前振り
[全1ページ]

 吉井くんの好みって何なのかしら?

 彼の好みを知りたいけど、残念ながら吉井くんとはあまり接点が無い。

 前回、料理を作ってもらったけど、それだけの関係。

 また彼の家に行く事なんてそうそう出来ない。

 でも、どうしても吉井くんとの接点が欲しい。

 アタシだけの、アタシしかない吉井くんとの接点を。

 

「そういうわけだから秀吉。アタシのために吉井くんとの接点を作ってよ」

「どういうわけか分からないのじゃが」

「ねぇ秀吉。アタシのお願い聞いてくれるわよね? あんたはお姉ちゃんのお願いを無視す

るなんて出来ないわよね?」

「そ、そうじゃな。だが姉上……どうしてお願い事をしている姉上がワシの関節を曲げて――」

「何を言ってるのか分からないわ。アタシはただ普通にお願い事をしてるんだけど」

 秀吉用のちゃんとしたお願いの仕方なんだけどな。

「あっ、姉上――っ! わ、ワシが間違っておったのじゃ。喜んで姉上のお願いを聞くから

これ以上は止め――」

「そう。ありがと。期待しないで待っていてあげるわ」

 期待しないけど、残念な働きをした時は分かってるわよね?

 あんたの関節、全部折るからね。

「何やっら、凄く嫌な予感がするのじゃ」

「気のせいよ」

 今のところは気のせいよ。ただし……失敗した時は気のせいじゃ済まさないわよ。

「はぁ……頑張ってみるかの」

 妙に暗い顔をしながら秀吉が出て行く。

 おかしいわね。何でそんな顔をしてるのかしら?

 ここは喜んで出て行くところのはずなのに。

「変な秀吉」

 

 ――秀吉にお願いをして数日。

「姉上。姉上のお願いの通り、なんとか明久との接点を作ってきたぞ」

「よくやったわ秀吉。それで、どんな接点なの?」

「それはじゃな――」

 したり顔で秀吉が胸を張る。

 こういう時、秀吉が持ってくる話はよくない事が多い。

 さて、今回はどうかしらね。

「それでじゃな。姉上には病人になってもらうのじゃ」

「は? 病人ってどういう意味よ?」

「明久には姉上が風邪を引いて寝込んでいるから、お見舞いに来て欲しいと言っておいたのじゃ」

「お、お見舞い!?」

 てか、アタシが風邪を引いて寝込んでいるって……

「明久がお見舞いにきたら、姉上と二人っきりになることも出来るじゃろ」

「そ、そうね……」

 でもでも、いきなり吉井くんと二人っきりになるのは。

「ちょっと恥ずかしいわね……」

「ははっ、姉上が乙女らしい事を言うとは――あっ、ごめんなさい! ワシの関節はそっちにはぁぁぁあぁっ!」

「ふん!」

 秀吉がふざけた事を言うのが悪いんでしょ。

 アタシは立派な乙女よ!

 

 はぁ。それにしても風邪の演技かぁ。

 まぁ、アタシならちゃんと出来るわよね。

 うん。吉井くんと二人っきりになれるのよね。

 頑張れアタシ!

 

説明
原作9巻、買ったお♪
そんなわけで優子さんシリーズの続きです(関係ないけど)
総閲覧数 閲覧ユーザー 支援
2889 2741 10
コメント
気のせいか寝込むのは関節を折られた秀吉の方な気がします……(枡久野恭(ますくのきょー))
優子の演技、不安要素しか見つからないのは僕だけでしょうか……(nao)
僕も買ったお♪(無双)
なんか優子がかわいいんですがところどころ怖いんですけど(VVV計画の被験者)
タグ
バカとテストと召喚獣 二次創作 吉井明久 木下優子 木下秀吉 

tanakaさんの作品一覧

PC版
MY メニュー
ログイン
ログインするとコレクションと支援ができます。

<<戻る
携帯アクセス解析
(c)2018 - tinamini.com