虚々・恋姫無双 虚玖 |
ガタガタガタ
「………」
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【臨時保護者?】
――はい。多分、途中で会うだろうと思いますよ。
【多分って】
――僕も確かなことは言えません。ちょっと不思議な子なので……会ったらこの人だって分かるだろうと思います。この辺りでは見ないカッコですし
【……その人って「見える人」なの?】
――人間ですよ。僕とは違って
【…でも何十万もする軍勢と一緒に……それに華琳お姉ちゃんたちにはどう説明するの?】
――それは一刀ちゃんが心配しなくてもいいですよ。物事は成すべき方法へ進むのみですから
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ガタガタガタ
「………はぁ……」
トン
乗っていた馬車の床に頭を当てて、
何もしないままただ見えるのは草原だけというのは、
なんと、
【つまんなさすぎる】
いつもならさっちゃんとか、それじゃなかったら凪お姉ちゃんたちが居たのに、今回は誰も居ない。他の人たちは皆忙しそうだから話かけられないし……
ボクも残った方がよかったのかなぁ
「……はぁ……」
ガタガタガタ
暇だなぁ。
「一刀ちゃん、大丈夫?」
「……」【流琉お姉ちゃんだ】
「一刀ちゃん、これ飲んで」
流琉お姉ちゃんが水が入った竹で作られた瓶をくれた。
ごくっ、ごくっ
「熱いよねー。日射病になるのも無理はないよ」
「……」
何か話したくても竹簡に何か書く気にならなかった。
何でボクはちゃんと口がついてあるのに話ができないのだろう。
「もう少ししたら休むだろうと思うから、その時まで我慢してて」
「………<<ごくっ>>」
そして、流琉お姉ちゃんは自分の位置に戻るために馬車から出ていきました。
「………ふぅ」
あぁ、暇だ。
流琉「秋蘭さま」
秋蘭「あ、流琉、北郷の様子はどうだ?」
流琉「……あまり良いとは言えません。何せこんなに暑いんですから」
秋蘭「……確かにこれほどの暑さだとどうにもならないな。もう直ぐ休憩に入るだろうけど………それにしても進軍を始めてから、北郷の様子は少しおかしい」
流琉「そうですね。何か、心ここにあらずって感じで…普段なら凪さんたちと一緒に騒いでるはずなのに、今回は皆さん残ってしまいましたしね」
秋蘭「…これは少し問題だな」
流琉「どうしましょう。私と季衣で行って何とかしましょうか」
秋蘭「取り敢えずは休憩の時まで待とう。それから……」
タタタタッ
「夏侯淵将軍、前衛から伝令です!」
秋蘭「何事だ」
「前衛で怪しい女が軍の行軍を妨害してます」
秋蘭「怪しい女?」
「はっ、肌が全体的に黒くて、見ない服装をしているところ、五胡や蛮族の者だと思いますが………」
秋蘭「…言ってみろ」
「かの者が、御使い様と知り合いと言って、見せてくれないと妖術で我々の往く道を乱すと脅迫しまして……」
「「……」」
・・・
・・
・
華琳「一刀を?」
秋蘭「はい」
桂花「駄目に決まっています!そんな何者かも知れない者に一刀を見せるわけにはいきません!」
稟「桂花の言う通りです。大体、何故我ら曹魏の大軍がそんなどこの馬の骨かも知れないヤツのせいで進軍を止めなければならないのです」
華琳「………」
タタタタッ
「大変です!」
秋蘭「また何事だ!」
「例の女に何人かの兵が取り掛かったのですが……全員その場で気を失って倒れて身体を痙攣しながら死にかけています」
華琳「……」
秋蘭「…華琳さま」
華琳「一刀は今どうしてるの?」
桂花「華琳さま!」
秋蘭「日射病で後ろで休んでいます」
華琳「……彼を行かせなさい。秋蘭と流琉は一刀の護衛を任せるわ」
桂花「駄目です、華琳さま、危険です!」
華琳「……危険なのは十分分かっているわ。けれど、本当に相手が望むのが一刀ならば、これはそれほど危険な話でもないはずよ」
稟「どういうことですか?」
華琳「…見ればわかるでしょう。私の考えが正しければ、彼は多分紗江の差し入れでしょうから」
・・・
・・
・
………暑い…死ぬ…
「一刀ちゃん、大丈夫?」
「……」
流琉お姉ちゃんがまた来た。その側に秋蘭お姉ちゃんも居る。
「北郷、悪いが、少し来てもらえるか?お前を会いたいというヤツがいてな」
「……?」
いきなりボクに会いたいって……
ハッ!
「危険かも知れないから私たちも付いて行くが……」
ボクの筆どこ?
「一刀君?」
『その人ってどこに居るの?』
「軍の前衛に…」
スッ
「あ!一刀ちゃん!」
「っ、流琉、早く行くぞ!」
「は、はいっ!」
「………」
ここだと思うけど……
「み、御使いさまが…!」
「何、北郷だと!?」
あ、春蘭お姉ちゃんだ。
「どうしてここに来たのだ」
「……?」『いや、誰かボクに会いたいって言うから…』
「秋蘭はどうしたのだ」
『あっちに置いてきた』
「貴様……」
「一刀様がそこに来ていらっしゃいますか?」
「?」
とても清い声がして振り向けば、そこには……
「一刀様……でございますか?」
「………」
そこに居るのは変わった姿の人だった
肌はホットチョコみたいな肌色をした人だった。背はちょうどボクぐらい。
身体にはこんな暑い陽の下なのに厚いマントで全身を隠していた。
でも、そういうのよりも第一目に入ったのが、
「……」【何か頭の上で動いてる?】
ビクッビクッ
そして、その人が頭にかぶっていたのを外したら、
ビクッ、ビクッ
頭にネコミミがある!?
え?あれ、本物?
「……<<そ〜っと>>」
「ひゃうっ!」
「こら、むやみに触るな、危険だ!」
「ひゃうん……や、やめてください。そこは……ああ、弱いんです…」
「貴様も変な喘ぎ声を出すな!」
「だって……」
はっ!
「……」『ごめん、つい夢中に触っちゃった』
なんとも言えない感触につい夢中になってた。
最近あまり面白いことなかったから……
「………」
「………?」『あ、あの…』
「あの、一刀様、ですか?」
「<<コクッ>>」
「………」
「………?」
「あ、あの」
おかしい、何故か話が進まない。
「少し、失礼致します」
女の人はボクに向かって両手を差し出した。
「貴様!北郷に何かするとただでは……」
『ちょっと待ってて、春蘭お姉ちゃん』
そう書いといてボクはこの人がするまま放っておいた。
そしたら、その人は両手でボクの顔を触った。
まるでボクの顔をその手のひらに覚えさせるように、額から目、頬、鼻、口にどんどん下がっていった。
「…一刀様…確かに覚えました」
「………」
もしかして、
今度はボクがこの人の顔を見る番だった。
ボクはちゃんとその人の顔を見た。
ふとその人が目をずっと閉じているということに気づいた。
その目を触ってみた。
「………ぇ」
指が……そのまま入る。
「い、痛いです」
「!」
ボクは慌てて手を放した。
「どうした、北郷。大丈夫か!」
春蘭さんがまだボクが大丈夫なのか心配なみたいだ。
ボクなんてどうでも良いのに。
このお姉ちゃんは目がない。
華琳さまに紹介したら、何と華琳お姉ちゃんはあっさりとこのお姉ちゃんがボクと一緒にいるのを許可してくれたよ。
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「孟節と言います。一刀様を守ることをお願いされて、南蛮からここまで参りました」
「華琳さま、本当にこのような者を信用するのですか?」
「秋蘭は信じないの?」
「…正直信じようとしても信じようがありません」
「信じなさい、これは命令よ」
「!」
「紗江は相当私のことが信用できなかったようよ。いいでしょう。あの子の好きにさせてあげるわ。どうなるか見てみることにしましょう」
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それで、今ボクと孟節お姉ちゃんと一緒に居るのだけど…
『どうして、季衣お姉ちゃんと流琉お姉ちゃんもここに居るの?』
「まだ信用できないから春蘭さまが監視しろって」
「私も秋蘭さまに……ごめん、一刀君」
「…<<ふるふる>>」『ありがとう一緒にいてくれて。正直最近ずっと一人で寂しかったから』
「ごめんね、一刀君」
『別に流琉お姉ちゃんたちが謝ることじゃないよ。忙しいのが普通で、ボクが何もしないで暇しているのがいけないのだから』
「………」
ちょっと笑えちゃうよね、こういうのって……
「あの…一刀様、宜しいでしょうか」
あ、そうだった。
でも……
「あの、孟節さん…でしたよね」
「…一刀様?」
「いいえ、私は典韋って言います。こっちは許緒って言います」
「…そうですね。わたくしのような妖しき者を、天の御使い様とお二人に出来るわけがないですものね」
「すみません」
「いいえ、こちらこそ…あ、倒れた兵士たちのことは心配なく。もう直ぐなんともないように起きてくると思いますから」
「やっぱり、孟節さんは妖術使いなの?」
「そちらの方が許緒さんですか?いいえ、わたくしはただの……」
何か、ボクからどんどん離れているのだけど…
「あ、ごめんね、一刀ちゃん。勝手に話切っちゃって」
「ところで、先からどうして一刀様は一言も仰らないのですか?」
「それでですが、あの、一刀ちゃんは喋れないのですよ」
「え?」
孟節お姉ちゃんは驚いたような顔をした。
あれ、おかしいな。
さっちゃんがそんな話はしていなかったのかな。
「そんな……うぅむ、それでは困ってしまいましたね」
本当にね。
ボクが誰かに話す方法なんて書いて見せることしかできないのに、見えない人相手だと一体どうすればいいんだろう。
「あの…それじゃ……」
コソコソ
と、孟節お姉ちゃんは突然着ていたマントの中を探り始めました。
そしてふと、
「あの、喋れなくなった原因で何かお尋ねできるでしょうか」
そんなことを聞いてきたよ
えっと……
『小さい頃事故に会って車にぶつかって頭がおかしくなったみたい』
「小さい頃車にぶつかったそうです」
流琉お姉ちゃんが代わりに言ってあげたけど、多分流琉お姉ちゃんが思っている「車」はボクはぶつかったのとは絶対違う。
「それだときっと脳の問題ですから……えっと……」
そしたらまたカサコソ…
「あの、何をしてるのですか?」
「これと……」
孟節お姉ちゃんは結局マントの中から小さな器と親指二つ合わせたぐらいの太さの棒、そして草の葉いくつかと何か干した薬草っぽいのちょっとを出した。
草を器の中に入れて、それをまた棒で砕くようにぐるぐるとしたりコンコンとしたりする。
「ごめんなさいけど、どこかで湯をもらえないでしょうか」
「あ、はい、直ぐ持ってきます」
流琉お姉ちゃんが外に出て、孟節お姉ちゃんは何もしないまま待っている。
それが何か聞きたいけど、相手と話ができないからどうしようもないね。
「あの、それって何なんですか?」
季衣お姉ちゃんが代わりに聞いてくれた。
「薬…といったらいいでしょうか。わたくしは薬師なんです」
「薬師?」
「はい、南蛮には…他のところではない植物や薬に使える動物や虫が多くあります。そういうものを使うと、もっと多くの病に対応することが出来ます」
「へー、すごいね」
薬だけで……って、今この状況でどうして薬なんかを……
「もってきました」
少ししていたら流琉お姉ちゃんがお湯を持ってきた。
「ありがとうございます」
孟節お姉ちゃんはその急須をもらって、砕いた薬草をその急須の水に入れてしばらく待ってから、水を湯飲みに注いだ。
「はい、出来ました。どうぞ」
そしてお姉ちゃんはその湯飲みを……え、ボク?
「あの、それって何の薬なのですか?」
「あ、別に毒とかではありません。固くなった声帯を柔らかくする、といいますか…とにかく、これを呑むと、話が出来るようになります」
「「「!!!」」」
…え?話が、出来るようになるって。
「あの…本当に‥」
「本当にそんなことが出来るの!?」
「はい、…しかし、永久的なものではなく、一日ぐらいしか効果がありませんけれど…けどずっと飲み続けると効果は継続します」
「じゃ、じゃあ、それをずっと飲んだら一刀君は話せるようになるんですか?」
「はい」
話している孟節お姉ちゃんの話があまりにもあっさり過ぎてボクは面食らった顔で口をポカーンと開いたまま薬で淹れた湯が入った湯飲みを見つめていた。
話せるようになる…って?
今まで話できなかったこと。
言葉で伝えたかったこと、全部伝えるようになる。
文字では伝えられなかった感情や、ボクの気持ちまで……
ここにもし桂花お姉ちゃんや秋蘭お姉ちゃんがいたら、誰かがボクがそれを飲むことを辞めさせようとしたかも知れない。
だって胡散臭すぎる。
そんなに軽い気分でこれを治す方法があるはずがない。
もしかしたら毒かも知れない。
だけど、ボクはそんなことは考えていられなかった。
「!」
「あ!」
「一刀ちゃん!」
ゴクッ
コクッ
っ!!
「にがーーい!!!なにこれ!すごく苦い!」
「「!!」」
「……へ?」
「…ほらね?如何ですか?」
あまりにもあっさり過ぎて、ボクも季衣お姉ちゃんも流琉お姉ちゃんも、暫く何も言えなかった。
ボクの場合、せっかく話せるチャンスが来たのにも関わらず、何をすればいいかまったく分からないまま、暫くただ面食らっていた。
……
あの、えっと…これって
「夢じゃ…ない、よね」
説明 | ||
あっさりすぎて何も言えない…… 旧元旦、田舎に行ってきます |
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まぁ、竜が住んでる様な土地だし、多少不思議な薬草くらいならあるかも・・・?(FALANDIA) あとで何か起きそうで怖いですね。(山県阿波守景勝) うぇ!?・・・・南蛮すご (運営の犬) おお〜喋れるようになった。これはもう最凶(?)状態だな(VVV計画の被験者) 話せちゃった。ってことは今はワープも話もできる最強(?)状態か(きの) |
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