あなたがいない間に |
「おじゃま、するわよ」
「おう」
先輩の部屋で過ごす時間。
先輩と二人っきりの時間。
その時間は嫌いじゃない。むしろ好きだったりする。
でも――
「おい黒猫。お前は何で毎回、毎回人のベッドの上に座るんだ?」
「私が何処に座ろうが、それは私の自由でしょ」
「そりゃ、そうだが……」
「そんな事より先輩。何か飲み物を用意してくれないかしら。さっきから喉が渇いてるのよ」
「――くっ、この野郎……分かったよ。飲み物持ってくればいいんだろ」
「ええ。お願いするわ」
バタンと部屋のドアが閉まり、先輩は飲み物の用意をしに下の階へと行った。
そして私は――
ぼすっ。
「はぁ……先輩のベッド……」
先輩のベッドに顔を埋める。
先輩と過ごす時間も好きだけど、最近はこうやって先輩のベッドで先輩の匂いや温もりを
感じる瞬間が好きだったりする。
変態的行動……そんな事は十分理解している。
だけど止める事が出来ない。
「先輩……せん……ぱい」
布団に包まり、先輩の匂いを最大限に感じる。
大好きな人に……先輩に抱き締められているかのような感覚。
そんな錯覚を覚えてしまうほどに、匂いと温もりが残っている。
「好きよ……せんぱ――」
「あの……黒猫さん? あなたは何をやっているのでしょうか?」
「――――っ!?」
声のする方を見ると、そこには驚いた表情の先輩が居て――
「な、何をしているのよ!?」
「いや……俺は飲み物を持ってきただけで、お前の方こそ俺のベッドで何をして――」
「な、何もしてないわよっ」
別に如何わしいことなんて……
「…………」
「黙ってないでなにか言いなさいよ」
急に黙られると不安になるでしょ。
「じゃあ――」
「やっぱり止めて」
私が悲しいことになりそうだから止めてちょうだい。
「なんなんだよ。お前は……」
「急に入って来る先輩が悪いのよ……」
「いや、此処は俺の部屋なんだが」
「それでもよ」
デリカシーの欠片も無い人ね。
「……分かったよ。全部俺が悪いんだろ?」
「そ、そうね。全部先輩が悪いわ」
私を変な気分にさせてるのだから。
「そ、それに……さっきのは私が眠かっただけなんだから……」
「へいへい。そうだな。眠かったんだよな」
「ええ。そ、そうよ!」
だからさっきの行動は自然な行動なのよ。
そういうことにして。お願いだから。
私は変態なんかじゃないのよ……たぶん。
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黒猫たんのちょっぴり変態な話? | ||
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俺の妹がこんなに可愛いわけがない 黒猫 高坂京介 | ||
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