孤高の御遣い Brave Fencer北郷伝22
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一刀と別れた後、桃香達は長沙郡の臨湘で黄忠漢升こと紫苑を説き伏せ仲間にし、荊州の実質的な統治権を獲得した

 

この時すでに劉表は亡くなっていて劉表の子、劉埼も病で亡くなっていたため荊州の統治者は紫苑になっていたのだ

 

さらに荊州南部桂陽郡を守る戦好きの厳顔、魏延文長を打ち破り仲間にした

 

桃香を見た魏延の反応は

 

魏延「わわわわたしの真名は焔耶!りりりり劉備様!あなた様の下部(しもべ)になります!!/////////」

 

と、桃香の美しさに一瞬で堕ちてしまった

 

その後劉備軍は益州に入り、益州太守劉璋の圧制に苦しんでいた人々と手を結ぶ

 

劉備軍は抵抗らしい抵抗もなく成都までたどり着き、太守劉璋を追い出し劉璋の圧制から民達を救う事に成功する

 

そして、桃香達は成都を拠点とし、ここに蜀が建国された

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな中

 

 

 

 

 

曹魏、董卓軍を取り込み袁紹を討つ

 

さらに曹魏は、涼州に使者を送り馬騰との交渉が上手くいっていて、このままでは涼州も曹魏に吸収されてしまうと言う噂まで流れ始める

 

益州、成都内はかなり揺れていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

朱里「桃香様!このままでは拙いです!」

 

雛里「はい、このままではわたくし達蜀は、あらゆる面で魏に負けることになってしまいます!」

 

一刀と別れてから約2ヶ月、朱里と雛里は魏の行動の素早さに愕然としていた

 

蜀国内の地盤は、一刀から教えてもらった政策によって見違えるほど安定してきたが、それでもまだ万全には程遠かった

 

白蓮「しかし、董卓殿が曹操に無条件降伏したことは本当なのか?正直信じられないぞ」

 

朱里「この情報は間違いありません」

 

鈴々「にゃ?どうしてそう言えるのだ?」

 

雛里「実は先日、魏の雫ちゃん、徐庶元直ちゃんから手紙が届きまして、そこに書いてあったのです」

 

桃香「・・・・・その手紙は信用できるの?」

 

桃香は、以前のようなことがあったので、手紙の信憑性についてはかなり警戒心が強くなっていた

 

朱里「はい、間違いありません、これは雫ちゃんの字です」

 

桃香「そっか、今度は間違いないみたいだね」

 

星「(流石に桃香様も太守として成長してきましたな)」

 

星は一国の主として成長していく桃香の姿を嬉しく思った

 

紫苑「しかし、朱里ちゃんや雛里ちゃんの言う通り、このままでは拙いですわね」

 

桔梗「さよう、曹魏はやがてこの益州、それに荊州にまでその手を伸ばしてくるでしょう」

 

桃香「・・・・・・・・・・」

 

桃香が今後の対策に悩んでいると

 

愛紗「桃香様!」

 

桃香「な、何?愛紗ちゃん?」

 

愛紗「わたくしを荊州へ行かせて下さい!」

 

桃香「愛紗ちゃん!?」

 

愛紗の言葉に桃香は驚く

 

鈴々「愛紗!?まさか一人で行くのか!?」

 

愛紗「その通りだ!」

 

桃香「そんなことさせられないよ!愛紗ちゃん一人だなんて!朱里ちゃん!なんとかもう一人くらいは!?」

 

朱里「・・・・・残念ですが、蜀の地盤はまだまだ磐石ではありません、あまり将と兵を欠けさせることはできません」

 

雛里「しかしこのままでは、いずれ荊州は魏か呉に攻められてしまうこともまた事実です」

 

朱里「そうなってしまえばわたし達はその後、戦術、戦略的に魏と呉に大きく遅れを取ってしまいます」

 

桃香「・・・・・・・・・・」

 

しばらく考え込み、桃香は意を決し

 

桃香「・・・・・うん!分かったよ愛紗ちゃん!荊州をお願い!」

 

愛紗「はっ!この関羽、必ずや荊州の地を守って見せます!」

 

焔耶「安心しろ愛紗!桃香様は必ずわたしが守ってみせる!」

 

愛紗「頼んだぞ!焔耶!」

 

焔耶「おう!」

 

その後愛紗は、3万の兵達とともに荊州へと出陣していった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

愛紗「(一刀様、あなた様の身柄、この関雲長が守って見せます!)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

曹魏が袁紹を討ち領土を一気に拡大し、さらには涼州にまでその勢力を伸ばしているという情報は呉にももたらされる

 

 

 

雪蓮「まさかあの袁紹の軍が数日で負けてしまうなんてね」

 

冥琳「情報によると官渡では、曹操に降伏した董卓が袁紹を討ったらしいからな」

 

蓮華「それなら納得がいくわね」

 

純夏「ええ、あの董卓軍が相手じゃ袁紹は手も足も出ないでしょうね」

 

亜莎「それほど董卓軍は強いのですか?」

 

祭「それはもう、亜莎はあの戦いに参加していなかったから董卓軍の実力は知らないであろうがな」

 

穏「はっきり言って防御だけを見れば大陸最強かもしれませんね」

 

亜莎「はぁ〜〜〜〜〜〜・・・・・」

 

みんなの言葉に亜莎は溜息を洩らした

 

その戦いに同席できなかったことが悔しい溜息である

 

そんな時

 

明命「雪蓮様!ただいま戻りました!」

 

情報収集活動を行っていた明命が戻ってきた

 

冥琳「ご苦労、それでどうだった?」

 

明命「はい、雪蓮様の仰った通り、劉備は荊州そして益州を手に入れ、その後恐るべき早さで国内を安定させていっています!」

 

雪蓮「ほら、私の言った通りでしょ♪」

 

冥琳「・・・・・むぅ」

 

以前冥琳は、雪蓮から劉備は特に警戒したほうがいいと言われていた

 

冥琳は弱小勢力の劉備が特に自分達の脅威になるとは思わず、事実確認の為に明命を益州に派遣していたのだ

 

雪蓮「やっぱり私の勘は良く当たるわね♪」

 

冥琳「雪蓮の勘の良さはわたしも良く知っているわ、しかしわたし達軍師は、そんな不確定要素に頼るわけにはいかないのよ」

 

雪蓮「あれ〜〜?この前自分は果てしなく柔軟だとか言ってなかったっけ〜〜?」

 

冥琳「戦の天才のおまえに我々凡人の考えることは理解できんだろう・・・・・穏、亜莎、お前達はこんな風になってはならんぞ」

 

穏「はい〜♪」

 

亜莎「は、はぁ・・・・・」

 

雪蓮「ぶーぶー」

 

冥琳の言葉に雪蓮は膨れっ面になる

 

祭「しかし、このままでは本当に拙いの」

 

冥琳「はい、我々も美羽の豪族達の殆どを吸収したとはいっても、まだまだ安心はできません」

 

純夏「そろそろ百合と小蓮が戻ってくるだろうと思うけど」

 

思春「小蓮様にも困ったものです・・・・・」

 

百合が各地の豪族との交渉に行くと聞いて小蓮も行きたいとわがままを言い出して、結局勝手に付いていってしまったのだ

 

小蓮曰く

 

小蓮「美羽ちゃんに会いに行く〜〜〜♪」

 

と、美羽と大の仲良しになった小蓮は友達に会いに行く気分なのであろう

 

雪蓮「まあ、あの子にもこれからいろんなことを経験させておいたほうがいいわね、これからの呉のためにも」

 

冥琳「そうだな、小蓮様にも頼もしくなっていただかないとな」

 

思春「それでこれからどうするのですか?曹魏と蜀が次々と領土を拡大している中で我々だけが手をこまねいているわけにもいきませんよ」

 

雪蓮「それもそうなのよね、呉の国内については大丈夫だと思うけれど・・・・・冥琳、何か策はある?」

 

冥琳「一番手っ取り早いのが、荊州を奪うことだな」

 

明命「・・・・・それに関してなんですけど」

 

冥琳「なんだ?」

 

明命「実は南荊州に蜀の関羽将軍が入ったという情報があります」

 

穏「あの軍神関羽さんがですか〜」

 

純夏「軍神ですって?」

 

明命「はい、蜀を創るうえで最も活躍したのが関羽さんです、そのために関羽さんは蜀内では軍神として称えられているそうです」

 

純夏「それはぜひ戦ってみたいわね♪」

 

純夏は、瞳をキラキラさせていた

 

冥琳「・・・・・亜莎、何か策はないか?」

 

亜莎「はい!?わ、わたくしの策ですか!?」

 

冥琳「そうだ、いつまでもわたしに頼ってばかりでは穏もおまえも成長しないからな」

 

穏「そうですね〜、そろそろ亜莎ちゃんも戦を経験したほうがいいですね〜」

 

亜莎「分かりました、では・・・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから一週間後、北荊州の村では

 

 

 

 

 

「せやーーーーーーー!!」

 

「でやーーーーーーー!!」

 

「はあーーーーーーー!!」

 

「どおりゃーーーーー!!」

 

「せいやーーーーーー!!」

 

一刀「・・・・・ふっ」

 

ドカッ!バキッ!ゴキッ!ゴカッ!ガンッ!

 

「あだっ!」

 

「いだっ!」

 

「いてっ!」

 

「ぐあっ!」

 

「あつっ!」

 

一刀「よし次!」

 

久しぶりに一刀が村人達に訓練を施していた

 

一人一人相手にしては間に合わないので5人ずつ木刀で相手にしていく

 

時雨「・・・・・相変わらず強いですね」

 

村長「うむ・・・・・とてもついこないだまで毒に犯されていたとは思えん」

 

華陀「俺も一刀の回復力には驚いている、俺の予想ではもう二月はかかると思っていたんだがな・・・・・毒はもう抜け切っているし後遺症も見受けられない・・・・・それに、あいつはあれでも全然本気を出していないぜ」

 

時雨「でしょうね」

 

村長「でしょうな」

 

それはそうである

 

一刀が本気を出してしまったらそれこそ村の人達は今頃死んでいるであろう

 

一刀「ふぅ・・・・・よし!今日はここまで!」

 

「「「「「ありがとうございました!!!」」」」」

 

一刀「おう!こっちも運動に付き合ってくれてありがとうな!」

 

「「「「「(あれで運動かよ)」」」」」

 

村人達は解散していった

 

時雨「お疲れ様です、一刀さん」

 

村長「それにしても見事なものですな〜、あやつらが五人がかりで挑んでもまったく歯が立たないとは」

 

一刀「いいえ、あいつらもかなり強くなっていましたからね、時々ヒヤッとしますよ」

 

時雨「それにしては息一つ乱していないですよ」

 

一刀「自分も今まで、数多くの修羅場をくぐっていますからね」

 

村長「なるほど、体力が付くわけですな」

 

華陀「だが、病み上がりでそこまで動けるならたいしたものだよ」

 

一刀「本当にありがとうな華陀、華陀がいなければ俺は今頃死んでいたかもしれない」

 

華陀「な〜に、俺達医者は人が病気を治そうとするのを手伝っているだけさ」

 

一刀「それでもお礼は言うさ・・・・・本当にありがとう、華陀」

 

華陀「よせやい、俺達は親友だろ」

 

一刀「ああ、そうだな」

 

ガシッ!

 

一刀と華陀は右手でがっちりとお互いの手を握り合った

 

時雨「あ、一刀さん、ちょっと小耳に挟んだんですが・・・・・」

 

一刀「なんですか、時雨さん?」

 

時雨「実は、近いうちにここ荊州で戦がまた起こるらしいです」

 

一刀「またですか?前は劉備が魏延、厳顔と戦った戦でしたね」

 

時雨「はい、その時はお互いたいした損害は出ずにすんだらしいのですが」

 

一刀「・・・・・・・・・・」

 

一刀は自分が言えた義理ではないと思うが、例え被害が小さくても戦そのものが起こることには心が痛んだ

 

時雨「今度は、呉が攻めてくるらしいです」

 

一刀「呉だって!?」

 

華陀「ん?何か知っているのか?」

 

一刀「ちょっと待ってくれ、少し考えたい」

 

華陀「・・・・・・・・・・」

 

時雨「・・・・・・・・・・」

 

村長「・・・・・・・・・・」

 

一刀「(呉が荊州を攻める戦いはいくつかあるけど、荊州は今は桃香の領土になっているから・・・・・)」

 

一刀は、三国時代に荊州で起きた戦を思い出していた

 

一刀「(蜀と呉の戦・・・・・・・・・・まさか!?)」

 

何かを思いだし一刀は時雨に問いかける

 

一刀「時雨さん!もしかして今荊州を守っているのは、蜀の関羽将軍じゃありませんか!?」

 

時雨「え?は、はいそうですけど」

 

一刀「・・・・・・・・・・」

 

時雨「一刀さん?」

 

村長「一刀殿?」

 

華陀「どうしたんだ、一刀?」

 

一刀「(間違いない!樊城の戦いだ!・・・・・関羽は・・・・・愛紗は・・・・・この戦いで死ぬ!)」

 

後の世に残る、関羽が孫呉の呂蒙に討ち取られる樊城の戦いである

 

一刀「(でも、まだ赤壁の戦いも起こっていないんだぞ!なのにここで関羽が・・・・・愛紗が死んでいいのか!?)」

 

ここでも矛盾するこの世界の歴史に、一刀は頭を痛めていた

 

一刀「(でも・・・・・ここで俺が介入することが正解なのか?)」

 

この世界にとって自分はイレギュラーでしかない

 

自分勝手に世界の歴史を弄繰り回すことは果たして許されるのか?

 

答えの分からない難題に一刀が悩んでいると

 

華陀「・・・・・一刀」

 

一刀「?・・・・・華陀?」

 

華陀「おまえが何を悩んでいるかは分かる・・・・・おそらくおまえは、関羽将軍を助けるべきなのか?そのことで悩んでいるんだろう」

 

一刀「・・・・・その通りだ」

 

華陀「だったら、おまえの思うとおりに行動すればいいんじゃないか?」

 

一刀「・・・・・・・・・・」

 

華陀「おまえの気持ちも分かる、おまえは本当に優しいやつだからな、自分が動くことで誰かが傷つくんじゃないか、誰かが死んでしまうんじゃないか・・・・・そんな後ろ向きな気持ちがおまえを悩ませているんだろう」

 

一刀「・・・・・華陀」

 

華陀「でも、他人を傷つけるのが怖くて、何もせずただ傍観する奴の方が俺はもっと軽蔑するぜ」

 

一刀「・・・・・・・・・・」

 

華陀「どうするかはおまえが決めろ・・・・・ただ、悔いの無いようにな」

 

一刀「・・・・・・・・・・」

 

一刀は元の世界で祖父が自分に言っていたことを思い出していた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

回想

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

祖父「よいか一刀、本来侍というものはじゃな、何も斬らないのじゃ・・・・・はっはっは!そうじゃな!彼らは腰に刀を差し、実際人を斬っているな!・・・・・意味が分からないという顔をしているな・・・・・しかしじゃな一刀、彼ら侍は何も斬らないと同時に、全てを斬らねばならない、文字通り全てをじゃ・・・・・ますますわけが分からないと言う顔をしておるな・・・・・まぁ、実のところワシも分かっておらぬのじゃがな、ワシもこの言葉を親父から聞いた時から答えを探しているのじゃが、未だに分からんわい・・・・・しかし一刀よ、それでもこの言葉を胸に刻んでおけ・・・・・何も斬らずして全てを斬る、それが侍の理想じゃぞ、ゆめゆめ忘れるな・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

回想終了

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一刀「・・・・・何も斬らずして全てを斬る、それが侍の理想・・・・・か・・・・・」

 

かつて水関で自分が呟いた言葉をもう一度呟いた

 

華陀「ん?・・・・・なんて言ったんだ、一刀?」

 

一刀「・・・・・華陀」

 

華陀「なんだ?」

 

一刀「・・・・・俺は・・・・・・・・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

亜莎と穏は秘密裏に荊州の関羽の支配地を攻めた

 

その方法は守将の糜芳(びほう)と士仁に書簡を送りこちらに寝返らせ、内部崩壊を誘発させると言うものだった

 

実際その策は上手くいく

 

愛紗の本拠地の江陵・公安ここを愛紗が留守にしている間に書簡が届けられる

 

もともと桃香に反感を抱いていた糜芳と士仁らは簡単に寝返り、結果として短期間で愛紗の陣地は雪蓮に占領されてしまった

 

樊城では長雨のために城壁が水没し、亜莎が水軍を使って兵糧攻めを行なっていたために食糧も尽きかけていた

 

愛紗は兵糧が尽き樊城から撤退せざるを得なくなったが、城は包囲されてしまう

 

その後、愛紗は益州に逃れようと一点突破を試みたが、臨沮で先回りした孫策軍に退路を断たれる

 

そして

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

純夏「おらおらおらーーーーーーーーー!!!」

 

愛紗「おのれーーーーーーーーーーーー!!!」

 

ガキーーーーーン!!カアーーーーーーン!!ゴキーーーーーーン!!ガアーーーーーーン!!キイーーーーーーン!!

 

愛紗と純夏の一騎打ち

 

その死闘は一時間経ってもまだ決着が付かなかった

 

純夏「やるじゃない!!軍神と称えられるだけあるわ!!」

 

愛紗は純夏と戦う前に明命と思春を降していた

 

しかし

 

愛紗「はぁ、はぁ・・・・・」

 

純夏「・・・・・とうとう息が切れてきたみたいね、それでもここまで粘れるんなら凄いものよ」

 

愛紗「あの戦いが終わった後、わたしはさらに修練を積んだからな!!」

 

純夏「それはこちらも同じことよ!!あの戦いでこっちも一刀一人に散々にやられているからね!!」

 

愛紗「本当にあの方は偉大だ!!」

 

純夏「まったくだ!!」

 

どうやら一刀のことについては、どの武将も意見が一致するらしい

 

ゴキーーーーーーン!!ガキーーーーーン!キイーーーーーーン!!!カアーーーーーーン!!ガアーーーーーーン!!

 

その後も愛紗の青龍堰月刀と純夏の紅蓮槍がぶつかり合う音がしばらく鳴り響いたが

 

純夏「もらったーーーーーーーー!!!」

 

愛紗「しまっ!!」

 

グワキーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!!

 

一瞬の隙を突いて純夏が愛紗の青龍堰月刀を弾く

 

そして、愛紗は捕らえられてしまった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

雪蓮「・・・・・噂には聞いていたけど、あなたの勇猛さには驚いたわ」

 

愛紗は手を後ろに縛られ、雪蓮の前に跪かされていた

 

愛紗「孫策!!貴様よくもこのわたしを罠に嵌めたな!!!」

 

雪蓮「策を考えたのは私じゃないわ、この子よ」

 

亜莎「こ、こんにちは関羽さん、わたくしは呂蒙、字は子明です・・・・・」

 

亜莎は丁寧に挨拶をするが

 

愛紗「(ギロッ!!!)」

 

亜莎「ひいいっ!!ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!!」

 

勝者だというのに、敗者である愛紗の迫力にびびりまくって頭を下げまくる亜莎の姿はなんとも奇妙なものである

 

糜芳「無様だな、関羽」

 

士仁「軍神もこうなってはただの女子よな」

 

愛紗「糜芳!!士仁!!貴様ら、よくも裏切ったな!!!」

 

愛紗の怒声が雪蓮の陣地一体に響き渡る

 

糜芳「裏切ったとは人聞きの悪い!!!」

 

士仁「その通り!!我らはもともと劉備の起こした蜀を認めてはいなかったのだ!!」

 

愛紗「なんだと!!?」

 

糜芳「劉備・・・・・あの者の言うことはどれもこれも理想ばかりで全くもって現実味がない!」

 

愛紗「それで桃香様を裏切ったというのか!!?」

 

士仁「馬鹿め!!理想だけで国は変えられない!!今の貴様の立場が何よりの証拠だろう!!」

 

愛紗「くっ・・・・・」

 

雪蓮「・・・・・・・・・・」

 

雪蓮はこの三人のやり取りを見て複雑な気持ちになっていた

 

そして

 

雪蓮「関羽・・・・・あなた、わたし達の仲間にならない?」

 

糜芳「孫策殿!?」

 

士仁「気でもふれましたか!?」

 

雪蓮「黙れ!!わたしは今、軍神関羽と話をしているのだ!!横槍を入れるな!!!」

 

糜芳「・・・・・・・・・・」

 

士仁「・・・・・・・・・・」

 

雪蓮「関羽、あなたの才能をここで摘み取ってしまうのはあまりに惜しすぎるわ、あなたの武技、あなたの勇敢さ、この孫伯符に捧げてくれないかしら?」

 

愛紗「断る!!我が武技、我が魂はわが主劉備玄徳に全て捧げたのだ!!いまさら鞍替えするような真似はせん!!」

 

雪蓮「・・・・・(本当に惜しいわね)」

 

愛紗「どんなに待ってもわたしの気持ちは変わらん!もう逃げられないことは分かっている!さっさと殺せ!!」

 

雪蓮「・・・・・首を刎ねなさい」

 

糜芳「では、孫呉に降った証としてわたくしめが」

 

雪蓮「・・・・・好きになさい」

 

糜芳「はっ!さて関羽、せめてもの情けだ、貴様の首は貴様の武器では刎ねてやろう」

 

愛紗「っ!!??・・・・・貴様!・・・・・わたしの青龍堰月刀を!」

 

糜芳「ふんっ・・・・・貴様も本望だろう、己の武器であの世へ行けるのだからな」

 

愛紗「・・・・・・・・・・(ギリッ)」

 

歯軋りが物凄く嫌な音に聞こえる

 

そして愛紗は目を閉じる

 

愛紗「(桃香様、申し訳ありません・・・・・桃園での誓い果たせそうにありません)」

 

糜芳「では・・・・・いざっ!!」

 

愛紗「(できれば・・・・・最後に・・・・・)」

 

頭の中に描かれるのは初めての恋心を抱いた相手

 

愛紗「(・・・・・一刀様・・・・・・)」

 

そして青龍堰月刀は振り下ろされる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ズバーーーーーーーーーーーン!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

愛紗「(ああ・・・・・死ぬというのはこういった感覚なんだな・・・・・)」

 

自分の体が浮いているような感覚に愛紗は心地良さを感じてしまう

 

愛紗「(これは・・・・・まるで何かに抱かれているようだ・・・・・)」

 

自分を包み込む優しくて暖かな感覚に愛紗は自然と身を委ねた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

愛紗「(・・・・・ん?・・・・・なんだ・・・・・これは?・・・・・)」

 

死んだはずなのに、妙に感覚がはっきりしていることに疑問を覚えた愛紗はそっと目を開けてみる

 

そこには

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

愛紗「・・・・・え?・・・・・ええ?・・・・・」

 

一刀「・・・・・・・・・」

 

そこには自分の初恋の相手の横顔がはっきりとあった

 

愛紗「?????」

 

幻覚でも見ているのかと愛紗は自分の状態を確認してみる

 

すると

 

愛紗「///////////////////」

 

愛紗の顔が見る見る真っ赤になっていく

 

そう、愛紗は一刀にお姫様抱っこされていたのだ

 

目の前には一刀の氣の斬撃をまともに受けて事切れた糜芳の亡骸があった

 

雪蓮「一刀!!?」

 

純夏「一刀!?どうしてあんたが!?」

 

明命「はうあ!?北郷さん!?」

 

思春「北郷!!貴様邪魔立てするつもりか!!」

 

穏「亜莎ちゃん、この人が北郷さんですよ〜・・・・・」

 

亜莎「このお方が・・・・・」

 

亜莎は一刀の姿を見た

 

一刀「・・・・・・・・・・」

 

膝近くまで伸ばされた髪、右頬に付いた傷、愛紗を抱いたその立ち姿はまさに威風堂々そのもの

 

亜莎は思わず

 

亜莎「・・・・・/////////」

 

と、頬を赤く染めてしまう

 

士仁「そうか、貴様が山賊狩りの北郷一刀か」

 

一刀「・・・・・おまえは?」

 

士仁「我が名は士仁!我が友、糜芳の仇、討たせてもらうぞ!」

 

一刀「・・・・・・・・・・」

 

士仁は愛紗を抱いて両手が塞がっている状態の一刀なら勝てると思ったのだろう

 

愛紗「一刀様!わたしを下ろしてください!」

 

一刀「・・・・・・・・・・」

 

愛紗「一刀様!?」

 

士仁「死ね!!北郷!!」

 

士仁は剣を抜き一刀に向かっていった

 

一刀「・・・・・ふっ!」

 

バッ!!!

 

愛紗「え?きゃああああああああ!!!!??」

 

一刀は愛紗を天高く放り投げた

 

士仁「!!?」

 

雪蓮「!!?」

 

純夏「!!?」

 

明命「!!?」

 

思春「!!?」

 

穏「!!?」

 

亜莎「!!?」

 

全員が天高く舞い上がった愛紗に気をとられる

 

一刀「ふっ!」

 

チンッ!

 

士仁「え?・・・・・・・・・・」

 

一瞬で士仁との間合いを詰め、もとの場所へ戻る

 

ドサッ

 

数瞬後、士仁は一刀に斬られたことにも気付かずに絶命した

 

バサッ!

 

愛紗「きゃあ!!・・・・・///////////」

 

愛紗は、一刀にキャッチされ呆然としていた

 

雪蓮「(私にもしてほしいなぁ)//////」

 

純夏「(羨ましいなぁ)///////」

 

明命「(わたくしも北郷さんにもふもふされてみたいです)//////」

 

思春「(・・・・・・・・・・)」

 

穏「(女の子の憧れですもんね)////」

 

亜莎「あうあう///////」

 

殆どの人が一刀にお姫様抱っこされている愛紗を志望の眼差しで見ていた

 

雪蓮「相変わらず速いわね、一刀」

 

一刀「・・・・・・・・・・」

 

愛紗「一刀様?」

 

純夏「一刀!何か言いなさいよ!」

 

ガッ!バシッ!

 

地面に転がっていた青龍堰月刀を蹴り上げ、右手に持つ一刀

 

そして

 

一刀「っ!」

 

愛紗「きゃあ!!」

 

全身に氣を纏い縮地で一気にその場を離脱した

 

雪蓮「ちょっと!?一刀!?」

 

純夏「待ちなさい!一刀!」

 

思春「逃がさん!」

 

明命「はうあ!?やっぱり速いです!」

 

一同は一刀の後を追っていった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一刀「・・・・・確かこの辺りだな」

 

愛紗「一刀様?」

 

一刀は愛紗を下ろし、そして

 

一刀「すぅ〜〜〜〜・・・・・ピーーーーーーーーーーー!!!」

 

指笛を吹く

 

そして、数秒後

 

一刀「こっちだ!狛煉!」

 

森の中に隠れていた狛煉がこちらへ歩いてきた

 

愛紗「あの、一刀様・・・・・」

 

一刀「よっと」

 

ブチッ

 

一刀は青龍堰月刀で愛紗の縄を解いた

 

一刀「ほらっ、愛紗」

 

愛紗「あ、ありがとう・・・・・ございます・・・・・」

 

愛紗は一刀から青龍堰月刀を受け取った

 

一刀「愛紗、俺の狛煉を貸すから、成都へ逃げろ」

 

愛紗「っ!!??嫌です!!戦に負け、おまけに一刀様を置いて逃げたとあっては桃香様に合わせる顔がありません!!」

 

一刀「・・・・・愛紗、考えてみてくれ、おまえの主の桃香、劉備玄徳はそんなに器の小さい王なのか?」

 

愛紗「そ、そんなことはありません!!桃香様はこの大陸を納めることのできるただ一人のお人であるとわたしは信じています!!」

 

一刀「なら、答えは簡単だろ」

 

愛紗「・・・・・あ」

 

自分が乗せられてしまったことに愛紗は気が付いた

 

一刀「だから早く帰って、桃香に元気な顔を見せてあげな」

 

なでなでなでなで

 

そういいながら一刀は愛紗の頭を撫でてあげた

 

愛紗「/////////////」

 

一刀「????・・・・・とにかく!早く行くんだ!」

 

愛紗「は、はい・・・・・一刀様、このご恩は決して忘れません!」

 

一刀「そんなことはいいさ」

 

愛紗「よくありません!いつか必ず恩返しをします!」

 

一刀「・・・・・わかった、楽しみにしているよ」

 

愛紗「はい!」

 

一刀「狛煉!頼んだぞ!」

 

狛煉「ぶるん!」

 

そう言って狛煉は、愛紗を乗せ駆けて行った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一刀「悪いが、ここから先へは行かせられない!」

 

雪蓮「一刀!あなた蜀に就いたの!?」

 

一刀「違う!!」

 

純夏「ならなんで関羽を助けたの!?」

 

一刀「関羽は・・・・・まだ死ぬべき人間じゃないからだ!」

 

雪蓮「っ!!??」

 

雪蓮は、かつて自分が言われた言葉を他人に置き換えられて少し不機嫌になった

 

思春「・・・・・いずれにせよ、このままにしておくことはできんな」

 

明命「北郷さん、お覚悟を」

 

思春と明命は新しく作った自分達の武器を抜いて一刀と対峙する

 

雪蓮「待ちなさい!思春!明命!」

 

思春「雪蓮様!?」

 

明命「え!?雪蓮様!?」

 

雪蓮「一刀、今まであなたにはあまりにも多くの借りを作ってしまっているから、今回の事は何も言わないわ」

 

一刀「・・・・・雪蓮、俺は別に貸しを作ったつもりはないぞ」

 

雪蓮「そう言ってくれると嬉しいわ・・・・・でも、このままただであなたを帰してしまったら孫呉の王としての面目は丸潰れなのよ」

 

一刀「俺にどうしてほしいんだ?」

 

雪蓮「簡単よ、この場で私と試合なさい」

 

純夏「!!?ずるいわよ雪蓮!!?」

 

雪蓮「純夏、お願いここはわたしに譲って・・・・・」

 

純夏「・・・・・・・・・・」

 

雪蓮「・・・・・・・・・・」

 

しばらく二人は見詰め合う

 

そして

 

純夏「・・・・・はぁ・・・・・分かったわ・・・・・」

 

雪蓮「すまないわね」

 

孫呉の王が命令ではなくお願いをしてきたからには家臣としては退くしかなかった

 

雪蓮「ありがと・・・・・それじゃ、お手合わせお願いね一刀♪言っておくけど、この前の私と同じだと思ったら大間違いなんだから♪」

 

一刀「・・・・・そのようだな」

 

一刀は雪蓮から来る覇気が先の戦の時とは比較にならないくらい大きくなっていることを理解した

 

雪蓮「ところで一刀、あなたどうして董卓軍に戻らなかったの?」

 

一刀「華琳・・・・・曹操の矢と雪蓮の矢を同時に受けて、その毒が混ざり合って解毒するのに時間が掛かってしまったんだ」

 

雪蓮「なるほど、治療が終わるまで動けなかったということね・・・・・それじゃあ、行くわよ、一刀!!」

 

一刀「来い!雪蓮!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

愛紗「わたしは、何て無力なんだ・・・・・」

 

成都へ向かっている愛紗は己の弱さを嘆いていた

 

愛紗「一刀様の身柄をお守りすると誓ったのに、逆に救われるなど・・・・・何が軍神だ、何が関羽雲長だ!・・・・・一刀様・・・・・どうかご無事で・・・・・」

 

愛紗は狛煉に跨り、涙を流しながら走っていった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

雪蓮「はあああああああああああああああああ!!!!」

 

一刀「はあっ!!」

 

ガキーーーーーン!!カアーーーーーーン!!ゴキーーーーーーン!!ガアーーーーーーン!!キイーーーーーーン!!

 

試合を始めてから数十合の打ち合いになる

 

一刀「驚いたな!前とは雲泥の差だよ!」

 

雪蓮「そりゃそうよ♪あの戦いから祭に徹底的に鍛えてもらったからね♪」

 

一刀「?・・・・・それは誰だい?」

 

雪蓮「ああ、そういえば祭は一刀に真名を預けていなかったっけ、祭というのは黄蓋のことよ♪」

 

一刀「黄蓋さんか・・・・・やっぱりあの人は強いんだな!」

 

雪蓮「それはそうよ!なんせわたしの母、孫文台の代から呉に仕えている古参ですからね!」

 

一刀「知っているよ!」

 

ガアーーーーーーン!!キイーーーーーーンガキーーーーーン!!カアーーーーーーン!!ゴキーーーーーーン!!!!

 

雪蓮「どう一刀!新しく生まれ変わった南海覇王の威力は!?」

 

一刀「ああ、はっきり言って驚いているぜ!これほどやっても刃こぼれしないんだからな!」

 

雪蓮「一刀に傷つけられたあと、呉一番の鍛冶屋に治させたんだから♪」

 

南海覇王は修理がてらもう一度打ち直しを行い、忠久にも負けない強度を持つようになっていた

 

雪蓮「たあっ!!」

 

一刀「!!?」

 

ガキーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!

 

雪蓮は大きく跳躍し、一刀の頭上を捉えたが防御されてしまう

 

雪蓮「ちぇっ、捉えたと思ったのにな」

 

一刀「いや、ちょっとヒヤッとしたよっ!」

 

カアーーーーーーン!!ゴキーーーーーン!!ガキーーーーン!!ガアーーーーーン!!キイーーーーーン!!

 

雪蓮「くっ!ふっ!・・・・・あはははははは♪やっぱりあなたは最高よ一刀♪たった一人と試合をしているだけでここまで体が熱くなれるんだから♪♪」

 

一刀「喜んでもらえて何よりだ!」

 

ガキーーーーン!!ガアーーーーーーン!!キイーーーーーーン!!カアーーーーーン!!ゴキーーーーーン!!

 

雪蓮「それそれそれそれ〜〜〜〜♪♪♪♪」

 

一刀「くっ!ちっ!うおっ!」

 

言うだけあって雪蓮の成長速度は、一刀の計算の上を行っていた

 

それと同時に雪蓮の中の孫呉の血がざわめきだし、軽い狂戦士状態へと陥っていく

 

純夏「ちょっとちょっと!まさか!」

 

明命「はうあ!勝っちゃうんですか!?雪蓮様!」

 

傍から見ていて、間違いなく雪蓮が押している

 

雪蓮「でりゃああああああああ!!!」

 

バチーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!!

 

一刀「ぐっ!!」

 

雪蓮「もらった!!!」

 

忠久を上段に弾かれ、後ろによろめいた一刀は懐に潜り込まれる

 

その場にいる誰もが雪蓮の勝ちを確信した

 

しかし

 

雪蓮「はっ!!!??」

 

この土壇場で雪蓮の勘が警戒信号を鳴らす

 

ガキーーーーーーーーーン!!!

 

雪蓮「ぐっ!!!??」

 

ありえない方向から斬撃が来た

 

確かに一刀は剣を右手に持っていたはずなのに、いつの間にか一刀は左手に剣を持ちそのまま左切り上げで攻撃してきたのである

 

一刀「しっ!」

 

雪蓮「くっ!!」

 

忠久を右手に持ち直し雪蓮に突貫する一刀

 

ここから数合の打ち合いがあった、軽い混乱状態にあった雪蓮は、持ち直すことはできなかった

 

ガアーーーーーーーーーーーーン!!!!

 

南海覇王は雪蓮の手から弾かれてしまった

 

一刀「・・・・・俺の勝ちだ」

 

雪蓮「・・・・・さっき、いったいなにをやったの?」

 

勘で防ぐことができたが、あまりにも予想外な攻撃だったために、さっきまで高ぶっていた雪蓮の血もすっかり冷めきっていた

 

一刀「べつに、剣を背中で持ち替えただけだよ」

 

雪蓮「そんな技まで持っているの・・・・・」

 

一刀「まぁ、外側から見ればもろばれだけだろうけどな」

 

純夏「そうね」

 

明命「はい」

 

一刀「(俺もまさか漫画で読んだ技が実際に役に立つとは思わなかったけど)」

 

雪蓮「はぁ〜〜〜・・・・・まだ勝てないか・・・・・」

 

一刀は忠久を鞘に納め、雪蓮は南海覇王を地面から引き抜いた

 

一刀「それじゃあ雪蓮、俺は行くよ」

 

雪蓮「あら?もうちょっとゆっくりしていってもいいじゃない♪」

 

一刀「そうもしたいが、俺も決して暇じゃないからね」

 

雪蓮「・・・・・分かったわ、一刀またね♪」

 

一刀「ああ、またな雪蓮」

 

そして、一刀は去っていった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

思春「雪蓮様、よろしかったのですか?」

 

雪蓮「今は、荊州を手に入れることができただけでも良しとするわ」

 

純夏「そうね、あんまり欲張っても意味はないわ」

 

穏「急いては事を仕損じますからね〜」

 

そして荊州全土は孫呉の領地となっていったのであった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一刀「・・・・・じいちゃん、俺はあの言葉の意味をもう一度探してみることにするよ・・・・・」

 

そう言って一刀は、夕日に向かって歩いていった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

荊州から何とか帰ってきた愛紗は、真っ先に桃香の待つ成都城の玉座の間まできた

 

 

 

 

 

愛紗「桃香様!」

 

鈴々「にゃにゃ!?愛紗!?」

 

桃香「愛紗ちゃん!!」

 

ガバッ!!

 

愛紗「と、桃香様」

 

桃香「うえ〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん、愛紗ちゃんが無事でよかったよ〜〜〜〜」

 

桃香はぼろ泣き状態で愛紗に抱きついた

 

愛紗「・・・・・・・ご心配をおかけして申し訳ありませんでした、桃香様・・・・・・」

 

桃香「うん、うん」

 

星「それにしても愛紗、お主どうやって荊州から逃れてきたのだ?」

 

紫苑「そうね、情報によれば樊城を取り囲まれて逃げ道は完全につぶされたと聞いているけど」

 

桔梗「我らも援軍を送るための準備をしていたのに、いきなり帰ってきおって」

 

愛紗「・・・・・それは・・・・・・・・・」

 

愛紗は自分の身に起こったことを話しだした

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

桃香「・・・・・・・・・一刀さんが」

 

鈴々「お兄ちゃん・・・・・」

 

星「一刀殿には感謝してもしたりないな・・・・・」

 

朱里「一刀さん・・・・・」

 

雛里「あわわ・・・・・」

 

白蓮「一刀・・・・・」

 

愛紗「・・・・・申し訳ありません!桃香様!」

 

桃香「え!?何が!?」

 

愛紗「戦に敗れ、荊州を奪われ、挙句の果てに一刀様を置いてきてしまうなど!」

 

桃香「それは仕方がないよ!」

 

鈴々「そうなのだ!それにお兄ちゃんはすっごく強いのだ!絶対誰にも負けないのだ!」

 

一刀のことを知っている者達は納得しているがそれ以外は

 

焔耶「あの、桃香様、わたくしはその北郷という者の事を知らないのですが」

 

桔梗「さよう、我らにも納得のいく説明をお願いしたい」

 

紫苑「わたしは、山賊狩りの北郷一刀のことは聞いているけど、どんな人物なのかは知らないわ」

 

桃香「一刀さんはね、すっごく優しいんだよ♪」

 

鈴々「うんうん♪それにすっごく強いのだ♪」

 

星「それに、人望もあるしな」

 

焔耶「・・・・・・・・・・」

 

桃香がその北郷一刀について凄く嬉しそうに話すのを見て焔耶は少しムカッときて

 

焔耶「そんなことより桃香様!荊州をこのままにしておくわけにはいかないでしょう!!」

 

無理やり話題を変えた

 

桔梗「その通り!今すぐにでも軍を送り、荊州を奪還せねば!!」

 

桃香「え?え?ちょっと待ってよ、焔耶ちゃん、桔梗さん」

 

焔耶「待ってなどいられますか!このままでは蜀は魏と呉にいいように飲み込まれてしまうんですよ!」

 

桔梗「さよう!荊州の雪辱を晴らし、孫呉のやつらを追い出すのです!」

 

桃香「ちょっと待って!その前にわたし、孫策さんとお話がしたい」

 

焔耶「何を言っているのですか、桃香様!?」

 

桔梗「あやつらは宣戦布告も無しに荊州を攻め、一方的に自分達の領土に組み入れたのですぞ!」

 

桃香「でもでも!それにはきっとわけがあると思う!理由も聞かないでやり返すなんて事、わたしできない!」

 

焔耶「桃香様ぁ・・・・・」

 

桔梗「桃香様・・・・・」

 

紫苑「焔耶ちゃん、桔梗、諦めなさい」

 

焔耶「・・・・・紫苑さん」

 

桔梗「・・・・・紫苑」

 

紫苑「焔耶ちゃんも桔梗も、こんな桃香様だからこそ付いてきたんでしょう?」

 

焔耶「・・・・・それは・・・・・」

 

桔梗「・・・・・まぁ、そうだが・・・・・」

 

紫苑「それに、なにも戦争だけが荊州を取り戻す唯一つの手段ではないと思うわ」

 

桃香「そうだよ!朱里ちゃん、雛里ちゃん!何かいい作戦はないかな?」

 

雛里「では近いうちに呉に使者を送りましょう」

 

朱里「確か孫呉には百合姉さん、わたくしの姉の諸葛瑾子喩がいますから」

 

桃香「ええ!?朱里ちゃんって、お姉さんが居たの!?」

 

朱里「はい、でもなぜか孫呉に仕えてしまっているみたいで」

 

桃香「・・・・・まいいや、それじゃしばらくしたら呉に使者を送ろう!焔耶ちゃん!桔梗さん!今はそれで納得して!お願い!」

 

焔耶「・・・・・桃香様が言うのであれば」

 

桔梗「・・・・・仕方がないのう」

 

桃香「ありがとう♪焔耶ちゃん、桔梗さん♪」

 

桃香は焔耶と桔梗に抱きついた

 

焔耶「と、桃香様!!?////////」

 

桔梗「これはこれは♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

星「(・・・・・もし、愛紗が討たれていれば、桃香様はどんな行動に出られたのであろうな)」

 

星はもし一刀がいなかったときの事を考えてしまう

 

この戦いで愛紗が戦死していれば、桃香は兵を動かしていたのだろう

 

そして・・・・・・・・・・・・

 

星「一刀殿、あなたのやったこと、決して無駄にはいたしませぬ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どうもseigouです

 

一刀の一人旅が再び始まりました

 

ちなみに一刀は、水関、虎牢関から今に至るまでこの世界の一般的な服装に身を包んで外套を羽織っています

 

その気になれば一刀は鎧無しでも十分に戦えますからね

 

今回は樊城の戦いにチャレンジしてみました

 

樊城の戦いの経過は見ての通りすっ飛ばしてしまったので、皆さんにとっては不完全燃焼でしょうけど、自分としてはこれが限界です

 

では、次回もお楽しみに

説明







早過ぎた戦い




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コメント
魏延「わわわわたしの真名は焔耶!りりりり劉備様!あなた様の下部(しもべ)になります!!/////////」下部ではなく僕では?(恋姫大好き)
・・・このままだと一刀のBADENDフラグが立ちそうなきが・・・。(風見海斗)
すごく濃い考察がある(RevolutionT1115)
星はどうするのかなぁ。(readman )
↓そうですね、ここら辺が読みきれていないですね自分は(Seigou)
貸したつもりはない、のほうが自然じゃないですか?(FALANDIA)
クラスターさん・・・・・・そこまで深く考えられませんよ、自分(Seigou)
はりまえさん、誤字指定ありがとうございます(Seigou)
5p「士仁は建を抜き一刀に向かっていった」=「士仁は剣を抜き一刀に向かっていった」なのでは?と細かいところさして申し訳ない・・・・・・(黄昏☆ハリマエ)
落鳳坡とここは蜀にとってのターニングポイントだと思いますからね…誰が劉備の立場であっても、殺されたら弔い合戦に出るでしょうし…ここの蜀は恋姫らしい蜀でほっとしていますw(楠 由良)
魏成分がもう少しほしかったですね〜(ニトロ24)
やっぱり桃香は甘いな・・・。それがいいんだがwww(kabuto)
なるほど…勉強になります。(黒い稲妻)
…あえて強引に定義付けするならば、恋姫無双の外史とは、名のある人物の大半が女性となり、三国志演義に記された事象が歴史の主軸となる様に定められた、人の想念によって形成された物語の世界、になるだろうかね?…この解釈ならば、「正史=三国志演義」と言う表現も成り立つと思う。(クラスター・ジャドウ)
↓ …むぅ、「正史」と言う解釈は、ちょっと難しいんだよな。無印での化物の台詞だと、「俺達が存在する現実世界」を示している感じ。が、実際には「公式歴史書」と言う意味合いであって、正史≠真実なんだよな。黒い稲妻さんは、演義を正史と解釈した様だが、演義は正史を元に発展した「物語」だからな。正史と演義も又、イコールとは言い難い。(クラスター・ジャドウ)
ちなみに正史では、呂蒙は関羽によってその後呪い殺されます。(黒い稲妻)
…ふむ、愛紗の命を救う事によって、蜀が滅亡への下り坂を転げ落ちていくのを防いだか…。この作品の一刀が段々と、三国間の軋轢や敵対心を和らげる緩衝材になってきてる気がするな。はてさて、今後の一刀はどの様に動くだろう?定軍山とか赤壁とか、介入せずには済まない戦いが控えているであろう訳だが…。(クラスター・ジャドウ)
愛紗が死んだら暴走しようとしたでしょうね。 これがどんな影響があるか楽しみです。(ZERO&ファルサ)
なんとか夷陵の戦いは回避したけど、赤壁の戦いはどう介入するのだろう?一刀の二律背反な悩みが続くようですね。(西湘カモメ)
史実通りに愛紗が終わってたら鈴々・桃香も次々と・・・という恐ろしいシナリオにw しかし割を喰った形になったビ芳・士仁がw(村主7)
次は赤壁かな?(運営の犬)
大剣と二刀を使ったらもっと強いんだよなこの一刀(きの)
再び一匹狼の旅が始まるのか。これは楽しみだね。(東方武神)
愛紗が死んでたら敵討ちに行ってただろうな。これからどうなるか楽しみです(VVV計画の被験者)
黒い稲妻さんへ。そしてボロボロに負けてしまうんですよね。(Seigou)
正史では関羽を殺した孫権に対して報復として親征(夷陵の戦い)をしました。(黒い稲妻)
これからどうなるのかめちゃくちゃ気になります!はやく続きが読みたいです!!(くろまる)
愛紗が死んだら絶対仇討ちとか言って呉を攻めるだろうなぁ。(poyy)
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