真・恋姫無双 黒天編 第1章 「行方不明」前編
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まえがき

 

どうもです。

 

本日から本格始動というわけなんですが、簡単な設定を説明させてもらおうと思います。

 

まず、黒天編は萌将伝の世界を舞台にしています。

 

原作をプレイ済みの皆様は間違いなく気づいているとは思いますが、

 

萌将伝はかなり特殊な外史として語られています。(主に真・恋姫ENDの違い)

 

なので、萌将伝と黒天編との違い、または細やかな設定についてはその設定が物語で語られるたびに補足していきたいと考えています。

 

チート設定やオリジナル設定、オリキャラも登場させる予定です。

 

私の考えに共感した方、あるいは全然OK〜という方のみご覧ください。

 

最後に注意書きなのですが・・・

 

黒天編は一刀が「超」重要なキーパーソンになります。

 

しかし、物語の性質上一刀を登場させるのは当分先になるかと思います。

 

そのことも、ご容赦の上よろしくお願いします

 

 

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真・恋姫無双 黒天編 裏切りの*** 第1章 「行方不明」 前編 小さな不安

 

三国同盟成立一周年祭りから数日たったある朝

 

月と詠は一刀を起こすために一刀の部屋に向かっていた。

 

「ご主人様、もう起きてるかな?詠ちゃん」

 

「さぁ、まだ寝てるんじゃない?というか、私たちが行って起きてたためしがないじゃない」

 

「この頃、また政務が忙しくなってきたみたいだし・・・お疲れなのかな?」

 

「政務だけじゃなくて“性務”の方も忙しいんじゃないの?三国一の種馬だし・・・」

 

「へぅ、そういうことはいっちゃだめだよ」

 

「だって事実だし・・・月はあいつにほんと甘いんだから」

 

月はすこし温めの湯が入った洗面器を持ちながら、ここにはいない主に申し訳なさそうにしている。

 

一方、詠はというとツンとした表情をしながらもきれいに畳まれたタオルを大事そうに抱えていた。

 

「また、だれか部屋に連れ込んでるんじゃないの?」

 

「へぅ・・・」

 

一刀を起こしに行くのは月と詠の朝の日課になっている

 

なので、一刀が他の女と一緒に寝ている場面を頻繁に目撃しているのである。

 

前には星といっしょに一糸まとわぬ姿で仲良く寝ていたのを目撃、

 

さらにその前には、華琳と春蘭、秋蘭が狭い寝台の上で密着しながら寝ていたのを目撃している。

 

どうやら春蘭のミスに対するお仕置きという名目だったらしいのだが、そんなこと二人は関係がない。

 

「最近は誰も閨に招かれてないみたいだけど、誰かいたらどうしよう。詠ちゃん」

 

「・・・・・・、もう切り落とすか」

 

「へぅ!?」

 

月は心底びっくりした様子で詠を見て立ち止まった。その拍子に少し湯をこぼしかけてしまうが何とかこぼさずにはすんだ。

 

「冗談よ、ふふっ、本気にしないで」

 

詠はすこし笑いながらトコトコ歩いていく。

 

「もう・・・、待ってよ〜、詠ちゃん〜」

 

その様子を見ながら月は体勢を立て直し、詠の後についていった。

 

ただ、詠の様子からどうしても冗談にはとることができない月であった。

 

 

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一刀の部屋の前に着いた月は洗面器を片手に持ち直し、いつもどおり扉をノックする。

 

「ご主人様〜、朝ですよ〜。ご主人様〜〜」

 

二人の予想どおり返事はない。

 

「ご主人様〜〜〜」

 

念のためもう一度ノックをしながら呼びかけるも応答なし。

 

「へぅ・・・、まだお休み中みたい・・・」

 

「はぁ、もう、仕方ないわね。ちょっと!起きなさいよ!」

 

次は詠がドンドン強くノックをしながら声をかける。

 

応答はない。

 

「これでも起きないの。ったく、中に入るわよ!!」

 

そう言い終わると、詠はドアノブに手をかけて扉をゆっくり開ける。

 

「本当に天の国にはノックなんて習慣があるのかしら・・・まるで意味ないじゃない」

 

そういいながら、詠は部屋に入っていく。その後に月は失礼しますと一礼してから入室していった。

 

 

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二人は部屋に入るとまず、誰か他の人がいないかどうかを確認する。

 

「今日もいないみたいね」

 

二人は少しホッとしながら、部屋の様子を確認した。

 

そこで少し違和感を覚える。

 

いつもは竹簡や書類などで散らかっている机がきちんと整理されていたり、

 

竹簡の削ったあとなどが床にばら撒かれていたりと何度掃除してもきれいにならない部屋がやけにきれいになっている。

 

まるで昨日、掃除したあと誰も使っていないかのように

 

それに部屋の気温がいつもより少し低く感じた。

 

二人は様子が変だなと思いながらも一刀がいつも寝ている寝台に目をむけた。

 

しかし、そこに一刀の姿はなかった。

 

布団もしっかり畳まれており、一度も使った形跡が見られない。

 

そこで二人はある可能性を思いつき、持ってきたものを机に置き、ある物を探し始める。

 

「月〜、見つかった?」

 

「いつもの場所にはないよ。詠ちゃん」

 

「ある可能性」というのは一刀が他の人の部屋に泊まっていて、そこで寝ているというもの

 

そして「いつもの」というのは、他の人の部屋に泊まるたびに一刀は月や詠に分かるように枕の下などに“ごめんね、いつもありがとう”といった内容の手紙を置いている。

 

しかし、今日はその手紙も見当たらない。

 

寝台の隙間や、机の引き出しなどを確かめるがそれでもみつからない。

 

「ご主人様、もう起きてらっしゃるのかな」

 

「そうみたいね。月、これを見て」 

 

詠はいつも一刀の白い制服が掛けられている場所を指差す。

 

そこにはいつも掛かっている制服がない。

 

「それに見て、この布もここにしまってあるわ」

 

詠は机の一番下の引き出しを開けて、一人くらいならすっぽり包めるであろう真っ黒の布を取り出す。

 

 

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この布は一刀が夜、誰かの部屋に行く際に必ず羽織っていくものである。

 

白い制服はたとえ夜の蝋燭の光だけでも結構目立つ。

 

そのため、何度か夜の見回りをしている愛紗に見つかって“またですか・・・”と軽い説教を受けてから部屋に行く羽目になる。

 

そこで一刀は制服の上着を脱いで、この黒い布を羽織ってから出かけることにしたのである。

 

これで見つからないと考えたのであろうが、しかし、そうはいかなかった。

 

その作戦を決行した当日、その日の夜の見回りをしていた思春に見つかっていた。

 

“なにをしているのだ。あのバカは”と思いながらもそのことを蓮華に報告すると

 

「ほっておいてあげなさい」

 

とのことだったので、思春はそれ以上追究しなかった。

 

しかし、伝えておいたほうがよいだろうという蓮華の判断から各国の将軍たちや果ては警備の者、侍女にいたるまでこのことが伝えられた。

 

なので、黒い布を被った見遣い様を発見したときはあえて無視、見えないふり、というのがこの城の暗黙のルールとなっていた。

 

このことを知らないのは一刀だけ

 

 

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話は戻って

 

 

 

 

「布がここにあって、いつも着ている服がないということは誰の部屋にも行ってなくて、もう起きて外に出ているということになるわね」

 

「だったら、ご主人様はどこにいったのかな?」

 

「朝ごはんでも食べに行ってるんじゃないの」

 

いつもならここで納得するのだが、月はすこし違和感を感じていた。

 

それは詠も同じだった

 

「詠ちゃん、ちょっと厨房に行ってみない?」

 

「そうね・・・ちょっと行ってみましょうか」

 

なんともいえない違和感を覚えながらも二人は部屋を出ようとする。

 

「あっ、ちょっと待って」

 

月は何かに気がついたらしく、詠に声をかける。

 

「どうしたの?月?」

 

「机の蝋燭がなくなってる。あとで別のものを用意しないとだめだね」

 

机には燭台が一つ置かれているのだが、そこの蝋燭が溶けてなくなっている。

 

それを見た詠は少し首をかしげて

 

「おかしいわね。たしか昨日、新しいものに代えたはずなんだけど」

 

「そうなの?ん〜、きっと夜遅くまで政務をがんばってたんだよ」

 

「もしかして代え忘れてたのかな?わかった。僕が用意しておくよ」

 

「うん、ありがとうね。詠ちゃん」

 

詠は忘れないように“めも”をとってから、月と二人で厨房に向かっていった。

 

月が持ってきた洗面器の湯は、もう冷めてしまっていた。

 

 

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厨房に到着した月と詠はすぐに一刀の姿を探した。

 

しかし、見つけることができなかった。

 

「いないね・・・」

 

「そうね。ほんっとにどこに言ったのかしら!あいつ!」

 

「もしかしたら、庭で武術の鍛錬をしてるのかも・・・」

 

月がそうつぶやくと詠もそうかもしれないと思い、次は城庭に探しに行こうとした

 

そのとき、流琉が前掛け(エプロン)をとりながら調理場から出てきた。

 

「あれ?お二人とも、どうかなさったんですか?」

 

「あっ、流琉さん、ご主人様を見かけませんでしたか?」

 

「兄様ですか?今日は朝からずっと調理場にいたのですが見てないですね」

 

流琉は首をかしげ、思い出しながら二人にそう伝える。

 

「そうですか・・・分かりました。他を探します」

 

「もし、見かけたら月が探してたって伝えてくれないかしら」

 

「分かりました!一応、季衣にも伝えときますね」

 

流琉に用件を伝えると、二人は再び一刀を探しに城庭に駆けていった。

 

そして、二人は城庭に到着し、あたりを見回すも一刀の姿は見当たらない。

 

とうとう心配になってきた月は詠に何も話しかけることなく、一心に一刀の姿を探し始めた。

 

詠も月の後を追いながら、一刀を探す。

 

東屋、城壁上、王座の間、執務室と探したがそれでも見つけることができなかった。

 

「ちょ、ちょっと待って、月!」

 

「はぁ、はぁ・・・」

 

月は息をきらしながら、詠の言葉を聞いて立ち止まった。

 

「ご、ご主人様。はぁ、はぁ、どこにいらっしゃるのかな」

 

「もう部屋に戻ってるかもしれないわ。一度戻ってみましょう」

 

「そ、そうだね。詠ちゃん・・・、はぁ」

 

詠は月の身体を心配しながら、一刀の部屋に戻っていった。

 

 

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しかし、一刀はまだ部屋に戻っていなかった。

 

「おかしいわね。もう!あいつはどこにいったのよ!!」

 

どこを探してもいない。そのことに詠は少し苛立ちの表情を浮かべた。

 

だが、そのあと心配そうな表情にかわる。

 

「やっぱり、おかしいよね?桃香様に報告してみようか?」

 

「そうね、あと華琳と蓮華にもね。あの人たちならなんか知ってるかもしれないし」

 

月の体調が整った後、二人はすぐに三国の王に報告に向かった。

 

「でも、急にどうしたのかしら?」

 

「そうだよね、お仕事で出かけられているなら私たちにも報告があるだろうし・・・」

 

三国が統一した後、月と詠は一刀の政務の手伝いをしている。

 

そのため、何らかの仕事で出かける場合は、二人に報告がくるはずなのである。

 

「まぁ、とりあえず急ぎましょう。あっ! やっぱり急がずに行きましょう!」

 

「ふふっ、ありがとう詠ちゃん。でも、もう大丈夫だから」

 

詠は月を心配しつつ、三国の王達に会いに行くのであった。

 

一抹の不安を抱えながら・・・

 

END

 

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あとがき

 

どうもです。

 

ご閲覧いただきありがとうございます。

 

まだまだ序盤なんですが、早くも苦戦中・・・

 

プロットはできてるつもりなんですが、文章がね

 

キャラ崩壊とかもできるだけさせたくないし・・・(一部除く)

 

がんばって生きたいなぁ〜

 

じゃなくて、

 

がんばっていきたいと思います。

 

 

 

 

では、ちょっとだけ次の予告を

 

 

一刀がいない・・・

 

心配でたまらない

 

この不安を早く払拭したい・・・

 

そのため、メイド二人は各国の王に確認に向かうのだが

 

果たして、有力な情報は訊けるのか・・・

 

次回  第1章 「行方不明」 後編  不安の連鎖

 

 

 

では、これで失礼します。

 

説明
どうもです。
黒天編 第1章 前編です。
一話でまとめるつもりだったんですが・・・
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コメント
kurei様、コメントありがとうございます。私はミステリー小説や推理小説も好きなのでそういう感じになっちゃったんだと思います。この作品にも少しですが、謎をチラつかせてますのでぜひ見つけてみてください(salfa)
アカツキ様、秋月様、その期待にこたえられるようにがんばっていきたいと思います(salfa)
久々にミステリーを読んでいるようなドキドキ感です!続きに期待!(kurei)
期待大!次話を待ちます。(アカツキ)
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真・恋姫無双 恋姫無双 黒天編   

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