恋姫コマンドー 後編 |
車道を走る中、トウカがシオンに尋ねる。
「もうきちんと事情を話しても良いじゃないんですか?」
「そうね。私はシオン・コーチーよ」
「私、トウカ・リュビーって言います」
シオンは運転しながら、自分の財布の中にある娘のリリーの写真を見せる。
「この子、私の娘のリリーって言うの」
「リリーちゃんか…可愛いですね」
「ええ」
「あなたのお子さんですか?」
「ええ。私に汚い仕事をやらせたがっている人達が、リリーをさらったの」
「そんな…」
「早く助け出さないと娘は殺される」
「その仕事をやったら?」
「いえ、あいつらはどっちみち殺す気なのは分かってるの」
「ひどいです…」
「裏切りに気付かれる前に娘を取り戻すしか手がないの。
私にとってリリーは私の全てなの。何としても取り戻すわ」
そしてシオン達はソリーと言う宿泊施設に着く。
シオンは連絡係の男から奪った鍵でその部屋を開ける。
「あ、あなたはもういいわ」
シオンはトウカに帰るように言う。
「いえ、私にも手伝わせてください。あんな事聞かされた後じゃ、帰りますなんていえません」
「……ありがとう。それじゃあまず服を脱いで」
「え?」
トウカは突然の事で困惑した。
「相手は恐らく男。なら、少しでも色気を出して油断させて」
「そういうことですか、分かりました」
そう言ってトウカは上の服を脱いで、ブラジャー姿になる。
それからまもなくリリーの居場所を知っていると思われる人物がドアをたたいてきた。
「来たわね。頼むわ」
「任せてください」
シオンはドアが開いた時にドアに隠れるような場所に立つ。
そしてトウカはドアを開ける。すると目の前にはシオンの予想通り男が一人いた。
「あの、なんでしょうか?」
「テレーはどこだ?」
テレーと言うのは先ほどシオンが殺した連絡係の男の名であり、今来た男の名はフックである。
「バスルームです」
「お前は?」
「ルームサービスです♪」
トウカはのりで答えた。
「ドアを開けろ」
トウカはドアを開け、フックは部屋に入ってくる。
「おいテレー!」
フックは連絡係の男の名を叫ぶ。そして後ろにはシオンがおり、シオンはフックの肩をたたく。
「うん?」
「ふん!」
シオンはフックの振り向き際に顔を殴った!
「手前なんでここに…」
「あなたに会いに来たのよ。娘はどこ?」
「俺に勝って聞き出すんだな」
「そうさせてもらうわ」
二人は構える。
シオンは先ほどの不意打ちを食らわせてから攻撃してこない。
「怖いか? それも当然だな。元グリーンベレーの俺に勝てるもんか」
「試してみる? 私も元コマンドーよ」
フックがシオンにパンチを放とうとするが、シオンはカウンターでパンチをくらわせ、フックを思いっきり後ろに吹き飛ばす!
フックは飛ばされたと同時に自分の拳銃を取り出す。
フックは銃をシオンに向ける。
「くたばれくそったれが」
フックは銃の引き金を引き、弾が発射されるが、シオンはなんと避けた。
「何?」
「くたばるのはあなたよ」
シオンはすさかず、フックの銃を持つ手をチョップでたたき、銃を落とさせ、それと同時にその手を持って背負い投げをくらわせる。
シオンはフックを股から持ち上げて再び投げつける。そしてシオンはまたフックを立たせ、腹に一発パンチを入れる。
「むおっ!」
「やあっ!」
シオンは顔面パンチをあて、フックは後ろに飛び、下に落ちていた鋭い棒に腹部が刺されてしまう。
「娘はどこ?」
シオンが尋ねるが、フックはもう喋ることさえ出来ない状態であり、そのまま息絶えた。
「もう……」
「あの〜シオンさんがやりすぎなだけだと思いますよ」
「とりあえず離れるわよ」
シオンはフックの持ち物をあさり、車の鍵らしきものを抜き取る。
そんな中フックのポケットから何かの地図らしきものが出てくる。
「これは……リリーのいる場所」
「やりましたね、シオンさん!」
「ええ」
二人は部屋を立ち去った。
そしてフックが乗っていた車に近づく。
「この車を使いましょう。もうあの人は使わないわ」
「それでリリーちゃんを助けに行くんですか?」
「いえ、まだよ」
二人は車に乗って車を走らせる。
「じゃあ、どこへ?」
「買い物よ」
「買い物?」
シオンは車をある場所へと走らせた。
そしてある店へと着いた。
そこは軍で使われていた装備や武器を売っている『軍放出品店』であり、たまには今でも軍で使われている武器などが来たりする。
「あの〜もう閉まってますけど…」
「……」
シオンは辺りを見回すと近くの工事現場にショベルカーが置いてある事に気付く。
シオンがそのショベルカーに近づいてみるとショベルカーは無用心な事に鍵が刺さりっぱなしであった。
「これを使うわ」
「え?」
シオンはショベルカーを動かす。
そしてショベルカーで店のガラスを破壊して、店内に入っていった。
トウカはカートを使ってシオンが取っていく武器を入れていく。
シオンはまず装備品である防弾ジャケットなどを手にとってトウカに渡す。
そして次に武器なのだが、武器はどこにも見当たらない。
それもそのはず。武器は普段は厳重に保管してあり、普通は手に入れることが出来ないようにしてある。
シオンはレジの方に行く。そこにはあるパスワード入力画面があった。
シオンはあるパスワードを入力する。すると武器が保管されている扉が開く。
「うわ〜、シオンさん、なんで分かったんです?」
「この手の店のパスワードは皆同じなのよ」
シオンは簡単に答えた。
シオンは武器庫に入ると、ショットガンにマシンガンにライフル、リモート爆弾を手に取り、トウカに渡す。
そして次にものすごくでかい武器を手に取る。
「あの、それは?」
「ロケットランチャーよ」
シオンはロケットランチャーをトウカに渡す。
「とりあえず車に置いてきて」
トウカはロケットランチャーまで渡されたものを入れたカートを動かして、車に戻る。
シオンは他にも必要であろう武器を取っていくが…。
「動くな!」
そこに警官達がやってきてしまう。
「武器を静かに下ろせ!」
シオンは武器を下ろす。そして警官達に逮捕されてしまい、護送車に入れられる。
その様子を隠れて見ていたトウカはどうしようか考えた末、あることを思いつく。
「助けなきゃ…」
シオンはタイマーを見てみる。
「あと5時間しかないわ」
シオンは警官達に言う。
「カリン・ソーレー将軍に連絡を取ってください。シオン・コーチーと言えば分かるわ」
「へ、将軍だ?」
「寝言言ってんじゃねえよ」
警官達は信用してくれないほど若干愚かであった。
そんな警官達が運転する護送車をトウカは追い、信号で止まったところで追いつき、車を横につける。
「見ろよ、女だ。悪くないぜ」
警官の一人がそういった。正直職務中の警官がこんな発言しても良いのだろうか。
警官がアプローチするもトウカは少し笑うだけであった。
護送車は信号が青になったので動き出すが、トウカは車を走らせようとせず車の上に立つ。
「うん? 何する気だ?」
「俺達に何か見せてえんだろ」
トウカは車からある物を取り出す。
それはなんと先ほど入手したロケットランチャーであった。
「なあ、あれって…」
警官達は若干戸惑う。
トウカは護送車に狙いを定めてロケットランチャーを撃つが、ロケットランチャーの向きが反対だったためにランチャーは護送車の間逆の方向に飛んでいき、建物を破壊した。
幸いにもそのためものは誰もいなかったため直接の被害者はでなかった。
「あれ?」
トウカは向きが反対だった事に今気付いた。
「な、なんだありゃ!」
警官達は酷く動揺する。
トウカはロケットランチャーの向きを直して、護送車の方に向ける。
「こっちを狙ってる!」
警官達は急いで車を走らせようとするが、それよりも速くトウカのロケットランチャーが護送車のタイヤ目掛けて発射され、護送車は横転した。
「やった♪」
正直な話、下手をすればシオンが死んでしまう。トウカはそこまで深く考えてなかった。
そして煙の中からシオンが出てくる。
「ごほっごほっ」
シオンが車に乗り込む。
「どこで使い方を習ったの?」
「説明書を読んだだけですよ」
「いい筋ね」
シオンは褒めた。
それから二人は港に向かい、適当な海上飛行機を見つけ、無理矢理動かしてリリーが囚われている小島へと向かった。
その頃、軍放出店の騒ぎを駆けつけたカリンはその現場に来ていた。
「コーチーですか?」
「通信隊に連絡して、警官や湾岸警備隊の通信を残らず傍受させなさい」
カリンが部下に命令する。
「何が始まるんです?」
「第3次大戦よ」
その一方、リリーを捕らえたチョウセ達は……。
「口だけは達者なトーシローばかりをよく揃えたもんですな」
元大統領の集めた兵士達をチョウセは批評する。
「まったくお笑いだ。まあ相手がコーチーなら同じようなもんですかね」
「チョウセ君、私の兵士は皆愛国者だ」
「ただの案山子ですな。俺達コマンドーだったら瞬きする間に…皆殺しに出来る」
「チョウセ君、君は私を脅しているのか?」
「事実を言ったまでです。
仕事を終えたらコーチーは必ず娘を取り返しに来ます。娘が生きていようがいまいが関係なく…来る。
あんたを奴から守れるのは俺だけですよ」
「怖がってるのは私ではなく、君ではないのか? チョウセ君」
「もちろんです、プロですから。それにこちらには切り札があります」
余談だが、シオンと一緒に飛行機に乗った男が死んだ事を聞かされたのはそれからしばらく後のことであった。
それから朝になり、シオン達は目的の島近くの海までに到着した。
「メッセージは覚えてる?」
「コマンドー、カリン・ソーレー、コード、座標ですよね? OKです」
シオンはゴムボートに乗り、ボートに乗ったシオンに武器を手渡すトウカ。
「あいつらが私を見つけるまでは無線は使わないで」
「どうしてそれが分かるんです?」
「島がにぎやかになれば分かるからよ」
「気をつけてください、シオンさん。幸運を…」
「ありがとう」
シオンはボートを漕ぎ、島へと上陸する。
そしてシオンは防弾チョッキなどを着、武器などもがっちり装備し、いざ敵陣へと向かった。
シオンはまず敵兵に見つからないようにこっそりと拠点となるいくつかの建物に侵入。
そこに爆弾を仕掛け、リモートで爆破させた。
その爆発はチョウセ達のところにも伝わった。
「もう来たのか!? だが、あいつは今…」
「大変です!」
「何だ!?」
「コーチーと一緒に飛行機に乗っていた見張りが殺されてました!」
「今頃連絡するな!」
チョウセは怒鳴りながら、リリーの監禁している部屋へと向かう。
チョウセがリリーの部屋のドアを開けようとしたが、開かない。
「! 小娘め!」
実はリリーは捕まっている間に部屋の中にあった針金で内側からドアノブを固めていたのだ。
チョウセは体当たりでドアを破壊し、部屋に入る。しかしリリーの姿がなかった。
リリーは窓を封鎖していた板の一部を破壊し、逃げていた。
「クソ! 逃げたか!」
チョウセが破壊された部分から外を見るとリリーが逃げている姿があった。
「ううう、ぶるううあああああああああ!!」
チョウセが思いっきり板を破壊した。
兵士達はシオンを倒しに、チョウセはリリーを捕らえに行った。
その頃トウカは…。
「くり返します。コマンドー、コードはX421、カリン・ソーレー将軍に連絡をお願いします!」
その通信はすぐにカリンの元に届いた。
シオンが島に侵入してどんぱちが始まって既に数分が経っていた。
シオンはある小屋に忍び込んだが、兵士達はそれを目撃したため、小屋に向かって銃を連射する。
「撃ち方やめい!」
小隊長が連射を止めさせる。
「見て来い、ニル!」
ニルと呼ばれた兵士が小屋の扉を開け、部屋に入ろうとした瞬間、ニルは銛に刺されて死んだ。
「手前!」
兵士が銃を構えようとしたが、それよりも早くシオンがナイフを投げて、敵を倒した。
他の兵士達も同様に銃よりも接近戦では早いナイフにより、全滅させられ、シオンは強力なマシンガンを奪った。
そしてそのマシンガンで敵兵達を撃ち倒していく。
「ぐうううううあああああ!!」
「あああああああ!!」
「のぉおおおお!!」
「あらああああああ!!」
「オーマイガッ!」
「ぬおおおおおお!!」
「ひでぶ!」
「ぶべらば!」
シオンは兵士達を全て倒し、でかい建物に入っていった。
シオンが走っていると突然上から銃弾が飛んでくる。
それは元大統領が放ったもので元大統領は階段の上にいた。
シオンは壁に隠れて銃弾から身を隠す。
シオンはショットガンで元大統領を撃つが、元大統領も壁に隠れてそれを防ぐ。
(仕方ないわね、一発勝負と行こうかしら)
シオンは一番得意ライフル銃に武器を変え、廊下を一気に走り抜ける。
元大統領はマシンガンでシオンを撃つが、全て当たらず、シオンは避けて回転し終えたと同時にライフルのスコープを見ずに引き金を引き、元大統領を撃った。
「うおっ!」
「まだよ!」
シオンはダメ押しにもう一発撃ち、元大統領はガラスを割って、そのまま下へと落ちていった。
「ライフルのスコープなんてなくても私は出来るわ」
そんな時であった。
「ママ!」
リリーの声がシオンに聞こえた。それは地下の部屋からであり、シオンは地下の部屋へと行く。
そして部屋に行った瞬間、チョウセの発砲に会い、シオンは右肩を撃たれてしまう。
「きゃっ!」
リリーはチョウセに捕まっていた。
シオンはとっさに柱に隠れた。
「大佐、肩はどうなんだ?」
「こっちにきて確かめたらどう?」
「いや結構、遠慮させてもらうぜ」
チョウセは不用意に近づこうとしない。
「大佐、顔出してみろ! 一発で眉間をぶち抜いてやる。古い付き合いだ、苦しませたくはない」
「チョウセ、リリーは関係ないわ! 放しなさい! 目的は私でしょ!」
「ははははは!!」
チョウセは笑うが、シオンは続ける。
「右肩をやられたわ、あなたでも勝てるわ。
来なさいチョウセ、銃なんか捨てて掛かって来なさい!」
シオンは肩を抑えながら、柱から出てくる。
「なぶり殺しじゃつまらないでしょ」
シオンはナイフを取り出す。
「ナイフを突き立てて、私がもがき苦しむのを見て、死んでいくさまを見るのが目的のはずよ。
そうじゃないの? チョウセ」
「手前を殺してやる!」
「その子を放しなさい! 一対一よ。楽しみを不意にしたくないでしょ? 来なさい、チョウセ。怖いの?」
シオンは挑発する。
「野郎ぶっ殺してやる! ガキなんて必要ねえ。ガキにはもう要はねえ」
チョウセはリリーを放した。
「ははははは、はじきも必要ねえな」
チョウセは拳銃を投げ捨て、ナイフを持つ。
「野郎、ぶっ殺してやるああああああーーーーーー!!」
シオンとチョウセのナイフでの戦いが始まった。
チョウセは積極的にナイフでシオンの体を斬りに掛かり、シオンの体が少しだけナイフで斬られる。
「ああっ!」
「ママ!」
「へへ、歳をとったな大佐。あんたは老いぼれだ。その割には綺麗だけどな」
「あなたに褒められても嬉しくないわ!」
シオンはお返しとばかり、ナイフを振り、チョウセの右手手首を掠める。
「やろう!」
チョウセはシオンの右手を封じ、柱にたたきつけてナイフを近づけようとするが、シオンもチョウセの右手を封じて二人はその場で止まる。
そしてシオンは脚を使ってチョウセを後ろにたたきつける。
チョウセはナイフを手から離してしまい、シオンはナイフを弾き飛ばして自身もナイフを捨てて肉弾戦となる。
肉弾戦は熾烈を極め、シオンがチョウセを電気コードがいっぱいのところにたたきつける。
「ぐおおおおお!! くそ!」
チョウセは隠し持っていた銃を取り出す。
「眉間なって撃ってやる!」
しかしチョウセが撃つよりも先にシオンはパイプを抜き取っており、そのパイプをチョウセの腹に目掛けて投げ、パイプはチョウセの体を貫いた!
「ぶるぅううああああああああああ!!!」
「地獄に落ちなさい、チョウセ」
シオンはチョウセの最期を見た。
「ママ!」
リリーが傷ついたシオンの元に行く。
そして島にはようやく軍とカリン将軍が来た。
「まだ誰か残ってるの?」
カリンがシオンに尋ねる。
「死体だけです」
「もう一度コマンドー部隊を編成したいわ。あなたさえ、戻ってくれば…」
「今日が最後よ」
シオンはリリーを連れてトウカのところに行く。
「また会いましょう、シオン」
「もう会うこともないと思うわ」
シオンはリリーとともに帰っていった。
完
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年末映画系小説SP「恋姫コマンドー」 この作品はハリウッド映画「コマンドー」を恋姫キャラに置き換えた作品です。 性格や口調に変更がある部分もあるかもしれませんが、ご了承下さい。 |
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