茜ちゃん 第二話『逃走』 |
『逃走』
誰か助けてください!
荒野(?)の中心で恐怖を叫んでみる。
目の前に迫るは鼻息がお馬さんより荒い漢四体。
ワタクシ、絶賛貞操の危機です。
「「「「さぁ。さぁ!さぁあ亞阿ア!!!!」」」」
「ひぃいいいいい!!?たっ、助けてぇええええ!!」
あ、もうだめだ。と思った瞬間…。
『衛(エイ)さん!』
『はいよ、合点ッ!!』
ボンッ!
誰かの声が聞こえたかと思った瞬間。
何かの破裂音と供に、突然視界に煙が立ち込める。
(ケホッ、ケホッ。…え、煙幕?)
周囲の風景は煙で何も見えない。
代わりに、何か音が聞こえてくる。
ガシュシュシュシュシュ!!
ぶるるるるぅぅあああああ!!
うぬ、なんだこの粉は?塩ではないか。
成程、塩(煙)幕ですね、わかります。
天からお塩ぉぉおおおおおお!!
我が世の春が来たぁああああ!!
おい、誰だ俺の尻を触ったのは!?
明らかに于吉だろう、だから貴様は阿呆なのだぁあああ!!!
…于吉、お前を殺す。
…カオス過ぎて現状が把握できない!?
「…速く、今の内に!」
「ほら、お前さん。さくっと逃げるぞ」
「えっ?えっ?」
両側から手を引かれ、軽くグレイみたいな状態で煙から脱出する。
「ぷはっ!い、いったい何が!?」
「っぶないなぁ!あーもう、あの人たち暴走しすぎでしょ!?」
「今回の外史の規制薄いからって直接突っ込んでいくとは…。それでも観測者かと小一時間(ry」
まともそうな人が二人、私を両脇から抱えてBダッシュしている。
一人はやたら大きいローブを着て、不思議な形の大剣を担いだ人。
もう一人は、防御力高そうな鎧を要所につけ、長めの直剣を佩いた人。
後ろの煙幕はもう結構彼方に見えている。
二人とも走りにくそうな格好なのに、脚速すぎない?
「何が、何が起こってるんですか?此処どこですかぁ!?」
「あー、時間が無いから簡潔に言うよ〜。起こっている事は、『蝶★弩級の変態に追われている』」
「場所は『2世紀後半の中国』、つまりは三国志の時代だ」
「わかった!?」
「情報は判ったけど、理解が追い付きません!」
「デスヨネ〜!…っと、これはまずいですヨ。」
突然、何かを気取ったローブの人が服の中をごそごそやりはじめた。
取り出したのは、三脚のついた上向きの扇風機みたいな機械。
「っ!?なんだ、もう来るのかよ!?」
「みたいだね…、本当に化物みたいな奴らだよ。
衛さん、私が時間を稼ぐから、その人連れて先に行ってて。
ここからだと、漢中のうたまる先生の所が一番近いね。
何が何でも、絶対に逃げ切るように。
今回の彼らは遠慮を知らないから、捕まったら諸共に掘られちゃうよ」
「時間稼ぐって…。観測者の中でも特別クセが強い連中だぞ!?大丈夫かよ…」
「大丈夫だ、問題ない」
「お前それ死亡フラグなのわかっててやってる!?」
どうやら、ローブの人が『蝶★弩級の変態達』を足止めするつもりみたいだ。
…え、それって大丈夫なの?
「…っく。じゃあ泥矢(ディア)、先に行くぞ!」
「OK。ところで…」
「なんだ?」
「…別に倒されてしまっても構わんのだろう?」
「どや顔で何言ってんだ!?いやいや!駄目、ゼッタイ!逃げ切れよ!?」
「ははは、お任せあれ〜」
緩い笑顔を浮かべて、泥矢さんが逆走していく。
私は衛さんに抱えられて、逃走を続行する。
でも、お姫様だっこは出来ればどうにかしてください。
「さ〜って、と。ほい」
がしょんと音を立てて、放った装置が地面に設置された。
三脚で立った装置は、ファンを高速回転させつつ、姿を地面に同化させた。
「ジェノサイド・無礼ぶるぁあああああああ!!!!」
爆音を立てて、煙幕が四散する。
相変わらず無茶するなぁ…。
「貴様か、技術屋。いや、口先屋(フェイカー)。インドアの裏方が、こんな所に何の用だ」
「左慈。私もインドア派ですよ?もちろん性的な意味で」
「ちょ〜っとオイタが過ぎるわよ、泥矢ちゃん」
「左様。表に出るはずのないお主が、何故わしらの邪魔をする」
ぞろぞろと邪神どもが出てきた。
あ〜、なんて嫌な光景か。
今は全員まともな格好してるから、分かる人にしか分からない嫌さだけど。
「何故って、あんたらがトチ狂った真似するから、裏方の私まで呼ばれたんでしょ。
まぁ、あんたら考えてるようで直情径行だから、口先屋の私が当てられたのかもですけど。」
「口先屋の御託は聞かん。邪魔する以上、相応の覚悟をしろ!!」
左慈がそう叫ぶなり、全員がこちらに向かって突っ込んでくる。
「人の話は最後まで聞きましょうね〜。
そんなだから、……直情径行だって言うんですよ」
ニィィ、と。 私の口角が吊りあがる。
ローブから右手を突き出す。
卑弥呼が何か感づいたように眉を跳ね上げる、がもう遅い。
全員が、 『先 の 装 置 の 攻 撃 圏 内』 だ。
『神縛(シビレ罠)』
パキンと指をならし、呪を唱える。
瞬間、バチバチ音を立てながら、四人は身動きを奪われる。
神仙すら動きを縛られる、特製のシビレ罠だ。
「あっはははははははは!忘れたんですか、あなた達は!?
私達裏方の観測者が表に出てこないのは、影響力が強すぎるからだ!
例えば、策と口先で一人で万を越える軍隊を退けた『華嵐泥矢(ファランディア)』のように!
例えば、護ると決めたものを時を超えても護り続けた『護衛(ゴエイ)』のように!
例えば、その芸事でどんな不治の死病であっても癒してみせた『うたまる』のように!!」
身をのけぞらせて、私は哄笑する。
こういったオーバーアクションで相手の心理を掴むのも、口先屋の領分だ。
「しかしまぁ、私の領分はあくまで技術と口先だけ。
軍師であって、あなた達と戦えるような武将ではないんですよね〜。
ってなわけで、時間を稼いだうえで、トンズラさせていただきますよ?」
体を痙攣させながら、左慈がこちらに視線を向ける。
「っく、は。時間を稼ぐ、だと?
この程度の罠では、長い間は俺たちを縛るなんてできはしないぞ。」
「でしょうね〜。だ・か・ら☆」
再び、右手を構える。
それを見た四人の顔色が一斉に変わる。
今の四人は、シビレ罠によって動けない。
だから、これも避けられはしないでしょう…?
「あんたらみたいなモンスターには、罠って相場が決まってるのさ!!」
『大蝦蟇口(落とし穴)』
突如開いた巨大な穴に、四人は抵抗も出来ずに落ちていく。
シビレ罠を中心に開いた大穴は、その半径15m、穴の深さたるや実に50m。
しかも上から2mおきに封鎖結界でふたをするオマケ付き。
この結界の解除方法が純粋打撃を100発あてることなので、
跳んで連打する関係上どうしても時間がかかってしまう。
これで、十分に時間は稼げる。 任務完了だ、大佐。
「さってと、流石に疲れちゃったなぁ〜。
衛さんたちは大丈夫かな…。まぁ、大丈夫か。
守備に定評のある衛さんが付いてるし。
ってなわけで、私はしばらくは姿を眩ませよう…。」
ベルトに取り付けた光学迷彩の仕掛けを起動し、姿を消す。
「しかし、また北郷くんとは関わりも薄そうな人が入ってきたな…。
あの人も、なにか事情があるひとなんだろうけど…。」
茜達は、ちょうど漢中に辿り着いたところだった。
説明 | ||
リレー小説第二話になります! 『キャッキャウフフ』させてって言われたんですけどね・・・。 とりあえず、『ギャッギャオブブ・・・』させてみました。 |
||
総閲覧数 | 閲覧ユーザー | 支援 |
1683 | 1517 | 11 |
コメント | ||
突っ込み・・・・諦めますた(2828) なんかドンドンカオスになっていくのね(護衛) オモシロイデース!(運営の犬) HA-HA-HA!(運営の犬) 芸事で死病を直すって、五斗米道より無茶過ぎです(w(うたまる) |
||
タグ | ||
茜 真恋姫 護衛 FALANDIA うたまる | ||
FALANDIAさんの作品一覧 |
MY メニュー |
ログイン
ログインするとコレクションと支援ができます。 |
(c)2018 - tinamini.com |