異世界冒険譚 魔法少女リリカルなのは月 外伝7 |
闇の書が消えた夜
アースラのある部屋。
そこには八神はやて、ヴォルケンリッター、リインフォースが居た。
「少々良いだろうか?」
そう言ってクロノが部屋に入ってきた。
「クロノ・ハラオウンか。何の用だ?」
シグナムは主を守るために一歩前に出る。
「警戒しなくてもいい。僕はあることを聞きに来ただけだ。」
「あること?」
「そうだ。」
クロノは少し間をおいてから切り出す。
「ユエの正体は……誰なんだ?」
「「「「!!?」」」」
その言葉を聞いた瞬間、ヴォルケンリッター達が身構える。
「君達に危害を加える事は無いと言っただろう。彼の正体を教えて欲しいだけだ。」
「何故だ?」
「……彼は言動はともかく見た目はまだ子供だ。いつ防衛プログラムと戦っていた時のように暴走するか分からない。そうなる前に、管理局で保護して力の使い方や心構えなどを教えておかなければ彼やこの世界の住人のためにならないと思ったんだ。」
確かに普通ならそう考えるが、雪人に力の使い方を教える必要はないだろう。
シグナムはそう思った。
高科雪人は力がどのような物かはわかっている。自分の力でどのような事が出来るか、力の使い方を間違えればどうなるのかを良く理解している。
事実。雪人は自分の技の威力を影分身で試している。それは自身の成長の確認のためだが、技を使えばどれだけの効果がありどの位の人が死んでしまうかの確認でもあった。力の使い方を誤れば今もゲスだと思っている連中の仲間入りをしてしまうのだから……
それに高科雪人はこちらから手を出さなければ何もしないような人間だとシグナムはそう評価している。
だがこちらは今、主を保護されている状態だ。うかつに拒否すればどうなるか分かったものではない。
くっ言うしかないではないか!
シグナムはそう判断し口を開く。
「良いだろう。こちらも……世話になっている身だ。」
「なっ!? おい! シグナム!?」
ヴィータが驚き声を上げる。
「ヴィータ。すまないが少し黙っていろ。」
「うっ……」
「……協力、感謝する。」
「ああ。」
シグナムは悔しそうに手を握りしめる。
「ユエの本名は……」
「本名は?」
「た………………」
シグナムが何かを言おうとするが口が開くだけで声が聞こえない。
「た?」
「た………………」
シグナムがまた言おうとするがまたも声が出てこない。
少しの間そうしていたが諦めたように言おうとするのを止める。
「すまない。何故か奴の本名が言えない。」
「何だと!? そんな馬鹿な!?」
「事実だ。」
「どういう事だ!? それもあいつの魔法か!?」
「いや、この現象は思い当たることがある。ギアス、と言うらしい。魔法ではないと言っていた。我々の気づかぬうちにかけられていたらしいな。」
やったなら言って欲しかったのだが……余計な心配をしたではないか。
そうシグナムはここに居ない少年に苛立つ。
「そうか……」
?やけにあっさり信じたな?
シグナムはそう思った。
普通ならシグナム達が嘘をついていると思い尋問するはずだが、クロノはもともとそのお人よしな部分と、ユエの魔法や奥義を何度も見ている。
今更、洗脳術や暗示くらいで驚くはずがないのだ。
「なら、紙を持ってこさせよう。書いてくれればそれでいい。」
そう言い、クロノが部下を呼んで紙とペンを持ってこさせる。
「書いてくれ。」
「ああ。」
シグナムがペンを受け取って紙に書こうとすると、シグナムの腕が何者かに捕まれたように止まり、ペンを落とす。
「ペンもダメなようだな。」
「そのようだ。」
クロノは頭を押さえため息をつく。
「聞きたかったのはこれだけだ。邪魔をしたな。もう休んでくれていい。」
「ああ。」
そう言うとクロノは部屋を出て行く。
「なあ、シグナム。何であいつらにユエの名前を言おうとなんてしたんだ?」
ヴィータがシグナムに問う。
「考えてもみろ、この艦は奴らのホーム。拒否などすれば何をされるか分かったものじゃない。それに……」
「それに?」
「ユエなら言っても大丈夫だろう?」
「そりゃそうだ。」
そう言ってヴォルケンリッターは笑いあった。あの自分たちの輪の中で笑っていた少年を思い浮かべて。
あとがき
ハイこんにちは。作者です。
今回は闇の書の闇を倒した後のお話です。
書いてみましたがシグナムとクロノ以外が空気すぎるwww
ザフィーラとシャマルなんか名前すら出てこなかったし。
と、自分の才能のなさを日々噛みしめています。
あ、それと28話で間違っていたところがあったので訂正します。
電話が鳴った→夜が明けた。
に直しました。間違えてしまい申し訳ありませんでした。
さて、明日か今日に関東も雪が降るのでこの位で寝ます。チャオ!
説明 | ||
交通事故によって死んでしまった主人公。しかし、それは神の弟子が起こした事故だった!?主人公はなぜか神に謝られ、たくさんの世界へ冒険する。 これは、その物語の外伝である。 |
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