レベル1なんてもういない 2−9 |
太陽が真上に昇りつめつつある時間。
もはや朝ご飯の時間とは言いがたい。
お腹はすいたが服の方が気になるので早く行こうとラフォードを急かして服屋へと向かう。
カランコロン
「いらっしゃいませ」
昨日と同じ対応をしてくれる服屋の店主。
「おはようございます。
昨日頼んだ服なんだけど」
「お待ちしておりました
既に仕上がっております」
こちらから早急にと頼んでおいて本当に仕事が早い。
小人でも雇っているのだろうか。
確かあれは靴の話だったか。
「早速着ていきますか?」
「勿論だよ」
寝不足ではあるが元気一杯に返事をする。
奥の試着室に案内され出来たての服に袖を通してみる。
今まで着ていたシャツやスカート、下着も長い事きたままだったのでさすがに気になるにおいがしてしまっている。
「うは〜良い香り〜」
服装についてどうこう言っていられないのが旅をする人の辛い所だ。
見た目よりも機能を見たほうがいいのだが一応こちらも女なんでいい格好をして行きたい気持ちもある。
一応ってなんだ
「ねえ、この鉄は?」
鉄製の鎧の切れ端のようなものが2つ置いてある事に気付く。
「お連れ様の希望で付加させていただきました」
「これは…どうやるんだ?」
「エル、それは腕に付ける」
「万が一の時に備えるもの」
防具、か。
ならば鎧の方が安全性が高いのではと思われるがあの服を見越してくれたのだろう。
降りかかる外敵を全て腕でガードしろと。
「でもなんだかさ、ちょっと重くない?」
「それ位がちょうどいい」
「…ちょっと重い…左様ですか…」
店主のポツリと呟いた間を開けた一言が気になる。
重いのか。
もしかして重いのだろうか。
いや、少し重いだけだ、
そう思う事にした。
「ジャーン
どうだい?」
長い丈の上着をくるっと回りなびかせてみる。
声に出してはいえないがこの勇者っぽいなびき具合が最高だ。
「エル、よく似合ってる」
「お似合いでございます」
「えへへ〜、ありがとう」
店主のアレンジも少し入っているが十二分に満足の行く仕上がりだ。
文句のつけようはどこにもない。
このバサッとした感じがなんとも言えない。
いよいよ旅をする人っぽくなってきた。
次の街まで、いや今なら世界の裏側だって行けそうな気がする。
「よし、じゃあ行こう」
「次の目的地は南西に向かって行く
まずは雑貨屋で準備」
「ありがとうございました」
「…これとこれと これか」
旅をするのに必要なものを買う。
日帰りではないのだから必然的に必要なものも増えてくる。
ただ以前ラフォードが持っていたどんな水をも飲める水に変換してくれる太目のストローはどこにも置いていなかった。
またラフォードと使いまわしになりそうだ。
「旅の準備って楽しいね」
「ん」
「明日見える景色はどんなのだろう」
「エル、観光じゃない」
「解ってるよ
世界を救うんだろう」
これでこの街を発つ全ての準備が整った…
あれ
何かを忘れている気がする。
「これで全部だっけ?
もう街を出て行っても大丈夫だっけ?」
「ん」
頷くラフォードに納得して街の出口に向かう。
「…ウチ忘れてた」
「本気だった」
「って葵、覚えていたなら言ってよ」
「私ラフォード」
「フィンさん、
今日も凄い笑顔だね。」
「…」
二人の見る先に外界と街を区切る門の前で1つの影が待っていた。
その影はこちらに気が付くと笑顔で走り寄ってきた。
「待ってたよ
さぁ行こう〜」
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第2章おしまい。もうちょっとだけ続きます。 | ||
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