、キミのとなりで |
、キミのとなりで
プロローグ
七年前の中学一年の夏両親が事故にあった。
事故の連絡があった時はまだ意識不明の状態で俺と妹の愛(まな)は急いで病院へと向かった……。
目の覚まさぬ両親。
そして妹がポツリと呟いた。
「このまま……えっぐ、おかぁさん達……。
ひっぐ……目を覚まさなかったらどうしよう……?
死んじゃったら……」
「な、泣くなよ……そんな事あるわけないだろ?
そうだ母さん達がすぐ治るように二人でお守り作ろうぜ!
なっ?」
俺は泣いてばかりいる妹を泣かせたくない一心だった。
「できた、できたよニィ!」
「あぁ出来たな、これを母さんの所にもって行こうぜ?」
必死に願い、只一途に信じた……。
しかしその願いは叶わなかった。
両親が死んだ……。
静かに眠る両親の傍らで泣き続ける妹。
そして妹によって床に叩きつけられるお守り。
俺はただそれを黙って拾うことしか出来なかった。
十二月三日。
それは俺と妹にとって忘れられない日になった。
しかし、時間は待ってくれない。
その大きな潮流は総てを押し流していった。
このころの俺はすでに中学生で、幼い妹の様に只泣き続けることもできず、覚悟や実感すらないまま俺は『守る』立場になった。
だからと言って不幸なわけではなかった。
俺には妹だけでなく、親代わりのじぃちゃんとばぁちゃんの家族がいた。
学校に行けば友達だっていた。
幼馴染のおじさんとおばさんにはまるで本当の息子のように良くしてくれた。
そりゃあ、他人には『不幸』のカテゴリーに押込められる事が多々あったが、俺たちは、いや少なくても俺は『幸せ』だと胸を張って言える。
なのに、どうしてだろう……。
「高校決めたか?」
「あんまりじぃちゃんとばぁちゃんに迷惑かけたくないし……働くかも」
じぃちゃんやばぁちゃんに遠慮がちで……。
空っぽで続きのない自分に良くしてくれる事にどこか負い目を感じていた。
「これは、和聖と七海さんがお前たちに遺したお金だ。」
「二人とも高校どころか大学まで行かす事くらいどうって事ないから、
心配しないで高校行っていいのよ。」
二人から話しを聞いた時ですら迷惑を掛けてしまっているのではないかと、迷っている自分がいた。
「んじゃ〜また三人で剣道部に入ろうぜ。
目指せ……何処でやんだっけ?」
それでも二人の願いであり亡くなった両親の願いでもある大学まで行くかは分からないが、まずは高校へと入学することに決めた。
高校は家から近い高校で、幼なじみの松野琴音と悪友の岡澤優斗と共に道場に通っていたこともあってか、剣道部に入部することになった。
「あら琴音ちゃんっておっしゃるのね。
かわいらしいお名前ですのね。
こちらこそよろしくお願いしますわ。」
「「俺たちは無視かよ!!」」
そこで新たな出会いもあり、俺の高校生活は充実していたのだと思う。
しかしどこか心の渇望と、ささやかな諦めが俺を一歩引かせていた……。
「大学……行きたいんでしょ?」
「……うん」
だから祖父母に大学に行きたい問われた時、悩みはしたものの俺は大学へ行くことを決めた。
そして――
今年から大学二年になった。
自分は恵まれている。恵まれていると、心の底から思っている。
その筈なのに……。
どうして心が……満たされないのだろう。
「……けや」
「……武弥着いたよ!
起きて武弥……起きろ羽賀武弥〜〜〜ッ!」
あとがきちっくなもの
、キミのとなりにプロローグをお送りしました。
ちなみに『、』は(てん)とお読みください。
あとがきは続けて投稿する1話の方で纏めて行いますのでご了承を。
またご感想やご指摘等ありましたらコメントにて書いてくださると幸いです。
それではノシ
説明 | ||
初めましてKADEN@でざ〜とです。 この度初めてTINAMI様に投稿させてもらいます。 まだまだ未熟故、お見苦しい点が多々あると思いますが、自分達は全力だして一生懸命書いたつもりです。 こんな作品ではありますが宜しければお付き合い下さいませませ。 |
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