真恋姫無双〜夢の続きへ〜(T) |
「ったく……及川のやつどこ行ったんだよ」
一刀は及川を探していた
初詣に来たのはいいのだが女の子を見つけた瞬間に
「わ〜い!女の子や〜!天国や〜!」
と、さらにハイテンションになって突撃していった
すぐに見えなくなったので一度は放っておこうとも思ったのだが、いくら及川でも流石に元旦から警察のご厄介になるのはかわいそうなので仕方なく探している
参道脇にずらりと並ぶ屋台を見つつ及川を探している一刀。ちなみに及川捜索のほうがついでだ
「……ん?」(視線を感じる……)
いやまぁ大学のキャンパス内を歩いていると視線なんてそれこそ痛いほど感じるのだが、その視線とはまた種類の違うものだった。
(なんだこれ?殺気じゃないし…………)
祖父との修行で腐るほど感じた感覚ではなかった。
(孫に殺気向けるじいちゃんって早々いないよなぁ……………はははは。)
ブルッ!
祖父との修行を思い出して身を震わせる一刀。その時―
ブルッ!
体に悪寒が走った
祖父との修行を思い出してではなく、もっと別の気配。なんか色で表すとピンクと紫が混じった怪しい色というか……………率直に言うと、身の危険を感じる
(ここを離れよう!今すぐに!)
その嫌な気配に突き動かされるように一刀はその場を離れた
(及川は…………仕方ない、後でメールしとこう)
都内某所
一刀がいた神社がよく見えるビルの屋上
ひとつの影がそこにあった
「やぁっと見つけたわ…………ご主人様ぁぁぁぁ!!!」
ブルッ!
「な、なんだ!?」
さらなる悪寒を感じる一刀だった
「はぁ………はぁ………はぁ」
あの後、数えきれないほどの悪寒を感じた一刀
何から逃げているのかわからないけど逃げなきゃやられる!的な感覚に突き動かされ最終的に全力疾走をし、今に至る
「と、とりあえずまいたみたいだな…」
後ろを振り向きつつ部屋のドアノブに手をかけ、回す
そしてドアを開けた次の瞬間、目に飛び込んできたのは―
「ご主人様むちゅー!!!!!!」
唇をこれでもかと突き出した筋肉達磨だった
「うおわぁぁぁ!!!!」
ドスッ!
体が条件反射で動き、筋肉達磨の腹にボディブローが決まる
「あら?あらあらあらあら。もーうこっちのご主人様ったらぁ…か・げ・き」
(き、きいてねぇ……)
カーン!
北郷一刀VS謎の筋肉達磨
戦いが幕を…………あけなかった。
「おい!俺にハードゲイの知り合いはいないぞ!」
構えを解かないまま睨み付ける
しかし筋肉達磨には全くといっていいほど隙がない
挙げ句の果てに―
「ちょーっと待ちなさい。今日はご主人様に大切な用事があ・る・の」
「そもそもお前は誰なんだよ!」(うん。軽く殺意が湧いた)
腰をクネクネさせながら頬に手を当てているゲイに指を差し言い放つ
「私の名前は貂蝉。しがない踊り子よん」
「……………………は?」
一瞬、頭がついていかなかった
「貂蝉…………………貂蝉!?いや、貂蝉ってあれだよな!?絶世の美女とか言われてるやつだよな!?」
「いや〜ん、絶世の美女だなんて、照れちゃうわ〜」
「ち、貂蝉が男……………曹操が女の子だったから、少し期待してたのに………」
貂蝉が男だった事実に無念さを隠せない一刀だったが―
「…………ん?ちょっとまて!貂蝉って言ったか今!」
筋肉達磨、もとい貂蝉の口から出た名前に驚愕する
「そうよ。洛陽一の踊り子のね、まぁご主人様の知ってる洛陽ではないけれど」
すでに一刀の耳に言葉は入ってきていない
洛陽
貂蝉
この二文字が一刀の脳内でぐるぐると回っていた
「じゃ、じゃあ…お前…あ、いや貂蝉は向こうの世界の人間なのか!?」
「大きなくくりで言えばそうなのだけれど、小さなくくりだと違うわねぇん」
「どういうことだ?」
「あの世界のことを私たちは外史と呼んでいるわん」
「外史…………パラレルワールドってことか?」
「ん〜まぁ厳密には違うのだけれど、間違ってはいないわ」
「じゃあ大きなくくりと小さなくくりって?」
「私がいたのはもう1人のご主人様が、劉備ちゃんの立ち位置で乱世を鎮める世界。ご主人様のいた外史とは違う外史なのよん。つまり外史という大きなくくりのなかでは、ご主人様の言うように向こうの世界の人間だけれど、小さなくくり、つまり外史ひとつひとつの話で言えば私はご主人様の世界、曹操ちゃんが天下をとった外史の人間ではないということよん」
(わかるようなわからないような・・・・)
「まぁつまりその世界で蜀のトップだったってことか?その…………もう1人の俺は」
「さぁすがご主人様。飲み込みが早くて助かるわぁん」
「そのご主人様って呼び方は?」
「蜀………まぁこれも厳密には蜀じゃないのだけれど、蜀の女の子みんながそう呼んでいたわよ」
(なにやってんの!?もう1人の俺!)
頭を抱えながら玄関で悶絶する一刀
「と、とりあえず玄関での立ち話もなんだし、部屋にあがってくれ」(他のやつらに見られでもしたら、後々めんどくさいことになるからな………………特に及川)
この筋肉………もとい、貂蝉の外見にも少しは慣れてきた一刀は貂蝉を部屋へ招き入れた
「あらぁ〜んご主人様ってば、だ・い・た・ん」
後ろから聞こえてきた声は全力で無視したが
「話が少しそれちゃったわねん」
テーブルの向かい側に座る貂蝉を見る一刀
(なんというか………)
貂蝉の外見。
筋肉達磨なのは元より、着用しているものはピンクのビキニパンツ、ちょうど耳の辺りにはもういっそのこと切ったほうが違和感が無い気がする的なお下げ髪が2つ
(はぁ………)
正直、自分の部屋がもはや異世界にしか見えない
「あらん?どうしたのご主人様、顔色が悪いわよ?」
「いや、なんでもない。続けてくれ」
手を出して制する一刀
気分が悪いなんて言ったらなにをされるかわかったものではない
「あらそう?それじゃ率直に言うけど、ご主人様…………………あっちの世界に戻りたい?」
停止―
まず貂蝉の言ったことが理解できなかった
「………………………は………え?」
「どぅわ〜かぁ〜らぁ、曹操ちゃんのところに戻りたい?って聞いているのよ」
「そ、そりゃ戻りたい………けどさ」
「けど?」
「あ、いや……半信半疑っていうのが正直なところなんだ」
そう。
一刀だってなにもこの二年間、勉強と修行だけをしていたわけではない。
必死になって三国志関係の古い文献を漁ったりと、華琳達の下へと帰れる方法が無いかを探していたのだ。そこにきて貂蝉のこの言葉だ、素直に信じろというほうが無理だ
「う〜ん。こればっかりは信じてもらうしかないわねぇん。とはいってもそんなに時間も無いのよ。あちらに行けるのはきっと今日の夜で最後でしょうからねぇ……」
貂蝉は頬に手を当て嘆息する
「ど、どういうことだよそれ!?」
「あっちの世界とこっちの世界の月、満月が重なるのが今夜なのよ。今回を逃すと次は多分、ご主人様が生きている間に機会はやってこないわ。そしてもうひとつ、曹操ちゃん達のところに行けば、おそらくもう二度とこちらには帰ってこれないでしょうね」
「なっ!」
絶句
そこまで切羽詰まっている話とは思わなかった
そしてあちらに行けば二度と帰ってこれない
つまり道は2つ
ひとつはこのままこちらの世界に残り、二度と華琳達には会えなくなる道
もうひとつはあちらの世界、つまり華琳達のいる外史に行き、こちらの世界には二度と帰ってこれなくなる道
窓の外を見ると夕日、既に夕方だった
「……なぁ貂蝉」
「なにかしらん?」
「俺は……華琳達のところに戻ってもいいのかな」
「……………」
沈黙
「俺さ、こっちに戻ってきてから思ったんだよ。華琳はあの時…別れの時…覇王という仮面を外してまで俺に逝ってほしくないと言った。でも俺は………!」
拳が強く握られる
それこそ爪が食い込み、血が出てもおかしくないほどに
「俺は………あの時諦めたんだ。これが俺の物語だって、これが俺の運命だって、これが俺のしたことの結果だって。そんなことを理由にして、あらがいもせずに……諦めた。泣いてる華琳をそのままにして……消えた」
「ご主人様……」
「そんな俺に…………また華琳達に会う資格があるのかな?」
「そんなこと私に分かるわけないじゃな〜い」
そんな答えが間髪いれずに帰ってきた
「え?」
「それはご主人様が考えることよ。誰かに答えを求めてはいけないわ」
真剣な表情で貂蝉は続ける
「そんなに資格うんぬんが気になるなら、曹操ちゃん達に直接聞きなさい。どんな答えであれ、ね」
一瞬の沈黙、そして
「…はは……はははははは!!そうだよな!彼女達以外の誰かに答えを求めるなんて間違ってる!」
なにかが決壊したように一刀は独白する
笑い声も小さくなり、うつむき加減だった顔を上げた一刀の目には火が灯っていた
「貂蝉、ありがとう。気付かされたよ。俺がしなきゃいけないこと、そして俺の生きる世界がどっちかってことを。」
こちらに戻ってきてからの日常は灰色だった。楽しいことが無かったわけじゃない。じいちゃんとも、両親とも、友達とも再会できた。でもやっぱり華琳達との、つらいことも多くあったけれどそれ以上に楽しかった日々を考えると虚しくなって、無性に華琳達に会いたくなった
「貂蝉」
「なぁに?」
目の前には華琳達の下へと戻る片道切符
だが、もう既に一刀の道は決まっている
「俺は外史に、華琳達の下に行く」
「……ふふ……ご主人様ならそういうと思っていたわん」
いままでで一番明るい笑顔、一刀は不思議と不快さを感じなかった
「それじゃご主人様いくわよ!」
「ちょ、ちょっと待て!」
「どうしたのん?」
「どうしたのん?じゃなくて!お前さっき夜がどうとか言ってなかったか!?」
「あらん?そうだったかしら」
「ずいぶん適当なんですね〜………」
脱力感が襲ってきた一刀だった
「大丈夫よん!必要そうな物はこっちで用意するから」
親指を立ててニヒルに笑う筋肉お下げ(命名:北郷一刀)
「いや!そういう問題じゃ―(いくわよ〜ん!ふぅぅぅぅんぬぅぅぅぅぅぅ!!!!!!!!!)人の話を聞けぇぇぇぇぇ!!!!?????」
白い光にが部屋全体に広がっていく
ツッコミという名の制止もむなしく、一刀の視界は白一色に染まっていった
「………か………………ず……………な……………れ!!」
完全に意識がホワイトアウトする直前、なにか声が聞こえた気がした
〈あとがき〉
とりあえずすいません!
なんかグダクダになってる気がします
やはり文才が無いのでしょうね
全然書くスピードが速くなりません
友達に言ったら多分「サボってるだけだろ」と、言われるでしょうね絶対に
今回の話は少し駆け足気味だったかもしれませんが、どうかご容赦を
次回はいよいよ彼女達を出すつもりです。やっと本編て感じです
二年後の設定なので、少し背が伸びている〜的な注釈もいれようと思っています
作者的にはシリアス:ギャグの割合を3:7ぐらいにしたいと思っています。
少し長くなりましたが、ご意見やご感想、批評がありましたら是非ともコメントをよろしくお願いします
十六夜でした
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今回も更新が遅れました。 すみません たいした作品ではありませんが読んでくれればうれしいです。 作者は化物語にはまっています。←どうでもいいですよねマジで |
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