恋姫異聞録 感謝編 −涼風−
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呉から魏の舞王が帰還してより数日、城外の少し離れた森の中で草花を集める少女

 

晴れた日の青空のような髪、その髪をそのまま写したような旗袍を着る少女

誰もが皆、少女を見れば思うだろう。まるで魏の智勇を備えた将、夏侯淵を幼なくしたようだと

 

ただ、少女は智将夏侯淵とは決定的に違う部分があった

其れは屈託なく眼を細めて笑い、常にその顔は曇ることが無いということだ

そう、彼女の父のように

 

目の前を蝶が一匹、少女を誘うようにヒラヒラと舞う

 

「蝶・・・鳳お姉ちゃんのお腹の蝶とどっちが大きいかな?」

 

 

「涼風、こっちに沢山生えておるのじゃ」

 

「ホント?」

 

ふわりと温かい風が頬を撫でる、そんな温かい日差しの中。一匹の蝶と戯れる少女は

大好きな姉と森に足を運び、姉の指示するままに草花を採取していた

 

この日は涼風の誕生日、涼風が大好きな姉にねだったことは森で野草を共に集めることであった

 

「うむ、このくらいで良いじゃろう」

 

「うん!」

 

持ってきた籠に大量の野草を詰め込み、美羽は草花を確認し頷くと涼風は草むらにコロンと寝転がる

温かい日差しが体を優しく包みこむようなこの日は絶好の昼寝日和と言えるだろう

涼風は服が汚れることなどお構いなしに、仰向けに寝そべり体を伸ばす

 

「ねぇお姉ちゃん。暖かくていい気持ちだよ、少しお昼寝していこうよ」

 

「其れは良い考えじゃ。此の様な日は温かい日差しを楽しむのが一番なのじゃ」

 

そう言って同じように涼風の隣に寝転がり、同じように体を伸ばす美羽

隣で体を伸ばす姉を見て、涼風はニコッと笑うと美羽の手を掴んで顔を横に向ける

大好きな姉と、ゆったりした時間を過ごせるのが嬉しいのだろう眼を細めて

嬉しそうに微笑む妹を見て、美羽は握られた手を優しく握り返し、同じように笑顔を返していた

 

 

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「秋蘭様、今日の涼風ちゃんの誕生日の贈り物はもう決まっているのですか?」

 

「ああ、私からは熊と虎の人形だ。どちらも前から涼風が欲しがっていたものだからな」

 

市を歩くは涼風の母、秋蘭。その隣を食材を抱える流琉と手に持った肉まんを頬張る季衣が歩く

 

秋蘭は城の外へ行った娘と美羽を迎えに行く途中に、誕生日の料理の食材を用意しようと

市に出かけた流琉と季衣に偶然出会い、流琉から「途中まで一緒に行きましょう」と言われ

城門までの道を歩いていた

 

流琉からの質問に答える秋蘭。以前誕生日は何が欲しいかと娘に聞いた時、丁度露店で売っていた

熊と虎のぬいぐるみを指差し、あれが欲しいと言っていたのを覚えており、秋蘭はこの日の為に

露店から買うわけではなく、生地と綿を購入し売られていた物よりも大きく可愛らしいぬいぐるみを

娘と夫に気がつかれないように作って隠していたのだった

 

「もしかして秋蘭様が作ったものですか?」

 

「フフッ、其れは秘密だ。しかし涼風の誕生日に食事を作ってくれると言ってくれて助かった

もうすぐ大きな戦だ、練兵で手が離せなかったからどうしようかと悩んでいたのだ」

 

「いいえ、良いんですよ。基本的に私と季衣は華琳様の護衛ですから。それに虎士の皆さんの練兵は秋蘭様に任せて

しまっていますし」

 

少しだけ申し訳なさそうな顔を向ける秋蘭に流琉は食材を抱えなおし、首を振る

其の様子を見て季衣は残りの肉まんを口に放りこみ、もぐもぐと咀嚼して飲み込むと

誂うように笑って、流琉の抱える食材の袋から肉まんを取り出した

 

「へへ〜、流琉は前に贈り物をして失敗してるから、今回は料理を作るってことになって安心してるんだよ秋蘭様」

 

「こ、こらっ季衣っ!」

 

「失敗?涼風に何か贈り物をしてくれたのか?」

 

慌て顔を赤くする流琉に対し、季衣は両手の塞がれた親友の姿に余裕で次の肉まんをその口にほおばっていた

顔を赤くする流琉に秋蘭は良かったら教えてくれないか?と優しい声で尋ねると、流琉は慌て、少し顔を俯かせ

アハハと苦笑いを浮かべると一つ溜息を吐き、季衣を少しだけ睨むと観念したようにポツポツと話しだした

 

「えっと、兄さまが戻って来てから直ぐの事なんですが」

 

「ああ」

 

前に涼風ちゃんがそろそろ新しい服が欲しいと言っていたのを聞いていたんです

私は兄さまが帰ってくる少し前に自分の邑に戻る機会があって

古くなった服を涼風ちゃんにあげようと思って持って帰って来ていたんですよ

 

誕生日も丁度近いことだし、これを誕生日の贈り物にしようと思っていて

涼風ちゃんの体に合うか解らなかったので

体に合うかどうか一応合わせてもらおうと持っていったんですが

 

「あの時の兄ちゃん面白かったよね〜!流琉もすっごく怒ってさ」

 

「怒った?流琉がか?」

 

「あれは兄さまが悪いんです」

 

服を渡して、丁度お昼も近かったし昼食を作りながら待っていたんです

その時は季衣も居たし、兄さまもご自宅に帰ってきて涼風ちゃんと一緒に食事を取るって聞いていたので

沢山料理を作っていて、そしたら兄さまの声が玄関から聞こえて

 

私はああ、帰ってきたんだなって。兄さまなら直ぐに涼風ちゃんの顔を見に行くはずだから

出来た料理をお皿に盛って、鏡のある秋蘭様と春蘭様の衣装部屋に向かったとき

 

 

「扉を開けたら兄さまが声を上げて逃げる涼風ちゃんを追いかけていて・・・・・・」

 

「そ、そうか・・・」

 

プルプルと顔を紅潮させ青筋を立てて震える流琉。秋蘭は申し訳なさそうに、苦笑いを返すしか無かった

 

なぜなら光景が容易に想像が出来るからだ、流琉の着ている股上の浅いスパッツを履いて鏡を見る我が子

其れを見た親馬鹿とも言える男の行動は、実に想像しやすい

 

恐らく足を隠す布か、ズボンを手に娘を追いかけ回していたに違いない

 

「その後、扉の前で立ってた流琉の後ろに涼風が隠れて、すごく怒ってる流琉を見た兄ちゃんがっ」

 

言い切らず大声で笑い出す季衣に流琉は溜息を吐き、拗ねたように目線を背ける流琉

 

笑いながら話す季衣の話しによると、どうやら男は扉の前に無言で肩を震わせ怒る流琉に気が付くと

一歩、二歩と後ずさり、流琉から送られたものだと理解しその場で膝を着き、土下座で許しを乞うていたらしい

 

 

「・・・何というか、私も詫びておこう。すまなかった。」

 

「あっ、そんな。秋蘭様は悪くありません。兄さまが」

 

「兄ちゃんは本当に涼風の事になると大げさになりますよね」

 

頭を下げる秋蘭に流琉は慌てて首を振り、季衣の言葉に確かにと三人は頷いていた

 

「前も涼風が近所の男の子と手を繋いでいた時も面白かったんですよ」

 

「近所の・・・初耳だな、愚夫は一体何をした?」

 

「えっと、そろそろ一人で御使をさせようって凪ちゃん達が兄ちゃんに提案して、ボクは面白そうだから

それについて行ったんですよ」

 

最初は兄ちゃん嫌がっていたんだけど、凪ちゃん達が一人で御使も出来ないようじゃこれから先が

大変になっちゃいますよって。ボクも心配ないって思ったんだけど、凪ちゃん達は兄ちゃんに一生懸命

やった方がいいって言って

 

後から聞いた話だと、兄ちゃんを少し子離れさせる為にやろうって事だったみたいですけど

 

それで、スッゴク嫌そうな顔して兄ちゃんは頷いて

近所で肉まんを買ってきて欲しいって涼風にお金を渡したんですよ

 

屋敷から出た後、遠くから皆で付いて行って。涼風が寄り道したり、道に迷ったりしないかずっと見てて

 

途中、よく遊ぶ近所の男の子と会って。何か話した後、手を繋いだんです

そしたら兄ちゃんが・・・・・・

 

「昭がどうしたのだ?」

 

「涙流しながら、腰の剣を握って【今なら殺れる】って」

 

「なっ、大丈夫だったの季衣っ!?」

 

「大丈夫だよー。周りに凪ちゃんたちも居たし、ボクも居たからね」

 

季衣の話によれば、男は「あのガキ殺して俺も死んだるっ!!」と叫び、涙ながらに剣を抜き取ろうとした所で

凪と真桜、沙和に飛びつかれたが、火事場のクソ力を発揮し三人を引きずりながら突き進み

呆れた季衣に体を持ち上げられ、凪達に体を捕縛用の縄で縛られ地面に転がされていたようだ

 

転がされた男は大声で喚き

 

「良いか、あの野郎は今は可愛い男の子で済むかも知れない、だが気がつけば年を重ね

涼風も同じように年を重ねていく。最初は俺をおじさんとか、涼風ちゃんのお父さんと呼ぶあの

クソガキが、いつの日か涼風と一緒に俺の前にたって【お義父さん。娘さんを下さい】なんぞほざいた日には

あの時殺しておけば良かったと今日の日を後悔するに違いないんだっ!誰がお義父さんだ、俺は貴様の

親父なんかじゃないぞっ!クソッ!!お前たち俺の縄を解けっ俺の娘は一生嫁にはグボッっ・・・・・・」

 

ある程度喚いた後、呆れた真桜が凪に指示し凪の拳が腹に突き刺さり、喚く男を黙らせたらしい

 

「まったく、本気で言っているわけでは無いだろうが、子離れの件は考えなければならんかもしれんな」

 

「はい、あの後気がついた兄ちゃんはそういった時が来るだろうけど、今は考えたくないって言ってましたよ

剣も手が掛かっていただけで、力が入って無かったですから凪ちゃんがすんなり剣を奪ってました」

 

「本当に兄さまは涼風ちゃんが大好きなんですね、ちょっと行き過ぎな時もあるけど」

 

頭をかかえる秋蘭に季衣はあの時の男の様子の詳細を話せば、そうかと少し安心した溜息を吐き

流琉は親離れではなく子離れという言葉で悪いと思いながらも少しだけ笑ってしまっていた

 

「それで季衣。涼風ちゃんは御使がきちんとで出来たの?」

 

「うん、男の子の方が頼まれた御使が出来なくって困っていたみたいで泣きそうだったみたい。

そこで涼風が手を繋いで一緒に御使を済ませたみたいだよ」

 

「わぁ、秋蘭様。前から思っていたんですけど、涼風ちゃんて凄くしっかりしてますよね」

 

「ああ、そうだな。私が言うのも変だが同年代の子と比べれば涼風は少し大人に見えると思う」

 

「それってやっぱり秋蘭様が教育なさっているからなんでしょうね。凄いです!」

 

尊敬の眼差しで見る流琉に、秋蘭は少しだけ「フム」と考え込む

何か変な事を聞いてしまったのだろうかと流琉は秋蘭の顔を覗き込むと、それに気がついた

秋蘭が「すまない」と一言謝り、流琉の頭を撫でていた

 

「私の教育、というよりは昭の背中を見て育ったからだ。それに三歳になったばかりの時は

とても活発で、悪戯ばかりして私の手に負えないくらいだったからな」

 

「え?信じられません。あの涼風ちゃんがですか?」

 

「ああ、そうだな。お前たちが夫の愚行を報告してくれたお返しに、少し涼風の事を話てやろう」

 

そう言うと秋蘭は空を見上げ、蒼空に男の外套を思い浮かべる

秋蘭の何処か誇らしいような横顔に流琉は魅入り、季衣も肉まんを食べる手が止まっていた

 

 

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「涼風は三歳になったばかりのころは昭が嫌いだったのだ」

 

「兄ちゃんのことが嫌い?そんなの嘘だよ秋蘭さま」

 

「季衣っ!」

 

「フフッ、信じられんのも無理はない。今の涼風を見ているのだからな」

 

涼風が生まれたのは丁度旗揚げの真っ最中。とてもではないが休む暇など無く自分たちの手勢を増やす

ことに躍起になっていた。もちろん子を生んだばかりの私の仕事も多く、手の空く者など誰も居なかった

 

だから生まれたばかりの我が子を私の父と母に預け、旗揚げの準備をしようと思っていたのだが

昭が子が母と、其れも心の作られる三歳までの間、共に居ることが出来ないなど駄目だと言い

 

華琳様は其れも最もだと、旗揚げは進まないが私を特例で休ませようとしたのだが、昭は其れも拒んだ

旗揚げをするのも乱世を早々に華琳様に治めて頂き、子の未来を明るいものにするためだと

 

それでは一体どうするのだと昭に問えば、簡単なことだと昭は言った「俺が秋蘭の分まで働く」と

 

「馬鹿だろう、本当に」

 

「秋蘭様の分まで。そ、それって寝る時間なんかありませんよね」

 

ああ、そうだ。私の変わりに多くの仕事をこなす昭、娘に会えるのは皆が寝静まったころ

そして朝も娘が起きる前に仕事へ出かけ、睡眠などとれず帰れない日が続くこともあった

 

それでもたまの休みには涼風を外へ遊びに連れて行くが、涼風は私にくっ付いたままで父に寄り付かない

当たり前だ、殆ど家で見ることがないのだから父という認識はなく、他人とまでは言わないが

たまに見かける母と、よく遊びに来る姉者の知り合いとしか認識はしていなかっただろうな

 

だが昭は一つも苦しいや辛いなどと口にしなかった。あれだけ顔に出やすいというのに、少しもその顔に

出すことはなく。ただ涼風と私が一緒に居られるようにと身を粉にして働いていた

 

父がそうやって働いているのも知らず、涼風は自由奔放に、悪戯ばかりしてそこら辺を駆けまわる

まるで男の子のような。いや、昔の姉者によく似ていたよ

 

 

そんなある日、私が眼を離していた時、近所の同年代の友達と喧嘩をして泣かせてしまったことがあってな

どうやらおもちゃの取り合いになったらしく、力の強かった涼風は友達に怪我をさせてしまったようで

額からは血を流し涼風の友達は泣いていた

 

その子の親は、私が華琳様に仕えている人間だと知っていたから顔を青くして私に何度も頭を下げ謝罪していた

 

だが涼風が怪我をさせたのだからと、謝罪をするのは此方だと

涼風に頭を下げさせ謝ろうとしたが、涼風は頑なに謝ることを拒否してな

 

「すずかのおもちゃ、とろうとしたのはそのこだもん。すずかはわるくないっ!」

 

そう言って、絶対に謝ろうとはしなかった。相手に怪我をさせたのにこれでは涼風に良くないと思い

叱らなければと思った時、昭が仕事の竹簡を取りに屋敷に戻っていたようで

話を聞いていたらしくいつの間にか涼風の後ろに立ち

 

「うあっ!?」

 

驚く涼風を突然抱え上げると昭は烈火の如く怒り、私も近所の者も唖然としていた

昭が叱ることは私や姉者にもあったが、まさか自分の溺愛する娘にそんな事をするとは思わなかった

 

「ほ、本当に兄さまが涼風ちゃんを叱ったんですか?!信じられませんっ!!」

 

「うんっ!兄ちゃんが涼風を叱るなんて一度も見たことないっ!!」

 

「そうだろうな、だがあの時は凄かったぞ。私達に叱るよりもずっと恐ろしく、尻が腫れ上がるまで叩いていた」

 

相手の親も止めようとしたが、昭が余りにも恐ろしく近づけず。丁度三十ほど叩き、泣きじゃくる涼風を謝らせた

相手の親と子が帰った後、涼風から何度も「お父さん嫌い」と言われていたが、昭は表情を崩さず無言で

そのまままた、仕事に出かけて行った

 

叱られてから余計に涼風は昭を避けるようになってな

昭が出かけるとき、涼風に「行ってくるよ」や「ただいま」と声をかけても背を向け、無視していたよ

 

私は此のままでは駄目だと、涼風に話をしようと思ったのだが、昭が

 

「怒るのは俺だけで良い、秋蘭は絶対に涼風の味方でいてくれ。親二人が子を責めては子は逃げ場を失う

それに、相手を傷つけた事、自分に力が有ることは自分で考えなくちゃいけない。諭すのは今じゃない」

 

そう言ってな、昭は涼風に考えさせる教育を取った。まだ小さいからこそ考えさせるのだと

私は子育てはこれが始めてだし、父や母の教育法等を聞いて調べてはいたが、実際こういったとき

は昭の方が頼りになる。私は昭のように叱らなければならない時、考えさせること無く諭して

答えを直ぐに与えてしまっていただろうから

 

「答えを与える、ですか」

 

「ああ、自分で考え出した答えと人から与えられる答えは全く違う。人から与えられる答えも大事だが

自分で見つけた答えこそが一番己を成長させるものだからだ。そして与えられるばかりでは

答えを待つ人間になってしまう」

 

涼風が叱られてから数日たったある日、姉者が私と涼風の様子を見に来てな

外で遊ぶ涼風を見ながら姉者に昭が叱ったことと、そのせいで涼風と仲が悪くなったと話したところ

 

「なんだ、そんな事なら昭の腕の話をすればよかろう」

 

と言われたよ。腕の話をすれば、いかに昭が涼風を愛しているのか解るだろうと

叱った事も昭が涼風を深く愛しているからだと

 

確かに姉者の言うとおりだが、昭から腕の話は涼風にしないで欲しいと言われてそれは出来なかった

自分のズタズタの腕を見せて、涼風に嫌な思いをさせたく無いらしい

自分の父の腕は他の人と違うと、小さい子ならば思ってしまうかも知れないからと

 

そのことに姉者は「馬鹿な事を、私ならばその腕を誇りに思う」と言っていた

そして腕のことを思い出した姉者からせがまれてあの時の話

 

涼風が出来た時の話をした。私の視線で見た昭が私に何を話、姉者に何を言い、何故私達に腕を捧げたのかを

 

懐かしみながら話込んでしまっていた時、私は物音に気がついた。戸の影から此方を涼風が見ていたのだ

 

外で遊んでいた涼風はいつの間にか屋敷に入って、神妙な顔をしてたまに顔を綻ばせる私達を何事かと

影から話を聞いていたらしく、途中から私に抱きついて其れは本当か?とせがむように何度も聞いてきた

私と姉者は頷き、本当のことだとあの包帯の下は、涼風に対する想いが詰まっていると

 

そう話した後、涼風は俯いて、少し何かを考えるように私の胸に顔をうずめていた

 

夜になって、相変わらずもうすぐ日が昇るほど遅くに帰ってきた昭を涼風は寝ないで待っていた

 

昭は不思議な顔をしてな、涼風の頭を撫でて「まだ寝ていなかったのか」と優しく話しかけていた

 

撫でられていた涼風は急に昭の腕を取り、引っ張って椅子に座らせると綺麗に巻かれた包帯を

無理矢理に引き剥がしていた。私は止めようかと思ったが、何か此のままにしていたほうが良いのではと感じて

一度は伸びた手を引いて其の様子を見ていた

 

涼風は包帯を一生賢明に解いていたが、厚く巻かれた包帯は容易には取れず

苦戦する涼風を見て昭はゆっくり、自分の腕に巻かれた包帯を外して涼風に差し出したのだ

 

始めて見ただろう父の手は、無数の傷で埋め尽くされ、爪はほとんどその手に残っておらず

仕事尽くめの生活のせいだろうか手のひらは荒れ放題で、指先の皮がめくれ

見ただけでもザラザラとしていると解る手を涼風は掴み、触り、何度もその傷と昭の顔を交互に見ていたよ

 

そして傷を指で撫でながら、涼風は何度も何度も謝っていた

 

「ごめんなさい・・・おとうさんごめんなさい」と

 

瞳からは大粒の涙をぽたぽたと落とし、ついには昭の手を抱きしめて震えていた

多分その時だろう、涼風が昭を本当に父だと、死に物狂いで働き、それでも顔に出さず笑顔で

自分を誰よりも愛してくれている昭こそが自分の父親だと確信したのだろう

 

昭は涼風を抱き上げて優しく抱きしめると、とても優しい声で涼風に語りかけていた

 

「大きい力を持つ者には責任が有る。その力は人を悲しみに染めるものじゃない

涼風の力は皆を笑顔にする為にあるものなんだよ」

 

そう言って抱きしめ、涼風は何度も頷き、ごめんなさいと大声で泣いていたよ

 

その日から、涼風は何をするにも考えるようになった。これは悪いことか?人を悲しませる事かと

そして父の背中を良く見るようになっていた。父と一緒に居る為、私の眼を盗んでは父の職場に

警備隊の兵舎にある昭の椅子に座っていた

 

私が涼風から学んだことは、子を育てるのに多くの言葉は要らない

唯、子の道しるべになるような生き方をその背中で語れば良いと

 

毎日町の人々と話、犯罪を取り締まり、時には人を諭し

更には華琳様の為、兵を集める昭の姿をずっと見ていたのだ

何のために戦を行い、父は何故戦うのか、その姿をずっと、そして今も

 

「だから涼風ちゃんは統亞さん達と仲良しだったんですね」

 

「ああ、三歳になってからは昭と居る時が多かったし、その様子を見て私も軍に復帰したからな」

 

「兄ちゃんの腕を一回だけ見たことあるけど、あれが自分の為だって解ったらボクも涼風と同じように

なると思う。あんなの誰にも出来ないよ」

 

「兄さまは涼風ちゃんの父様だから出来た。それと、秋蘭様と春蘭様。そして華琳様の御心のため

忠義と愛情があの腕には詰まってるってことですね」

 

流琉達の言葉に秋蘭は少しだけ、寂しく微笑む

季衣が口にしたように、負い目のように考えさせたくなかったから昭は涼風に腕のことを教えようと

したくなかったんだと。だが涼風は其れを負い目ではなく、姉者のように誇りに思い

自分に対する深い愛情だと取ってくれたことが唯嬉しいとそう思うのだった

 

「でもあの兄さまが涼風ちゃんのお尻を叩いたなんて、本当に信じられません」

 

「フフッ、その話だが続きがあってな。尻を叩いた後、兵舎に戻って兵に自分の背を棒で思い切り

叩かせたらしい」

 

秋蘭の言葉に驚き、季衣と流琉は思わずその場で立ち止まってしまう

何故そんな事をと

 

「兵が理由もなく叩けないと言ったら昭は

 

【側に居らず子に寂しい思いをさせているというのに、一端の親の面をして子を叱る資格等俺には無いっ!】

 

と言って己の背を涼風を叩いた三倍、九十の棒打を受け仕事に戻ったらしい」

 

「そんな、兄さまは涼風ちゃんが寂しがっていると思っていたのですか?」

 

「ああ、私もたまに両親と道を歩く子をずっと見つめていた涼風を見たことがあった。昭は忙しい中でも

涼風をきちんと見ていたのだろうな」

 

男の行動に驚き、何か考えながら俯く季衣と流琉。きっと考えてしまっているのだろう

己が親になったとき、果たして男のような行動を取れるのか、子を導くほどのものを

己の背で語れるのだろうかと

 

秋蘭は二人を安心させるように軽く微笑み

 

「お前たちはまだまだこれからだ、その背で語れるような人物に今からなれば良い」

 

と伝え、二人の背をポンと軽く叩くと二人は「はい!」と元気よく答えるのだった

 

「あ、お店についたね。流琉その荷物ボクが持つよ」

 

「うん、それじゃ秋蘭様此処で。お話ありがとうございました」

 

「いや、また昭が愚行を犯したら報告してくれ」

 

頭を下げ目的の店に入る流琉と手を振る季衣に秋蘭は軽く手を振り、我が子が居る城壁の外

近くの森へと脚を伸ばす

 

あの時から涼風は変わった。他の子よりもずっと物事を良く考え、父の姿を、そして私の姿を

よく見るようになった。だからこそ私も子の前で、娘の前で情けない姿を晒すわけには行かぬのだ

子を守るために戦っているのは昭だけでは無いのだから

 

迫る決戦を前に、新たに自分の戦う理由を確認した秋蘭は、地を強く踏みしめ

確認作業を行うように歩く、この森には自分の戦う理由が居るのだから

 

茂みを抜ければ、少し開けた小川に出ると草むらで小さな寝息を立てる涼風と美羽の姿

 

 

「フフッ、可愛らしい寝顔をして」

 

しっかりと手を握って昼寝をする仲の良い姉妹の姿に、秋蘭は微笑み

涼風の頬を指先で撫でる

 

「風邪を引くぞ、二人とも」

 

「ん・・・ぅ・・・お母さん?」

 

「にゅ・・・む、む?」

 

ムクリと起き上がる涼風は涎を腕で拭こうとするが、秋蘭がその腕を止め取り出した小さい手ぬぐいで

口元を拭い、同じように起き上がりぼーっとする美羽の口元をぬぐっていた

 

「そろそろ帰るぞ、まだ時間ではないが早めに戻らねば」

 

「うん、あのね沢山採れたんだよ。お姉ちゃんが手伝ってくれたの」

 

「涼風が頑張ったからじゃ。さて、秋蘭の言うとおり早く戻らねばの」

 

そう言うと、草花の詰まった籠を抱き、秋蘭は美羽の持ってきた大きめの籠を背負う

涼風も美羽と同じように草花の詰まった籠を抱き、其れを心底嬉しそうに見つめ

三人は屋敷へと歩を進めた

 

 

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「隊長時間かかりすぎなの〜!」

 

「ホンマやで、沙和に言われるっちゅうんはよっぽどや」

 

「隊長は涼風ちゃんを想って時間がかかっていたんだ、そんなに攻めずとも・・・」

 

「いいんだ凪、確かに時間が掛かり過ぎたのは悪かった」

 

凪達は男の娘、涼風の誕生日の贈り物の為に朝から付き合わされていた

始めに行った服屋ではあーだ、こーだと沙和と服を取っ換え引っ換えして悩み

結局決められず、そのまま店を三十軒ほど周り、それでも決められず

 

凪の提案で小物はどうかと言う話になり、男は其れは良い案だとそこから同じように

沙和と凪、真桜を交え小物店を同じように三十軒ほど周り、ようやく男の納得がいく

鞄を手に入れた頃には日が落ち、娘の誕生会をやる時間になっていた

 

「だがお陰で良い物が手に入った。有難う皆」

 

「まぁ年に一回だけの事やし、しゃあない今度の昼飯で許してやろうやないか沙和」

 

「ええ〜、それなら新しく出来たお店のお菓子がいいの〜」

 

「何でも奢ってやる。涼風が喜ぶ顔が見れるなら何だって良いさ」

 

「すみません隊長」

 

謝る凪に男は良いんだと優しく頭を撫で、購入した鞄を大事そうに腕で抱える姿は

凪達の眼にねだった物を買ってもらった子供のように映って見えた

 

きっと子の喜ぶ姿を想像しているのだろう。男はいつもより顔を綻ばせ、笑顔で糸のように細い眼が

更に細くなってしまっていた

 

そのまま男の屋敷へと足を運び、部屋に入れば部屋は流琉の作ったであろう豪勢な料理が大きな卓の上に置かれ

部屋に居る統亞達がやったであろう様々な飾り付けや大きく誕生日おめでとうと描かれた

断幕が部屋には飾られ、風の持ってきた香を焚き、卓の真ん中、上座に涼風がちょこんと座り

其れを囲むように華佗と魏の将達がそこには勢揃いし、既に皆に祝いの言葉や贈り物をされていた

 

「やっと来たか、お前待ちだったのだぞ」

 

「すまない、華琳は?」

 

「華琳様は桂花と共に後から来る。贈り物は華佗と美羽以外は既に済ませた」

 

「春蘭は何を贈ってくれたんだ?」

 

男の問に、春蘭は軽く笑い部屋の中央に座った涼風に近づいて膝を曲げ、涼風に渡した小さい小刀を受け取る

 

「綺麗な装飾だな、握り手に色糸を綺麗に織り込んである」

 

「刀身も素晴らしいぞ。真桜が砂鉄の良いところだけを集めてくれた」

 

「しかしまだそう言うのは早いんじゃないか?」

 

「心配せんでええよ。刃はまだ着けとらんし、それで何か切ったりはできんから」

 

どうやらその小刀は春蘭と真桜かららしく、装飾は真桜が、刀身は春蘭が打ち込み作成したらしい

春蘭の話では男が前の誕生日に弓を作成し贈った事に対抗したようだった

 

「はっはっはっ!弓ときたら剣だろう。年を重ねた後もこれなら使い道が十分にある」

 

「なるほど考えたな。俺のもなかなか機能性があって良いものだぞ」

 

「ほう、ならば早く渡してやれ。涼風が待っているぞ」

 

春蘭に促され、皆に祝われるまま頬を染てもじもじとする我が子に歩み寄り

さっそく購入した贈り物を、凪達と選んだ長く使うことの出来る

鷹の模様の刺繍がされた大小の鞄がベルトに着いているウエストバッグを娘に渡そうとすると

男の前に美羽が立ち、涼風は椅子を降りてその隣に立つ

 

「父様、先ずは妾の贈り物が先じゃ」

 

「そうか、解った。涼風に何を贈ってくれるんだ?」

 

「うむ、それはこれじゃっ!」

 

袖から取り出したのは野草。それを男の前に差し出し、男は首を捻る。野草など何に使うのだろうか

美羽の事だからもしかしたらその野草から何か涼風にとって有益になる物を見付け出したのかも知れないと

手に持つ野草について問おうとした時、肝心の送られる相手

 

涼風が一人台所に行ってしまう。どうしたことかと男は涼風の後を追おうとするが、美羽に袖を掴まれ止められ

何か理由を知っているであろう、笑顔の美羽に膝を曲げ、再度問おうとした時

 

「はい、お父さん」

 

そう言って差し出されたのは先ほど美羽が持っていた野草を使ったスープ

涼風は台所に入り、母から手渡されたスープを取りに行っていたのだった

 

「涼風が妾にねだった贈り物は、父様の腕の傷を治す薬草じゃ!その?には蓬、何首烏、枸杞、縞綱麻

高麗人参等々が入っておる。今直ぐ調理出来ぬ物は妾が予め調理出来るようにしておいた物を使い

その他は涼風と先ほど採ってきたものじゃ。なにより一番に効き目があるであろう蜂蜜と花粉も入っておる」

 

「お姉ちゃんに聞いたんだけど、花粉って凄く体に良いんだって。涼風、手伝ってもらいながらだけど

始めて最後まで作ったんだよ・・・お父さん?」

 

急に黙りこみ、膝を地につき顔を伏せる男に涼風は持ってきた薬膳を卓に置き、男の顔を覗き込む

美羽も同じように覗き込むと急に二人は男に抱きしめられる

 

「馬鹿な子だ・・・自分の誕生日なのに、俺の腕を・・・」

 

男は目の前で娘が差し出す薬膳を見て膝まずき、その両腕で二人を抱きしめると眼からぼたぼたと

大量の涙を流し泣いていた。ただ、二人の娘の気持ちが、想いが嬉しくて顔を伏せて泣いていた

 

 

「お姉ちゃん有難う」

 

「うむ、父様。せっかく涼風が作ったのじゃ。体に良い鳥肉も入っておる、味も保証するぞ」

 

涼風と美羽は抱かれたままお互いの顔を見合わせ、良かったと笑顔になる

顔をぐしゃぐしゃにしたまま、再度涼風に差し出されるスープを受け取り、一口食べてはまた涙を流し

「美味い」と噛み締めるように漏らし、少しづつ味わいながら大切に口に運んでいた

 

「良かった。まだ沢山あるからいっぱい食べてね」

 

「ああ、ああ・・・」

 

差し出されたスープを食べきると、今度は華佗が男に歩み寄り腕を取ると親指で隣の部屋を指す

娘たち二人は華佗に何かを手渡すと、華佗は頷き男の手を引いて別室へと移動した

 

「華佗?」

 

「今度は俺から涼風への贈り物だ。俺に望んだ事は、採取してきた薬草を使った薬を作ること」

 

そう言うと、男を別室に迎え男の包帯を外し椅子に座らせ薬草をすり潰し、蜂蜜と混ぜたのだろう

塗り薬を小さな薬入れから手に取り、男の傷だらけの腕に丁寧に塗布していく

 

「最近美羽との交流で発見した蜂?(プロポリス)というのを混ぜてある。切傷には良く効くはずだ」

 

「・・・」

 

誰もいない部屋で華佗に塗られるまま、男は無言で華佗が塗ってくれる薬を見つめていた

華佗も特に何も言わず、男の腕の傷に丁寧に薬を摺り込んでいく

 

「華佗・・・華佗・・・俺は、俺は・・・」

 

「ああ」

 

男はついに耐え切れなくなったのか、体を曲げ声を漏らし先程よりもその頬に涙を流して泣いていた

華佗は何も言うこと無く、ただ軽く笑みを返し男の腕に丁寧に薬をまた手に取って、塗っていく

 

「俺も子を持ったならば、涼風のように育って欲しいと思う」

 

華佗の言葉に、男は華佗の手を握り締め声を上げ泣き出したいのを必死に抑えていた

「誰も居ない、嬉しいなら声を出して泣くくらい構わないだろう」と言う華佗に男は

首を振り、震えていた。客が居るのに泣き喚くことなど出来ないと

 

涼風と美羽は隣に移動した父の様子を見る為に戸の影から顔を覗かせれば、華佗がそれに気が付き

柔らかい顔で子供たちに頷いていた

 

「涼風の何かを父に返したいという望みはこれで叶ったかの?」

 

「うん、有難うお姉ちゃん」

 

戸の影で心から喜び、満面の笑顔を見せる妹に姉もまた自分も同じ気持であり

父に何かを返したいと言う気持ちを涼風の贈り物に乗せることが出来たと父のぐしゃぐしゃの顔を見て

妹と同じように喜んでいた

 

「面白い物が見れたわね、遅れてしまってごめんなさいね涼風」

 

急に声を掛けられ振り向けば、そこには桂花を引き連れた華琳が立っていた

桂花は男が華佗の手を握りしめ泣く姿が視界に入った瞬間背を向け

魏の将が集まる卓に下がっていった

 

「居らっしゃい、華琳様」

 

「悪趣味じゃな、父様の泣く姿を面白いとは」

 

「フフッ、ごめんなさい。最近見てなかったからね、喜びで泣く昭の姿を」

 

少し安堵の溜息と、喜びで泣く男の姿に何処か安心したような顔を見せる華琳

呉との交渉などで男の心が常に怒りや悲しみで埋め尽くされていたことを心配していた華琳にとって

今回の涼風達のしたことは安心を与えていた

 

「私にも贈り物をしてくれたような気持ちになれたわ。これでは用意した昭と同じ外套だけでは足りないわね」

 

そう言って涼風に渡すのは、父の外套と全く同じ作りの蒼い外套。

違う部分は背の龍が円を作り中央に刺繍された文字が【夏】と言う文字になっていることと

これから寒くなる季節を体調を崩さず乗り越えられるようにと強い牙門旗と同じ生地を使って

中には兎の皮を縫いつけ、とても暖かく肌触りの良いものになっているということだ

また、温かい気候になった時も着ることが出来るよう縫いつけた兎の皮は容易に

外せるように細かく作られていた

 

「わぁ、有難う華琳様」

 

「喜んでくれてなにより、もう一つは・・・そうね、秋蘭と昭、二人に休暇を与えることにするわ

何時も私に仕えてくれて、休みも少し前に一度あったきりですもの」

 

「ホントっ!?」

 

「ええ、一日くらいなら今の大勢に影響は無いわ。貴女から父と母を取り上げてしまっていることを許してね」

 

涼風は華琳に飛びつき、しっかりと抱きつくと「華琳様大好き」と言って輝く笑顔を

華琳に向け、華琳はまるで自分の娘を抱きしめるように優しく抱き返し、胸に埋める頭を

ゆっくりと撫でていた

 

 

「・・・おい、俺の娘に何手を出していやがる」

 

戸の外で涼風の声が聞こえた男はぐしゃぐしゃの顔を拭き、外に出てみれば自分の娘を抱きしめる華琳の姿

彼女のことを誰よりも知っている男は華琳の行動に対し、勘違いをしたのだろう

誕生日も迎えた、またひとつ大きくなった。自分の手元に置くのにもう少しだと

 

自然と男の手は腰に携える剣へ

 

誤解だと美羽は男を止めようとするが、華琳は男を煽るように涼風を強く抱きしめ口元を釣り上げ

攻撃的な笑を作り出す

 

「フフフフフフッ、また一つ華はその蕾を大きくしたわ。私の手元に来るのはもう眼と鼻の先」

 

「クックックッ、どうやら俺とお前の戦いは避けられんようだな」

 

その後、涼風の誕生会は華琳と男が武器を持ち、魏の将達は男と華琳を止めることに追われ

最後は秋蘭が台所から出て、ゆっくりと男の首を締め落とすと統亞達は歓声を上げ

地面にうつ伏せに倒れる男の背に華琳は座り、そこから酒宴になり夜遅くまで騒いでいた

 

 

-5ページ-

 

 

次の日、市の人々は道を歩く一組の仲の良い親子を振り返り、温かい視線を送っていた

三人を知る者は、皆この光景を心から喜び心の中で王に感謝をしていた

 

そんな視線を他所に父と母と手を繋ぎ、嬉しそうに笑う少女

 

 

「次はあっち!皆がね、最近来た大道芸の人達は凄いって言ってたんだよ!お母さんとお父さんと観たかったの」

 

「ああ、今日は何処でも涼風の好きな場所に行ってやる」

 

はしゃぐ娘に優しい笑顔を返す母の姿を見て、男も柔らかい笑顔に

そして思うのだった、この穏やかな日が永久に続けば良いと

 

 

 

 

-6ページ-

 

 

後書き

 

皆様100話のお祝いコメントありがとうございました

また、感謝編のコメント嬉しく思います

 

thule様>有難うございます><今後も頑張っていきます

 

Night様>何時もメール等で絡んでいただき、また色々な愚痴等に付き合っていただき

     本当に感謝しております。偽について、もう少し落ち着いたら返信させていただきます

     フェイにつきましては今後をご期待ください^^

 

ツミリ様>新婚時代の話、今回のような感じではなくまだ別で、少し進みましたら

     書かせていただこうと思います。その時はお楽しみください><

 

KU−様>何時もコメント有難うございます^^未来の話については、異聞録の最後に

    明らかになりますので、その時までお待ちください><一馬の結婚式も

    全てが終わってから、との事なのでその時に明かされます(^o^)

 

GLIDE 様>何時もコメント有難うございます^^新婚時代もそのうち書かせていただきます

      なるほど、呉と同盟が出来た場合ですか!一応頭にはあるので、また紅雪

      等で出すかも知れませんw

 

Ocean様>何時もコメント有難うございます^^貴方様のコメントには何時も元気を

     いただいております><曹騰爺さんのお話は何処かで出そうと思っておりますので

     ご期待ください!

 

弐異吐様>コメント有難うございます^^涼風の嫁に行く話なのですが、どうでしょう

     今回のSSで少し想像できましたでしょうかwあんな感じですwww

 

toki様>今回はtoki様の案を中心に、他の方の希望を少しずつ取り込んだ形に

     させていただきました。楽しんで頂けたでしょうか^^

 

HIMMEL様>幼年組の話、流琉と季衣を今回少し混ぜてみました^^そのうち月や美羽のように

      スポットを当て、番外編として書かせていただこうと思いますのでご期待ください!

      

hyde様>涼風を混ぜての昔話的な事を入れてみました^^華琳の父と母は異聞録では健在

     ですのでそのうちSSに昔話中心のものを書かせていただこうと思います

     その時は楽しんで行って下さい!

 

 

 

コメントやお祝いのお言葉、本当にありがとうございました。

最後にAC711様の描かれた、昔の昭の髪型Verを乗せて今回の感謝編の締めとさせていただきます

 

 

 

 

 

 

皆様本当にありがとうございました。これからも頑張りますのでよろしくお願いします^^

 

 

説明
感謝編書きあがりました

今回コメントを頂いた中で、誕生日とのことが
あったので其れを今回採用させて頂きました

また、涼風の結婚、幼年組の話等も少し混ぜてみました
どうぞ楽しんで行って下さい><

今回採用されなかった案については、今後話に
出てくるものが多かったので、今後にご期待ください^^

そして、またまたAC711様が絵を描いて下さりました
いやー特に言葉は要らないですね
見ていただければ解るかと、正直速攻で壁紙にしました
AC711様に対し、どれだけ感謝の言葉を並べても足りません
心より感謝いたしております。有難うございます

何時も読んでくださる皆様に心より感謝を

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コメント
柾棟さま 様コメント有難うございます^^そうですねぇ、もしセリフを着けるとしたらそんな感じでしょうか、あれほど股上の浅いスパッツを履いて自覚がないとはちょっとアレですが^^;(絶影)
O-kawa 様コメント有難うございます^^涼風を気に入っていただけてとても嬉しいです><今後も良い方向に育ってくれると私は信じております!!(絶影)
2ページ目のイラストを見てセリフを妄想してみました。  流琉「・・・兄さま!?(怒) わたしの格好のどこがハレンチなんですか!?(兄さま、あんな大声で言うなんてわたしハレンチじゃないもん!?)」  昭「どうもすみませんでした。(反省中)」  涼風「二人ともどうしたの〜?(よく解ってない)」(劉邦柾棟)
顔が笑っているのに涙が止まらん・・・! ええ娘さんや・・・。(O-kawa)
hyde 様ご指摘有難うございます^^どうやら更新ボタンを押したつもりが押しておらず、修正されていなかったようです。そのせいで他の方のご指摘も直っていなかったようで、ご報告感謝いたします><(絶影)
AC711 様コメント有難うございます^^何時も素晴らしすぎる絵を本当に有難うございます><相変わらずの親馬鹿っぷりを発揮しておりますwwあの叫びは正に魂の叫びw娘が結婚するときは本当に大変でしょうねww(絶影)
Night 様コメント有難うございます^^お体は回復致しましたでしょうか?心配です( ´Д`)そんな時にあれですが、本当にTINAMIのド畜生ですよー!1Pに絵を2枚だなんて、3P縛りがー!あーーー!!!(絶影)
だる 様コメント有難うございます^^仰るとおり、子供の成長は親の何よりの褒美です^^それを表現できて、感じて頂けたことに嬉しく思います><(絶影)
紫炎 様コメント有難うございます^^楽しんで頂けたようでとても嬉しいです^^今後もこんな話をたまに挟みますので楽しんでいってください><(絶影)
Ocean 様コメント有難うございます^^お体は大丈夫でしょうか、インフルエンザとはとても心配です><私のSSが体を回復させたときの楽しみとなっていれば嬉しいです。娘たちの話を楽しんで頂けたようでなによりです^^昼寝をして涎を垂らしているところは本当に可愛いですよね><(絶影)
hyde 様コメント有難うございます^^そうですよね、実際に親の背中を見せ育てる事は難しいです。其れを巧く実行させる事ができていれば今回のSSは成功かなと^^誤字の方修正いたしました><ご指摘有難うございます!!(絶影)
KU− 様コメント有難うございます^^楽しんで頂けたようでなによりです!!本来は何時ものとおり3Pで済ませるつもりだったんですが、何故か1Pに絵は2枚しか乗せられないとの罠、ド畜生!!!(絶影)
toki 様コメント有難うございます^^気に入って頂けたようでほっとしました><恐らく気がついていたのではないかと思います^^この異聞録では春蘭は少し違った風に書かせて頂いておりますので^^娘たちの行動にも感じ入ってくれたようで安心いたしました^^(絶影)
Zwei 様コメント有難うございます^^素晴らしく可愛いですよね!あの流琉!!土下座する昭の姿に笑っていただけてなによりww彼は情けない時はとことん情けないですからねぇwww(絶影)
GLIDE 様コメント有難うございます^^私も可愛いと始め見たときに思いましたよ!!肩震わせて怒って・・・AC711 様は相変わらず凄いと思いましたよ!流琉の新しい可愛さを見れましたので!(絶影)
ねこじゃらし様コメント有難うございます^^仰るとおり、半ケツ見えてますからねぇw私としては流琉は可愛くて仕方が無いんで全てOKなんですがwww(絶影)
FALANDIA 様コメント有難うございます^^ 仰るとおり、もう慣れたものですよw涼風が生まれてから三年以上は経過しておりますから、愚かな夫に対する対処も完璧ですww(絶影)
弐異吐 様コメンtの有難うございます^^気に入って頂けたようでなによりです^^たまにこんな話を入れていこうと思います^^今後も頑張りますので楽しんでいってください^^(絶影)
ロンロン 様コメント有難うございます^^可愛いですよね〜><さすがはAC711 様かと!誤字の方修正いたしました^^普段は・・・確かに普段はwですねwww(絶影)
thule 様コメント有難うございます^^そうですね、股上が浅すぎるので、親馬鹿な父が見たらこんな感じでしょうwww(絶影)
長文お疲れ様です。毎回私のイメージで適当に描いた絵を余すことなく話に取り入れて下さいましてありがとうございます。縄で縛られて転がされるシーンはニヤニヤもんですね。慧眼も愛娘の前では盲目とは、昭の親馬鹿っぷりには頭が下がりますw(AC711)
更新お疲れ様です。内容については皆様が書いていらっしゃるので別な視点から。NLの「ド畜生」の文字で大爆笑したのは私だけでしょうか?体調不良で呼吸が辛いのに・・・殺されるかと・w・;(Night)
涼風‥‥いい子に育ったねぇ(感涙)昭も涼風が幼い頃は苦悩が多かっただろうけど、娘の成長はそれに対するご褒美だと思えるよね(だる)
涙にむせました…………(号泣)うううううううううう。こういう話には弱いんだ……(紫炎)
ま、間に合った!! インフルに掛かったが更新日までに回復出来て本当に良かった!! 自分の誕生日にお父さんの腕の薬……涼風、なんて良い子!! こんな娘を持てて昭は羨ましいな〜w ほのぼの感動話で心も体もポッカポッカですw 最後に、昼寝してる美羽と涼風が最高に可愛い!!(Ocean)
ええ話や・・・。いつもの倍の6Pあってちょっと驚きましたw(KU−)
絶影さん、私の案を取り入れて頂き、誠にありがとうございます。春蘭は涼風ちゃんが屋敷に戻ってきていたことに気がついていたのでしょうか?娘ふたりの行動には私も、もらい泣きをしてしまいました。ほんとうに良いお話をありがとうございました。(tokitoki)
GLIDEさん同感ですww涼風も可愛いけど微妙にプルプルしてる流琉もgj!あと土下座?してる昭の背中がまたウケタ(Zwei)
怒ってる流琉が可愛いと思ったのは俺だけじゃないはずだw涼風を華琳の魔の手から守れるのは昭だけだ!がんばれ昭!!!(GLIDE)
いやいや誰が見たってあのスパッツは丈が合ってないでしょう!(ねこじゃらし)
昭ェ・・・。しかし、秋蘭の対応も手馴れたものですね。昭を絞め落とすことに毛ほども躊躇がありませんwww(FALANDIA)
絶影さん私の希望を反映してくださりありがとうございます。いや〜ほんと、ありそうな日常で楽しいお話でした。これからもがんばってください。(弐異吐)
3ページ「合える」ではなく「会える」です。 涼風可愛い!! 昭、普段は間違いなくいい父親なんだがな〜〜。(龍々)
更新お疲れ様です? そうか流琉の衣装ははたから見れば破廉恥だったのかw(thule)
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