君の名を呼ぶ 2章 修正版
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「あれから一年か… 

 待たせすぎなんとちゃう?」

 

 

ウチは小川近くの木へと腰を降ろし、杯に酒を注いだ

 

用意した杯は二つ、ウチが持つ杯と誰も居らん隣に置かれた杯

 

 

 

此処はウチの一番大切な場所

大切な思い出が詰まったかけがえの無い場所ってやつや

 

 

 

…今日は大陸の平和が始まった日で

ウチらが大切なモノを失った日…

 

 

今日行われる立食ぱぁてぃには三国の将が集まる

えぇ酒は振舞われるやろし、各国の酒飲みと飲み比べするんも悪くない

 

 

けど…

 

「どうしてもその前に飲んどきたかったんや…」

 

ウチ以外は誰も居らんから呟いた‘乾杯’は直ぐに虚空へ溶けていく

 

「ウチな、話したいことがあんねん

 まぁちょっと長なるけど耳かっぽじってよぉ聞きや?」

 

そしてウチは一人語りだす

……一刀が消えた後のウチらの事を…

 

 

真・恋姫無双 魏伝 〜君の名を呼ぶ〜

 

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一刀が消えた後、一人泣き終えたウチは城に戻ってきた

 

一人城に戻ったとき酒宴はまだ続いていて笑顔が絶える事無く浮かんでた

勿論、魏の皆の顔にも…や

 

今からその笑顔を奪うとなると、何ともやりきれん気持ちになる

 

…恨むで、一刀?

アンタを慕ってくれる奴の笑顔まで奪うんやからな…

 

先ずは華琳に言うべきやと思い、探してたら

 

『霞ぁぁぁあ、かじゅととりょこへいってたのらぁぁ!!』

 

…とまぁ飲みすぎた結果、猫になった惇ちゃんがウチに引っ付いてきた

どうやらウチと一刀が一緒に抜け出したんはバレてたらしい

 

『そら秘密に決まっとるやろ

 いくら惇ちゃんでも教えたらへん』

 

…一刀の名前が出た瞬間、胸が痛んだ

一刀やったら笑って誤魔化すやろか、なんて思ってウチも笑ってみた

正直笑えてる自身なんて無いし、一刀の事となると聡い奴らも居るからいつまでも誤魔化せれへんやろな…

 

『うぅぅ〜〜、にゃら私もかじゅととどっか行くのら!!

 かじゅとはどこにゃのら〜〜!!』

 

そう言うて惇ちゃんが周りを見渡し始めた

…その探し人が見つからんと知らへんから…

 

『惇ちゃん、一刀はな…?』

 

ウチがそう言うた瞬間、凄い勢いで惇ちゃんが寄って来た

普段からこんだけ素直やったら一刀も苦労せえへんかったやろうに…

 

そしてウチは探しモノの場所を口にする

 

 

 

『一刀はな…、消えてしもたんや…

 もうこの大陸の何処を探しても見つからへん…』

 

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酒宴の賑やかさが耳に届いてる

けどウチと惇ちゃんの間を支配してたんは沈黙やった

 

そしてその沈黙を破ったんは惇ちゃんやった

 

『にゃ、にゃにを言ってるのら、霞?

 かじゅとが消える訳にゃいのら!!』

 

『ウチかてコレが夢やったら嬉しいんやけどな…

 夢でも冗談でも無い、現実なんや…』

 

また沈黙が流れる

そらこんな突拍子な話、信じられる訳ないわ

 

『そ、そんな訳ないだろう…?

 だって、や、約束したのだぞ… 

 私と秋蘭とアイツで、三人でいつまでも華琳様を支えると…』

 

気付いたら惇ちゃんの話し方に戻ってるし、体が少し震えてる

 

けど…

 

『惇ちゃん…

 一刀は消えたんや

 ウチの目の前で、ウチらの前から…』

 

この大陸から…、と続けるつもりやったけど無理やった

 

そして気付いたらウチは押し倒されとった

 

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「あん時はビビったわぁ〜、気付いたら空眺めてるんやから」

 

一旦話を区切り、ウチは酒を飲む

今はこうして笑い話に出来るけどあの時は焦りもした

 

なんせ魏の大剣、夏候惇に思いっきり押し倒されとったんやから焦りもする

 

一回勝ったことはあるけどあんなんたまたまに過ぎん

 

 

それにあん時は一刀が居ったっていうんもあるし…

 

 

ウチは酒を注ぎ直し、また語り始めた…

 

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『…ふざけるのも、いい加減にしろ霞ぁぁ!!』

 

ウチに馬乗りになった状態の惇ちゃんが声を荒げた

そら信じたないわな…、ウチかてまだ信じたくないわ

 

『ウチはふざけてるつもりは無い

 …ホンマに一刀は消えたんや』

 

けど実際一刀は消えた

信じたくなくても現実から目をそむける訳にはいかへん

 

『…ならお前は黙って見ていたのか!!

 アイツが、…一刀が消えるのを…

 お前にとって一刀はその程度だったのか!?』

 

『そんな訳あるかい!!

 …けどウチにどないせぇっちゅうねん

 一刀は消える事を覚悟しとったし、ウチは消えるんを止める術なんか知らへん

 ウチに何が出来たって言うねん…!』

 

気付いたらウチも声を荒げてた

そのせいか周りの将の注目を集めてる気がしたけど

…けど、今はどうでもいい

 

『惇ちゃんやったらできたんかい!?

 消えてく一刀に‘行くな、消えるな’って言うて止めれたんかい!!』

 

『…ッ!?

 それ以上言うなぁぁ!!』

 

拳を握った腕が振りあがったんが見えた時、反射的にウチは目を瞑った

 

『止めなさい、貴女達!!』

 

けれど衝撃がくることは無く、代わりにある声が届いた

 

『貴女達は一体何をしているのかしら?』

 

華琳の声が聞こえて惇ちゃんがウチの上から直ぐに退き、華琳に向き直る

ウチも立ち上がり、袴を軽くはたいてから向き直る

 

『もう一度聞くわ…

 このめでたき日に貴女達は何をしていたの?』

 

華琳に問われてもウチも惇ちゃんも俯くしか出来んかった

そしてまた沈黙が流れる

 

『あ、あの…』

 

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以外にも沈黙を破ったんは凪やった

けれど何かを祈るように腕を前で組んでる様子見てウチは悟った

 

そっか…、ウチと惇ちゃんの話し聞いてたんか…

 

『あ、あの…

 華琳様…、霞様に聞きたい事があるのですが…』

 

『…構わないわ

 聞きなさい』

 

だってそうやないとあんな顔せえへんもんな…

 

『ありがとうございます…

 …あ、あの…、霞さ…』

 

『…一刀は消えた

 ウチと惇ちゃんの話聞いてたんやったら聞くまでも無いやろ?』

 

だったら聞かれる事は分かってる

最後まで聞き終わる前にウチは凪にそう告げた

 

 

そして凪の体勢が崩れた…

 

『あ、姐さん…、冗談が過ぎますって…

 お人が悪いんやから〜

 だ、第一あの人がウチらをほってどっか行くわけ無いですやん…』

 

『そ、そうなの!

 きっと隊長のことだからどこかに隠れてる筈なの…』

 

北郷隊の二人も信じれんみたいで周りを見渡し始める

一刀はホンマえぇ奴らに慕われてるわ…

 

けどウチがここで誤魔化してもしゃーない

これ以上傷が大きなる前に…

 

『一刀は消えたんや…

 何度も言わせんといてくれ…』

 

そう言うてウチは俯いた

その態度から事実を受け入れたんか、反応は様々やった

 

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泣き始める者、それを慰める者、堪える者…

それを見て、何も出来ず動けん呉と蜀…

 

けど

 

『アンタは冷静なんやな…

 華琳…』

 

『…私は知っていたもの

 …一刀はいつか消える、と…』

 

『何や、知っとんたんかい…』

 

『えぇ、 ‘勝手に消えなさい’とも言ったかしら…

 …一刀は最後に何か言っていたかしら?』

 

『絶対帰って来るやと…

 悪りけど先部屋に戻るわ…』

 

『分かったわ…

 ありがとう霞…、そしてごめんなさい…』

 

『…辛いんは皆一緒や…

 おやすみ…』

 

その後、酒宴はお開きになったらしい…

 

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「そっから皆立ち直るんに時間かかったんやで?」

 

一通り話し終わってウチはまた酒を飲み干す

 

 

これはウチの独り言

聞いてる相手は居らへん

 

けど聞いて欲しかった

聞こえる筈が無い、聞いてる筈は無いけれど…

 

「惇ちゃんは調練中にボケーッとするんが多なったし、妙ちゃんは仕事に身ぃ入っとたんみたいやし、三羽烏に以前の元気は無いし、季衣の食欲は見るからに少ななったし、流琉は時々料理失敗するし、軍師らは一刀の置き土産でてんてこ舞い

 天和たちは新しい世話役に当たっとるみたいやし、あの華琳が夜な夜な泣いてるんには驚いたわ」

 

それから杯に口をつける

長い、長い話やったからかなりの酒を飲んだ

 

きっとそのせいやろう

…そやから杯から離れた口から溢れ出るモンを抑えれんかった

 

「ウチかてな…?

 寂しいいんや、いつまで待たせるねん阿呆ぅ…」

 

一度出た想いは留まることを知らず、次々と溢れ出る

 

会いたい、逢いたい、一刀に逢いたい…

 

ずっと我慢してたけど今この気持ちを偽ることなん出来ひん

 

「一刀に逢いたいねんッ…!!」

 

ーー俺だって逢いたいよ…ーー

 

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「…ッッ!?一刀!!」

 

聞こえる筈の無い声が聞こえた

ずっと聞きたかった声が聞こえた

ウチは慌てて周りを見渡すけど此処にはウチが一人だけ

 

きっと今のはウチへの罰

我が侭言うたウチがもたらした幻聴に違いない

 

…けど今は例え幻聴でもその声音をもっと聞いてたかった

 

「なぁ、ホンマに約束守れるん?

 ちゃんと頑張ってんの?」

 

ーー頑張ってるし、ちゃんと約束は守るってーー

 

ウチの問いに応えてくれる一刀の声が聞こえるだけで胸があったかなる

 

「せやけど待たせすぎや、そんなん信じれると思てんの?」

 

ーーうっ…、面目ナイデス… けど絶対帰るからーー

 

「…ホンマに?」

 

ーーホンマにほんま、必ず大陸に、霞の元に帰るからさーー

 

「…しゃーないからもうちょっとだけ待っといたるわ」

 

ーーあぁ、直ぐに帰るから…ーー

 

 

それきり一刀の声は聞こえへん様になったけどウチは嬉しかった

今のが夢幻だとしてもそれでも十分やった

 

 

気分もええし、城で飲み直そうち立ち上がった時

 

 

ウチの視界が真っ白に染まった

 

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〜あとがき〜

 

押しに弱い自分がかなり情けないです…

 

1章修正版を投稿した後、2章を投稿しようとしたら…

 

「はい、もしもし…」

「お、今暇やろ?暇やんな?…遊ぼら〜」

 

と連絡が入り最初は断ったものの数分後には快諾していた自分がいました…

 

 

その後、投稿しようとしたら

 

「デ、データが飛んでいるだと…!?」

 

実際に消えたんですけど言い訳にしかならないですね…

本当にすみません!!

 

後、誤字脱字のみならずおかしな表現があればどんどん言ってやってください

見ての通り作者の文才は底辺をうろついてますので…

 

 

では皆様、次回まで…

説明
3章どころか2章も投稿出来なかった上、今まで書いておいたデータが全て飛んだ…

すみません、こんな駄目な作者で…
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コメント
>>よーぜふ様 …大丈夫だ、問題ない!ww …嘘です、ごめんなさい(kanade)
>>名無し様 ありがとうございます!一速く更新出来るよう頑張ります(kanade)
nameneko様 ごくたまに起きるのですがデータが飛ぶのは辛いです…(kanade)
>>きたさん様、そうですね頑張って書き直します!(kanade)
なんという恐ろしいことに・・・ ちなみに全然話変わりますが、うちのこもブラウザがおかしいのでしょうか? 常に支援ボタンが押し済みになっているという不思議なことに・・・(よーぜふ)
パソコンのエラーは仕方ないですよ。いくらでも待ってますので、続きを読ませてください(名無し)
エラーでとんだデータはご愁傷様です。また頑張ってください(VVV計画の被験者)
まあ、パソコンのエラーは私も何度か経験しています。何で?と言っても原因不明で、なってしまったことはもう仕方ないとあきらめるしかありませんでした。改めて創作していただけたら幸いです。(きたさん)
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真・恋姫無双  一刀 

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