、キミのとなりで二話
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「あっはい、今日から越してきた羽賀武弥です、こちらこそよろしく」

「あのっ……一応説明しときますが……」

 

 

 顔をカーッと赤らめる愛梨さん。

 

 余程尻もち付いた所を見られたのが恥ずかしかったのか、その場で、どうして尻もちをついたのかを説明しだしたのだ。

 

 その内容はというと「希咲が滑ったのを庇ったら一緒に滑っちゃっただけですからね」と何度も繰り返し説明するというものだたのだが……。

 

 それよりもどうして……。

 一つの疑問が頭から離れない。

 

 どういうことだろう、希咲ちゃんが言っていた「ママの代わり」って……。

 

 確かに愛梨さんは若い。

 どう見ても俺と同世代なのに……。

 

 あまり初対面でそういった事情を聞くのは不躾なのは分かっているが――

 

 

「亡くなった姉夫婦の子なの」

「えっ!? あ、ごめんなさい……」

 

 

 ついつい、気になるような目で見てしまっていたのかな……。

 俺は恥ずかしくなりついつち目を伏せてしまった。

 

 普段ならば両親が居ないと言う事実に対し、他者が自分に向ける目と同じ目を愛梨さんにも向けてしまったのだ。

 

 自分だって未だに嫌なのにそれをしてしまう自分が情けない。

 

 

「いいって、いいって」

 

 

 俺が目を伏せているのに気付いたのか、愛梨さんは急にジッとこちらを見つめながら、希咲ちゃんをギュッと抱きしめて優しく語りかけてきた。

 

 

「でもさ……そういう事に気付けるってすごいことだと思うよ? 

 中にはさ全く気にしないで、

 エゴを押し付けて来る人もいるんだから……」

 

「…………。」

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 俺はその声を黙って聞くことしか出来なかった。

 

 その様子に愛梨さんは困ったように一度微笑むと抱きしめた希咲ちゃんを下に置く、すると希咲さんはサッと愛梨さんの後ろに隠れてしまう。

 

 すると今度は『困ったな〜』って言うもののさっきとは打って変わって朗らかな笑で俺にもう一度語りかけた。 

 

「うん、それよりも、この子初めは人見知りするどろうけど、もし良かったら遊んであげてよ、きっと希咲も喜ぶから!」

 

 ふと、視線を下げると先程、愛梨さんの足元に隠れた希咲ちゃんがチラチラとこちらを覗いている。

 

 見ていてとても可愛らしく微笑ましい風景だ。

 

「あ、それはも……喜んで」

 

 俺は視線を戻し言葉を詰まらせてしまう。

 先ほどまでの愛梨さんの雰囲気が変わったからだ。

 

 大人っぽい?

 いやっ色っぽいって言うのかな……?

 

 先ほどまで同い年の様な印象だったのだが、希咲ちゃんを見つめるその包むような視線はとても暖かく……魅力的だ。

 

 むろん、元々目が奪われるほど魅力的な女性なのだが、母親代わりという事からなのか分からないがとにかく、かもち出される雰囲気に目を奪われていた。

 

 そして俺の顔を見てバツが悪そうに照れ笑いする姿は少女の様で、その可愛らしさと大人っぽさのギャップがとても印象的で……。

 

 

 

「今ちょうど訪にょわっ!!」

「あぶっ」

 

 

 バサッ……。

 

 

「っえ、あ、あの……」

 

 

 気づくと俺にもたれかかり、柔らかなモノが体に触れている。

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 とっさに回した手はしっかりと愛梨さんの腰を引き寄せ、ふんわりと舞う髪は唇をかすめた。

 

 

 照れを隠すかのように慌てて歩き出す愛梨さんが、同じ場所で足を滑らせたのだ。

 そして、柔らかいのはまったくもって想像通りのモノだった。

 

 

「だっ、大丈夫……ですか」

「ごっ、ごめん……なさい」

 

 

 慌てて離れる愛梨そして取り繕う俺。

 

 

「いえ、怪我がなくて何よりです。」

 

 

 俺にしてみれば嬉い限りだが、幸せを噛みしめながらもここは平然を装おう……。

 

 

「え、えっと……タケくんの部屋に銀治さん達いるよね……は、早く行こうよッ!」

「う、うん!」

 

 

 更に照れを隠すかの様にこちらを見る事無くそそくさと俺の部屋へと向かった。

 

 

「アイリちゃんどうしたの?」

「さ、さー……」

 

 

ガチャ……。

 

 

「どうぞ……」

 

 

 部屋に着くと、愛梨さんと希咲ちゃんを部屋へと招き入れる。

 

 今思えば荷解き途中とはいえ、女性を散らかった部屋に招きいれるのはなんとも恥ずかしいものだ……って!?

 

 

「さらに酷くなってるし!!」

 

 

 部屋へと目を戻すと銀治さん達の宴会は更に盛り上がり、部屋には空の缶やビンが散らかっている。

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 一瞬ここが俺の部屋か疑うくらい散らかっていたのだ。

 

 

「う〜、武弥ごめんね〜。

一応片付けてはいるんだけどゴミが増える一方で……」

 

 

 戻ってきた俺に気付いた琴音が申し訳なさそうに謝る。どうやら銀治や知子、優斗が散らかしているゴミを、話に入りながらも片づけていてくれた様だ。

 

 

「わるいな琴音。

それにしても、まぁなんとも……楽しそうに飲んでらっしゃる。」

 

 

 この散らかしようはもはや感心してしまう。

 

 

「まったく……。

2人ともまた飲んでるんですか!!

も〜二人が言い出した事なんだからね。」

 

 

 武弥が最早感心の域にまで達していると、愛梨さんがすたすたと慣れた様子で二人の元へと向っていった。

 

 

「ま〜〜アイリンも呑むがよい」

「ギンジさん何のためにここに来たんですか!!」

 

 

 ん、何の為にって……?

 

 

「――……おぉ、おおおぉぉッ! 

そうであった、そうであった!!」

 

 

 何かを思い出した様子のギンジさん。

 いったいどういう……。

 

 

「そう言えば呼びに来たとか言ってたな……」

 

 

 ふと、銀治達の言葉を思い出す。

 少なからず俺を呼びに来たと言っていた事と関係があるのだろうか……。

 

 

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「――あのね、さぷらいず? なの」

 

 

 疑問に思っていると、希咲ちゃんにとっては聞きなれない言葉なのだろう、首を小さく傾げながらも俺の服の裾をひっぱる。

 

 

「サプライズ……!?」

 

 

 希咲の言葉に一瞬何を指している物なのか分からず思考が止まる。

 まて、それってもしかして……。

 

 

「えっとね〜タケヤおにいちゃんがシュアク? なんだって」

「あ、うん、そうなんだー。」

 

 

 これまた知らない単語に困惑しながらも希咲ちゃんは、ただモジモジとまだ慣れていない武弥に対し顔を赤らめている。

 

 やはりそう言う事だった様だ。

 

 ただ酔っていた銀治さん達がその勢いで俺の部屋に向かい、その途中で液体を零し、人の部屋に上がり込んでいるだけのものと思っていたがそうではなかったのだ。

 

 希咲ちゃんの言葉を合わせ推理すると、ギンジさんと知子さんはサプライズ歓迎会を行う為に俺を呼びに来たのだ。

 

 たまたまその時俺がいなかった為に待っていただけだったのだろう。

 

 正直待っている際に初対面の人の部屋で飲んでいるのはどうかと思うが、あのテンションだ。

 

 初めからかなりの酒が入っていたのだろう。

 

 ただ言える事は、どんなサプライズがあったにしろこの状況も俺にとってはある意味サプライズだ。

 

 

「あのね、カンゲイ? の、パーティなんだよ〜」

「うん、ありがとう」

 

 

 顔を火照らせ必死で説明しようとする希咲。

 

 

「あはは……ばらしちゃった」

 

 

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 バレてしまった事に気付く愛梨。

 どうやら愛梨さんは笑うしかないようで、少し困った様子だ。

 

 

「でも、そこもまた可愛い!!」

「――て親バカ? 確かに可愛いですけど……」

 

 

 飛びつく様に、希咲ちゃんに抱きつく愛梨さん。

 

 サプライズがばれてしまった時の困っている表情と打って変わって何とも愛らしい笑顔だ。

 

 

「ぬわっははは、バレてしまったかーッ! ドンマイ!」

 

 

 しかし……計画を立てた張本人であろうギンジさんはまったく気にした様子は無く、ただその場を楽しんでいるのはどうかと……。

 

 

「能天気と言うか何というか」

「ごめんね、折角歓迎しようと思ったのにこんな感じになっちゃって」

「いや……、こう言うのも悪くないっすよ」

 

 

 希咲ちゃんに抱きつきながらも申し訳なさそうに謝る愛梨さん。

 

 

「俺もけっこ……う」

 

 

 改めて新しい自分の城を見渡す。

 段ボールに入っていた教科書類は床に散らばり誰かが歩くたびに形を崩す。

 

 折角収納されていた漫画はいつの間にかに取りだされ我悪友が知子さんに見せている。

 

 何故か冷蔵庫は見る見るうちに満たされ見事にアルコールのみとなっている。

 

 

「いやっ、たぶん……きっと……もしかしたら?」

 

 

 これから先、大丈夫か俺!!?

 

 

「ぁの〜……」

 

「人が集まる部屋なんて素敵じゃないか。わーギンジさんが俺の大学のレポートを凄い勢いでやり始めたー。なんて優しいんだ、しかも全部ラテン語? 全く読めないやー……」

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「あの――ッ!!」

 

 

 少し気が遠くなりながらもなんとか自分なりにプラスにとらえようとしていると突然後ろから話しかけられたのだ。

 

 

「えっ!?」

 

 

ハッと我に帰る。

俺はいったい……。

 

 振り向くとツヤ感のあるカッパー オレンジ ベージュの髪が目に入る。

 長さはミディアムヘアーといったところか……。

 

 

「差し入れを持って来たん…です…が……。」

 

「えっ? あっ美雪ちゃん!!

 わざわざありがとう」

 

 

 どうやらこの状況に戸惑いながらも、先ほども話題に出た朝岡美雪が訪ねて来てくれたようだ。

 

 エプロンは外してきたみたいだが、白のブラウスに紺のブリーツスカートとお店の制服姿から、仕事の合間を縫って来てくれたようだ。

 

 

「いえ、少し遅れてしまったのですが。それにしてもこれは……」

「あはははは……ハァ〜」

 

 

 美雪ちゃんでなくともこの状況を見れば唖然とするな。

 ちらりと横目で部屋の惨状を確認する。

 

 

「美雪ちゅうあ〜ん!!僕の為に来てくれたんだね。」

「え……えぇ……?」

 

 俺と美雪ちゃんの間に割り込むようにすっ飛んで来る優斗。

 そしていきなりのことでかなり動揺している美雪ちゃん

 

 部屋の端で愛梨さんのお説教を笑って見ていたはずだが、ここまで飛んでくるとは、どれだけ反応速いんだよお前は……。

 

 

「うん、とりあえず無視しといていいよ。」

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 優斗の相手をするだけ無駄と言うもの、こいつは可愛い女の子が三度の飯よりも好きで女の子が現れれば我先にと声を掛ける。

 

無視するのが一番だ。

 

 

「美雪ちゃ〜ん久しぶりー……あっ髪切ったんだ! 可愛い〜」

 

 

 琴音も美雪に気付き駆け寄る。

 

 俺がバイトをするようになってから、琴音も彩華と何度も遊びに来ており、美雪ちゃんともかなり仲良くやっているようだ。

 

 そういえば今では俺よりも美雪ちゃんに会いに来る方が多い気がする。

 

 

「お久しぶりです。そうなんですよ〜、少し軽くしちゃいました。」

 

 

 指で軽く髪を滑らす。髪を褒められ照れているようだ。

 

 

「それもセルフカットって言うのが凄いのよね。」

 

 

 ギンジさん達を説教していた愛梨さんが、美雪ちゃんが来たことに気がつき一時説教を中断し話しに加わる。

 

「何時もウチの希咲まで髪切ってもらっててホント凄いの〜」

「えっ! そうなの美雪ちゃん!?」

 

 愛梨さんの言葉に目を輝かせ、尊敬の眼差しをに美雪に向ける。

 不器用な琴音にとって人の髪を切ると言う行為自体別次元の事だしな……。

 

「えっと、な、慣れというか……整える程度は出来るって、だけですけどね。」

「え〜それでもすごいよ〜!」

「うん、すごいすごい!」

 

 女性陣に賞賛を送られ顔を赤らめる美雪ちゃん、しかし満更でもないようだ。

 

 話は弾み、『良ければ今度琴音の髪も切りましょうか?』と、とても気を良くしている。

 しかし……、改めて部屋を見渡す。

 

 この狭い部屋でこのまま話をするのもなんだ……、さすがにキツイよな……。

 また俺自身別の世界に言ってしまう恐れも否めない。

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 むしろこれ以上ギンジさん達に散らかされたらと思うと……、想像しただけでも恐ろしい。

 

「あっあの〜!!お話し中悪いんだけど、

 この人数で俺の部屋で休憩するのはきついからリビ――」

 

「ぬわっはははは、心配ご無用!! 

 ここには共有スペースが備わっているのだ!!」

 

 ってちょっ!? それ俺のセリフ!

 

「「いるのだ〜〜」」

 

 ギンジのマネなのか片腕を天に付き上げ語尾を復唱する知子さんとと希咲ちゃん。

 

 別にセリフを取られたからといってどうという事は無いのだが、折角の見せ場を取られたのは寂しい物を感じる。

 

「あっ、では私お店もありますし戻りますね。」

 

「まぁ〜まぁ〜!!」

「さ〜、ここからが本番だ! 

 タケちゃん達の休憩もかねて『タケちゃんサプライズ歓迎会』の開幕なのだ!!」

 

「いやだから、言っちゃダメだろ!言ったらサプライズじゃないから!!」

 

 美雪さんの宥め話を進める知子さんとギンジさん。

 

「サプライズ、楽しも〜う」

「絶対騒ぎたいだけでしょう?」

 

 知子さんも完全に隠すつもりが無いよな……。ギンジさんと共に美雪ちゃんの手を取りリビングへと向かう。

 

「えぇっあっ!!」

 

 何というか……サプライズについてはもう良いとして、美雪ちゃんまでも巻き込まれてしまった。

 

 しかも言葉をはさむ隙すらあたえないって……。

 

 俺個人としては美雪ちゃんも参加してくれるのは嬉しいのだが美雪ちゃん本人は大丈夫なのであろうか。

 

「さっっすがギンジさん!! ほらタケいくぞ?」

「お前は溶け込むの早すぎだっつうの……」

 

 とは言う物のここで何言っても仕方がない……優斗に促されるのは癪だが、俺も素直に向かうとしよう。

 

 俺は優斗と共に、ギンジさん達の後を追い、リビングへと向かう事にした。

 

 

 続く……

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 あとがきのようなモノ

 

 今日は相方が不在なので、あとがきはらいれんのソロです。

 んで今回のあとがきはちょいと前回のあとがきの補足的なことをしたいと思っちょります。

 

 それは何かと言うと私ことらいれんの事です。

 

 前回では構成と書いておりますが、正式には『ブレーキ』と言いましょうか……。

 たしかに構成じみた事もやっております。

 

 KADENさんが書いてきた原本を見て、足りないシーンがあると感じたならばプロットを書いてもう一度返したり、細かいセリフの言い回しなどの手直しもやっております。

 

 しかし、それだけは多分この作品を皆様にお届け出来なかったでしょう。

 

 ここから上記の『ブレーキ』が活躍しますw

 

 えっと、なんと言いましょうか……KADENさんは一種の天才とでも言いましょうか、我々凡人には理解出来ない超感覚を持っております。

 

 特にセリフ回しや余り使わないけど比喩表現、擬音等に如実にそれが現れます。

 

 昨日の事を例にしますと、ドラムロールって奴がありますよね?

 楽器のドラムを連打して、ナニカの発表とかの時に期待や緊張を際立たせる時に使うアレですよ。

 

 

 ダンッ! ダラララララララ……ダンッダン!

 とまぁこんな感じだと思うんですよ……。

 

 しかしこれが天才KADENさんに掛かると……。

 

 ドロドロドロドロ〜……。 

 になっちゃうんですよ……。

 

 んで、コレを如何に『それでは皆が解らない』と説得し訂正するのが、らいれんの大きな役割になっております。

 

 まぁ今日はこんな感じでしょうか?

 そろそろ、らいれんもヤニが切れて大変なことになりそうです。

 

 あとがきなんざ、早く書き上げてコンビニへダッシュしたいッ!

 てのが今の本心で御座いますw

 

 マジでヤバいです……キレて……gfy扶助klp@……

 

 かゆ、うま

 

 ここであとがきは途切れている……。

 

 

 終われ

説明
二話をお送りします。
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