吹寄さんの……その5
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 上条当麻が好き――なんだと思う。

 胸を張って言いきれるわけじゃないけど、きっと好き。

 だけど私は彼に告白をする事が出来ない。

 前々から分かっていたけど、上条当麻に恋心を抱いている人は多い。

 私が恋心を抱く前から上条当麻に恋をしていただろう。

 最近恋心を抱いた私が、そんな人達を出し抜くなんて出来ない。

 だから私はこの想いを胸に秘めたままにする。

 私と上条当麻はただのクラスメイト。それだけの話。

 

 ――だったのに。

 

「上条当麻が入院を!?」

「ええ、そうなんですよー上条ちゃんったら、また無茶をして病院送りになったのですよー」

 上条当麻が入院。今度は何をしたのか分からないけど、また入院。

「ですから吹寄ちゃんに上条ちゃんのお見舞いに行ってきて欲しいのですよー」

「わ、私がですか!?」

「はいー、吹寄ちゃんと上条ちゃんが最近仲が良いのを先生が知らないと思っているのですかー♪」

「そ、それは……」

 ただ単に上条当麻にご飯を作ってあげていただけで、仲が良いわけじゃ……

「まぁ、とにかく上条ちゃんのお見舞いにいきやがれーなのですよ♪」

「…………はい」

 小萌先生の頼み事だし、か、上条当麻のお見舞いに行ってきましょうかね。

 それに少し上条当麻に文句を言いたいしね。

 

 コンコン

 

「入るわよ」

「どうぞ」

「上条当麻。貴様は――っ!?」

 上条当麻の病室に入りその姿に驚く。

 たくさんの包帯を巻かれた身体。元気そうな顔をしてはいるけど、その姿は異常だ。

 いくら上条当麻が不幸体質といっても、この怪我はあり得ない。

 何をすればこんな怪我をするのだろうか?

「お、吹寄じゃねぇか」

 あまりに普通な対応。

 上条当麻にとっては、このくらいの怪我はなんでもないのだろうか?

「…………」

「吹寄? 吹寄さーん?」

 いつも通りの不真面目な顔。

 人を心配させまいとしている顔。

 どうして、この男は自分を大切にしないのだろうか?

 皆が……私が心配しているというのに。

「ふ、吹寄さん? どうして、そんな怒った表情をしているのでしょう?」

「貴様が悪いのよ!」

「うおっ!?」

「貴様が何処で何をしようが関係無いけど、怪我無く無事に帰ってきなさいよ! 何度も何度も

入院をして、少しは周りの人間の事も考えなさい! 貴様の心配をしている人の事も少しは

考えなさいよ!」

 貴様が何をしているのかは知らない。それに怪我をしているとはいえ、生きてはいる。

 生きている事は喜ばしいことだけど、そんな怪我を毎回毎回していたら、本当にいつか死んで

しまうんじゃないだろうか。

 そんなのは嫌だ。

 だから、少しでいいから自分の事を大切にしなさいよ。

「すまん吹寄……」

「……謝るな」

 謝ればいいって問題じゃないのよ。

 私に心配をかけるなって言ってるのよ。

「……ありがと吹寄」

「……ばか」

 どうして、ここでそんな言葉が出てくるのよ。

「ははっ。ほんとうにありがとな」

「――だからっ」

 なんでそんな表情が出来るのよ!

 私はただ我儘を言っているだけなのに。

 それなのに上条当麻は、幸せそうな表情をしている。

 

 あぁ、ズルイ。本当に上条当麻はズルイ。

 上条当麻がこんなんだから、私は――

 想いを胸に秘めたままにしたかったのに、

 

 本当に上条当麻は罪作りな男だわ。

 もう少し積極的に行動してみよう。他の誰にも上条当麻を渡したくない。

 そんな風に思わせてしまうのだから。

「ふふっ♪」

「な、なんだ――?」

「なんでもないわよ♪」

 ただのクラスメイトだからといって、逃げるのは止めよう。

 理由や時間なんてどうでもいいじゃない。

 私は上条当麻が好き。

 ただそれだけなんだから。

 

説明
最終話なので超本気モードで書いてみた(たぶん……)
色々と無理やり感があるのは否めないですが、まぁ仕方ないですよ。許してくださいな
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コメント
吹寄可愛いな・・・。やっぱり普段のツンは愛情の裏返しなのかな。(kabuto)
タグ
とある魔術の禁書目録 二次創作 上条当麻 吹寄制理 

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