蔡瑁伝 |
蔡瑁
荊州の有力豪族、豪族として乱世を生きたため現実的かつ堅実な手段をとる将。
乱世に巻き込まれ荒れるがままの他州と異なり、劉表を支えケイ州に安定をもたらすが。劉表のトンデモナイ性格に苦労をし、その後の劉家分裂に苦労し、魏・呉・蜀によるケイ州の騒乱に苦労し続け、胃が常時悲鳴をあげている。
『い、胃が』
赤壁 劉備軍本陣
「ほう・・・・・・、蔡瑁は水上要塞を作り要塞内で訓練をするのか」
冥琳が興味深そうに体を前のめりにしながら尋ねてくる。
「ああ、俺の知識どおりならそうだよ」
「確かにそれなら曹操の陸兵も多少は使い物になるな」
「あわわ〜それでも劣る質は数で補う、手堅い方法ですね」
雛里が相槌を打つ。
「ああ、蔡瑁らしい地味なやりかただな・・・、だが我らには最悪な策だ」
「そうですね」
蜀・呉の軍師二人は水上要塞の策の重用さを理解したようだ。
「それで北郷、お前の知る歴史では我等はどう対応したんだ」
「ああ」
俺は史実で行われた離間策を話す。
「なるほど、曹操に蔡瑁を疑わさせ斬らせるか」
「あわわ〜、た、確かに、蔡瑁さんを失えば曹操軍にまともな水軍の将はいませんから水上要塞の策は誰も思いつかないでしょうね」
「ふむ、有効な手段だな」
冥琳が頷く、離間策を実行するのを腹の内で決めたようだ。
・・・ただ、俺の内心は複雑だ。
「んっ?北郷なにか問題があるのか」
黙っている俺に冥琳が話しかける。
、
「い、いや別に・・」
「・・・、まあ、いい話を進めよう」
不自然な俺に疑問を感じているようだが、冥琳は話を進める・・・。
数刻後軍議が終了し俺は本陣から出る。
「はぁ〜蔡瑁さんか・・」
俺は先ほどまで話題に出ていた人物の名を口にする。
「俺たちが直接手を下すわけではないけど、死なせるのは避けたいな〜」
今は敵だが、俺は蔡瑁さんには悪いイメージは無い。
俺の蔡瑁さんへの感情は「同情」が9割(残り1割は働くお姉さんって感じでいいな)だ。
・・・・・・、胃を痛そうにしてる蔡瑁さんを思い出す。
俺たちが劉表さんを頼り、襄陽に着いた時もそうだった、当時の俺たちは漢の実権を握る曹操から追われるお尋ね者の様な存在だった。正直、そんな俺たちを保護するなんて、曹操との戦争を引き込みかねない行動だった。実際、蔡瑁さんを含めた側近は劉表さんに保護しないよう求めたようだが。劉表さんの『劉備(桃香)の人徳は極上の才、それを愛でなくてはこの劉表は才の保護者(パトロン)といえぬ』。
…という、とんでもなく自分勝手な理由で俺たちの保護は決まった。
そのせいで蔡瑁さんは、俺たちの前ではさすがに営業スマイルだったけど。
後々の難事(曹操との対立)を想像してか・・胃の不調は隠し切れてなかった。
しかも、その後も蔡瑁さんが纏めかけてた劉表さんの後継者問題が、俺たちが原因でグチャグチャになる。
結局分裂しケイ州は戦場に、・・あの時は胃潰瘍で倒れかけてたよな蔡瑁さん。
な、なんか思い直すと、蔡瑁さんには結構悪いことをしたな。
償いじゃないけど・・なんとか命だけは助けてあげたいな。
「はぁ〜・・どうするかな」
「あわわ〜どうしたんですか・・ご主人さま?」
ため息を吐く俺に、軍師の雛里が心配そうに話しかけてくる。
「ああ・・雛里、ちょっと悩みがね」
「あわわ〜わ、わたしでよければ聞かせでもらえませんか?」
「う〜ん・・そうだね、俺じゃよい知恵もでなさそうだし・・聞いてもらえるかな?」
「はい」
雛里は嬉しそうに返事してくれる。
そんな雛里に、俺は蔡瑁さんを助けたい事を伝える。
「蔡瑁さんを除外しつつ助ける・・そんな都合のいい方法ってないかな?」
「あわわ〜、一ついい方法があります」
「ほ、ほんとに!」
「あわわ〜しかも私が考えてた「ある策」に繋がる一石二鳥の方法です・・お耳を貸してください」
そう言われたので、俺は屈んで耳を雛里の口に寄せる。
「あわわ〜(ご、ご主人様のお顔が・・)」
・・んっ?若干雛里の頬が赤い風邪だろうか?後で確認しよう。
しばらく「あわわ〜」してたが・・おさまったようで雛里が一つの策を説明してくれた。
「ふむふむ・・なるほど!!さすがは雛里だ!それなら助けられるかも」
「あわわ〜お、お役に立ててなによりです」
「ほんとにありがとう!早速呉の人たちに策を伝えてくるよ」
同日の曹操軍本陣
妙齢の女性が苦悶の表情を浮かべ胃を抑えながら陣から出てくる。
曹操軍の水軍総督に任命されたばかりの蔡瑁だった。
「よ、ようやく能天気な劉表様から解放されたと思ったら・・なんだあの曹操様の威容、ミス一つで首が飛びそうじゃないか」
蔡瑁はため息をつく。
「しかも、中原の海を知らぬ軍を、すぐさま使える水軍にしろなんて言われてもな」
蔡瑁の胃の悲鳴はドンドン増す。
「とはいえ、無理だといっても降服した身、怠慢云々言われるのがせいぜいか・・」
そんな鬱屈とするしかない状況で胃が更にキリキリしてくる。
数日後、そんな蔡瑁が更に胃を悪くする事態が発生する。
その日、蔡瑁は曹操に本陣まで呼び出されていた。
「蔡瑁、あなたの水軍総督の任を解くわ」
「なっ!なぜです・・」
突然の解任に当然蔡瑁は理由を問う。
「あなたがケイ州の水軍と共に裏切るとの情報が出回ってるの」
「そ、その噂は私も確認していますが、曹操様のような聡明な方が・・噂如きを信頼なさるのですか」
「まさか、証拠もないのに信じるはずも無いわ」
「な、なら」
「ただね、この噂の広がり具合がすごいのよ・・数十万のいる我が軍の将兵の殆どが耳にしてるぐらい」
「そ、そんなにですか」
「ええ、この異様な広がり様・・敵の軍師の影が見え隠れするわ」
そう言いながら、曹操は敵の動きを封じられなかった自軍の軍師たちを睨むが。
八つ当たりに過ぎないのに気づき目線を戻す。
「初めての海に対する恐れに加え、その海に率いる将が裏切るとの噂・・」
ため息が出そうな表情をしながら曹操は言葉を続ける。
「真実はともかく・・あなたでは兵を海に率いる事はできないわ」
「り、理由は分かりました」
「そう・・頭のいい人で助かるわ」
「それで私は疑惑がある身・・謹慎でしょうか?」
「ええ、江陸で謹慎してなさい」
「はっ・・」
その後、蔡瑁を欠いたため曹操水軍の質は一向に良くならず。
曹操は船同士を繋げ安定させる「連環の計」を史実以上に、つまり船の連結を更に強化した。
その為火計の被害は更に拡大し、曹操軍は大敗して襄陽以南のケイ州を放棄した。
その被害は数年で回復できるものではなく・・数ヵ月後魏・呉・蜀の三国で同盟が結ばれる。
ちなみに蔡瑁さんは江陸で捕縛されるが。
魏では、蔡瑁さんの裏切りが敗北の原因とする噂が流れたため。
呉では、蔡瑁さんは前主孫堅さんを殺した相手のため。
蜀では、敵対する劉ソウ派の重鎮のため。
それぞれの理由で蔡瑁さんを受け入れる勢力はなかった。
そのため袁家等の前例がある俗称「無国籍保護所」、つまり俺の所で副官として働いて貰う事となった。
数年後。
三国同盟が成立し、その後様々あって俺が王になっても蔡瑁さんに支え続けてもらってる。
王の俺が理想を語り、実務家の蔡瑁さんが現実に固める。そんな状態でなかなか旨くいっている。
北郷がそんな風に過去を思い出している時・・。
蔡瑁は関羽と曹操に挟まれていた。
「蔡瑁殿!!ご主人様とは・・わたしが先に約束したんですよ!!」
「う、うん・・曹操様、お気持ちもわかりますが・・ここは穏便に」
「蔡瑁・・あなた関羽の肩を持つつもり」
「い、いえ・・曹操様そのような事は、ただですね順番は関羽殿がですね」
「順番が、どうかしたのかしら・・」
曹操の覇王の圧が蔡瑁に向けられる。
「ひっ・・そ、その〜」
「蔡瑁殿!!」
曹操に怯んだ、蔡瑁に対し関羽も圧を加える。
「うっ!・・そ、そのお二人とも穏便に」
「「ジロッ!!」」
二人が蔡瑁を更に睨む。
「(な、なんで私がこんな目に・・・い、胃が〜〜!!)」
・・北郷王の周りには多くの高官の女性がいる。
その間をうまく取り成すのも副官の重要な仕事だ。
「だ、だからって!!な、なんで私が浮気男の取り成しなんてしないといけないいんだ!!」
※
劉表の脳内設定
才を愛でる事に幸せを感じる、パトロン主義者。
桃香の人徳の才を愛でる為、戦争になる恐れがあるのに保護する能天気さを持つ。
「はぁ〜曹操の覇道の才、劉備の人徳の才どちらも愛でる方法はないかしら」
あとがき。
ネタとネタの繋ぎがやっぱ駄目駄目です。
苦労人キャラが好きなので「もっと腕があれば・・」余計そう思います。
説明 | ||
蔡瑁を恋姫風にしたら・・ssです。 文章面様々問題ありです。 心に余裕があるときご覧ください。 |
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コメント | ||
蔡瑁さんに幸あらんことを(aoirann) ストレスで胃がマッハのようですw(2828) 素に戻って考えてみると、劉備って疫病神以外の何者でもねぇ(運送屋) |
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蔡瑁 雛里 曹操 愛紗 恋姫 劉表 | ||
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