猛り狂う者、刹那潰える灯火 1・旅立ち 拠点part |
ようこそ皆々様
当外史の管理者より水先案内人を任されている者にございます
この外史を辿るにあたり注意をさせていただきます
一、外史『猛り狂う者』は、黄巾党√です
一、キャラクターや物語の進行など、原作とは異なります
一、場面によっては、暴力的であったり、グロテスクな表現が入ります
一、悲劇を辿る物語ですので、ハッピーエンドはしません バッドエンドです
今のところはこの程度でございます
貴方に『希望』を捨てる覚悟があるのならば
どうぞお進みください…
悲劇を辿る外史 1
猛り狂う者、刹那潰える灯火
1・旅立ち 拠点part
「人和です。これからは、そう呼んでください」
驚いた表情を浮かべる程信。
大きく表情を変える事がないようだと感じていた程信の浮かべたその表情に、
同じくあまり表情を変えない張梁の顔がほころぶ。
「真名だろう。いいのか」
「ええ。助けていただき、その上仕事の都合も付けてくださった。
今はこんな事しかできませんが、感謝の証だと思ってください」
程信は張梁の顔をしばらく見つめた後、わかった、と言った。
三姉妹が程信に助けられた翌日。
張梁は日が昇ると供に目を醒ました。
無自覚ではあったものの、意識のない間に程信にしがみ付く様にして眠っていた。
起きぬけの身体の疲れの抜け具合から、相当安眠出来ていたと思う。
逢って一日、いや実際には一日も経っていない。
少なくとも張梁は程信に対する警戒を解いたつもりなどない。
だというのに、程信はそんな心の壁を突き破るような、
いや、むしろ心の壁を本人から無自覚で消し去らせる、不思議な魅力があった。
警戒心は別にして、当然のことではある。
なにしろ、行き倒れる瞬間、まさに絶望の淵といった場面で、
意識のある ― 朦朧としていたとはいえ ― 内に颯爽と現れ、自分達を助けてくれたのだ。
さながら、ヒロインの窮地に颯爽と現れるヒーローのように。
しっかり者の張梁といえど、その心は少女のそれ。
その真偽はどうあれ、そんな王子様(?)に対して、特別な感情を抱かない訳があろうか。
その表れが、先の真名を明かした事だということもわかるだろう。
いくら命を助けられたとはいえ、そう易々と明かせるほど、真名は軽いものではない。
警戒しているつもりでいてその実、無意識で心を開いてしまっていた。
とはいえ、三姉妹きっての頭脳派である張梁は、良くも悪くも頭でっかち。
どうしても自分の心や行動に意味や理由を見出そうとしてしまうだけに、
経験のないその感情や衝動的行動には鈍感だった。
View:張梁
仕事をさせてもらえないか。
そう頭を下げて程信に頼み込んでみたところ、
それを予想していたかのように、既に取り計らってあった。
外見が粗野なせいで見誤っていたが、どうやら彼は意外と出来る人のようだ。
彼が暮らす村はさほど大きな物ではなく、こなす仕事は多くない。
故に、作業などで必要な場所の確保や商売を行う為に、
村の作業にさく人員は少なめで、大半はすぐ近くの街で仕事をしているそうだ。
村から出て人々の働く街に向かい、街の中にある村人の為に与えられた商業区画を見て、
― 商取引の知識の薄い姉二人はさて置いて ― 私は驚いた。
とても十分とは言えない小さな区画だというのに、数多くの商隊が訪れていた。
いたるところで買い付け交渉が行われている。
内容は紙・衣服・畜産品に野菜をはじめとした食料品等々、それからあれは装飾工芸品か。
どう考えてもただの村落の産物で行われる商買交渉ではない。
彼 - 当然、程信さんのことだ - が訪れた事に気付いたのか、
産物品の売り出しに来ていた村の人々や、それを買い付けに来ていた商人たちが、
さも気持ち良さげな表情で集まってくる。
「一っちゃん、今日はもうこんなに売れっちまったよ!
今日は仕立ての陽姐さんに多めに仕出ししてもらったってのに、
もう持ってきた分の半分も残っちゃいねぇや!」
「一さん、この髪飾りなんだけど、
相場ってだいたいどの位だったんだっけねぇ?
金細工はちょっと量が変わったってだけで、
相場大きく変わっちゃうんだから覚えづらくていけない!」
「おう!信の旦那じゃぁねぇですかぃ!
実は南陽のほうの米が今年不作らしくてさぁ。
量もって大量に売り付けて来ようと思うんだよ!
ほら、こんだけまとめて買うからさ、このくらい負からねぇかな?」
「信坊ちゃんじゃないですか!
ちょっと助けて欲しい事があるんですがね、
陳留の方の商家が塩のもっと効率のいい生産法はねぇのかーって、
やたら私達にせっついてくるんですよ。
私は工芸商であって、専門外なものですから……。
なにかいい情報はお持ちじゃなかったですかね?
先方は言い値で払うって言ってるんで、悪い話じゃないと思いますよ」
続々と集まり、思い思いに話しかけてくる。
「なかなか良い値段で売れたんだな。
お陽さん作りすぎで腕少し痛めてたからな。
それが売れたら、しばらくは休ませてあげるといいだろう」
「金細工の相場の一覧を書いた目録があったろう。
たしか、あれは今甘さんのところの夕ちゃんが持ってるよ。
時間あるうちに借りに行くといいだろう」
「ああ、そういう話があがっていたな。
いいさ、それよりもう少し負けておく。
そのかわり、程村の宣伝をあっちの商人達にもしておいてくれよ。
南陽方面の商人が増えてきたら、もっと負けることも考える」
「陳留か…。
あのあたりは、まぁ塩手に入れるのも一苦労だ、
価値が高く値段もはる、そりゃ困るだろうな。
いいだろう。あとで何か手が無いか考えておく。
いい案が思いついたら竹管にまとめておこう。
値段はその時にでも」
皆砕けた爽やかな笑顔。
正直なところ、普通は考えられない光景だ。
商談といえば、いかに損をせず利を得るかの勝負どころ。
それは、売る側も、買い付ける側も同じ。
故に常識的に考えれば、息もつけない真剣な表情で臨むのが常。
しかし、ここの光景は実に和やか。
生産者と商人の間柄が、まるで友人同士かのような空気。
それを凄いと考える一方、羨ましいと考える自分もいた。
その理由は、自分にはまだよくわかっていなかった。
View End
この村はしばらく前までさしたる産物もなく、
村裏手の鉱場で少量の金が取れる程度で、
足元を見られながら金をごく安い値段で騙し買われていたような、
寂びれ、誰にも知られず消えていくのを待つだけの小さな村落だった。
転機は、村長の屋根を突き破って宅の中庭に流星が突っ込んだ事。
堕ちた流星の袂に、ほかならぬ彼、程信がいた。
一切の想い出という名の記憶を失い、生い立ちも名も思い出せなかったそうだ。
村長・程覧は、かつて徴兵で奪われ失った息子の名『信』を彼に与え、
しかしもはや老いている為、息子ではなく孫として、彼を養うことにした。
彼はこれに深く感謝し、失った『想い出』に対し、失わなかった『知識』から、
程村を凄まじい速さで - 具体的にはたった三年で - 復興してのけた。
まずは農地の回復。
枯れた土地に人や家畜の糞尿、または、木の葉の降り積もった下層の土を撒く。
これによって餓えた土地は肥え、豊富な作物を生産できるように。
この際、山から下ってくる湧水を利用した、水田の農法を変えたり、
足ふみで水をくみ上げる『水車』という道具や様々な新たな農具など、
誰も知らない不思議な知識を次々と出しては、村を豊かにしていった。
農業による収支が安定してきたら、金の明らかな違法価格での出荷を止めた。
作物での収入が安定したとはいえ、金の出荷による収支は完全に赤字だからだ。
彼は、すぐに金の出荷を止めることはせず、しばらく傍観した。
これは、他商人との交流を深め、結束を固くするためである。
ある程度、商人達との関係が固まってきたところで、違法商人に金出荷停止を告げる。
これに腹を立てた違法商人は、村の農作物を買っている商人達に手を回し、
買い付けをやめさせ村に思い知らせてやろうとした。
だが、これに商人達は頷かず、逆に他の商人達を巻き込んでの大掛かりな制裁を実行。
商会追放 - 一切の商取引を拒否するように手を回され、商売できなくなる - を受け、
村ひとつの反抗を潰そうとしたせいで、生きる術を奪われた違法商人は、やがて姿を消した。
今頃どこかで野犬か鳥の餌になっているだろう。いい気味だ。
この後、ジワジワと服や紙、家畜の飼育など、
広がった商人達の伝手を使って商業の幅をどんどん広げていった。
村の大きさは実はそれ程かわったという事は無いが、
農地や厩、坑道や製紙用樹木の栽培林など、様々な資材源が増え、
その生産力は他に類を見ない程に大きくなり、今や州の都一つに集まるものを大半賄えるほど。
寂びれ、塞ぎ込んでいた村の人々にとって、彼はまさに英雄だった。
三姉妹が程信から、幾つかの仕事場で手伝う際の手順や注意事項を聞いていた時。
「いちにぃ〜。きょーもきょ〜く、きかせてくれるの〜?」
「「「くれるの〜?」」」
小さな子供たちが追いかけてきて、程信に問う。
皆、彼の返事に期待しているように、目をきらきらさせている。
彼はしゃがみこんで、子どもたちと視線の高さを合わせて言う。
「ん、何か聞きたいのか?」
「「「「聞きたい〜!!」」」」
「よし、いいだろう。楽隊の奴らに集まるように伝えておいで」
「わ〜い!!」とはしゃぎながら、子供達は走り去って行った。
「もうそんな時間だったか…」と呟きながら、程信は立ち上がる。
と同時に、何人かの街の人や商人達が集まってくる。
「今日もやるんですか、楽隊?」
「ああ、子供らが聞きたいというからな」
街の人たち - ほとんど若い女性 - や商人達から、にわかに歓声があがる。
「期待してますー!」「あぁ、楽しみー!」
「今日もいい音聞かせてくれよ!」「あれ聞くと仕事はかどるんだよなー」
きゃーきゃーわーわー言いながら、人々が散っていく。
程信の腕に、次々と巾着に入った米だとか、少量のお金だとかを押し付けて。
「…どーゆーこと、アレ?」
「ん、楽隊が〜というやつのことかな」
「そそ、なんのハナシ?」
張宝が程信に聞いてみる。
すぐ横で興味津津といった表情で張角が頷いている。
興味なさげにしている張梁も、そわそわして、どうやら気になる様だ。
「もうじき、昼飯時だろう。
程村では、昼食は皆で集まって食べるんだがな。
その時に自分と、有志で集まった者たちで組んだ『楽隊』で、
村の皆の前で曲を演奏するんだ。
昔は村の中でやっていたんだが、商業発展に伴って労働の中心が街に移ったんでな。
村の連中も手の空いた者は街に出向いて皆で食事をとるようになった。
場所はこの街の村商売区画の隅あたりでな。
当然、楽隊が演奏する場もこっちに移ったわけだが、
いつからか街の人々や商人達も楽隊の演奏を聴いて行くようになってな。
演奏の後には、「気に入った」とおひねり - 金のこと - や食物を置いて行ってくれた。
これは正直助かったよ。生活の支えになる。
何時の間にか、演奏の前に置いていく人も出るようになったんだがな」
「へぇ〜。上手なんだ?」
「さて、どうかな。
下手ではない、という程度には自信がある。」
「下手じゃないって自覚できるくらいなら、十分上手なんだと思うよ〜?」
「む、そうか?それはよかった」
ちょっと荷物を持ち切れないから、籠を買ってくる。
といって、程信は表通りのほうに出ていく。
張角と張宝は、あたりをキョロキョロ見まわし、うろついている。
その間に、張梁は地面に落ちた巾着を拾って他の巾着から米を移し、
空いた巾着に散らばった小銭を集め入れていく。
通りの向こうからは、「アカンて兄さんそないに回したら〜」とか、
豪快な爆発音とか、程信がせき込む音とかが聞こえてくる。
しばらくしたら、程信が戻ってきた。
竹かごを一つと、何か大きな歯車を持っている。
「ああ、分けてくれたのか。すまない、助かるよ」
「いえ、気にしないでください。…それは?」
「ん、ああ。竹かごを買いに行ったら取っ手を回すと取り付けた材料で、
半分(?)自動で竹かごを編んでいくというカラクリを見せてもらってな。
何故か火薬も無いのに突然爆発したが、それで中が見えるようになって、
その中を見せてもらい改善できそうなところを助言してみたら、
「なるほど!助かるわ〜兄さん!これ礼や、とっといてや〜!」とくれたんだ。」
「……なんで爆発したんでしょうね」
「それは自分にもわからない……」
というか、籠の底や上ふちは作れないんだけどな、と程信が締める。
うろうろしていた張角と張宝を回収して、炊事場の方に向かった。
張梁は自然に程信の隣に並んで歩いていたが、本人は気付いていないようだった。
View:張宝
雑多な騒音が流れる街中にあって、その区画だけは様相を違にした。
流れる音は美しく流れる湧水のように清純で、
刻まれる旋律は脈々と立ち並ぶ霊峰のように雄大だった。
下手じゃない程度?とんでもない!
これが、辺境の村都と呼ばれる程村の誇る楽隊、『如志遠響』。
静かに緩やかに流れる音には安心を誘われ、激しく高ぶる音は興奮を生み、鳥肌がたった。
聴きほれる人々は、村人から街の住人、買い付けの商人や警備の番兵まで。
ありとあらゆる人たちが、そのまぶたを閉じて音色に耳を傾けていた。
凄い、と。素直にそう思った。
私達姉妹が目指している世界が、確かにそこにあった。
地位や役職なんて関係なく、どんな人も聞き入る歌。
そんな歌で大陸中の人々を魅了したい。
固っ苦しいことは忘れて、同じ人同士手を取り合う、そんな世界の手助けをしたい。
誰に明かさなくても、言葉にしなくても、私達姉妹が抱いて来た大きな夢。
その一端が今、私達の目の前にある。
自分達には未だ、成し得ていない、達していない世界。
悔しい...。 羨ましい...。 妬ましい...。
でも、それ以上に嬉しかった。
私達が抱いた大望は、この思いは、決して辿り着けない空想なんかじゃなかった!
望んだ世界は、確かに存在する。
今、私達の目の前にあるんだ!
その事実が、ただひたすらに嬉しかった。
楽隊の演奏が終了し、隊員がはけていく。
聴衆の人々が、帰り支度を始めている。
皆の顔は、さっぱりしたような笑顔。
私も、私達もいつかは、こんな風になれるかな。
そんな事を考えながら、すがるような気持ちでアイツを見る。
「!!」
アイツの目は、じっと、私を見つめていた。
やってみたいか、と。
挑まずにいられるのか、と。
問いかけられているような、そんな気がして。
怯む気持ちを抑えつけ、強気な表情で、アイツの顔を見る。
ふ、と。 アイツの口が笑みを浮かべる。
良い目だ。
そう言ってくれているような気がする。
少し、顔が熱くなった気がする。
アイツはやおら立ち上がり、声を張り上げた。
「皆、少し待ってもらえるか。
今日は歌芸を嗜む娘達が来ている。
彼女らの歌で以て締めとしたいが、いかがか」
どっ、と沸く聴衆。
いきなり大舞台に立たされて、抑えつけた弱さが顔を見せる。
他の二人も、少し気遅れしたような表情だ。
でも、アイツの顔は真剣な表情で、私を見ている。
アイツの心が、伝わってくる。
どうした、舞台は用意してやったぞ、と。
ここから先は、お前達の...、お前の仕事だろう、と。
嗚呼、アイツには全部お見通しだったんだなぁ。
私達の夢も。 私達の想いも。
私の、決意も。
「ほら、お姉ちゃん、人和!行くよ!!」
「は〜い☆」「うん」
お姉ちゃんは、何時も私達を見守って、包んでくれる。
人和は、私達が出来ない事を一手に引き受け、助けてくれる。
なら、何もない私はせめて、二人の手をとって、先に立って歩くんだ。
それが、私達なんだ。
「耳かっぽじって良っく聞きなさい!! 『我魂響大地(Hφwling Soul)!!』」
私は張宝。真名は地和。
先に立って歩む者。
程信、この名をその胸に刻みなさい!!
View End
三姉妹は長女、ロングヘアの巨乳少女。
彼女は名を張角。
基本的に我が道を行くような性格に見える彼女だが、
やはり長女という立場が故か、周囲に広く気配りする気質に長け、
何時も絶やさぬ笑顔には、見る者の表情もつられて笑顔になる。
彼女が程信と供にあたる仕事は、いわゆる『奉仕活動』である。
つまるところ、仕事に精をだす村人たちに炊きだしと娯楽を提供するのだ。
割かし寝坊しやすく、朝に弱い彼女の仕事は昼前頃から始まる。
「起きているか、張角?」
「ふゃー☆」
丁度張角が起きる頃、程信は午前中の仕事を周り終え、
続きを張梁と張宝に任せると、炊きだしの準備を始めるために小屋に戻ってくる。
置火してあった火を炉に移して湯を沸かし、蒸らした手ぬぐいを持って張角の元へ。
起き抜けで『ぽぇー』と放心している張角の顔を、
蒸らした手ぬぐいで痛くならないよう丁寧に拭ってやる。
温かい手ぬぐいの刺激で完全に覚醒した張角は、
ふにゃっとした笑顔で『ありがとう〜』と程信に礼を言い、寝間着から普段着に着替える。
「んふふー、信、見たい〜?」
「いいから、はやく着替えてくれ…」
その間、程信は決してそちらを見ないように注意しつつ、
村の皆の昼休みで振舞う炊き出しの準備をはじめる。
「きぅぴぃ三分くっきんぐ☆」
「は?」
「なんでもないよ〜」
炊き出しの料理を作るのは張角。
程信に手とり足とり料理を教わっているのだ。
「後ろから包み込むようにして、包丁の持ち方とか教えてくれるのがね、
暖かくて、すっごく幸せな気分になれるんだよ。」
とは、張角本人の談。
なので、張角は今日も言う。
「ねぇ、信〜。今日も教えて〜」
「またか。いい加減具材の切り方くらい覚えただろう?」
「えーっ。まだわかんない」
「ぬ、む。……まぁ、いい」
程信も、ただ張角が甘えているだけだということは分かっているだろう。
張角自身も、隠しているつもりもないし、程信がそこまで鈍いとも思っていない。
それでも。
程信は結局、それを許してくれる。
張角に、『甘える』という行為を許してくれる。
長女という立場故、姉という立場故、
今まで出来なかったその行為を、程信は許してくれる。
きっと、ちょっとした事なんだろう。
でもそれは、張角にとって、何より無上の贈り物。
口下手な程信の不器用な優しさと、触れる背中に伝わってくる程信の温かさに、
高鳴る鼓動を抑える事など、出来はしない。したくない。
まだ、初めて逢ってから、そう時を重ねてはいない。
それでも、張角の胸に宿ったその想いは、決して軽いものなどではなかった。
「信〜」
「ああ、なんだ」
だから。
伝えていこう。
この胸に燃える、大切な気持ちを。
「……ありがとう、ね」
「……気にするな、張角」
「天和」
「ん?」
「真名だよ。天和」
「いいのか?」
「うん。受け取って。私の真名(想い)」
言葉の裏に込めた心。
「覚悟してね?」と、こっそり囁く。
料理は、もう出来上がる。
この恋は、いつ成就す(出来上が)るのだろう。
「さっ、できあがり!信〜、はやく持っていこう!」
「ああ。と、天和。俺の楽器を持って行ってくれ。料理は俺が持って行くから」
「は〜い」
今日も、三姉妹と程信の演奏を肴に、村は盛り上がる。
お久しぶりでございます皆々様。
案内人でございます。にぱー☆
さて、前回アンケートとっておきながら、拠点三人とも書いてしまいましたね。
管理者曰く、
『アンケートとりたかっただけなんだ...』
とのこと。
とりあえず、管理者の部屋にインフルエンザのウィルスを詰めた瓶を投げ込んでおきましたので、
どうかご容赦の程をお願い致します。
さて、冗談はさておいて。
ファラ『冗談でインフル瓶投げ込むなよ...』
ああ、来ましたね。
今回の件の説明をちゃんとしてくださいな。
『はいな。
えー、皆さま改めまして。
FALANDIAと書きまして、ファランディアと申します。
今回アンケートとったのに全員書いた事に関する説明ですが、
この外史「猛り狂う者」は。悲劇で終わる黄巾党√です。
察しの良い方はもう予想なさっていたかもしれませんが、
この外史は、大分短い世界です。
つまり、ヒロインと主人公をじわじわ絡ませる程、時間がありません。
故に、早い段階から主人公と絡ませるために、
指標になる「真名を明かす」イベントを挟む必要がありました。
また、村の栄え具合や主人公が楽器を使える設定を出す段階も必要でした。
よって、個別の拠点イベントを起こすより、
今回は一本道で三人まとめて、という形にさせていただきました。
アンケートに答えて下さった方には無駄な事をさせてしまった事、
この場を借りて深くお詫び申し上げます』
管理者より、通知でした。
さて、この外史は先に管理者から申し上げました通り、
総合的に見てかなり短いものとなっております。
なので、物語の進行で説明が抜けていたり、
良く分からない設定が出てきたりするかもしれません。
そういった場合は、コメント欄でどうぞご質問ください。
その次の更新の際、こういったあとがきを設け、
極力応えていきたく存じます。
さて、今回はこの辺にいたしましょう。
次回は、三姉妹と程信が旅立つ話になります。
どうぞお楽しみに。
> Update _
-> 張梁の真名が解放されました _
以降 三人称視点時の呼称が人和(れんほー)に変わります _
-> 張宝の真名が解放されました _
以降 三人称視点時の呼称が地和(ちーほー)に変わります _
-> 張角の真名が解放されました _
以降 三人称視点時の呼称が天和(てんほー)に変わります _
_
説明 | ||
内定を取れた会社の冬季研修に行っていまして、 その都合で、少々更新が遅れてしまいました。 ご迷惑おかけしました。 わたくしの初の拠点です。 至らぬ点もありましょうが、どうかご容赦の程を。 では、どうぞ。 |
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