デペイズマン・シード 5th seasonD |
「完全に閉め出されたなんて・・・・・・」
自分のミスとはいいがたいが、しかるべき予想だったことが反省点だった。
唇をかんだ光子郎に、リーダーsの相棒たちが画面越しにわたわたと状況報告をする。
「びっくりしたよぅ」
「太一たちはなんとか外に出るって」
「わかりました」
でるといったら、彼らはそれを果たすだろう。
発言を信用しておおきくうなづき、今は待機していてくださいと光子郎が告げると、彼らもしっかりとうなづいて一度通信が切れた。
「間違いなく、奴がそんな真似できるとはとても思えませんね」
不意に生まれた沈黙の中、改めて確認するように賢がつぶやき、うんと京もうなづく。
その手は決して止まっていない。目線も自分が求めるモノを追って画面からはずれていない。
「逃げてもその後ろ手で扉を閉めるような行儀の良さってなかったからなぁ。
あ、やっぱ外部からの茶々ですね、これ」
「外部?」
きょとん、と大輔が首を傾げた。
だが把握した光子郎はすぐに声を上げる。
「京さん。追いかけてください」
「すでにやってます。賢くん、サポートよろしくっ」
「うん。ごめん、大輔。ワームモンみてて」
「はいよ」
放り投げられた緑のでかいもむしをひょいと大輔がキャッチする。
ふつうなら怖くてならないだろうが、当のワームモンはきゃぁwと楽しげな悲鳴を上げて大輔の腕に収まった。
扱いはひどいが信用されているという事だろう。
果たして首を突っ込むことのかなわない魔導師はそんな風に平然と役割分担してしまう彼らに感心する。
「なんとなく意外だな」
「なにが?クロノ」
「君の性格だと、すぐにでも追いかけそうかな、と。
あくまで僕の考えだけど」
言い方としては失礼極まりないイメージだが、本人すら否定しようがなかったのだから笑い話だろう。
「んー、前の俺ならたぶん飛び込んでたなぁ。
なにぶん無鉄砲の猪突猛進が売りだったから」
「さっきの手合わせでよくよくみてたよ」
見物するような余裕があったとは言わない。素直といえばほめ言葉だろうが、とにかく弾丸系の拳だ蹴りだ、ひねりがないと言うか余分な時間を総て攻撃の手数とスピードに回すと言った戦法ばかりのコンビだった。
慣れているヤマトは易々とそれに対応していたが、小細工系が多い魔導師としては非常にやりずらい相手でも確かにあって。
「まぁ戦闘になれば賢がいなけりゃ案外今でもそんなもんだけど。
人間てさ、クロノ。すげぇ、それぞれに役割があるんだなぁって思ったことないか?」
「あぁ。ある」
義理の妹を救えたのは、おそらくあの戦乙女だけだろう。
闇の書を、解放するという夢物語のようなことができたのは、主があの少女だったからだろう。
可能性にすぎないとわかっていても、そんなものを何度も目の当たりにしていたクロノは、存在の役割というものを強く何度も感じている。
そしてそれはどうやら大輔にも思えることであるそうだ。
「俺はだから、俺が呼ばれたときに俺のできることを全力でやろうって決めたんだ。だから今は待機」
「そうか」
「クロノこそ、動きたいって顔してるぞ?」
「そう見えるかい?」
「見える」
彼にバレているのなら、今更取り繕っても仕方ないだろう。
「あれが驚異とわかっていて、野放しにしている奴がいるのに、放っておくしかできない現状に歯がゆく思っているのは事実だよ」
野放しどころかフォローまでした。
この混乱した現状をおそらく把握していないはずがないだろう。それであって、なのだ。
しかも秩序を守るべき側が、である。
「確実に自分のトコの組織の誰かがやらかしてるんだしな」
直球のつっこみが、痛い。
だがここは大きくうなづくべきところでもあった。
「まったくだ」
「クーデター起こせばいいのに」
「誰に対してかがはっきりして、土台ができていればな。
コストと、その後のプラン。
本気のクーデターなら、お祭りで終わってはいけないからね。
起こした人間がトップにはならない方がいいから、彼女が成長しきるのを待つのも必然だし」
光子郎には否定しかクチにしていないが、まるで子供じみた全く違う色合いで告げる大輔には、クロノは説明的に拒否した。
それは将来やらないわけじゃないけれどという意味合いを確実に帯びていたが、自覚があるやらないやら。
「彼女?はやてちゃん?」
「はやては僕と一緒で裏方向きさ。裁量は確かに上に立つものだが、民衆が求める像とはいえない。彼女は英雄ではないからね。丁度表舞台に向いてる象徴的な娘がいることだし」
「ふぅん・・・・・・その内会うかな?」
「さて、そうだな。大輔、奴は実体化して現実化するのは確実なんだな?」
「おぅ」
一度取り逃がしてしまったことも含めて、経験上、大きくうなづく。
「なら、ちょうどいい指針になる。集めておくよ」
「ししん?」
「あぁ」
一方。
彼らの運がよかったのは、そこに誰もいなかったことだ。
「とはいえ、ここどこだ」
「さぁて。ミッドチルダだろうけどな。
ただここから見えるもんが、不愉快なもんだってことがわかるだけだ」
「あぁ。なんだろーな、ありゃ」
画面越しにみえるのは、とてもじゃないが愉快とは言えない光景。
「言いたくもないが、脳味噌、だろーな。
どっかの大学にアインシュタインとか吸血鬼とか呼ばれた連続犯罪者の脳味噌保管してるって話は聞いたことあるけど」
「保存、て感じか?この映像」
・・・・・・・
画面は鮮明だが、まじまじと見たいものでもない。
すぐに目をそらし、意識を切り替える。
ヤマトが端末の一つを弄りだした。なにか内部構造のわかるものでもとさぐっているのだ。
「とりあえず外行くか」
「こういうののお約束だとさ、太一。
ああいうのがラスボスじゃねぇの?」
作業しながらの軽口は、妙に信憑性があるような気がした。
あぁ某三代目初代映画とか。
某爆弾男ラスボスとか。
某突然変異亀忍者は、セミラスボスか。
「だとしても、対面したかねぇな。確認もヤダ。
俺たちの役目は防衛だ。それこそ最終手段がクーデターでも、主催者がその気にならなきゃ意味ないだろうよ」
「クロノか。光子郎に期待せざるをえないな」
クロノが聞いたら凹みそうな期待である。
果たして目を逸らしながら、二人の若者は面倒そうにあまり意識したくない「何か」を話題にする。
「それにしてもあんなになっても、生きたいものか?」
「わかんねぇよ、それこそ。
死にたくないとは何度も思ったが、少なくともアレを生きてるとは判断できねぇし」
「同感」
「お、地図あった。でれるぞ」
「どの辺?」
「だいぶ地下っぽいな」
「んじゃミッドチルダのお天道さんに会いに行くか」
「あいよ、リーダー」
地上では管理局本部の魔導師による混乱の処理に追われていた。
一時的にシステム自体の混乱はなぜか収まっていたが、かといってすぐに復旧ができるというわけではない。
実際、役立ちそうな補助スキルを持っている魔導師は少ない。
っていうか、技能そのものが発展していない。
災害救助であればまだ活用もできようが、こういうアナログ的デジタルな混乱に関してはそもそも想定自体がない。
いかんせん、戦闘特化信仰の弊害である。
そしてその様子に、とくに顔色を失いながら、それでも必死に動いている魔導師がいた。
八神はやてである。
彼女はこの混乱の要因の一部は自分だと感じていた。
自分があのポストペットを刺激したのが原因かと。
それをいったらそれを予見しておきながらわざわざはやてにさせた太一たちこそ攻められるべきなのだが、そういう発想は責任感の強いはやてにはない。
だいたい彼らはPCをなんのネットワークにもつなげない状態で例のデータをいれろと言っていたが、件の存在が、設定を切っていたはずのコードレスネットワークに接続されてしまったのだから、やはり自分の認識が甘かったのだと自分を攻める。
もっとも、そのときにはすでにPCは半壊していたのだから、はっきり言ってビジュアル展開はオカルトに近い上に、別段彼女がそんな風に攻めていても、「それ」は同位体で、一体が認識すれば距離も意味なく同じように理解したのだけれど、そんなフォローを彼女は聞くことはなかった。
そのころには太一たちはアースラ上の人で、通常の連絡手段がとれない状態だったのである。
なぜか行っていないはずのヒカリたちとも連絡が取れないし、という状況で、この騒ぎである。
結びつかない方が色々おかしい。
顔色をなくしながらも賢明に救助活動をする彼女に入った連絡は、救いと言っていいのか。
「はやて。ちょっと頼みがあるんだが、手を借りれないだろうか」
「クロノくん?わたし今ここの整理だけで手いっぱいで」
「その混乱の大元を叩く。先の事件でデジモンにも魔法が有効であることはわかっているからな。あとは威力」
「レンタル大砲いうてるように聞こえるんやけど」
「いいえて妙だ」
果たして。
彼女は混乱に乗じて叶った合流をもって、とある場所へ向かうことになる。
それは彼女自身による、まさにリベンジといえたかもしれない。
そのさらなる混乱を、幸運とはいえないだろうが。
作中の「脳味噌ラスボス」に関しては知名度優先にしてみましたがいいですかね?
ネタが古くて通じないという説もあるけど。
まぁ内容上、大した意味を持っていないと言えばそれまでですが。
いやいい加減本編には絡まないようにと配慮しているつもりなので、stsフラグ摘んじゃだめだろ、と。
とはいえこの混乱に乗じてこのままクロノ筆頭にクーデター起こせば色々ハッピーエンドになるようなならんような。
あぁルーちゃんは幸せになれるなぁ
ナカジマ母も多分生存ルートいけるなぁ
天秤に掛けることじゃないんだろーけど、なぁ、こればかりは。
それにしても。護るというのは、それを覚悟すると言うことは。
永遠に戦いを続けるということなのかもしれませんね、とかまとめつつ。
「今なら本部壊れちゃってもあのバケモノのおか・・・せいになるかしら?」
とか言い出すアースラ艦長を書きたかったりもしたんだけどね
説明 | ||
勇者シリーズ20周年CD・・・だと・・・? というわけで原作リプレイでもなければ、展開によりけりキャラクターの出番が偏りまくる、オリジナル要素満載で展開しています、謎のクロスオーバー、デペイズマン・シード最終章。 デジモンアドベンチャー×リリカルなのはでっす☆とかいってみるものの、説得力のなさはすごいよね。 とまぁ、思いつきシリーズもここまで続きました。 正直言って、世界情勢ネタがこうもかぶると頭が痛いですが偶然と思いたい。 容易にクーデターとかいうもんじゃないね。いやマジで。 ビデオ取引ネタも政府がやらかしてくれちゃったしなぁ。 とにかく当初から最後までプロットがあがっているので、単なる偶然だから、と言っておく。 |
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コメント | ||
よーぜふさま>狽ヘやっ?! 韻さま>ねー。やっちゃえばいいんですけどねー(にひっ(ほうとう。) もうバケモノのせいってことで、上層部タヒんじゃおうぜw あくまでも、バケモノのせい、でね。クフフww(韻) ついき そくあまぞぬでよやくしてきますた まる(よーぜふ) なん、だと? よろしい、ならば購入だ。 などと勇者20周年CDドキムネしちゃいました、よーぜふです。まあがっつりみたのは太陽と勇者王ぐらいという不忠者ですが。 そしておば、もといリンディお姉さん・・・やっておしまい!w(よーぜふ) |
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