欠落世界
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私は私でいられないことに酷く吐き気がしております。

上手く出来もしない笑顔を浮かべ、興味の湧きそうにもない話を頷いて聞き、自分には全く面白さの分からない話を口から紡いでいるのです。

こんな私を誰が好いてくれるものか。

独りでいられるほどの強さもなければ、皆に怪しまれない程度の仮面も簡単に被れない自分は、見放されて気味悪がられ、過ごすに違いない。

 

絶望の淵に立たされた気分になりました。どうして私は薄暗く醜い感情ばかりは感じることができるのでしょう。

あまりの吐き気に立つのすら辛くなり、蹲ってしまいました。

けれどやはりそんな私を気にしてくれる人などいるわけがありません。

ああああ、誰かが側にいてくれたなら。

これほど嘆き悲しむこともなかったのではないでしょうか。

 

恐ろしく弱く卑しい自分には、せめてこんな文章を残すことしかできません。

それも、上手くもない拙い文章で。

本になるでもなく、ただただ我が家に埋もれてしまう。そんな存在であっても構わないのです。

この醜い感情を少しでも吐露することが出来たのならば、私はそれで満足するのですから。

 

かの有名な太宰治の書いた「人間失格」という話がありますが、きっとあの主人公の葉蔵にも、私のことは分からないに違いありません。

 

だって私は「人間失格」でも「人間合格」でもなく、ただの「人間欠落」なのですから。

説明
暗いかもしれません、というか暗いです。
続き物になるかどうかも分からない、物語の最初の最初です。
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