魏乃章 劉馥伝? 3 |
3年目
陳蘭の降服の数ヶ月後、梅乾、雷緒の二名も帰属を申し込んできていた。
曹操にまともに対抗できる勢力がない現状(ケイ州の劉表は遠く、南部の孫家は力不足)では、彼らにしてみれば合理的な決断であろう。
あの三人は「悪」にちかい人間だが・・元々袁家の将もしくは有力豪族であったためか。
目の前の事だけで暴れるがままの山賊とは異なり、中央の動きしだいでは妥協も辞さない。
そういう意味で俺たちは運がよかった。まあ・・それでも「最悪」ではないとの意味でしかないが・・。
とにかく・・3名の帰属で楊州北部は安定した。
そのため合肥にも人が集まり住民が1万人をこえ、都市としては機能する人数になってきた。
しかし、人が集まるのと同時に、邪な人々も合肥に住みはじめた。
それらの人々が徒党を組み犯罪が頻発する・・今は盗難や喧嘩等の軽い物が主だが。
徐々に殺人等の凶悪な犯罪も増えており、なによりもこのまま横行を許せば住民にも悪影響を与えかねない。
当然、対策として他都市の多くで行われているベターな治安政策をとったが。
結果は微妙だ・・今導入している対策は犯罪が起きてから取り締まる「犯罪待ち」が基本だ。
取り締まり件数は確かに多いが、犯罪件数はその数倍以上あり、更に増加する傾向だ。
そのため新たに合肥で交番制度を取り入れた・・直接的に犯罪を事前に防ぐ事が重用だと感じたためだ。
まあ・・俺の世界で成功してる制度だったのもある。
それから数ヵ月後、正直複雑な結果になった・・。
犯罪件数・取り締まり件数は減り、表立っては治安はよくなったが。
交番周辺以外の場所に犯罪が集まり以前より酷い状況だ。
さらに犯罪に関係していない一般住民にも受けはよくなかった。
交番は「監視」のためのものだと受け止められたからだ。
加えて交番に常駐する、官臣の住民に対する対応にも不満が上がった。
住民に威圧的な対応ならまだましで・・一部では交番周辺の住民から安全保障代として金をとる官臣もいた。
さすがに酷い状況なので、住民に「信頼される」対応をするよう伝達するため、ふくちゃんの許可を求めたが。
住民に「信頼される」との部分に説明を求められた。
どうにも、ふくちゃんには住民と官臣の間には「従うもの」と「従わせるもの」との関係しか想像できないようだった。
その時点で、俺はこの伝達をやめることにした・・。
人一倍こころやさしいふくちゃんがそんな状態だ・・他の官臣に命令してもすぐさま住民への対応が変化するのは無理だろう。
この国では「民」・「官」の間には絶対的な上下関係がある・・それは善悪云々ではなく「普通」だ。
俺の世界とは異なる常識。
今後はもう少し、そのあたりを考えないとな〜。
そんな感じで反省の3年目が終了した。
4年目
住民も3万人程度に増え、都市してそれなりの余裕もできはじめたので。
執務室で、俺はふくちゃんと今後をどうするか相談していた。
「将来に向けた投資ですか?」
「うん、余裕もできたしね・・将来を考えてお金をつかおうよ」
「将来・・田畑を開発とかですか?」
たしかに、そうなれば収入が増えるだろう・・ただ。
「うーん・・それはしたいけどお金がかかりすぎるよね」
苗・道具・人件費云々金のかかる要素はあげればきりがない・・。
「そ、そうですよね〜そこまでの余裕はないですよね」
ふくちゃんはシュンとする・・。まるで・・お預け中の犬だ。
ああ〜!!ふくちゃんはいちいち反応が可愛い!!・・ほんとは今すぐ抱きしめたいが話が進まないので我慢しよう。
「う、うん・・それはもうちょっと余裕ができてからね」
「なら・・交番ふやしせんか?人も増え都市も広がったので交番が足りない所もあるでしょうし」
「うーん、数増やせばいいって話じゃないからね」
「そ、そうですか」
「それに交番制度じゃ限界があるからね・・どうせ治安対策するなら、なにか根本的な方法をとりたいんだいけど」
「むうー根本的にですか〜・・そうなると犯罪をしないような心を持たせるのが一番ですが」
「ああ〜たしかに俺の世界でも犯罪をおこさせない、精神を育む事が一番の治安対策だったよ」
学校での道徳教育を思い出す・・ぼやけた思い出しかないが。
まあ、そんな状態でも。犯罪は駄目だとは心底思ってる。
・・刷り込みってやつかな?
あ〜そんな事を考えてたら邪悪な考えが思いついた、そう現代なら最低な邪悪な事を。
「ふくちゃん、学校でもつくって教育しないか」
「教育?官臣のですか」
「いや・・住民のだよ」
「ふぇ?住民になにを教えるんです」
「まあ・・・簡単な計算と読み書きなとかかな」
「それって住民に必要ですか?」
「物のやり取りとかで使うだろうし」
「必要な知識なら勝手に住民が覚えますよ?」
「そうだけど・・ある程度の基礎はすべからず与えたほうが統治にもいいんじゃない?」
「まあ・・それはある事に越した事は無いですけど」
そういいながらふくちゃんは微妙な顔を続ける・・。
「でも住民の方が教育を受けたいと思いますかね?」
たしかに住民には余裕が無いため・・普通に学校を作っても誰も来ないだろう。
「ん〜〜。裁縫とかの生活の足しになる実技を教えるとか」
「それぐらいなら家族が教えてくれますよ」
「なら、授業を受けてくれたら食べ物支給するとか・・」
「それならくるでしょうけど・・貴重な食料を消費してまでする必要はないんじゃ」
「・・・・・合肥を守るためなら、やすい投資だと思うけど」
「守るためですか?」
「ここは戦うための都市だからね〜まあ、なんというか・・住民が裏切らないようにしないとね」
日本と中国の攻城戦は大いに異なる。
日本は都市と城が分離しており。
攻城戦に住民が巻き込まれても、参加することは無い。
だが・・中国では異なる。
相応の規模の都市は、都市を保護するためにすっぽり城壁で囲んでいる。
住民の生活の場である都市は城でもあるのだ。
そのため一旦都市が攻められれば、住民は自分たちの生活の場を城主と一連托生で敵を防がねばならない。
だが、都市に安寧や愛着・・そんな感情がなければ命惜しさに住民は裏切りかねない。
この合肥は「戦う」都市・・住民の裏切りなんてせさるわけにはいかない。
そのためにも住民を裏切らないように教育する事は重要だ・・。
まあ、スケールの小さい愛国心教育って所か。
しかも・・極めて打算的で実利重視の。
その後、俺の一言で納得したのか、ふくちゃんも頷いてくれた。
・・ちょっと複雑だな〜愛する人がこんな邪な提案をあっさり受け入れるのは。
・・駄目だな、1年前の事を忘れかけてる。
これが普通なんだ、その事をしっかり受け止めないと。
とはいえ・・明るい感情にはなれないな〜。
「それにしても学校ですか〜」
そんな俺の心うちを知らずに、ふくちゃんが話しかけてくる。
「どうしたの、ふくちゃん」
「いえ・・学校といえば先生ですよね〜」
「ああ・・そうだね」
「そ、そのわたし・・昔先生にあこがれてたな〜っと」
エヘへ・・と恥ずかしそうだ。
「そうなの・・なら学校の先生してみる?」
「い、いいんですか!!」
「ああ・・本来の仕事もあるから〜数回ぐらいしかできないけど」
「そ、それでもいいです!やってみたいです」
「なら、まだ先の話だけど手配はしておくよ・・(まあ〜基本的な読み書き計算ぐらいなら、ふくちゃんでも教えられるだろうし問題ないか)」
そう思いながら、俺は隣を見る・・。
ふくちゃんはものすごい嬉しそうな顔をしている・・ああ〜可愛い!!仕事の話も済んだし抱きしめようかな〜。
・・・・でも。
さっきまで邪な事を考えていたせいかな〜。
俺はふくちゃんのある表情がみたくなったな〜。
「ねえ・・ふくちゃん」
「はい、なんです?」
「住民の前で授業するんだよ」
「?」
「もし万が一失敗したら・・ふくちゃんは馬鹿だと住民に思われるよ」
「ひぐっ・・そ、それはいやです〜」
「それだけじゃないよ・・最悪馬鹿に付いていけないと住民が反乱するかもね」
ふくちゃんの顔が徐々に引きつってくる。
「その数日後に反乱は終了し・・大通りにはそしてふくちゃんの首が・・」
「びっ!!・・・びえええん!!や、やっぱやめます!!先生するの!!」
そういいながら、ふくちゃんは泣き出した・・・。
「ああ〜やっぱふくちゃんは泣き顔が一番だ!!」
俺は絶叫に近い声を挙げながら、ふくちゃんを抱きしめた。
4年目・・ふくちゃんに悶えながら終了。
クリスマスプレゼントssで明日には最終話を投稿予定でしたが。
なにをまちがったのか・・新たなネタを思いつき後2話ぐらい続くかもしれません。
説明 | ||
劉馥?を恋姫風に・・ssです。 突拍子も無い設定かつ、インスパ元の続編になりますので・・インスパ元を先にご覧ください。 |
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ダメ一刀降臨(BX2) あー一刀がダメになっていく(aoirann) |
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