真・恋姫†無双?虚像の外史☆三国志演義?(魏編) |
キッカケは修行の旅で、出会った軍師だった。
その軍師は、曹操に仕える事を望んでいた。
しかし当時の彼は、まだ曹操の事をあまりよく知らなかったため、軍師がなぜ曹操に仕えたいのかよくわからず、しかもまだ見ぬ曹操を妄想して、鼻血を流すことに理解することはできなかった。
「これは稟ちゃんの病気ですので、気にしないでくださ〜い」
軍師の友人は気にする必要はないと言う。
だけどそんな軍師の姿に彼はいつしか恋をしていた。
だが、告白をしようとは思ってはいなかった。
自身は未熟の身。
告白するならちゃんと一人の『人間』として成長してから告白しようと決めたからだ。
しかし、その決意は無駄となった。
突然の病死。
彼は墓前の前で誓った。
『貴方の代わりに、必ず曹操を天下統一させる』
そして決意の表れとして、彼は曹操の僕となった。
彼は曹操の発言はすべて正しいと信じ、それを逆らうものをすべて憎んだ。
そんな矢先、北郷という男に出会った。しかも曹操はいつしか彼を『パートナー』と認識して。
彼はそれに気づくと北郷に自身の思いを告げた。
『曹操様を守ってほしい』
しかし、その思いは裏切られた。
「俺は桃香の考えこそ、平和の道へと繋がると思う」
許せなかった。例え、曹操が北郷を許しても彼は許せなかった。
現にそれが原因のように、曹操は心の病で死んでしまい、仲間も後を追うように死んでしまった。
「北郷を殺せっ! 奴は平和の使者なんかじゃない。裏切り者で、不幸を呼ぶ人間だっ!」
一人の兵士が曹操の墓前で前で叫んだ。
「殺せっ!殺せっ!」
一人の叫びに周りは共鳴する。
そして―――。
「ああっ、北郷を殺そう! それが華淋様の意思であり、天の意思だっ!」
最終章
『終焉、そして始まり』
五ヶ原の中心で、北郷と曹仁の二人が対面する。
北郷の右頬が殴られた痕跡が見え、”なぜ、顔が赤い?”と尋ねた。
「これは真実を話した代償みたいなもんさ」
曹仁は腰にかけていた鞘を抜き、北郷に突き出して”自害”しろと言った。
「悪いけど、俺にその意思はない。俺は死ねない」
北郷の言葉に曹仁は突き出した鞘を懐に戻して、”貴様はいつもそういう人間だ”と睨み付け”常に貴様には自害をさせないための仲間がいる”と言葉を繋げる。
「曹仁にも仲間はいるはずだ。お互い様だよ」
北郷は人懐っこい笑顔を見せるが、曹仁にはそれが大嫌いため”その笑顔でどれだけの人間を泣かした?”と質問した。
「……俺はそんなつもりはない」
曹仁は、空を見上げた。
「貴様が死ねば、我が魏は今後一切蜀と戦争しないという条件をだす」
「………」
北郷は腰にかけている剣を抜く。
「さっきも言ったはずだ。俺はもう死ねないって……」
「………」
曹仁も剣を抜く。
「一対一の勝負だ、曹仁。それでこの長きに渡る闘いに終わりを迎えよう」
曹仁は笑い、叫んだ。
「……待っていたその言葉、その決意。これでようやく―――」
二人は剣を振り落とす。
「貴様を殺せるっ!」
互いの剣がぶつかり合った。
この闘いが終わったら結婚しましょうと言われた。
しかし、彼は”闘いが終わったら自害するつもりだ”と答える。
彼女も負けずに”表向きでも、空の部下なのだから拒否権はないはずですよ〜”とのほほんと述べた。
だから彼は”好きにしろ”と承諾した。
勝負は一瞬でついた。
倒れこむ北郷。北郷を見下す曹仁。
「終わりだ。北郷」
剣が振り下ろそうとした瞬間、誰かが曹仁の腕を掴んだ。
「待て。曹仁」
腕を掴んだのは夏侯惇だった。
「なぜここにいる? 貴様は、後方から攻めてくる呉を迎えつくはずだ」
「それは我々の勝利として終わり、私自身はお前を止めにここまで来たんだ」
「……こいつの死は華琳様の願いであり、俺の望みだ」
「確かに北郷のせいで華琳様は死んだのかもしれないが、証拠は何もない」
「だが、北郷が魏を去ったために華琳様や桂花達は死んだ」
「………もう一度言う。証拠は何もないし、奴自身も魏から離れることは華琳様はお認めになったことだ」
剣は動かず、曹仁の瞳も動かない。
「なぜ、北郷に勝てたと思う?」
「何?」
「それは北郷と同じく背中に『背負い込む』ものが生まれたからだ」
「………」
曹仁は剣を収め、北郷に”その服を脱げ”と命令した。
―――そして、それから二年が過ぎた。
曹仁は二柱の墓石に、水袋の水を注ぐ。
……郭嘉と程cの墓に。
そして、墓石の前に腰を下ろした。
あれからまだ二年しかたっていないのに、ずいぶんと昔のことのような気がすると曹仁は感じた。
彼はあの後、天の御遣いの象徴である北郷の服を燃やすことで『北郷は死んだ』と宣言。逆らう者は誰もなく、また北郷や蜀の武将達も納得して和平へと話を進めた。
今では呉とも手を取り合ってこの大陸を平和に保ち続けている。
「……ここに来るまでずいぶん、寄り道をしたと思う」
曹仁は剣を墓石の前に置く。
「でも、これでもう憎しみで戦う戦は終わりだ。そしてこれからは平和のための戦いへと始まる」
手を合わせ、膝をついて目を閉じた。
「……俺は二度、墓前の誓いを果たすことができなかった。でも、今一度誓う。俺はこの華琳様や二人が守ろうとした魏を守ることを」
―――返事はない。
だが、なんとなく二人が曹仁を応援するような風が流れるのだった。
完
―――極めて近く、そして限りなく遠い物語。
子供達は大人達を呼んだ。
呼ばれた大人達も次々と呼び集め、あっという間に、その場所の周りには村人達の輪が作られた。
息を呑み、見つめる村人達の真ん中で、濡れた女性が倒れている。
「異国の女じゃ」
杖をついた村の長老が現れ、言った。
「この戦国の世に、こんな形で女が流れてくるなど不吉じゃ。きっとこの女は災いを起こすのじゃ」
村人達はどよめく。
好奇心の強い子供が一人、見たこともない服装を着た女性に、そっと近づく。
「気をつけよ!」
長老は声を上げた。
「もはや時は乱世。ここも戦場になってしまうのじゃろう。こやつはその時代の盾になってもろうかの」
「……うっ」
女は気付く。
「わ……私の名は……華雄」
そして再び気を失った。
時は戦国時代。
今、新たなる物語が始まる。
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最終章 | ||
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