真・恋姫†無双?虚像の外史☆三国志演義?(蜀編)
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 偽張角が死んだとはいえ、黄巾党自体が消えたわけではない。

 張三姉妹を助けた劉備達は、彼女達を安全な場所まで護衛していたのだが、その道中で手ひどく荒らさた街に辿り着く。どうやらここに来る少し前に、黄巾党の残党が襲撃してきたらしい。

 その荒らさた街を助けたいと思った劉備は、周辺の黄巾党を倒し街の復興に助力することにするのだが、いつしか街の人々は劉備こそがこの街の太守になってほしいと頼まれてしまう。

 最初は張三姉妹のことや自分が器でないことを述べるが、その三姉妹達や愛紗達に説得され太守になることを決意する。

 だが、その劉備はその場所での太守となったことに不安があった。

 徐州。

 三国志の歴史において劉備が最初になった太守であり、滅ぼされた国でもあったからである。

 しかし、そんな不安を抱いている暇は彼にはなく、舞台は次へと移る。

 ある日、徐州任命をどこで聞きつけたのか袁紹から一通の書状が届く。届いた書状の内容は、洛陽に住んでいた皇帝が董卓に殺され、次の皇帝を名乗っているらしく不服を抱くなら戦いに参加してほしいというものだった。

 それを読んだ劉備は関羽、張飛、張梁に袁紹の誘いに乗るか相談することにした。

「私は賛成です」

 関羽や張飛は連合に参加したいと言う。

「私は反対です」

 張梁は話がうますぎると言う。

「………」

 劉備は以前、助けた董卓のことを思い返した。

 確かに多少の歪みはあるが歴史通りと言える。これで劉備達は連合軍に参加して名を上げていくのだが……。

 本当にあの少女が皇帝なんかを殺すのかだろうかと疑問を抱いていた。できればここは歴史に逆らわず誘いに乗るのが一番だろうが、真実が知りたい。

「………」

 劉備は張梁を見た。

 彼女はとても頭もよくしっかりしているし、何かと他の姉妹や関羽達にも期待されている。だけど彼女自身はもともと軍師ではなく歌手。

 今は戦乱の世のために一時的に力を貸してくれているにすぎないし、何よりこれ以上三人を戦場に連れて行きたくない。

「……孔明」

 ふいに劉備は三人に聞こえない声で一人の軍師の名をつぶやく。

 しかしここにその軍師はいない。

 会うのはもっと先でもあるし、ここは荊州ではないのだ。

「劉備さ〜ん。少しいいですか?」

 その時、張角と張宝が見知らぬ二人の少女を連れて玉座に現れた。

「あわわ……この人が劉備さん」

「はわわ……雛里ちゃんここは頑張らないと……」

 二人は緊張しているのかとてもオドオドしていた。

「天和姉さん、地和姉さん。その二人は?」

「なんか三日間ずっとお城の前をウロウロしていたから連れて来ちゃった♪」

「………三日間?」

 劉備はピクリと眉が動く。

「それであのままずっといるのも邪魔だから、聞いてみたら劉備に会いたいらしいから連れて来たのよ」

 張宝の言葉にまさかと劉備は思うが、二人の名を知った途端、絶句してしまうのだった。

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第二話

 

『定められた運命』

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 彼女達は水鏡という私塾で学問を勉強をしていた生徒だったが、この戦乱の世の中を変えるために無理矢理私塾を卒業して旅に出た。自分達が学んだ事を少しでも力を無い人達に役立たせるたいと願って。

 その旅先に、劉備の活躍をぶりを聞いて、この人なら自分達や国を変えてくれるだろうと思いここに来たらしいが、劉備自身は頭を痛めていた。

 なんせここに至るまでに三国志の英雄達はみんな女姓とか歴史の流れとかがほとんど違うなどメチャクチャだったからだ。

 だけどいくら悩もうが時間は無造作に進み、気がつけば反董卓連合との合流地点に到着していた。

「長の行軍、お疲れ様でございました! 貴殿のお名前と兵数をお聞かせ下さいますでしょうか!」

 金ぴかな軍装に身を包んだ兵士が、筆記用具を持ちながら声を掛けてくる。

「徐州の太守、劉備玄徳です。連合軍の総大将袁紹へ、取り次ぎをお願いできますか?」

「劉備様ですね。それではご報告して来ますので少しお待ちください」

 そう言うとその兵士は陣地中央にある『袁』と書かれた旗の大天幕の中へと入って行った。

「さすが諸候連合……といったところでしょうか。こうやって一同に会すると壮観ですね」

 新たに仲間になってくれた孔明……真名朱里は集結している諸候達に爽快していた。

「劉備様。袁紹の従妹にあたる袁術の旗、その奥には……江東の麒麟児、孫策さんの旗も見えます」

 もう一人の軍師鳳統、真名雛里もおどおどしながら劉備に教える。

「劉備! ひっさしぶりだな―! 三年ぐらい会ってなかったけど元気で何よりだ」

 そこへ陽気的な声で劉備の名を呼ぶ女性が現れた。

「………」

 しかし劉備自身は見知らぬ女性のために無言。

「おいおい……私の顔を覚えていないのか? 共に勉学を学んだ仲だろ?」

「………公孫賛?」

「はぁ〜よかった。覚えていたよ」

「………」

 だけど劉備はまだ半信半疑のためか無言だ。

「伯珪殿。失礼だが、本当にその男が伯珪殿の幼馴染ですかな? 彼は随分と伯珪殿を警戒していますぞ」

 険悪な雰囲気になりそうな場面を痺れ毒を含んだような言葉と共に、一人の美少女が姿を現してもみ消す。

「むぅ……そう言われると返す言葉も無い。あれから三年ぐらい会ってなかったからな……」

 公孫賛は悲しい顔つきでその美少女に話かける。

「………」

 劉備は何も言わない。いや、言えなかった。

 なんせ公孫賛が言う幼馴染は、恐らく自分が初めて出会った少女のことだろう。だけど彼女は黄巾党に殺されている。

 しかもやはり関羽達と出会った時と同じく、自分は『劉備玄徳』という役になっているらしいく公孫賛は、自分が偽劉備だとは気づいていないようだ。

 いや、気づかないというよりもまるでゲームの設定に馴染ませてしまっているといっても過言ではない。

「………」

 劉備はそれをただ、無言でしか返すことしかできなかった。

「それにしても貴公の傍にいるお二人は随分と腕がたつようですな」

 そんな劉備を他所に公孫賛に話かけてきた美少女が、関羽の方に目を移して力量を見極めてくた。

「そういう貴方も腕が立つ……そう見たが?」

「ふふっ、さて……それはどうだろうな」

 余裕を感じさせる笑みを浮かべる少女。

「お待たせしました劉備様、公孫賛様。これより軍議を致しますのでこちらへ来てください」

 呼びに来た兵士に連れられ、公孫賛と劉備とお供の孔明だけ連れて天幕へと入った。

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―――洛陽。

 

 大陸に割拠する諸侯が連合を組んでここに攻めてくるという報告が来る。

 軍師賈駆は信頼できる仲間達と共にこの事態を解決しようと軍議をしていた。

「全く暇な奴らもおったもんやなぁ……ウチらと戦うためにそんなに集まるとは」

 賈駆から話を聞いた張遼は笑みを浮かべた。

「ふんっ。たかが寄せ集めの軍隊。そんなものが何十万集まろうと、所詮烏合の衆ではないか」

 華雄は相手を見下すような目つきをする。

「烏合の衆ねぇ…」

 しかし、張遼は逆に華雄に対して見下すような目つきをした。

「そうだ。それに水関や虎牢関が洛陽への道を拒んでいる。そこに拠って戦えば、連合軍など恐るるに足らず、だ」

「………残念だけど道を拒んでいるのは虎牢関だけよ。水関はこの前の黄巾党との激しい戦いで壊されてしまったもの」

「ならば、虎牢関で迎え撃つのみだ」

「そんなに簡単に行くかなぁ? 黄巾党との戦いで将も兵も戦慣れしとる。……ウチは結構苦戦すると思うやけど」

 張遼は油断はしないほうがいいと心配するが、華雄は激怒した。

「何を弱気な。私と呂布ならば一合で叩き伏せることができる! それをどうして恐れる必要があるのだ!」

「……別に恐れとるワケやない。ウチかて強い奴とは戦いたいって思う。せやけどなぁ……」

「もういい! 私は私の戦い方で虎牢関を守らせてもらうぞ」

 そう言い残して、華雄は虎牢関への出撃準備へと行く。

 華雄が立ち去ったのを見計らうと張遼はため息を吐いた。

「ああいう自分が一番とか思っているアホは、周囲が何を言うても聞かんのがタマに瑕やな。アホやねんから人の言うこと聞いときゃええのに」

「華雄の暴走は計算の内よ。その暴走を利用してある作戦に使うわ」

「作戦?」

「そう。遠征してくる連合軍の弱点は補給ただ一点。虎牢関に籠もって兵糧が尽きるのを待つの。兵糧が無くなれば連合軍は撤退するわ」

「でも、華雄がそれを従うか?」

 その言葉に賈駆は微笑んだ。

「さっき言ったでしょう? 華雄の暴走は計算の内だって」

「怖いなぁ……賈駆っち」

 張遼は微笑む賈駆に恐怖感があると言うと賈駆は悲しい顔で呟いた。

「月はボクが守ってみせる……そのためならなんでもするわ」

「………」

 張遼はその真意に何も言おうとはしなかった。

説明
前回のお話
聖フランチェスカ学園に通う少年は、殺されてしまった劉備玄徳と融合してしまう。
劉備となった主人公は多少の不安はありつつも、劉備玄徳として関羽、張飛と共に黄巾党達を倒していくのだった。
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