真・恋姫†無双 武と知の2人の御遣い伝 拠点1 |
この物語は真・恋姫†無双という外史に、
別作品から1人ある人が来たいう設定です。
作者である私、黒山羊が原作を何度も読み返し、
登場人物を原作通りにしたつもりです。
ですが、解釈が幾らでも可能であるように、登場人物が皆様のご期待にそえるかどうかはわかりません。
また、作者は関西人なので、気をつけているつもりですが、
セリフが関西弁臭くなってしまうかもしれません。
あらかじめご了承ください。
読者の皆様が楽しめたら幸いです。
一刀拠点 桃香√
そういえば、関羽さんは劉備さんのことを違う名前で呼んでたよな。
確か・・・・・桃香・・・・だっけ?
あれってなんだろう?この薪を運び終わったら聞いてみるか。
・
・
・
ふぅー。結構重労働だな。
あ!あそこで洗濯している。
俺は劉備さんに話しかける
「なぁ、劉備さん。」
「なぁーに、北郷様?」
「洗濯続けながらで良いよ。でも・・・・その・・北郷様って何?」
「え!北郷様は御使い様だから、北郷様だよ。」
「それ止める気はない?」
「えー?何で? 北郷様は天の御使い様なんだよ。私達を平和へと導いてくれるんだよ。
それに、この呼び方の方が御使い様って感じがするしね。ねぇ。」
「ダメダメ。俺そんなすごい人じゃないし、」
「うぅーー。」
う、可愛い・・。
頬を膨らまして、腕を振って、上目づかいでコッチを見るな。駄々っ子交渉術を使うな。
このままだと俺の中の保護欲が暴走する。
思わず抱きしめたくなる。思わず「うん」と言いたくなる・
「そ・そんな仕草をしてもダメなものはダメです/////」
やばい。このままだと、向こうのペースだ。強引にでも話を戻そう。
「えぇ――っと。さっき、関羽さんが劉備さんのことをなんか別の名前で呼んでたけど、あれって何?」
「え? 真名だよ。 知らない?」
「真名?」
「知らないんだ。 やっぱり愛紗ちゃんの言う通り、北郷様はこの大陸の人じゃないんだね。」
また、北郷様って・・・
ここで、注意すれば無限ループだ。
今は無視無視。
「あのね。真名は『真』なる『名』だよ。その人の全てを表現した神聖なる名前。だから、勝手に呼んだら駄目なんだよ。
へへ、知を司る白の御使い様に知識を教えるって、ちょっと優越感。」
そう言って、嬉しそうにサムズアップする劉備さん。
真なる名か・・。日本でいうところの忌み名ってところだろうか。
なんか良いなそれ。
「そうだ。北郷様は知の御使い様なんだから、真名を預けるね。」
「え? いいのか? 神聖な名前なんだろ?」
「うん。だって、知の御使い様は悪い人じゃなさそうだし、」
そんな、神聖なる真名を勘で預けていいのか?劉備さん?
本当に真名は神聖なのか?
「私の真名は桃香。 桃の香りって書いて桃香だよ。」
「優しい良い名前だな。」
「うん。 私も自分の真名が好き。だから、これからは桃香って呼んでねぇ、北郷様!」
「分かったよ。桃香。ところで、やめない?北郷様っての。」
「うーーーー。」
ヤバイまただ。駄々っ子交渉術。
このままでは無限ループだ。
ここは強引にでも、ダメと言いきらねば、
俺はNOと言える日本人。
そうだ。俺はNOと言える!
「ダメダメ。」
「本当に?」
「ダメったらダメです。」
なんか俺と桃香が教育ママと駄々っ子みたいになってきた。
ここで、なんとか「北郷様」って呼ばれる現状を打破しないと。
「うーーーーー。」
止めろ。止めろ。止めろ。
このままだと・・・・
「だったら―だったら――。」
と、目を輝かせて、
「ご主人様!」
ご主人様―。
ご主人様――。
ご主人様―――。
俺の耳の中で反響した。
考えろ! 北郷一刀!
何故?ご主人様?北郷様とそう変わらないではないか?
待てよ・・・。その前に御使い様=俺は桃香以上の存在って桃香の中では決定事項なってしまっている。クソォ―――、あの時にそれを否定するべきだった。つまり、この先、桃香が俺を呼び捨てすることはおそらく不可能だ。
だったら、せめて「北郷さん」か「一刀さん」に無理やりにでも変えて、時間をかけて後々、『一刀』に変えてやる。こんな可愛い娘に下の名で呼ばれたいし、
「なぁ―、桃香。」
「何?ご主人様?」
「せめて、『ご主人様』から『北郷さん』か『一刀さん』に変え―」
「ご主人様!」
「だから、ほ―。」
「ご主人様!」
「桃―」
「ご主人様!」
あ、なんか、ご主人様でもよくなってきたかも、ご主人様ってやっぱりいい響きだな。
洗脳されたか?どうでも良いや。世間体とか―。
こんな可愛い娘に「ご主人様」ってやっぱり良いわぁ〜。
あはは―あはははははは――――。
こうして、桃香は俺こと北郷一刀をご主人様と呼ぶようになった。
さらに、関羽も伝染したのか、関羽も俺に『愛紗』という真名を預け、俺をご主人様と呼ぶようになった。
張飛も俺に『鈴々』という真名を預けたが、今まで通り、『お兄ちゃん』と呼んでくれる。
幸い、ジェネシスさんには感染しなかったようで、今まで通り彼は俺を『北郷』と呼んでくれる。ジェネシスさんが俺を『ご主人様』って呼んだらどうしようと考えたが、思考開始直後、気分が悪くなったので止めたが、なんとかなったようだ。まぁ、ジェネシスさんの雰囲気だとそんなことはなさそうだ。
ってか、桃香!俺もジェネシスさんも桃香の中では「御使い様」って奴なのに、
俺はご主人様で、ジェネシスさんがジェネシスさんってその判断基準って何?
まぁ、俺もご主人様って呼ばれるのがうれしくなってきてしまっているから良いけど・・・。
一刀視点 愛紗√
俺は今、襲われた村の復旧活動をしていた。
あの日、俺が目を覚ます直後まで、復旧作業がなされていたらしいが、区切りがつき日が暮れてきたので、その日の復旧作業が終了しただけで、復旧活動そのものが終了したわけではなかった。
そのため、今俺は復旧活動を行っている。具体的な復旧作業の内容は、各村民達の家、田畑、寺の塀、戦死した村民の埋葬等である。賊の死体は村の南の広場に集めてあの日に焼いたらしい。
そして、俺の担当は復旧作業する村民に出す炊き出しの手伝いだ。
つまり、今俺は包丁で野菜を切っている。
この村は結構人が多い。だから、炊き出しの量もメチャクチャ多い。
脳内で歌を歌いながら、野菜を切っていたら、森から愛紗が出てきた。
炊き出し用の薪を確保するため、木を切っていたらしく、背中には大量の薪を固定したものを担いでおり、右手には彼女の青龍偃月刀が握られていた。
俺は愛紗に声をかける。
「愛紗、ご苦労さん。」
「ご主人様こそ、ご苦労様です。」
「どうしたの?それ?」
愛紗の右の二の腕からは少し血が出ていた。
そんなに大きな傷では無かったが、少し痛そうだった。
「えぇ、先ほど山の草で切ってしまいまして」
「まぁ、念のために、消毒ぐらいはしとこうか。」
「そんなぁ。大丈夫ですよ。ご主人様!」
俺は愛紗の言葉を無視して、料理班の女性から少しだけ酒を貰い、もっていたハンカチに浸みこませると愛紗の切り傷のところに巻き、端を結ぼうとした。
結ぼうとしたら、愛紗の腕が震えていたので、ふと顔を上げると、愛紗は何故か顔が赤くなっていた。
「ご・ごご・・・ご主人様」
「どうしたの、愛紗?顔赤いよ?」
「私は武に長けた者です。
この程度、放っておいてもすぐ気合いで治ります。
それに、この布に私の血でシミができてしまいますので、お止めください。」
「シミぐらい大丈夫。それに治療できるのに、可愛い女の娘の怪我を放っておくこと、俺にはできないよ。」
「!!!」
愛紗は顔が更に真っ赤になる。
昔、俺がかかった「リンゴ病」のようだ。
「ご主人様!私が可愛いとは・・・。 私を女扱いしないでいただきたい!
私は武人なのですよ!!」
「えぇ?でも、愛紗は武人かもしれないけど、その前に女の娘だよ。(ニコッ)」
そういうと愛紗は固まった。
震えが止まったおかげで、ハンカチが結びやすくなった。
「ほら、終わったよ。」
「あ…ありがとうございます/////」
そういうと、愛紗は走って去ってしまった。
愛紗さん、声裏返ってましたよ。
大丈夫ですか?そんなに顔を真っ赤にして、声が裏返ってたら、誰でも心配しますよ。
後日、愛紗が俺のハンカチと睨めっこしているのを見て、「どうしたの?」と聞いたら、愛紗が顔をまた真っ赤にして、青龍偃月刀のみねで俺に殴り掛かってきた。
何で? ガクッ
一刀視点 鈴々√
復旧作業も終わったので、村を散歩していたら、鈴々が村の子供達と遊んでいた。
普通の鬼ごっこをしていたようだが、鈴々の運動能力は並みの大人以上だ。鬼をすればすぐ終わり、逃げる方をすれば何時まで経っても終わらない。
村の子供達は「走るのが速い」とか「勝てないよう〜。」とか言いながら、半泣き状態だ。
俺は子供達が気の毒に思い、違う遊びを提案した。それは・・・・。
「「「竹蹴り?」」」
子供たちはハモった。
缶蹴りを教えようと思ったのだが、この時代に缶は無い。
よって、竹を切って、缶の形にしたのだ。遊びの名前も缶蹴りのままでは不自然なので、竹蹴りに代えた。
この遊びは体力だけではなく、頭脳も問われる。
鬼が缶から離れ過ぎては、缶を蹴られて負けてしまう。かといって、離れなければ、隠れてる人が見つからなず、時間がすぎ、時間内に見つけることは出来ない。
隠れている側は缶から離れ過ぎては缶を蹴れないし、不用意に近すぎては鬼に捕まってしまう。
これなら、鈴々に有利ではなくなるだろう。
だが、鈴々と子供達の反応は予想に反するものだった。
「うにゃぁ。天の国の遊びは頭を使うから、難しいのだ。」
「「うんうん。 難しいよ、もっと簡単な遊びがいいな。」」
ええええ――――――!!!!
却下ですか!?みなさん!?
仕方が無いので、俺の国の昔話をした。
桃太郎。浦島太郎。鶴の恩返し等など。
「桃から子供が産まれるわけないさかい。」
「カメが喋るわけ無いやん。」
「鶴が機織りするって、どんだけ手先器用やねん。」
ええええええ――――――!!!
俺は子供のために昔話をしたのに、子供に不満を言われた。
そうですよ。普通に考えたら、あり得ないですよ。君たちが言っている事は正論ですよ!
でも、君達そんなに頭がいいなら、竹蹴りの遊び方ぐらい理解して下さいよ。
俺此処にいる価値無しですか?ゴミムシですか?
なんか、俺の目から酸っぱい出汁が出てきそうな気がした。
グスン。
鈴々「でも、面白かったのだ。」
俺は救われた。俺はゴミムシじゃない!
さっきとは別の意味で目から出汁が出そうになった。
俺と目が合った鈴々は慌てて俺に聞いてくる。
「お兄ちゃん。どうしたのだ? どこか痛いの?」
「大丈夫だよ。 ちょっと嬉しかったから・・・。」
「嬉しくて泣きそうになるなんて、おにいちゃんは変わっているのだ。」
鈴々は満面の笑みだ。
これから、鈴々には戦乱が待っている。俺は鈴々のこの笑顔を護るために俺のできることをしようと思った。そんなある日の午後だった。
ジェネシス視点 桃香√
「『獣たちの戦いが世に終りをもたらす時
冥き空より 女神が舞い降りる
光と闇の翼を広げ
至福へと導く『贈り物』とともに』」
俺が賊の残党狩りや拠点探しのために村周りを散策している間に、村の復旧作業が終わったらしい。
俺は今この村で寝泊まりしている家の中で叙事詩LOVELESSを読んでいる。
この家は村長の家ではなく、つい最近空き家になった家らしい。
理由は夜逃げだそうだ。この地方を治める領主の税は重く、特に貧乏な彼らは払えなかった。こういった家族は大概、夫は兵役を課され北の異民族対策に使われ、女子供は税の穴埋めのために開墾などの強制労働をさせられると村長が北郷に言っているのを聞いた。
このままでは一家が離散する危機にさらされていたらしい。この家族は行方不明だ。
今のこの世界ではそう珍しくない話だという。
それより、この家の窓から視線を感じる。
劉備という女のようだ。桃色というには薄く、赤と言うには濃い、そんな髪をしており、左右で一部髪を纏め、そこに白い羽毛のような髪飾りを左右2つずつしている。服装は丈の短いスカートをはき、刺繍のこった服を着ている。年は北郷と同じぐらいだろう。背は北郷より少し低めだ。
そして、リンゴ農家がリンゴの出来を見るかのごとく、劉備は俺を観察している。
劉備、関羽、張飛は俺の名を上手く発音できないのか、俺のことを「ゼネシスさん」と呼んでいたが、昨日ぐらいから劉備は「ジェネシスさん」と呼べるようになった。
一昨日の夜この家の別室から「ゼ・・・ゼ・ズェネ・・、難しいなぁ・・ジェ・・、ジェネシスさん」と聞こえたのはおそらく気のせいではない。初めて劉備から「ジェネシスさん」と呼ばれた時にそのことを思い出した俺は失笑したことを思い出す。
俺は視線が気になりすぎたので、俺は劉備の方を見た。すると彼女は窓から顔が見えなくなったかと思うと、玄関からこの家の中に入り、俺の方に小走りで近寄ってきた。その動作はまるで子犬のようだ。彼女に尾があったのなら、おそらく千切れんばかりに、尾を振っているだろう。
彼女は俺の椅子の横で屈むと俺に話かけてきた。
「ジェネシスさんの声って、透き通っていて綺麗だね。」
「そうか。」
「ところで、何の本を呼んでいるの?」
劉備は俺の顔とLOVELESSを交互に見る。
俺はさっきまで読んでいた本の表表紙を見せた。
「ええ―っと、なんて読むのかな?ジェネシスさん。」
「LOVELESS」
「らぶれす? どういう意味?」
「愛が無いという意味だ。」
「悲しい題名だね。で、どんなお話なの?」
一瞬、悲しそうな顔をするが、表情を変え俺に聞いてくる。俺は俺なりの要約であらすじを劉備に教える。
「3人の男は世界を幸せにする『女神の贈り物』が何なのか、力を合わせ、その謎を解こうとする。しかし、戦場で1人は捕まり、1人は行方不明に、1人は英雄になった。」
「それで、それで。(ワクワク)」
顔の表情が二転三転するとは忙しいな、劉備という娘は。
俺もLOVELESSのおかげか普段に比べ、会話で口数が多くなる。
「捕まった男は脱走し、敵国で恋人ができる。だが、謎を解くため、男は愛している恋人の元より去る。そして、男は英雄になった友に合う。男は英雄の友に対する怒りで、友に決闘を申し込む。」
「そんなぁ・・・。
うんうん。続きは?(ドキドキ)」
「無い。」
「えぇ? どういうこと?結末は?」
「原作の最終章が見つかっていない。勝負の行く末も分からず終いだ」
「そう・・なんだ・・・。(しょんぼり)
LOVELESS最終章の欠落を劉備に伝えた。
「でも、皆幸せになれたよね?」
「どうかな?」
俺は視線を本に戻したが、劉備の声で俺は視線を劉備に戻すことになる。
「なれたよ!だって、その『女神の贈り物』は世界を幸せにするんでしょ!」
劉備は声を荒げて、いや、これは最早叫んでいるに近い。
「だったら、皆幸せにならないと可哀想だよ!
3人の男の人は最後には仲直りして、皆幸・・せにな・・・ったんだよ・・・・・。」
劉備の声はかすれている。目からは涙が溢れている。
家でたまたま見つけたLOVELESS、当時の幼い俺には文字が難しかったので、地主の父に読んで聞かせてもらった。俺も最初は、泣きそうになったものだ。
男が捕虜となるシーン
もう1人の男が行方不明になるシーン
捕虜が愛している恋人を捨て去るシーン
捕虜が怒り狂い、英雄に復讐を誓うシーン
俺も昔は同じような事を考えた。つまり皆のHAPPY ENDというやつだ。
だが、それではLOVELESSという題名に即していない結末となってしまうと俺は考えた。俺は何度も何度も読み返したが、俺は原作者でないため、幾ら最終章を考えても、それは俺の中でのLOVELESSであって、真なるLOVELESSでは無かった。
「そうか。 そういう結末かもな。」
俺はそう言葉が口から出た。単純に嬉しかったのだろう。LOVELESSに興味を持ってくれたこと、登場人物の幸せを願ったこと、こんなに感情的になったのはいつ以来だろうか?
まるで、俺に誇りを取り戻させたアイツと話しているようだ。なつかしさ、嬉しさ、騒がしさ、そんなものが入り混じった何かを俺は劉備から感じた。
俺は人とあまり話さず、人と居ることに苦を普段は感じるのだが、劉備とのLOVELESSの会話は苦ではなかった。
「そうだよ。絶対そうだよ。」
劉備は自分の服の袖で涙をふくと、笑顔で言って俺の手取った。
「じゃぁ、また聞かせてね。」
「あぁ。」
劉備は俺に一方的な約束をし、何処かに行ってしまった。
「約束のある明日か・・・・。悪くは無いな。」
この日、俺は初めて人間の母以外の女性の手を素手で触った。
ジェネシス視点 愛紗√
俺はこの村の賊の拠点を探していたが、見つからなかったため、村に戻ってきた。すると関羽が俺に決闘を申し込んできた。関羽曰く、俺が彼女より、強いということを彼女は認識できたが、実際どのぐらい強いのか、俺の強さがわからないため、それを測りたいらしい。
それより、彼女は初対面の時から俺に対してすごい警戒心を向け、モンスターのような目でジロジロと見てくる。俺は他人と接することに慣れていないので、正直うんざりしている。俺はそんなことされて喜ぶような変人でないつもりだ。
俺は腰にあるレイピアはでは無く、レイピアと同サイズの落ちていた木の棒を拾って、右手で持ち、構えた。
すると関羽は木の棒を払いのけて、俺の喉元に武器を突き付けた。俺は関羽から怒気を感じても殺気は感じなかったので何もしなかった。
関羽は大声で叫ぶ。
「ゼネシス殿!何のおつもりですか? 我が武を見下し、愚弄するおつもりか!」
関羽は俺の名前の発音が出来ていない。
それに、声が大きい、ミッドガルの中心部でこのような大声を出されたは、誰もが足を止め、こちらを見てくるだろう。この村で大声出されては近所迷惑も甚だしい。
「これは俺のためだ。」
「なんだと?」
「俺の誇り、夢そんなものだ。」
「誇り? 夢?」
「俺の親友に誇りがどうの、夢がどうのと五月蠅い奴が居た。
そいつはよく『誇りを持って剣をふれば英雄だが、誇りを持たない者が剣を振れば、それは所詮モンスターと同じだ。だから、誇りを持て、そして、夢も』と言っていた。俺は一度誇りも夢も失って初めてアイツの言っていたことが理解できた。」
「『もんすたー』とは何ですか?」
「異形の化け物だ。」
「ふむ。
しかし、今の話とゼネシス殿が剣を握らないのに、どのような関係が?」
「お前達が言うには俺は武の御使いとかいう奴らしい。」
「えぇ。そうです。」
「つまり、俺が俺の力によってこの世界を平和へと導くなら、むやみにこの世界の人を斬らぬようにしなければならない。無暗に斬り過ぎては、平和から遠のいていく、俺の中ではそう思ったからだ。だから、俺は平和の為にしか俺はこの剣を振るわない。
俺は平和目的以に外自分の剣を振るわない。これがこの世界における俺の誇りだ。俺の実力を測りたいなら、これで十分だ。」
俺は時計回りに回転しながら関羽の武器を木の棒で弾き、バックステップで関羽と距離をとった。関羽との距離は3,4メートルぐらい。
俺が誇りがどうのと関羽という女に説いている。説教臭いな、まるで俺の幼馴染やアイツのようだ。
そうこうしている内に、村民が騒ぎを聞きつけ、寄ってきた。「練習試合だ。」「喧嘩だ。」等様々な言葉が聞こえる。
「分かりました。
ですが、私は桃香様の志に感激し、従い、桃香様をこれまで護り抜いてきたという誇りがあります。
御使い様である貴方には悪いが、私は貴方を警戒している。貴方は不明な点が多すぎる。もし、貴方の導く平和と桃香様の言う平和に違いがあれば、今後桃香様に害をなすかも知れません。
そのためには、ここで貴方と戦い、話し、私は貴方を知る必要がある。」
「北郷も得体の知れない御使いだが?」
「ご主人様は血を見て気を失うような人だ。
それに私はご主人様と何度か話、ご主人様は今後この世界は戦乱に巻き込まれるから、争いの無い世界にしたいとおっしゃった。だから、私は北郷一刀をご主人様と認めた。」
「そうか。」
「えぇ、では関羽雲長参る。でやああああ!」
関羽はそう言うと攻撃してきた。彼女の最適な間合いは1m半から2mぐらいだ。
人間にしては、攻撃は鋭く、速い。ウータイ兵や神羅兵を優に超えている。だが、ソルジャーの俺はそれらを避け続ける。
右手に持った木の棒を回転させると、関羽に向かって跳び込んだ。
「烈日。 ハァ――!」
俺が昔使った技だ。
いつもの携帯している剣がなく、倒れている神羅兵が持っていた武器を使った時に編み出した技だ。
この技は通常右手にロッドを左手にショットガンを持ち使う技だ。敵の懐に飛び込みロッドで数度殴り、1m程垂直飛びし、空中でロッドとショットガンで数度、敵を真上と正面から連続攻撃し、最後にショットガンで吹っ飛ばすというのが、この技だ。
しかし当然ロッド、ショットガン2つともない。そのため、ロッドは先ほどの木の棒、そしてもう一本木の棒を拾い、左手に持ち、ショットガンを放つ代わりに、相手を突くことにした。
今回、武器はロッドとショットガンではなく、木の棒で、手加減はした。威力はかなり半減されているが、完璧に決まった。
決まったと同時に、2つの木の棒は霧散し、関羽は4メートル程飛んだ。
「何・・と・・・鋭く・・・・速い。」
関羽は武器を杖にして立ち上がり、言った。
正直俺は驚いた。ウータイ兵や神羅兵なら木の棒でも骨折や怪我等で1ヶ月入院ものの怪我を負わせたうえに、相手を気絶させるこの技を彼女は受けたにも関わらず、立ち上がったのだ。だが、俺を相手に戦えるほどの体力はもう無いようだ。
そして、彼女は降参の意思を示すかのように、その場に座り込み、両手を挙げた。彼女は彼女なりに誇りがあるようで不意打ちはしないだろうと俺は関羽に近づき、右手を差し出した。
「申し訳ない。」
関羽は手をとったが、立ち上がれないでいるようだ。
俺は関羽を抱きかかえると、借りている家へと歩く。「降ろしてください、ゼネシス殿」と関羽は言い、ジタバタしたが、「立てないのに、歩けると言っているのか?」と言うと関羽は沈黙した。
顔が赤いのは気のせいだろう。
ジェネシス視点 鈴々√
俺はつけられている。本人は隠れているつもりだろうが、俺にとっては見つけて下さいと言っているようなものだ。普通の人間ではわからないだろう。ソルジャーだと誰にかわからなくとも、つけられていること自体には気付くだろう。
高等生命体ジェノバ細胞を胎児期に移植された俺は通常の人間やソルジャーに比べ、感覚神経と運動神経が特別鋭いらしい。
後方10メートルぐらいからアイシャという奴からリンリンと呼ばれていた奴が居た。だが、村民達はこいつをチョウヒ様と呼んでいた。
あの二人は特別な関係なのだろうか、村民達と違う名で呼び合っている。今の俺にはどうでもいい。
それより、俺はこいつをまかなければならない。
なぜなら、俺には見られたくない秘密がある。これから、水浴びしようというのだ。見られるわけにはいかない。
これを見られたら最後、この村民は俺を畏怖し、俺を避けるようになるだろう。それだけなら、まだましだ。
問題は北郷の存在だ。村民が俺を畏怖すれば、当然連れの北郷のことも畏怖の対象となるだろう。そうなれば、情報の収集と現状の分析に支障をきたす。
そのためにも、俺はこいつの目の行き届かない所で水浴びをしなければならない。
「チッ!」
そうこうしている内に村の東側の川が見えてきた。川幅は4,5メートル。川底は結構深い。流れは急。俺は思い切って飛び込んだ。
ジャバ――ン!
俺は数十メートル程下流に流され、川から顔だけ出すと、声が聞こえてきた。
「うにゃにゃ!おじちゃんが川に飛び込んで、見失ってしまったのだ!」
おじちゃん 言うなぁ!!!!
俺はまだ、28だ! 断じておじさんではない!
俺は叫びたかったが、ここで叫んでは、アイツをまいた意味が無い。
俺はさらに下流へと流されていった。
岸に上がると服と剣の汚れは水流によって落ちたようだ。
俺は服を乾かした後、川沿いを歩き、村へと帰った。
その晩、俺はおじちゃんと延々と呼ばれる悪夢を見た。
隣の北郷はかなり心配したのか、翌朝声をかけてきた。
黒山羊です。
いかがでしたか?
カズピー種馬属性全開ですね。
ジェネシスはジェネシスで、普段クールな彼が今回桃香にデレましたなぁ。ってか鈴々ともっとからめよ!
ジェネシス=スノークールと思っていた人ごめんなさい。
この小説のネタ集めに、CCFF7をやってみたら、メールの内容に、クールとは違った一面が見えたので、このように書きました。
カズピーは書きやすかったが、ジェネシス書きにくい。
属性が相反するモノだからでしょう。
カズピーは可愛い娘は誰でも幾らでも愛せる種馬ヤローですが、
ジェネシスは友人は元の世界ではアンジールとセフィロスぐらいしかいなかったそうで、ソルジャーの中でもセフィロスとは別の意味で浮いていたそうです。そんな彼が桃香達と絡むのは難しく感じました。今後も、彼は所々デレるでしょう。
スノークールだと信じていた人ごめんなさい。彼はクーデレと判断しました。
次回はいよいよ桃園の誓いです。
史実では3人でした桃園の誓いに、2人の男はどう絡むのでしょう。
ほな、次回をお楽しみに
説明 | ||
「前回のあらすじ」 一刀とジェネシスは3人の女の娘から自分達がどういう世界にいるかを知る。そう、劉備、関羽、張飛が女という世界だ。 この事実に一刀は驚き、ジェネシスは平然と本を読んでる。 第1話 http://www.tinami.com/view/201495 前回のアンケートの結果、今回は拠点となりました。 桃園の誓いを楽しみにしていた「ヒトヤ犬」様、ごめんなさい。できるだけ、早くうpしますので、ちょい御待ちを。 では、今回、2人の男は恋姫達とどのように接し心を近づけていくのでしょう。 ジェネシスの年齢が出てきますが、俺の判断基準ですので、あしからず。 |
||
総閲覧数 | 閲覧ユーザー | 支援 |
4032 | 3588 | 22 |
コメント | ||
『ヒトヤ犬』さん、確かに「世界の幸せ≠人の幸せ」かもしれませんね。これは私の持論ですが、「人の幸せ≠世界の幸せ」→「人の幸せ≒世界の幸せ」になろうと変化していると思います。そうでなければ、世界はもっと早くに滅んでいると思います(聖槍雛里騎士団黒円卓・黒山羊) あくまで「世界」が幸せになるだけで「人」が幸せになるわけではない、世界は人のことではないから、多分世界は地球のことかな?多くの人にとって都合がいいことは世界にとっては害悪なことが多く、世界にとっていいことは人には都合の悪いことが多いように思います(ギミック・パペット ヒトヤ・ドッグ) 『よーぜふ』さん、御指摘ありがとうございます。確かにそうですなぁ。さっそく修正ッてきます。(聖槍雛里騎士団黒円卓・黒山羊) キューピー・・・もとい9p1行目「どうしたのと?」→「どうしたの?」 あと一刀がいぢめr・・・いぢられるあたりは1pにまとめてしまってもよろしいのでは? 総ページ数が多すぎると思います。(よーぜふ) なるほど。小説ならそうかもしれませんが、真・恋姫†無双の字幕を書いているつもりなので、形式としては、このままでいこうと思います。わざわざ、『砂のお城』様、御指摘ありがとうございます。(聖槍雛里騎士団黒円卓・黒山羊) すみません。顔年齢から推測しました。それから、プロジェクトGはセフィロスより前なので、年齢はジェネシス>アンジール>セフィロスのはずです。(聖槍雛里騎士団黒円卓・黒山羊) 年齢はびっくり!そんな年だったんだ・・・・じゃあセフィロスは30代後半か?(黄昏☆ハリマエ) |
||
タグ | ||
真・恋姫†無双 FF 一刀 | ||
黒山羊さんの作品一覧 |
MY メニュー |
ログイン
ログインするとコレクションと支援ができます。 |
(c)2018 - tinamini.com |