真・恋姫†無双〜赤龍伝〜第30話「寿春城の戦い 鴉(二)」 |
真・恋姫†無双〜赤龍伝〜第30話「寿春城の戦い 鴉(二)」
赤斗と鴉以外、何が起きたのか分からなかった。
気がつけば、火蓮が仰向けに倒れていたのである。
鴉「任務完了〜♪」
そう言って鴉は去って行った。
赤斗「火蓮さん!!」
何が起きたか理解している赤斗が、倒れた火蓮のもとに駆け寄る。
火蓮の腹部からは血が次々と流れてくる。
蓮華「え? ………母…様?」
未だに何が起きたか理解できない蓮華が、ただ立ち尽くしている。
赤斗「蓮華っ! 何ぼーとしてるんだ! 止血だ、手伝え!!」
蓮華「ぁ…あ…、あぁ…うわああああああーーーーーっ!! 母様ーーーーっ!!」
蓮華は取り乱し、火蓮に近づこうとした。しかし……
雪蓮「蓮華っ!!」
雪蓮が、取り乱した蓮華の頬を平手で叩いた。
蓮華「ね、姉さ…ま。何を?」
雪蓮「落ち着きなさい。赤斗の邪魔をするつもりなの!?」
蓮華「あっ……」
赤斗「……雪蓮」
雪蓮「赤斗。いったい何が起きたのか分かっているんでしょ?」
止血をしている赤斗の横に、雪蓮がきて冷静に尋ねた。
赤斗「ああ、鴉が持っていたのは、……天の世界の武器だ」
雪蓮「天の世界の……。でも、どうして母様が倒れているのよ?」
赤斗「その説明はあとでするよ。今は手当が先だ!」
藍里「居ました。冥琳様」
冥琳「何かあったのか?」
そこに冥琳、藍里、思春が騒ぎを聞きつけやってきた。
冥琳「火蓮様!! 一体何があったのだ?」
赤斗「今、止血をした。冥琳、藍里。今から言うことをよく聞いてくれ」
赤斗「今、僕が言ったことを医者に伝えて、治療をしてもらってくれ!」
冥琳「分かった」
赤斗は、知る限りの治療方法を冥琳と藍里の二人に伝えると立ち上がった。
藍里「赤斗様?」
冥琳「どこに行く気だ?」
赤斗「……鴉を追いかける」
雪蓮「私も行くわよ!」
蓮華「私もだ!」
赤斗「駄目だ! 相手は天の世界の武器を持っている。それに対処できるのは、僕だけだ。……雪蓮と蓮華は、火蓮さんのそばに居てあげてくれ」
蓮華「赤斗……」
赤斗「行ってくる。“疾風”」
そう言って赤斗は疾風を使い、鴉のあとを追った。
雪蓮「……赤斗」
藍里「雪蓮様、蓮華様。早く火蓮様を医者のもとに!」
蓮華「ああ、分かった」
雪蓮「……蓮華。母様のこと頼んだわよ」
冥琳「雪蓮。まさか!」
雪蓮「赤斗のあとを追うわ」
蓮華「姉様!?」
冥琳「待て、雪蓮!」
蓮華たちの制止を振り切り、雪蓮は赤斗のあとを追いかけて行った。
鴉が通ったであろう通路を駆け抜け、裏門を抜けて外に出る。
そして、遂に鴉の後姿を見つけた。
赤斗「……………鴉っ!!」
鴉「ん?」
振り向いた鴉の顔を、思いっきり殴りつけた。
鴉「がっ!!」
殴られた鴉は吹っ飛んだ。
赤斗「あっ。しまった。烈火で強化しておけば良かった……」
鴉「痛ってー」
殴られた左頬を擦りながら、鴉は立ち上がった。
赤斗「お前には聞きたいことが山ほどあるけど、まずは死なない程度にぶん殴る!!」
鴉「……もう一発も殴らせる訳ないだろう」
鴉は再び懐から黒い鉄の塊を、“回転式拳銃”を取りだした。
赤斗「お前、それを何処で手に入れた?」
鴉「ん、これは貰い物さ」
赤斗「貰った? 誰から貰ったんだ? 答えろ!!」
鴉「それは教えられないな。教えたら俺が殺される」
赤斗「なら、力ずくでも答えて貰う」
赤斗は花天と月影を抜いた。
鴉「力づく? 君、これがどういう物か分かってる?」
手に持った回転式拳銃をちらつかせる。
赤斗「分かっているさ。……天の世界の武器だしね」
鴉「へぇー。……ならば、これの恐ろしさも分かるな?」
鴉は、自分の持っている武器が天の世界の武器であることに驚いたが、驚きを隠して銃口を赤斗に向けた。
赤斗「ああ」
鴉「君をどうしろとは、命令されていない。けど、ついでだから君を連れて帰るとするか」
赤斗「何だと……」
赤斗は身構える。
鴉「大人しく来るなら良し。抵抗するなら、その手足を撃ち抜いて連れて帰る。……さあ、どうする?」
赤斗「……断る。だけど、黒幕のことは話してもらうぞ!!」
鴉「君、馬鹿だな」
そう言って鴉は、赤斗の両足に向けて発砲した。
“ パン パン ”
雪蓮「今の音!?」
思春「近いようですね」
雪蓮「思春! 来たんだ」
思春「はい」
雪蓮「急ぎましょう。嫌な予感がするわ」
思春「はっ」
鴉「何っ! 消えただと!……ちっ!」
赤斗の両足を狙った弾丸は外れたことに、鴉は驚く。そして、後の気配を察知して、その場から離れた。
鴉「いつの間に後に……?」
赤斗は、鴉の視線や銃口の角度から弾道を計算した。そして、独特のステップで残像を残して、相手の死角に入り込む秘技“陽炎”を使った。
太史慈との戦いで勝利したのも、“陽炎”のおかげだった。
赤斗「僕が学んでいる流派には、拳銃への対処方法もある。お前には負けないよ」
鴉「くそー」
“ パン パン ”
鴉は再び2発、発砲した。しかし、赤斗は難なく躱した。
赤斗「あと一発」
鴉「なっ!」
赤斗「その様子だと、やはり弾の補充をしていないようだな」
鴉「ぐ……」
鴉目掛けて、赤斗が斬りかかろうと構える。
鴉(ちっ、どうする……弾の補充はさせてはくれないだろうし………いや、アイツをしとめるには……もっと何か………ん!)
ニヤリ
鴉は赤斗の後方を見て、笑みをこぼした。
赤斗「これで終わりだ!」
鴉「ふっ、君には当たらなくて、アイツらはどうだ!!」
赤斗「何っ!?」
鴉の銃口が赤斗ではなく、その後方に向けられた。
赤斗(アイツら? ……まさか!)
赤斗は後方を確認した。
そこには、こちらに向かって走って来る雪蓮と思春の姿が確認できた。
“ パン ”
最後の一発が発射された。
雪蓮「赤斗ーーっ!!」
思春「なっ……!」
雪蓮たちの目の前で、赤斗が倒れた。
雪蓮に向けて発射された弾丸を、赤斗は雪蓮を庇って、弾丸を左肩に受けたのである。
鴉「ふぅーー。……孫策、助かったよ。君たちが来なかったら、俺は敗れていたよ♪」
安堵した顔の鴉が、雪蓮に礼を言う。
雪蓮「貴様っ!」
雪蓮は鴉を睨みつけながら、剣を抜いた。
鴉「次は孫策が相手か?」
銃弾を補充しながら、鴉は尋ねた。
雪蓮「貴様は許さん!!」
思春「雪蓮様!」
雪蓮「思春、赤斗のことを頼むわよ」
思春「はっ! ……な……お、お前!?」
思春が赤斗に目を向けた瞬間、思春は驚いた。
さっきまで倒れていた赤斗が、立ち上がったからだ。
そして、その場に居た雪蓮、思春、鴉は悪寒を感じた。
赤斗から凄まじい殺気が放たれており、目は氷のように冷たかった。
雪蓮「……これって、母様と戦った時と一緒?」
赤斗は奥義“狂神”を発動させた状態になっていた。
思春「雪蓮様、お下がり下さい!」
思春が庇うように、雪蓮の前に出る。
鴉「何だ? さっきとは別人みたいだな」
鴉は、まだ状況が飲み込めていない。
雪蓮と思春は“狂神”が発動した赤斗を警戒する。
そして、赤斗が動く。
鴉「っ!!」
一気に鴉との間合いを詰めた赤斗は、鴉の顔を掴みそのまま頭を地面に叩きつけた。
そのまま鴉は動かなくなった。
次に赤斗は雪蓮たちの方に目を向ける。
思春「ここは私が!」
思春は剣を抜いて、赤斗に向かって行った。
雪蓮「思春、赤斗!」
赤斗は花天と月影を拾って、迎え撃つ。
思春「はああーーー!」
思春の斬撃が空を切る。
思春「これなら、どうだ!」
そう言って、思春は連続斬りを繰り出すが、またして思春の攻撃は空を切った。
次に赤斗が二振りの小太刀を、思春の首もとで交差させて、首を斬り落とそうと秘技“大蟹”を放つ。
思春は素早く反応して後方に避けたが、思春は左右の首もとを、浅くだが斬られてしまった。
雪蓮「思春っ!」
思春「だ、大丈夫で……うっ」
雪蓮に返事をした隙を突かれ、腹部を蹴り飛ばされた。
思春「うぅ」
腹を押さえながら、思春は立ち上がる。
雪蓮「思春。もういいわ。赤斗は私が止める」
思春「雪蓮様!」
赤斗と思春の間に、雪蓮が割って入る。
雪蓮「大丈夫。母様以外、赤斗を止められるのって、きっと私ぐらいよ」
赤斗は狙いを思春から、割って入ってきた雪蓮に移した。
雪蓮「さあ、来なさい!」
雪蓮が剣を構える。そして、赤斗が襲いかかろうとした。
しかし、その時、赤斗の身体が突如現れた鎖で封じられてしまった。
雪蓮「何よ。これ!?」
鴉「く、油断したな。でも、これで捕獲完了だ」
いつの間にか鴉は回復していた。その手には、かつて虎牢関の戦いで、張遼の動きを封じた鎖が握られていた。
雪蓮「鴉、貴様っ!」
赤斗「ぐるうぅぅっ」
赤斗は鎖から逃れようと暴れる。
雪蓮は鎖を斬ろうと剣を振り下ろす。しかし、鎖は無傷だった。
鴉「ムダムダ。その鎖は決して斬れない」
雪蓮「なら、貴様から斬るまでよ!」
雪蓮が鴉に斬りかかった。
鴉「おっと、危ない危ない。良い土産もできたし、残念だけど俺はこれで失礼するよ」
雪蓮「逃がすか!!」
再び、雪蓮が鴉に斬りかかろうとした瞬間、鴉は懐から黒い物体を取り出し放り投げた。
黒い物体から、凄まじい光と音が発せられた。
雪蓮「きゃ、眩しい!!」
思春「何だこれは!?」
鴉が放り投げた閃光弾が、辺り一面を光と音で満たした。
次第に光は収まる。
目が回復した雪蓮と思春は、辺りを見回したが、鴉と赤斗の姿は消えていた。
雪蓮「消えた!?」
思春「おのれぇ」
雪蓮と思春の顔には、悔しさが滲み出ていた。
つづく
〜あとがき〜
呂です。読んでくださって、ありがとうございます。
真・恋姫†無双〜赤龍伝〜に出てくるオリジナルキャラクターの紹介
オリジナルキャラクター@『風見赤斗』
姓 :風見(かざみ)
名 :赤斗(せきと)
字 :なし
真名:なし
武器:武器:花天と月影……二振りの日本刀(小太刀)。赤色の柄で赤銅の鞘に納まっているのが“花天”で、黒色の柄で黒塗りの鞘に納まっているのが“月影”。
本編主人公の少年。
この外史では“北郷一刀”が主人公ではありません。
火蓮によって保護され“江東の赤龍”という異名を付けられる。
古武術を学んでおり、その奥義を使えば恋姫の世界の武将とも闘えることができる。
学んでいる流派には、『全ての奥義を極めしとき、その身に龍の力が宿る。』という伝承がある。
奥義には“疾風”“浮葉”“流水”“月空”“烈火”“絶影”“龍鱗”“狂神”などがある。
今回は秘技“陽炎”と“大蟹”を使用。
“陽炎”独特のステップで残像を残して、相手の死角に入り込む技。
“大蟹(おおがざみ)”二振りの刀を首もとで交差させて、首を斬り落とす技。
能力値:統率?・武力4・知力4・政治?・魅力?
オリジナルキャラクターA『孫堅』
姓 :孫
名 :堅
字 :文台
真名:火蓮(かれん)
武器:南海覇王……やや長めの刀身を持つ、両刃の直刀。派手な装飾はないものの、孫家伝統の宝刀。
孫策(雪蓮)たちの母親。
身長173a。腰まで伸びる燃えるような赤い髪の持ち主。
血を見ると雪蓮以上に興奮してしまう。
孫尚香(小蓮)には非常に甘い。周りの人間が呆れるほどに甘い。
この外史“赤龍伝”では孫堅は死んでいない。
能力値:統率5・武力5・知力3・政治4・魅力5
オリジナルキャラクターB『諸葛瑾』
姓 :諸葛
名 :瑾
字 :子瑜
真名:藍里(あいり)
武器:不明
諸葛亮(朱里)の姉。
諸葛亮(朱里)とは違い、長身で胸も大きい女性。髪は金髪でポニーテール。
温厚で気配りのできる性格で、面倒見も良い。赤斗の世話役として補佐につく。
一時は、自分たちとは違う考え方や知識を持つ赤斗に恐怖心を持っていた。
政治、軍事、外交と様々な仕事をこなすが、朱里には僅かに及ばない。
能力値:統率3・武力1・知力4・政治4・魅力4
オリジナルキャラクターC『太史慈』
姓 :太史
名 :慈
字 :子義
真名:嶺上(りんしゃん)
武器:雷電(らいでん)……二本の小型の戟。
非常に勇猛かつ、約束に律儀な武将。銀髪レゲエの女性。
孫策(雪蓮)と一騎打ちして引き分けたことがある。
それ以来、孫策の喧嘩友達になっており、よく喧嘩をしている。
また、諸葛瑾(藍里)と仲が良い。
弓の名手でもあり、その腕は百発百中。
能力値:統率4・武力4・知力3・政治2・魅力3
※能力値は「5」が最高だが、呂布の武力と劉備の魅力は「6」で規格外。
説明 | ||
この作品は、基本的に呉√にそっては行きますが、主人公も含めてオリジナルキャラクターが出てきます。 未熟なため文章におかしな部分が多々あるとは思いますが、長い目で見てくださると助かります。 |
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コメント | ||
言うとおりにしてれば赤斗はつれてかれなかったのに。認知できないのに無理するからこうなるんだよ(VVV計画の被験者) あ〜あ・・・赤斗の言うとおりに来なかったら勝っていたのに・・・余計な事をしたな二人とも。(スターダスト) 流石に弾の補充はダメでしょう、鴉クンwwwww(三郎べぇ=昌鹿毛) |
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