【南の島の雪女】第3話 布団の中の4人(2) |
【家出て、どこ行く?】
「白雪。靴がかわくまで、ゆっくりしてなさい」
「そうもいかん。俺が家にいると危険だ」
「どうしてだい? 爆発でもするのかい?」
「…俺の尻に導火線でも見えるか?」
「はっはっは、ジョークだよ。
オキナワンジョーク。
不発弾は、危険だからね」
「真剣に聞いてくれ」
「わかったよ。
追われている、とか?」
「そんなところだ」
「誰に?」
「沖縄に来るまでは、他の雪女どもに
追われていた。今はちがう」
「ほうほう」
「沖縄にいれば、雪女たちに追われることもないと
思った。でも、甘かった。
あいつら、沖縄の妖怪を差し向けてきやがった」
白雪は、悔しそうに言い放つ。
「俺がこの家にいるかぎり、
お前たち家族を巻き込むことになる。
だから、出ていこうと思った」
「家を出て、どこへ行くんだい。
ネットカフェ? ゲストハウス?
それとも、国際通りの路上かい?」
「いやにリアルだからやめろ!」
【安全な場所】
「君はどこへ行っても、安全ではないよ。
むしろ、行く先々で
周囲の人々を巻き込んでしまうと思うけど。
沖縄中の妖怪に狙われているんだとしたら、ね」
「否定はしない。
北日本から、沖縄に来るまで、
何人か人間を巻き込んできた」
「なるべく多くの人間を巻き込みたくないなら、
一定の場所にとどまるべきだよ」
「何が言いたい」
「ほとぼりが冷めるまで、うちにいなさい」
「だめだ。この近くには妖怪がいる。
ハブの妖怪とやらも、最近会ったぞ」
「那覇市内は、妖怪は比較的少ない。
人間が多いからね。
逆に、自然の多い県北部は、妖怪も多い。
沖縄県内では、ここ(那覇市)が一番安全なんだよ。
君が危険にさらされる確率はぐっと少ない」
「…そうか」
「米軍基地も、妖怪は少ないかな?
あそこは、妖怪が立ち入れる
雰囲気じゃないからね。
我が家がダメなら、基地に行くといい」
「おいおい、基地に簡単に入れるわけないだろう」
「君は雪女だろう?
その美貌で、米兵さんと仲良くなれば
基地に入り放題さ」
「ば、馬鹿なことを言うな!
んなこと、できるわけないだろ!」
「ごめんごめん。
ジョークだよ、ジョーク」
「俺は英語ができんのだ!
アメリカ人と話せるわけないだろ!」
「雪女は日本人なんだね…」
次回に続く!
説明 | ||
【前回までのあらすじ】 雪女である白雪は、故郷を脱走し、沖縄まで逃げてきた。 他の雪女たちは、脱走した白雪を許さず、 沖縄の妖怪たちに「白雪をつかまえろ」と要請する。 白雪は、風乃の家を出ていこうと思った。 妖怪との戦いに巻き込まれ、風乃が傷つくことを恐れたからだ。 白雪が家を出ようとしたそのとき、自分の靴がないことに気づく。 「靴が汚れていたから洗った」と、風乃の父親が現れるのだった。 |
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コメント | ||
>華詩さん はじめまして。白雪への応援ありがとうございます!(新原) 白雪ちゃん、ツッコミ一人は、さぞ辛いでしょうが、頑張って。(華詩) |
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タグ | ||
南の島の雪女 沖縄 雪女 妖怪 コメディ | ||
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