」

獅堂「どうして?簡単だ。洛陽で天座に座ってるガキを蹴落として、一刀がそこに座る」

一蝶「そして、400年続いた漢王朝は完全に途絶え。新たに黒天が成される」

 

 

   蒼天已死 黒天當立

 

 

獅堂「待ち望んだ時は来た」

一蝶「今こそ、世界は黒天に包まれるのです」

 

ざわめきが支配する場

驚き、驚愕、感嘆、迷走、あらゆる言葉が、発せられる息全てが心地よく感じる。

俺はただ笑みを浮かべ見ているだけであった

 

凪 「しかし、一刀様。覇道を唱えた華琳様も、曲がりなりにも王朝は残そうと洛陽に手は出しませんでした。そこに、手を出すと言うことは」

一刀「ああ、おそらくは天以外の全ての国が足並みを揃え向かってくるだろう。まさしく、反董卓連合の再現になる。ただ一つ違うのは、此方が勝者になると言うことだ」

 

 

一刀「風、音々、準備を。今より、天は世界への侵略を宣言する!」

 

 

  「「御意」」

 

 

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天城の混乱を抑えるために残しっていった兵を除き、天軍はほぼ全軍で洛陽への道を進んでいた

 

麗羽「まさか、私が官軍に攻め込む日が来るとは、夢にも思いませんでしたわ」

 

横に居る麗羽は空を見上げながらそう呟いていた。

当然だろう、彼女は三公を輩出した名門袁家として生まれ、名門袁家として生きてきた

故に、帝とはどうあろうとも忠義を尽くす相手、権力を握っていた人間だからこそ

思うところもあるのかもしれない。

 

一刀「最もだな、こんな真似をしてたらご先祖様に申し訳が立たないんじゃないか?」

麗羽「、、、私と美羽を破って袁家を没落させた人が何言ってますの!」

一刀「はは、俺に付いて来たこと、後悔してるか?」

麗羽「まさか、名門袁家は帝に使える忠義の徒。たとえ劉協様に刃を向けようと一刀さんが帝に成ってくれるなら問題ありませんわ。おーほっほっほ!」

 

自分勝手な論理だ。と、内心苦笑しながらこれからのことを思い描いていく。

華琳も雪蓮も優秀だ、優秀すぎるが故に思考を読むのは難しくはない。

二人なら必ず、絶対に勝利出来る勝負を仕掛けてくるはず、

このまま進んでくれれば、次の大戦で大陸での戦いは終結する。

俺が負けるにせよ、勝つにせよだ。

 

だが、今はそれより、、、、

 

一刀「なあ、麗羽。おかしいと思わないか」

麗羽「何がですの?」

一刀「なぜここまで進行しているのに漢王朝は何故動かない。防衛にあてるくらいの兵力はあるはずだが」

 

すでに道のりの5分の4は進んでいる。このままいけば、2日もしないうちに洛陽に辿り着く。それなのに、なんの問題もなく進んでいることが問題だ。

 

麗羽「そんなこと、私が知るわけありませんわ」

一刀「そうだな。逆狗、風と音々を呼んできてくれ。意見が聞きたい」

逆狗「御意」

 

漢王朝、何か考えているのか?劉協にそれだけの才があるとも思えぬし

宦官どももまた然り。

前のように腐った連中ばかりというわけじゃないだろうが、優秀な者が居るとは思えぬのだが、、

 

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視点 漢王朝 

 

漢王朝、その腐敗は凄まじい物だった。

大陸には盗賊、山賊が溢れ、民は苦しみに喘いでいる。

そう、全ては朕の責、きっと漢王朝が崩れるのは必然だった

 

そんな中でも、朕に力を貸してくれる者も居た

馬騰、そして劉備は漢王朝復興に尽力すると約束してくれた

しかしその二人も、今となっては大陸から姿を消した

 

 

誰も居なくなった王間に、最後まで朕を支えてくれた者の悲しげな声が響く

 

王允「本当にこれでよろしいのですか。このままでは御身のお命が危ううございます」

劉協「良いのだ。官軍に、天軍を抑える力はもう無い。これ以上、朕の我が儘で命を散らせたくわないのだ」

王允「しかし「もう、良いではないか、王允」、、盧植」

 

無駄に大きすぎる扉を開け、悟りを開いたように穏やかな表情を浮かべた者が入ってくる

 

盧植「それが皇帝陛下の命なのだ。最後まで、守り通そうではないか」

王允「、、、、」

盧蜀「陛下、たった今、天軍が洛陽に入りました。おそらく、真っ直ぐに此方に向かってくるでしょう」

劉協「そうか、ご苦労であった。盧植」

 

朕の言葉をさかいに、沈黙が訪れた。

盧植は達観した表情で訪れる男を待っていたが

王允は悲しげに、悔しげに顔を歪ませながら唇を噛んでいた

 

劉協「王允よ。なぜ、朕が此処に座しているか、知っておるか?」

王允「それは、、貴方様が皇帝陛下であらせるからです」

劉協「そうじゃ、朕は天子である。故に此処におるのだ」

 

言葉を紡ぐ途中で、静かすぎる宮殿に足音が響いてくるのが聞こえる

 

劉協「しかし、世では既に蒼天は死したと聞く。ならば、天を失った朕はもう、天子では無いのだ。そうであろう、王允」

王允「劉協様、、、くっ、、しかし、この王允は、最後まで、漢王朝の官でありますぞ」

 

涙を堪え、唇を噛みながら、盧植はそう言ってくれた

 

劉協「礼を言う。王允」

王允「勿体なきお言葉です」

盧植「(何故、もっと早くこの御方が皇帝に成らなかったのだ。そうして居れば、漢王朝にも明日はあったかもしれぬというのに)」

 

迫りくる足音が途絶え、王間の扉が開いて行く。

眼を向ければ、一人の男が立っていた

 

一刀「お久しぶりですね、皇帝陛下」

 

白い服に身を包んだ男は穏やかな口調でそう言うと、扉を潜り入ってくる

それに連なる様に、部下であろう者達も間へと足を踏み入れる

 

王允「貴様ら、ここが皇帝陛下の間と知っての狼藉か!」

 

王允の空しく響く声を首を振り制しながら、朕は言葉を紡ぐ

 

劉協「良い、王允。、、確かに久しいな、そなたが董卓軍に居た頃ぶりだ」

一刀「ええ、その時はろくな挨拶も出来ず、申し訳ありませんでした」

劉協「良い。それで、朕に何か用があるのであろう」

 

男が微笑を携えたまま、手を少し上にあげると

扉の外より多くの兵がなだれ込んで来た

 

凪 「全軍、包囲を!」

沙和「さっさと動くの!」

真桜「此処は決めんといかん所や!」

盧植「、、、、」

王允「くっ、、」

 

男は笑顔を崩さぬまま、

 

一刀「劉協、そこはもう、お前の居るべき場所じゃない。その座、譲り渡して貰おうか」

王允「っっ、貴様、戯言もいい加減に「良いのだ!王允!」っく、、」

劉協「もう、良いのだ。強者必衰の理、400年続いた漢も、衰える時が来たと言う事なのであろう」

 

見せてはいけぬはずの涙が、頬を伝って行く

 

一刀「貴方が賢いくて良かった。無駄な血を流さずに済む」

劉協「そうか、、鳳薦、この座は譲ろう。しかし、一つ朕と約束をして欲しい」

一刀「なんですか?」

劉協「民を、大陸を漢王朝に変わって守ると、約束してはくれぬか、、」

一刀「無論。そうせねば、愛せぬモノもありますから」

劉協「そうか、、盧植」

盧植「御意に」

 

盧植より受け取ったそれを持ち、座を離れ鳳薦の前に立つ

 

一刀「それは、、、」

劉協「伝国爾、皇帝の証だと思ってくれ。これを、そなたに託す」

 

一瞬驚きの表情を浮かべた鳳薦だが、すぐに笑みを浮かべる。

そして、何を思ったか臣下の礼を取ってくる

 

一刀「ありがたき幸せ。必ずや、天子様の御心のままに大陸を変えて見せましょう」

 

何を思ってそれをしたのかは分からぬ、もしかしたらただの皮肉だったのかもしれん。

しかし、発せられたその言葉で、朕の心は軽くなったような気がした

 

伝国爾を受け取った鳳薦はもう、朕に一瞥も無く座へ上がっていく。

続き、袁紹と呂布の二人が先ほどまで王允と盧植の居た位置へと上がっていく。

三人が座に着く頃には、朕達三人以外の者は座に向かい跪いていた

 

ああ、自分の眼を疑いたくなる。あそこは、本当に朕の居た場所なのか?

発せられる威厳も、覇気も、神々しさも、まるで違うではないか。

天が選んでいた者は、朕では無かったのだな。あの者こそが真に、天を背負う者

 

それを知った『私』は、生れて初めて膝を折っていた。

私に続き、盧植と王允も膝を折る。

その場に居る全員が、一人の男を異敬の念を向けていた

 

 

 

一刀「かつて何処かで、これほどまでに幸福だったことがあるか?」

 

 

 

誰にも、誰もに、答えを待たない問い

 

 

 

一刀「日が西より昇り、東に沈む様を見たことはあるか?」

 

 

 

意味のない空論、ありもしない現実

 

 

 

一刀「無きに有らずのなら、それは許せないだろう」

 

 

 

擦り切れた現実に満足は出来ないと

 

 

 

一刀「さあ、友よ。剣を取れ、さすれば至高の日はおのずから訪れる」

 

 

 

特別への扉、非日常への帰還

 

 

 

一刀「共に、ありえぬ平和を。日常を逸した戦い無き日を」

 

 

 

大陸の皆が望んだ明日の為

 

 

 

一刀「我が大義の途中にて、それを拾うことを約束しよう」

 

 

 

それすらも彼の者には完成ではない

 

 

 

一刀「平和の為に、汝自身を用意せよ」

 

 

 

   「「「「「「御心のままに!」」」」」」

 

 

 

一刀「黒天の為、最後の戦を迎えよ」

 

 

 

   「「「「「大義は、彼の名と元に!」」」」

 

 

 

こうして、大陸最後の戦いの為の舞台は整うのであった

 

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洛陽に入り、戦の準備に入ろうとしていた天軍に

 

小蓮「あははははははは♪」

沙和「あはははははなの」

真桜「はっはっはっはー」

 

笑い声が響いていた

 

凪 「三人とも、何故笑っているんだ?」

沙和「何って、凪ちゃん。あれを見るのー」

凪 「何かあるのか?」

 

凪が沙和の指差した方向を見ると、洛陽の民と眼が合う

 

凪 「どうも、」

 

凪がそう言い終わる前に民は慌てて逃げてしまった

 

凪 「、、、、」

真桜「見たかいな。ウチらの嫌われよう」

小蓮「シャオ達と視線が合うだけで逃げ出すんだよ。失礼しちゃうよね」

沙和「こんなのもう笑うしかないのー」

翆 「でもその、仕方ないんじゃないか」

 

近くで話を聞いていた翆はおずおずと話し始める

 

翆 「漢の都だった洛陽じゃ天国は悪い噂しか無いんだろうし」

凪 「翆様の言うとおりです。民に罪はありません」

沙和「わかってるけどー。沙和達のこと知らないのに怖がられるのは傷つくのー」

小蓮「そうだよ。シャオ達はただ罪人を野放しにして、侵略して、間違って誘拐とかしちゃってるだけなのに!」

真桜「いや、小蓮さん。それ聞くとウチら完全な悪人やで」

翆 「だな、」

凪 「はい、」

小蓮「ほえ?」

 

翆「にしても、」

 

民の様子をみて、翆は頭をかきながら

 

翆 「此処まで怖がられてたら、洛陽で籠城は難しいんじゃないのか?」

小蓮「そう言えば、音々は洛陽じゃ籠城しないって言ってたよ」

凪 「なら、虎牢関や水関での戦いになるのか?」

小蓮「うーん。分かんない、音々達も一刀もなにも教えてくれないし」

 

小蓮はプクー、と不機嫌そうに頬を膨らませる

 

真桜「なんにせよ、洛陽での籠城はないんやな」

沙和「沙和もそれが良いと思うの。洛陽で籠城なんてしたら、もっと民に恐がられちゃうの」

翆 「ああ、大陸最後の戦い。たぶん、今までにないくらいの大戦になるだろうからな」

凪 「そうですね、、」

小蓮「うん、、」

 

翆の言葉に、全員の顔が引き締まる

 

凪 「よし。沙和、真桜、兵の徴錬に行くぞ!」

沙和「おーなの!」

真桜「わかった!」

翆 「私も、騎馬隊を見に行かなくちゃな」

小蓮「シャオも兵糧の準備しなくちゃ!」

 

天軍の戦いへの準備は整って行く

 

 

説明
真恋姫無双夜の王第37話。

最終章、天軍戦線編1
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コメント
なんかこれを読んでいると、コードギアスを思い出す!(タケダム)
一刀何か色々吹っ切れたなぁ。(中原)
黒天を阻む二人の王、さあ最後の戦争を始めよう。(ryu)
蒼天が堕ち黒天が昇った、されど未だ敵に覇王と虎が有りか。。楽しくなってきましたねぇw にしても、劉協がマトモなのに驚いたw(韻)
果てにあるのは、身の破滅か他者の破壊か王としての真価が問われんな。(黄昏☆ハリマエ)
これは劉協も一刀の臣下として腕を振るえるのかな?ついでに盧植もいるとなると美味しいかもしれんな。ここの劉協ならいい成長しそうだ(闇羽)
天軍VS魏呉連合軍か・・・蜀の敗将たちは味方になるのかな?(きの)
ついに夜天が青天を飲み込みにかかる!? 続きが楽しみだ〜(アレン★ゼロ)
漢王朝がついにつぶれましたねぇ(poyy)
まさに王としての風格・・・王気(オーラ)に満ち溢れていますな、一刀は・・・ こうしてみると、協君・・・ほんと惜しかったように見えます、そして周りの忠臣も・・・ (よーぜふ)
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