君の名を呼ぶ 4章 前
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賑わい冷めぬ許昌の城にて行われている三国平定の記念祭。

恒久の平和を願い、それがいつまでも続けと祈る祭典。で……

 

 

どうして俺は木刀を握らされてるのでしょうか!?

 

 

周りには魏・呉・蜀の三国の武将の皆様が囲っていて逃げ出すにも逃げ出せない。

 

…魏の皆には北郷一刀こと俺が帰ってきた事はバレていない。

 

まぁ頭に布巻いて顔隠してるからそうそうバレないだろう。

ただ、季衣に「懐かしい匂いがする」と言われた時は焦ったんだけど…。

 

頭を軽く振り正面を見据える、正面に立つ彼女を。

彼女の一張羅だというサラシに袴、紫色の髪に飛龍堰月刀。

 

どう見ても霞です、ありがとうございますww

 

「いい加減始めよか、お待ちかねみたいやしな。」

 

そう言って武将の皆さんを指差す霞。お待ちかねって言ったって「早よ始めや〜!!」とか「お姐様が勝つほうにお昼ご飯なの〜!」とか言ってる誰かだろ?

…誰とは言わないけどさ。

 

 

気乗りはしないけれど木刀を構えるとそれを見た霞が嬉しそうな笑顔を浮かべながら自分の得物を構える。

 

あぁ、もう一度見たいと思い続けた笑顔なんだけど今のこの状況では見たく無かったなぁ。

 

「では両者…尋常に……」

 

俺たちが構えたのを見て審判役を買ってくれた関羽さんの手が挙がったのと同時に周りには静寂が、俺には緊張が走る。

…霞と闘うなんて以前じゃ考えられないような出来事だな。

 

「………始めッッ!!」

 

合図と同時に駆け出してくる霞を見て小さく溜息を吐く。

…そしてこう思った。

 

 

ーーどうしてこうなった?−−

 

 

真・恋姫無双 魏伝 〜君の名を呼ぶ〜

 

 

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「そっか…やっぱり皆傷つけた、か…。」

 

俺はいま霞から俺が消えた後、つまり一年前の話を聞いている。

分かっていたけどホント酷いことしたんだな、俺は…。

 

まぁ俺があっちで一年過ごしたのと同じくこちらでも一年経っていたのには驚いたけど、俺が考えたところで分からない事だらけだろう、と横に置くことにした。

 

「ごめんな…それと、ありがとう…。」

 

辛い思いをさせた事に対する謝罪の言葉と今まで信じて待っていてくれた事への感謝の言葉。

それを腕の中に居る霞に届ける。まだまだ全然足りないけれど。

 

「うぅん、ええんよ。ちゃんと約束守って戻ってきてくれたし…。」

 

そう言って俺を抱きしめる霞の腕の力が強くなる。

俺は本当に帰ってこれたのだと実感した。

 

 

…さて、突然だが今の状況を軽く説明しよう。

俺は霞を腕の中に納まるように抱きしめている。

そして霞も俺の背中に腕を回し、抱きしめてくれている。

 

…誰か助けて下さい!!

 

いや、霞みたいな美人に抱きしめて貰っておいて言える言葉じゃないですけど本当にヤヴァいんです。

 

その、この一年間修行やら何やらにつぎ込んだせいか、女の人と触れ合うのなんて久々で本当にいろいろとヤバいんですって。心臓が破裂するんじゃないかってぐらいドキドキしてる。

 

「な、なぁ霞?もうそろそろ…」

 

「まだえぇやん、一年ぶりなんやから…」

 

「あ、いや…ほら!皆の顔も見たいから…」

 

「…一刀、お願いもうちょっとだけウチだけの一刀でおって…?」

 

潤んだ瞳で上目遣いされて断れる男がいるでしょうか、いや居る筈が無い!!

 

 

「うぅ、もうちょっとだけだからな…?」

 

確信を持って言える、俺の顔今絶対に真っ赤だ、鏡見なくても分かる。

そんな顔見られたくないから霞を思いっきり抱きしめた。

 

「一刀のココ、凄いドキドキ言うてる…。」

 

くすくすと笑いながら霞が俺の胸に耳を当てる。

あぁ、今なら真っ赤に茹で上げられる蛸の気持ちが分かるかも知れない…。

 

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十分に堪能したから一刀の体から身を離す。

一刀は離れた瞬間顔真っ赤にして俯いてしもた。

 

なんか可愛なったなぁ、一刀。

 

ウチが一刀の消えてからの話をした代わりに、一刀も天の国に帰ってからの話をしてくれた。

なんちゅーか、驚きがいっぱいで自分の耳を疑ったわ。

 

あの一刀が剣の修行をしてたっていうんも驚いたけど、一番驚いたんは向こうで誰にも手ェ出してないって言うんやから。

 

あの一刀やで?‘魏の種馬’がやで?

 

 

聞いた始めのうちは信じられんかったけど、顔真っ赤にしながら真剣にいうんやからホンマなんやろな。

 

ウチ、嬉しかったんやで?

一刀が遠く離れた地でもウチらのこと想てくれてるんや、って。

 

アカン、顔熱ぅなってきた。

 

 

「城に戻るとしても普通に戻ったらオモロないなぁ。」

 

「面白くないって?」

 

「こう皆を驚かせれるような感じでやなぁ…。」

 

「あぁ、サプライズみたいな事か。」

 

さ、さぷらいず…?

天の国の言葉は分からんって唸ってたら…

 

「ごめんごめん、サプライズってのは不意打ちみたいもの、かな。」

 

一刀がきちんと説明してくれた。

 

「ええな、それ。やろやろッ!」

 

勿論皆へのさぷらいずもするし、一刀にもさぷらいずもあるけどな?

 

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俺が霞から言い付かったのはこうだ。

 

「頭に布巻いて顔隠そか。服も前居った時のとは違うし大丈夫やろ。あ、声出したらバレてしまうかもしれんから喋ったらアカンで?」

 

と、言うわけで俺は霞の言うとおり布巻いて顔隠してるんだけど…。

 

どうみても不審者だろ、これ。

 

いやまぁ確かにこの時代で顔隠すには最適だろうけどこれじゃ街にも入れないんじゃね?

 

 

これで何もなく入れたなら警備隊の見直ししてもらわないとな……。

 

とか考えてるうちに門に到着。

 

門の外から見た久しぶりにみた許昌の街は俺が消えた一年前のままに思えた。

 

「そこの怪しい者、止まれ!!」

 

…良かった、ちゃんと止めてくれた。

 

「貴様何者だ、見たことの無い服装だし見るからに怪しいが……。」

 

ですよねぇ〜、こっちの世界じゃGパンとかないもんなぁ〜。

 

…しかし困ったな、よく見ると門番やってるこの男、見知った顔なんだよなぁ。

布取って顔見せてやるなり喋ってやりたいけど、そんなことしたら一気に城まで伝わるだろうし。

 

困ったと思い霞に助け舟をだす。

 

「安心しぃ、ソイツはウチの連れや。」

 

「…!?これは張遼将軍!おかえりなさいませ。」

 

「おう。それでコイツ通してもかまんか?」

 

「はっ!張遼将軍のお知り合いなら問題ないかと。」

 

「おおきに、ほな行こか。」

 

そう言って歩き出す霞の後を追い歩く。

あ、門番の男にもちゃんと礼はしておかないとな。

 

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霞が乗ってきていた馬を馬小屋に預け城の中庭へと向かう道中で霞が

 

「なんや嬉しそうやな一刀?」

 

「そう見えるか?」

 

「見えるっちゅうかそんな雰囲気や。」

 

「…そっか、きっとそうなんだろうな。」

 

一年間ずっと戻りたいと思っていた。

戻れてもそこはもう俺の知らない場所かも知れない。

 

けれど、此処は何も変わっていなくて、それが無性に嬉しく思えて。

 

 

「そうか、けど一刀こっからはお喋り禁止や。」

 

中庭が近づき賑やかな声が幾つも聞こえ始めた。

 

 

俺は口を閉ざし首を縦に振り、了解の意を見せる。

 

「よっしゃ、行こか!」

 

そして俺たちは中庭に足を踏み入れた。

 

 

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中庭で見た光景に俺は足を止めないわけにはいかなっかった。

三国の将が笑い、仲良く食事している。

俺が最後に見た光景と変わらずに、だ。

 

 

その中で魏の皆を見つけると、視界がうっすらと滲んだ。

 

 

だめだな、涙腺が緩んでる。今泣いたって意味無いのに。

 

そんな感傷に浸っていたせいか、いつの間にか霞を見失い近づく小さい影に気がつかなかった。

 

「ねぇ、おっちゃんから懐かしい匂いがするんだけど、おっちゃん誰?」

 

いきなり話しかけられたのもあるが何より驚いたのは…

 

…まさか匂いでばれるのか、俺…?

 

確かに季衣は鼻が良かったけれどせっかくのサプライズを匂いでバレましたで終わらすのか、俺?

 

 

どうするべきかと困惑する俺をじっと見てくる季衣。

ここまでか、と思い半ば観念したところに……

 

「もぅ、駄目じゃない季衣!知らない人にいきなり話しかけちゃ。」

 

「でもさ〜、流琉〜……」

 

 

た す か っ た ! !

 

季衣が流琉の方に向いた瞬間、俺は素早く一礼しその場を去った。

 

後ろで何か声がしたけど今は霞を探すのを優先だ。

 

 

二人とも少し成長したたなぁ、と思いつつ俺は霞を探すのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

説明
…かなり久々の投稿になりました…
狩り人生活が楽しくて楽しくて…


本当にごめんなさい!!
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コメント
一刀君何か可愛くなったな?それにしても、サプライズとはいったい!?後、モンハンもいいですけど、楽しみにしてますのでこのお話もよろしくお願いします(名無し)
しあさん・・・あんたかわいすぎますぜぇw てか季衣・・・アンタやっぱ野生児デスヨw(よーぜふ)
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真・恋姫無双  一刀 

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