真・恋姫†無双?虚像の外史☆三国志演義?(蜀編)
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 董卓達は生きていた。

 しかし、黄巾党残党との戦いの傷が大きかったために洛陽を捨てて逃げることしかなかった。

 当初は、長安へと逃げる予定だったが、護衛してくれた呂布や張遼達など兵士の怪我が激しかったため諦めて許昌の端にある小さな城に住んでた。

 だが、董卓生存は曹操に知られてしまう。

 攻められる前に攻めるという決断をした呂布は、自分を大将として許昌を襲撃。しかし、曹操はその襲撃を予測していため逆に返り討ち合う。

 さらには曹操の追撃を逃げる際に、張遼が曹操に捕まってしまう。

「………恋は……弱い」

 最強と言われた武将呂布は、己の弱さに嘆きながら、その後、自分の命と引き換えに董卓達を助けてもらおうと徐州に住む劉備の元へ訪れる。

 訪れた劉備は”董卓達を助けたいのなら自分で守れ”という答えとその守る力に協力するという返答をして呂布達を仲間にした。

 その一方で、袁術が皇帝宣言をして各諸侯に降伏しなければ武力介入すると通達してくる。

 この皇帝宣言にいち早く反旗を異議を唱えたのは袁紹。

 袁紹は、まずは公孫賛が治めている国を滅ぼすと次は劉備へと進軍。それを聞いた袁術も対抗するかのように劉備の国へと進軍して来るのだった。

 報告を聞いた劉備は、すぐさま玉座にみんなを集めて今後についてどうするべきか尋ねた。

「もちろん戦うべきですっ!」

 関羽が殺気に満ちは溢れるような声をあげる。

「もちろん私も手伝うぞ! 私の国を奪った事を後悔してやる」

 袁紹に国を滅ぼされ、なんとか生き延びた公孫賛も戦うことを唱える。

「しかし……我が軍の兵は五万。袁紹は七十万、袁術は二十万。どう戦うのだ?」

 元公孫賛の部下であり、今は劉備の家臣の張雲が尋ねた。

「問題ありません。袁術さんはこちらへは来ません」

「来ない? どういう意味だ朱里」

「つい先ほど袁術さんの国が孫策さんが奪ったそうです。そのため袁術さんは自国の奪還ために、反転しているそうです」

「……なるほど。しかし袁紹はどうする?」

「大丈夫です♪」

 うふふふと、孔明は口に手を当てて、笑った。

「だって、袁紹さんがいくら七十万の大軍でも、自慢するような進軍では、隙なんていくらでもありますから」

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第四話

 

『良好』

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 袁紹の命令により先陣として五万の兵を従えて文醜、顔良が徐州本国に向けて進軍していた。

「暇だな〜〜」

 馬に跨ながら文醜は、退屈そうに両腕をまっすぐに伸ばしつつ顔良に話しかける。

「もう……文ちゃん、緊張感なさすぎるよ〜〜」

 ここは敵の領内。

 いつ何が起こるのかわからないというのに文醜のあまりにも、緊張感のない態度に顔良はため息をつく。

「だってさ、もう三日間もただ歩いているだけなんだもん。緊張感なんてとっくになくなっちまったよ」

「……それはわかるけど」

 本来なら徐州には三日前にはもう着いている。

 しかし総大将、袁紹はこんなことを兵士達に命令した。

『お――――ほっほっほっほ。敵は小さな国なんですから急いで進軍する必要などありませんわ♪』

 そんなに警戒をする必要はない。ゆっくりと自軍の兵力を見せつけるように進軍すればいい。それが袁紹が徐州襲撃するまでの命令。

 誰もが『アホか?』という疑問を抱くも、総大将に逆らう者もおらず、命令通りものすごく時間がかかるような軍列や道を選んで進軍していた。

 そしてそれは先陣を任された文醜、顔良も同じである。

「はぁ〜〜早く城に着かないかな。関羽とか張飛とかと戦ってみたいよ」

「……私はそんな人達と戦いたくないよ〜」

 その時、物見として先行していた兵士が慌てた様子で報告に来る。

「申し上げますっ! 五百ほどの敵兵がこちらに向かっております。大将は呂布と張雲っ!」

「呂布だって!? 呂布って確か曹操に殺されたたんじゃなかったかよ」

 呂布の生存は知っていた。しかし、曹操に殺されたのだと報告で聞いていたのだがどうやらデマを掴まされていたようだ。

「でも……いいじゃん、いいじゃん。やっぱり戦いはこうでなくちゃな♪」

「え―――!? この前の張雲さんに負けたのに呂布なんかに敵うわけないじゃないっ! しかも二人も」

 実は前回の公孫賛を治めている国を襲撃した際、あと一歩で公孫賛を倒せたところを張雲に邪魔され、しかも実力負けで逃がしてしまったために自分の力量をよく知っていた。

「大丈夫、大丈夫。運が良ければ勝てるって」

「いや……無理だって……」

 何も勝てる根拠がないのに自信ありげな文醜。

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 互いの軍勢が出会い、対立する中で、大将同士が言葉を交わした。

「久しぶりだな文醜、顔良殿」

「お―――久しぶり――。張雲」

 張雲と文醜の二人の顔は笑顔だが、それは明らかに作り笑顔であることは誰の目でもわかる。

「いちよう尋ねるが、ここに何しに来たのかな?」

「もちろん侵略だよ。袁紹様を大陸の皇帝にするために来た」

「ふむ。本心では袁紹はこの国を治める器なのか?」

「………例えそうであっても、アタイ達は一生袁紹様に付いて行くつもりだ」

 会話はそこで終わった。

 答えはわかっている。もはやここは戦場なのだ。剣だけが正義の世界なのだと。

「はっ!」

 張雲の騎馬が文醜に向けて走る。

「てりゃぁぁぁぁ――――っ!」

 咆哮と共に文醜も張雲に向けて走った。

 ガッキンと剣の刃と槍の刃が交差する。

「………っ!」

 文醜は苦しそうな顔をした。

「一対一での戦いの結末は、わかっているはずだぞ。……文醜」

 しかし、文醜は微笑んだ。

「……今回は斗詩がいる」

「何?」

「はぁぁぁぁ―――っ!」

 張雲の背後を振り向く。

「今だっ!」

 文醜が張雲が振り向いた瞬間、交差する刃を引き離す。

「ちっ!」

 顔良に背後を取られ舌打ちを鳴らす張雲。

「斗詩っ!」

「うんっ!」

 二人は声の合図と同時に張雲の腹部へ向けて刃を走らせた。

「………くっ!」

 間一髪を防ぐが、衝撃は残り、張雲は吹き飛ばされてしまう。だが、待機していた呂布が受け止めたので怪我はない。

「今だっ! 突撃―――っ!」

 揺らぐ二人を好機に思えた文醜は、待機していた兵達に突撃命令を下した。

「………撤退」

 呂布は張雲を馬に乗せ、撤退命令を出す。

「逃がすな――追え――追え――っ!」

 逃げだす劉備軍の兵士。それを追う袁紹軍。

「………」

 だが、顔良はこの流れにあまりにもうまく行き過ぎると思えた。

説明
前回のお話
黄巾党との戦いによって董卓は倒されてしまい、連合軍は何もせずに終結を迎えた。
しかし、それは群雄割拠時代の幕開けを意味していた。
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