空回り
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「ねぇあんた。あたしと一緒にゲームして欲しいんだけど」

「はぁ? なんでお前と一緒にゲームしなきゃならないんだよ」

「――チッ、うるさいわね。理由とかどうでもいいじゃない」

 何でいちいちそんな事を聞くのよ?

 あんたと一緒に遊びたいとか、そんな事言えると思ってんの!? 

 余計な事考えないで、大人しくあたしとゲームをすればいいじゃない。

 ほんっと、バカなんだから。

 少しは乙女心を察しろっての。

「つべこべ言わずにさっさとやるわよ!」

「……分かったよ」

 めんどくさそうにゲームの準備を始めるバカ兄貴。

 なによ。そんなにあたしとゲームをするのが嫌なの!?

 超絶、美少女のあたしと並んでゲームが出来るなんて、普通の男の人なら大喜びするもんでしょ。

 それなのに、この男は……

 あ〜ムカつく!

 

 そんなあたしのムカつきからゲームが始まったわけなんだけど――

「ちょっ、近づくな! 離れなさいよ!」

 バカ兄貴が必要以上にあたしに近づいてくる。

「無理言うなよ。近づかないと見えないだろ」

「それでも離れなさいよ!」

 あんたが近づくと、その……匂いとか感じるじゃない!

 あんたの匂いを嗅いだら、集中出来ないでしょ。

「〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!」

「おい桐乃。顔が赤いぞ」

「き、きき、気のせいよっ!」

 あんたの匂いで顔が赤くなるなんてあるわけがないでしょ!

 そんなのまるで、あたしがあんたに惚れてるみたいじゃない。

 そ、そそ、そんなバカな事絶対にあるわけがないでしょ!

「ゲーム中断した方がいいんじゃないか?」

「気にするなって言ってんでしょ!」

 これは、あたしの問題なんだから。

「いや、やっぱりダメだ。休め桐乃」

「はぁ? 何言ってんのよ」

 何であんたが、あたしに指図してんのよ。

「いいから休め」

「だからって――ちょっ!?」

 お姫様抱っこの要領で、あたしの身体を抱く。

「な、ななな、何してんのよ!?」

「ちょっ、大人しくしろって、落ちたら危ないだろ」

 危ないのは、あんたの方よ!

 こんな近くであんたの温もりを感じるのはヤバイって!

「ほらっ」

 

 ぼすっ。

 

 少し乱暴にベッドに投げ出される。

「桐乃。しっかり休めよ」

「な――っ!?」

 なに、急に優しくしてんのよ? そ、そんなのあんたらしくないじゃない。

「ゲームするのは、また今度にしような」

 そう言って、あたしの部屋から出ていくバカ兄貴。

 カッコつけんじゃないわよ。キモイっての。

 それにしても――

「はぁ……すっごい自己嫌悪だわ」

 自分から誘っておいて、勝手に自爆して。

 しかも余計な気を遣われるなんて……

 バカ……ばかだわ。

 

「あたしの大バカ……」

 ぐすんっ。

 

説明
少しばかり京介をかっこよく書いてしまったかもしれません。そして桐乃がちょいとアホの子に……
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2010 1911 2
タグ
俺の妹がこんなに可愛いわけがない 桐乃 高坂京介 

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