桜雨(さくらめ)
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<桜雨壱>

 

 一つ、二つ、雨粒は腕に頬に伝い落ち、やがて本格的な雨になった。やわらかい霧雨は後から舞うように降ってくるのに、空はどこまでも真っさらな青だ。自分の手を握っていた父が見上げて立ち止まる。

 「ああ、狐の嫁入りだな」

 「きつねの…よめいり?」

 「狐はよく悪さをするだろう。特にうーんと長生きした奴等は、おっかない力を持っててな、よく人を騙す。狐が嫁をとる時は人様に見られたくないってんで、晴れてても雨を降らすんだ。それが狐の嫁入りだよ。」

 「ふーん。」

 聞きながら私は父の手をぎゅっと握り、もと来た道を振り返った。住み慣れたあばら家はもうぼんやりとしか見えない。雨はただ単に透明な訳ではないらしい。元は櫛でよく梳いた狐の毛なんじゃなかろうかと、子供心に思った。ぬかるみ始めたあぜ道を父とどこまでも歩く。雨は青空の中、狐だけでなく私達も薄っすらと隠していった。

 

 一つ大きく欠伸をし、高右衛門は寝返りを打った。皺の畳まれた顔に手をやる。いつも父の事を思い出すと、何よりもまずこの事が頭に浮かんだ。天気がそんなに珍しかったのか、父とのちゃんとした最後の記憶だったからか、何故だろうと考える。確かに両親とは奉公に出て以来、盆の休みにしか会う事は無かった。だがもっと小さい頃、一緒に薄っぺらい布団で丸まって寝た事や、狩りに付いて行った事だって良い思い出のはずなのだが。特に、高右衛門は昔から狩りが好きだった。何故かと問われるとうまく答えられない。ただ罠作りに試行錯誤する時や、猟銃で標的に狙いを付ける、あの集中する瞬間が酷く癖になった。後に生活のためでなく趣味で獲物を追うようになると、妻の絹は帰るたびに文句をつけた。あの日もそうだ。

 「あなたは何でもかんでも捕まえて来るんですねぇ。」

 たった一羽しか捕まえられなかった野うさぎを、奉公人に任せて不振がる。

 「今日はほとんどなんも捕まえとらん。何を捕まえたって言うんだ。」

 「あら、少なくとも私はとっくの昔に捕まりましたけど。」

 高右衛門は自らの布団を手繰って隣を見た。そこには闇がぽっかり広がっているだけで、かつていたはずの妻はいない。丁度一年前の同じ頃、絹は死んだ。今朝はその一周忌だった。高右衛門は一日中、万事上手くいくようにと、あれこれ下の者を指揮し、住職や親戚をはからった。その間、見ごろを迎えた庭の桜がはたはたと散っていたが、それに気づく暇も無い。亥の刻頃になってようやく落ち着き、やっと布団にもぐった。疲れてうとうとしていたのだが、未だ眠れないでいる。手持ち無沙汰に隣をまた見やって、明かりを付けようかと迷った。

 「何故今頃何だか」高右衛門は独りごちた。

 天気雨の事が頭から離れずそのままぼんやりしていると、今度は脳裏の青に薄紅色の花びらがよぎった。ああ、桜女(さくらめ)だ。

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<桜雨弐>

 

 五十軒道の手前で、高右衛門の主人は駕籠から顔を覗かせた。雲行きは怪しい。

 「なあ、高七。新しい太夫の道中は見れんかもしれんなあ。」

 まだ高右衛門が手代名を乗っていた時の話である。主人夫婦は江戸で大きな反物屋を営んでいた。跡取りはおらず、取り立てて愛嬌のある性格では無いが、頭の切れる高右衛門に目を掛けていた。仕事振りも真面目で、人を動かすのが上手い点も気に入ったのだろう。今日も句会の供のついでに、遊里見学につれて来ていた。

 「そうですねえ。」

 高右衛門は、一通り興味のある風に返事をする。

 太夫というのは高級遊女の呼び名だ。その一等を担っている彼女らは数千人いる遊女の中でも一握り、片手で数える程しかいない。美貌はもちろん、書道、茶道、和歌、箏、三味線、囲碁などを一通りこなし、さらに一芸に秀でている程の才が求められる。大名の席に出ても恥ずかしくないだけの教養があった。太夫を初め、多くの遊女らは江戸、京都や大阪の遊里に集められ、独自の文化を作り上げていた。その隔離された非日常的な雰囲気は人々を引き付け、常に文化の発信地、社交の場として賑わっていた。

 そしてその太夫の揚屋への往来を、周囲は道中と言って持て囃したが高右衛門は別段興味が無かった。太夫相手では、大名や彼の主人のような豪商さえ莫大な金を費やした挙句に振られる者もいる。庶民の自分に手が届くわけが無い。手に入らないものを追ってみたところで何が楽しいのか。

 まだ冬の寒さが残るのか、ちょっと身震いして、高右衛門は駕籠から降りる主人を助けて大門を潜った。周囲を堀で囲まれた街に足を踏み入れれば、中心となる大通りが縦に一三五間伸びている。その両側には多くの豪奢な茶屋が軒を連ねていた。日が傾く少し前には茶屋に遊女が顔を見せ、提灯に照らされた通りも賑わうだろう。だが昼は夕時ほどの華やいだ活気はなく、笠で顔を隠してそそくさと歩く田舎武士や、格子の内で暇を持て余す遊女を覗く行客などがいただけだった。季節に合わせて桜も通りに植えられていたが、灰色の雲が背景ではその色もくすんで見えた。

 雲も辛抱しきれなくなったのだろう。泣き出したように雨が降りだした。主人を連れて、急いで句会のある茶屋へと走る。句会の間も雨脚は一層強くなった。雨音を聞きながら、新太夫のお披露目を楽しみにしていた主人は殊更不機嫌そうにしている。会が終わる頃には外の人通りも増えてきたが、格子の外では未だ雨が降っていた。無駄に長居も出来まいと、主人は溜息をつき、高右衛門は帰りの手配をする。

 待たせていた駕籠を呼びつけて大門を出ようとしたところで、後方から歓声が上がった。雨の中、道中が行われるらしい。

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<桜雨参>

 

 人だかりの隙間から、まず提灯を持つ若衆が見えた。その次に桃色の振袖を着た二人の禿が続く。そして雑踏の中から、すすと下駄を引きずる音が聞こえた。

 そこに桜女がいた。別の若衆の左肩に手を添え、凛と立っている。足元には五、六寸はあろう黒い高下駄を履き、鶴が描かれた貝紫の着物が全体を彩った。胸元より下は花柄に白藍地の帯が、彼女独特の結び方で結われ、襟元からは細い首筋がすっと伸びている。きっちりとした髪は黒蝶のように結い上げられ、幾重に挿された鼈甲色の簪が際立った。濡れないように、さらに別の男が九尺以上もある朱い長柄の傘を差している。傘の下から見える唇は花びらを思わせる紅色だった。

 彼女が一歩足を踏み出した。多くの視線がそれを追う。普通には歩かず、足はゆっくりと外側へ弧を描くように出された。それが前に来た所で、もう片方の足と縦に重なるようクイと揃えられる。その度に目元近くに掛かっていた髪飾りが揺れ、付いていた雨粒がきらきら光った。雲が退く。一歩ずつ水紋を描くように進むその様は湖面の上を行くようだ。

 一直線に前だけを見て、彼女は呆気に取られている高右衛門の前を通っていく。高右衛門もそれを目で追った。だがふと、彼女の瞳が朱の差した目尻へと流れ、僅かに高右衛門を捉えた。途端、太夫の大きいが切れ上がった目が見開き、すぐに三日月のように細くなる。―睨まれた。そう感じて、高右衛門はたじろいだが、動揺とは裏腹に、太夫に近づこうと人ごみを掻き分けた。しかし太夫はすぐにまた前を向き、やがて彼女の後姿が見えるのみとなった。

 道中の後には極彩色の世界が広がっていた。厚かった雲は薄っすら棚引くだけとなり、未だ青い空の下、沈みかけた日のために黄金色が差している。花も本来の色を取り戻した。依然降っている雨は夕日に反射して、きらきらと輝いている。

 多くの見物人が、口それぞれに道中について話している中、高右衛門はただ立ち尽くしていた。

 「いや、今日の一品はまた秀逸だったな」

  頭に手ぬぐいを被って、高右衛門の主人は言う。

 「あれは人とは思えんね、鬼かはたまた狐の類か。きっと男を泣かせるぞ。あの結われた髪に角でも隠してるんじゃないのか。」

 厳しい表情で動かないままの高右衛門を見て、主人は口の端を片方吊り上げた。濡れただろと別の手拭いを渡してやる。

 「どうした、高七。お前さん惚れたか。」

 「さあ、どうでしょう。」

 主人の問いに高右衛門はおどけた笑顔を返す。

 「これ以上濡れては大変です。帰りましょう。」

 そのまま駆け足で元の駕籠へと戻る。主人が駕籠の中に入ると、高右衛門は再び桜女太夫が去った方をじっと見据えた。そして彼女と同じように目を細める。雨が顔や着物を濡らした。駕籠が動き出し、雑踏の中、その後をゆっくりと彼は追った。腕組みをしていた右手を顎に当て、口を歪める。揺れる駕籠だけを冷たく見ていた。

 空が黄、朱へと色彩の転調を遂げる中、見世の始まりを告げる三味線の連弾が遊里に鳴り響いていた。

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<桜雨四>

 

 鼓や三味線の調べと共に芸者が長唄を歌い、舞いを踊る。座敷の下座に座っている高右衛門の前には豪勢な膳が並べられていた。彼は注がれるままに酒を呷った。目の前の上座にはあの桜女太夫が、付きの禿らと共に少し斜めに構えてすましている。

 遊里で桜女の道中を見てから七年が経っていた。その間に手代だった高右衛門は、主人の後を継いで店を率いていた。店は順調に行っており、今では江戸だけでなく上方の方でも商売をしている。先代の主人は良い跡取りを見つけたと称える者もいれば、縁者でもない身で、うまく行き過ぎだと疎む者もいる。しかし高右衛門からしてみれば、仕事がうまくいっていればそれで良く、周囲の評判などどうでも良かった。

  高右衛門は桜女に会うために遊里の揚屋、尾張屋の座敷にいた。太夫と馴染みになるには、それなりの手順を踏まなければならない。今回のような初回は、客と遊女の顔見世だけが行われ、一言も話すことなく終わってしまう。普通、太夫はこの時目も合わせない。仮に運よく気に入られた場合、自らの煙草を一服廻してくれる事はあるらしい。そして客は己が財力と気風の良さを示すために、揚屋茶屋で盛大な宴会を開く。太夫はそれを品定めした。今日の宴会もそれであり、功を焦らないに限る事を高右衛門は知っている。

 杯が空になりかけたのを見計らって、芸者がまた酒を注ぐ。礼を言って杯を見ると自らの顔が酒に映っていた。あの日から何故馬鹿げた夢を追いかけようと思ったのだろう、と思う。問われたところで、うまく答える自身が無い。酷く曖昧で、ともすると7年前に睨まれたのが、単純に気に食わなかっただけかもしれない。もしくは手に入らない物を欲しいと、躍起になってみただけなのかもしれない。慎重に考えを巡らし、欲しい物を手中に収めようとするのは、なんだか狩りに似ているなと、ふと思った。しかし、今更あれこれ考えてみた所で、これまでの労力を全て無にする気もなかった。

 芸者らの奏でる音楽や機微に飛んだ話術に愛想程度に合いの手を打ち、高右衛門は酒に口をつけると桜女を盗み見た。座敷の主役は憮然とした表情で、酒にも食事にも手を付けない。こちらを見てにこりともしない。やはり気に食わない。ただ行灯の光が斜めに当たって、深い陰影か彼女の白い肌に差しており、手首をくいと曲げ、長い指で煙管を持つ仕草はたおやかで美しかった。

 ふと桜女の手に薄汚れ、色の褪せた数珠の腕輪がはめられているのに高右衛門は気づいた。かなり古い。ああなってもはめているのだから、余程大事なのだろう。そう思いながら、また何杯目かの杯を空にした。

 しばらくして桜女付きの新造と揚屋の者が座敷に上がった。

 「姉さん、そろそろお暇の時間でありんす。」

 高右衛門は、なみなみと注がれた杯を強く握り締めた。桜女一行は粛々と列をなして出ていく。

 「待ってくれ!」

 叫ぶや否や、茶屋に、数珠が千切れてばらばらと床に転げ落ちる音が響いた。高右衛門は自身を疑った。気づけば部屋を飛び出し、階段を降り始めた太夫の腕を掴んでいた。芸者や太鼓持ちが演奏を止めた。

 遠目からちらりと見ていた桜女が、目の前にいる。さっきまでこちらに向けられもしなかった目が、彼を上目遣いに睨んでいた。お高く澄ましたように見えた表情からは、思いの外、芯の強さが伺える。逐一、新しい事に気づかされる。きっと何年経っても彼女を捕まえる事などできないんではなかろうか。

 だが、このまま惚けている訳にもいかない。桜女の手を掴み、高右衛門は固まったままだった。取り返しの付かない事をした。閉じたままの口が引きつる。怒って割って入ろうとした禿を、太夫の手がすかさず止めた。

 「何でわっちを追いかけてきたんでありんすか。身なりからするに、こな事をなさる方とは思いませんでありんしたのに。」

何か知った風に煙管を銜える。高右衛門は答えない。彼女は七年前と同じように目を細める。

 「ぬしさんが現れなければ、わっちもオツ世をもっと楽しめんしたのに。」

 「すまなかった。」

 もう駄目だろう。口を引きつらせたまま、高右衛門はせめて彼女の数珠を拾おうと階段を下りようとした。その袖を桜女が引く。

 「もうこの数珠はいりんせん。数珠に籠められた魂も千切れて、たった今、持ち主の元へ帰ったでありんしょう。ぬしさんは拾わなくてよろしいでありんす」

 後で大事に供養させんすと言うと、彼女は銜えていた煙草を離し、すっと高右衛門の方に向けた。

 「ぬしさんも一服お呑みなんし。」

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<桜雨五>

 

 横向きに寝転がって、高右衛門はくぐもった鼾をかいていた。隣の部屋では息子とその家族が安らかな寝息を立てている。また彼の記憶は、狩りに行った後の絹との会話を辿っていた。

 「私はとっくの昔に捕まりましたけど。」

 高右衛門は庭の縁側に腰を掛け、持っていた煙管を取り出す。一服つくと、旨そうに煙を吐いた。

 「そんなに狩りばかり出るから、本当の所、昔あなたは猟師か何かだったんじゃないんですか。」

 「猟師?」確かに昔、父の狩りに付いては行ったが。

 「生まれる前の話ですよ。」

 「ああ」

 高右衛門はとりあえず曖昧に返事をした。絹は時々、よく分からない事を言う。

 本気で言ってるんですよ、と彼女はにやりと笑った。

 「差し詰め、私の前世はあなたに追われる獣ですかね。」

 「じゃあ…」と高右衛門は言かけて、自らの固いひび割れた手を見た。銜えた煙管が口の動きに合わせてくいと上がる。おまえは私を軽々とすり抜けて逃げてしまっただろうよ。

 「ああ、」と高右衛門は一際大きな声を上げた。「今度おまえの太夫名にちなんで庭に桜を植えようと言っただろう。植木屋に聞いたら苗木からじゃ、ちゃんと花を咲かすまでに九年かかるそうだ。」

 予想に反して桜女こと絹は笑う。

 「良いじゃありませんか。季節がぐるぐる廻ってくのを見るのも、それなりにオツなもんですよ。九年なら大した事はありません。桜も咲く時を知ったら、きっと自分で咲くでしょう。」

 絹はじっと庭を見ていた。高右衛門は絹を見た。以前は朱が差されていた目尻には、彼と同様に皺が刻まれている。それでも横顔には当時の桜女太夫の面影が残っていた。彼女の表情や仕草には、今でも時々ハッとさせられる。道中を見た時からそれは変わらなかった。分かったつもりで、何も分っていないのだろう。会うたびに不機嫌そうな顔をした桜女が、何故初会で自分に煙管を廻し、あろう事か身請けにまで応じたのか高右衛門は昔尋ねた事があった。絹は太夫だった時のように流し目を送って笑っただけだった。

 

 雨音がする。眠っている高右衛門の横で、着物の擦れる音と畳の上を素足でひたひたと歩く音がした。高右衛門は薄目を開け、がばと身を起こす。

 「あれ、起こしましたか。」

 そこに太夫姿の絹がいた。老いて、眠るようにして死んだ彼女ではなく、若い時のままの姿だ。あの切れ上がった目が三日月のように細くなる。だが今回の彼女は穏やかに微笑んでいた。高右衛門は何か言おうとして口を開けるが、喉の奥からは何も出てこない。

 「おまえ…」

 絹が一呼吸置き、彼女の目がゆっくり瞬きするのを見た。

 「あなたさんは何時でも私より先に逝ってしまうでしょう。残された私はそのたびに待とうか逃げ出そうか、決められずにいました。けど…やはりまた取り残されるのは辛いものです。だから…」と滑らかな白い手が高右衛門の顔に伸びる。

 「桜は咲くべきだと知って咲き、散るべきだと知ったら風が無くたって散るもの。私もあなたが逝くより先に、目の前から消えましょう。辛いですから、また生まれ変わっても今度はあなたと同じ時間を過ごせる人と添ってください。私の事はもう追わないで下さいな。」

 そう言うと桜女の瞳が近づく。彼女はまた何か言おうと口を開いたが、高右衛門は聞き取れなかった。ただ、長い睫毛が綺麗だと思った。

 

 高右衛門は目を覚まし、大急ぎで廊下の木戸を開けた。目の前には落ち着いた佇まいの、大きな庭が広がっている。足元には今日まで咲いていた桜の花びらが、全て散って落ちていた。濡れた土の匂いがし、ひんやりとした冷たい空気が辺りに漂っている。雨は既に止んでいた。高右衛門は誰かいないかと左右を見渡した。時々木が僅かに揺れる、柔らかい音だけが聞こえた。桜女が何をし、何を言ったのか。考えて首をゆっくりと横に振る。

 狐の嫁入り―父の言葉を思い出して彼は咄嗟に後ろを振り返った。隣の部屋で人が眠る気配を感じる。彼はほっと息を付いた。確かに息子夫婦らはそこにいる。しかし― 高右衛門はぼんやりとしか見えない暗い自屋をちらと見て庭に向き直った。水溜りに月がゆらゆらと輝いていたが、流れる雲でそのまま隠れてしまった。高右衛門は空を見上げて硬く目を閉じる。先程の雨は分厚い雲から降ってきたのか、それとも暗い夜空から落ちてきたのか。

 老人はそこに立ち尽くしていた。冷たい風が通り過ぎ、彼の部屋の暗がりに溶けた。一寸前の空が、その夜どんな表情をしていたのか、終に分かる事は無かった。

 

 

説明
和風(ファンタジー寄り?)の作品。尚且つ恋愛ものです。
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