君の名を呼ぶ 1章 修正版 |
「さ、こいつら連行して酒宴や、酒宴!」
今回の騒ぎの黒幕であろう袁術、張勲、華雄を縄で縛って姐さんが馬で先行する
まぁ姐さんが早よ戻りたがるも分からんくもない
今日は三国が集まって行われる立食ぱぁてぃの日
各地から色んな酒が集められ、酒飲みも仰山来るって話しや
姐さん程ではないにしろ、ウチも楽しみにしてる
今日は大陸が平定されて一年ぐらい
そして……
隊長が何にも言わんと姿を消して一年が経とうとしていた
真・恋姫無双 魏伝 〜君の名を呼ぶ〜
『飲み直すのはいいんだけど…
あそこでって言うなら勘弁してくれ…』
そう言うて賑わい冷めぬ方向を指す一刀
そこでは悪酔いした桃香に後ろから抱きつかれ胸を揉まれてたり
惇ちゃんが大声で叫びながら何かを探してるのが見えた
ありゃあそこに行ったら一刀に飛び火するな…
『そやなぁ…
ウチも誰にも邪魔されたないし…』
せっかく一刀とふ、二人きりなんやし…
思って直ぐにウチは一刀から顔を逸らした
多分ウチの顔は真っ赤になってることやと思う
こんなんはウチらしくない
それはウチが一番わかっとる
けど一刀を意識するようになってウチがウチらしくなくなっていった
一刀を想うだけで顔が熱くなって、胸のドキドキが大きくなっていく
そうなると嫌でも認識してしまう
ウチにはもう一刀しか居らへんねと…
『ほら、そろそろ行くぞ
誰かに見つかっちまう前に、な?』
そう言ってウチの手を掴んで笑いかけてくれる
その笑顔を見た瞬間、ウチのドキドキが一層早くなったんが分かる
ウチは一刀が大好き
この気持ちに偽りは無い
『へぇ…、こないなえぇ場所よう知ってたなぁ』
霞を連れてやってきたのは城の近くにあった小川
『偶然見つけただけだよ
ほら、飲み直すんだろ?』
『此処やったら誰に邪魔されへんな…
飲も飲もう〜!!』
楽しそうに言いながら霞は俺に杯を渡してくれた
…はて、杯が一個しかない気がするのだが…
『ほら一刀、早よ飲んで!!』
霞に急かされて杯に並々と注がれた酒を飲み干す
あぁ、一気飲みなんてするもんじゃ無いな…
『えぇ飲みっぷりやなぁ、一刀
流石ウチが見込んだ男!!』
…それは言いすぎじゃないでしょうか、霞さん…
なんて思ってたら霞が俺の手から杯を奪い取った
キラキラと輝いて見える両目が俺を見つめていた
…あぁ、そう言うことね…
『…はい、ご返杯…』
いつかの約束を思い出す
あの時みたいに肴となる料理は無いし、雰囲気もないけれど
前回よりも酒が美味く感じた
…なんて呑気に考えてた俺が馬鹿でした…
『な…!?し、霞?』
『ッん…、どないしたん一刀…?』
『どうしたって、今…』
俺が口付けた所から飲まなかったか…?
霞の顔だって少し朱に染まってるし、気付かず飲んだって事はないだろう
『一刀〜?ウチちょっと飲みすぎたかも〜』
『へ…?お、おい霞!?』
けれど霞は俺に考えさせてくれる時間をくれないようだ
俺のほうに身を寄せ、俺たちの距離は無いに等しい
『何や一刀も顔真っ赤やな〜
一刀も飲みすぎたんか〜?』
わかってるくせにわざとらしく聞いてくる霞
あぁ、可愛いなちくしょう…
だから仕返しの意味も込めてその体を抱きしめた
『ひゃ…!?か、かか、一刀///!?』
せっかく一刀と二人きりになったんやからウチなりに雰囲気を作ってみた
…そりゃ、ちょっとは恥ずかしかったけど…
けどそのお陰か一刀の顔は真っ赤になってた
ココまではウチの計算通り… やったんやけど…
『あ〜、霞が悪い
自業自得だ…///』
気付いたら一刀に、一刀の腕に抱き締められてた
今ウチの頭は一刀の胸辺りにあるから顔は見られへん
…けどウチには分かる
ウチには伝わってくる
一刀もウチと同じで顔が真っ赤ってことが
抱き締めてる体からドクン、ドクン、って音を立てて鼓動が教えてくれるから
『なぁ一刀
ウチ今ホンマに幸せや思うねん///』
『そっかぁ…
俺も今そう思ってた///』
ウチを抱き締める力が強くなるのを感じながら思う
好きな酒と大好きな男とずっと居られる
平和になった今、この幸せがずっと続いていく
けどウチはこの幸せが既に崩壊しているのに気付いてなかった
『あ、れ…?ウチホンマに飲みすぎたかな…
一刀が透けて…見える…?』
調子乗って飲みすぎたか、と思いながら目を擦ってみる
…けど一刀の体は変わらず徐々に透けだしていた
『まいったな…
タイミング悪すぎだろ…』
体を離し、俯いた一刀になんて声をかけたらいいかわからへん
『な、なぁ…一刀…?』
けど聞かへん事には何も始まらへんから声をかけたら
『なぁ霞、聞いて欲しい事があるんだ…』
何かを、そう、覚悟を決めたような顔つきになった顔が上がったきた
女の勘って言うんかはわからへん
けれどウチはその話を聞きたいとは思わんかった
聞いたらきっと後悔してしまう気がしたから…
『嫌や…聞かへん…』
『霞…お願いだから…』
『聞きたない言うてるやろ…
しつこい男は…』
『霞ッ…!!お願いだから…』
嫌われる、って続けようとしたけど無理やった
滅多に声を荒げることの無い一刀がだした大声
気付いたらウチは何も言えんようになってた
『…結論だけを言うと俺は消えるんだ
どうしてそうなったのかは、まぁ聞かないで欲しい、かな?
それに消えるって言っても天の…元いた国に帰るのかまた違う場所に飛ばされるのか…
分からないことばっかりなんだけどな?』
一刀が言うた’消える’という言葉が何回も頭で繰り返される
それ以外はもう何も聞こえへんかった
これが夢であって欲しいなんて思たんは初めてかもしれん
混乱が多分顔に出てたんか、一刀はまたウチの体を優しく抱き締めてくれた
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
『俺はさ、消えることに後悔は無いんだ
未練は…まぁありまくりだけど…』
段々と薄くなっている手で霞の頭を撫でてやる
落ち着ける様に、不安を少しでも軽くしてやれる様に…
『それに、さ
元の世界に戻ったとしても違う世界に飛ばされたとしても
必ず…皆の前に、曹魏の旗の下に、霞の前に戻ってくるから』
『……ん、……ない…。』
霞の声が震えているのがわかった…
くそ、分かっていたことだろう…?
『そんなん、信じられるわけないやろ!!』
霞の目には涙が浮かんでいて、怒っているのが一目でわかる
『そんな確証無い事、…信じられる筈ないやろ!!
それに約束、破るつもりかい!
それともあれか、あれはウチを慰めるその場しのぎだったんかい!!』
『…ッ、そんな訳ないだろ!!』
つい、カッとなってしまった
あぁ、頼むからそんな顔しないでくれ…
『…ごめん、でもあの約束はそんなつもりでしたんじゃ無い
本当に、霞と旅に行けると思ってたんだ…』
どれだけ言い繕っても言い訳にしかならない
『俺は…約束を破るつもりは無い
絶対に守るって』
『…どうやって守るつもりや…
今から消えるって言うてんのに…』
『だぁ〜からぁ〜、帰ってくるて言ってるだろ?
旅はそれからでも行けるだろ?』
『…どんだけかかるか分かれへんのにか…?』
『…ッ!?それ言われるとなぁ〜…
けれど約束は守る 俺が霞との約束破った事は?』
『…今破ろうとしてるやんけ…』
『…それは言わないお約束だ…』
ウチを抱き締めてる一刀の姿が段々と水面に映らんくなっていく
けれどウチをずっと抱き締めてくれてる
この温もりが消えるやなんて嘘みたいやのに、嘘やない
一刀が消えるなんて話、信じたくないのに一刀は消えかかってる
『なぁ、一刀?
ホンマに帰ってこれるんか?』
一刀が帰って来るなんて保障もなければ確証もない
最悪、二度と会う事は無いかもしれん
けれど
『帰って来るって言ってるだろ?
いい加減信じてくれてもいいんじゃないか?』
一刀の顔見てたら大丈夫って、そう思えてきて…
『…はぁ、分かった
信じるわ、……けど…』
ウチは目を瞑って唇を前に出す
『約束、絶対に…』
言い終える前にウチの唇に一刀のそれが重なって…
…消えた…
そして…ウチは’二人’から’一人に’なった
これが一刀が消えた一年前の話
〜あとがき〜
正直霞姐さんのキャラが崩壊してるんじゃないかと思ってる作者です
こうして書き直したり加筆したりしてると本当に自分には文才が無いんだと思います
さて一度書いている文章ですから読んでいただいてる皆様には感謝してもしきれないです
早く第五章書けるように頑張ります
さて別件ですがいつもコメントくださる皆様
いつもありがとうございます!!
お陰で作者は支えられています
この場を借りてお礼を述べさせていただきます
ありがとうございました!!
説明 | ||
とりあえず今日は3章までかけたらいいなぁ | ||
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コメント | ||
修正前と見比べて見ますと、結構変わってますね。案外似たような事が起きた別の外史として読むのも面白いかもしれません。また、次回の話をお願いします(名無し) 酔って甘える霞姐さん・・・いいですねぇ、かわいいです。 でもやっぱりこうなるのは悲しいですよね・・・ 別に崩壊してませんよ?かわいいです!(よーぜふ) |
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