真・恋姫†無双 魏アフター 〜四方を守護せし御遣い達〜 第一話 |
一刀がこの世界に戻ってきて一週間が経ち、検査の為に入院していた一刀もすでに退院した。
そして、退院した一刀が最初に向かったのは北郷家。
一刀の実家である。
「何じゃ、一刀? 退院して帰宅したと思ったらすぐに道場に呼んだりして」
北郷家にある剣道場。
そこで一刀は祖父である北郷一斎を前に正座していた。
「……じいちゃん、俺に北郷流刀術『光翔』を教えて下さい」
「ほう……」
頭を下げる一刀に一斎は目を丸くする。
しかし、それはすぐに鋭いものに変わった。
「……何故、今更そんなことを頼む? お前は以前修行から逃げ出しただろう?」
「……強くなりたいから。大切な人達を守れるぐらい強く。……お願いします。『光翔』を教えて下さい……」
後ろで見ているだけの自分が嫌だから。
みんなを守れるようになりたいから。
更に深く、一刀は頭を下げる。
「……一刀、顔を上げろ」
「…………」
一斎の言葉に一刀は黙って頭を上げる。 同時に、その眼前に木刀が転がった。
見ると、一斎が木刀を正眼に構えている。
「木刀を取れ、一刀。お前の覚悟を見てやろう」
「……わかった」
頷き、一刀も木刀を正眼に構える。
「どこからでも来い」
「ふっ!」
一斎がそう言うのと同時に、一刀は駆け出す。
一気に一斎との距離を詰め、木刀を振り下ろす。
あの世界で過ごしたが故に、以前よりも格段に鋭さを増したその一撃を。
「甘い」
しかし、その一撃は一斎に軽く受け流された。
あの世界で一刀が春蘭の攻撃を受け流した時とは違う。
手応えが全く感じられない、完璧な受け流し。
「力に任せ過ぎだ、馬鹿もの」
「ぐ……っ!」
攻撃を受け流された一刀の背中に一斎の一撃が叩きつけられる。
一刀は吹き飛びながらも、なんとか受け身を取って立ち上がる。
背中が痛む。
だが、そんな事に気を取られては一斎に認めてはもらえない。
だから、一刀は再び駆け出す。
「はぁっ!」
先程とは違う、フェイントを混ぜた連撃。
だがそれも、一斎には通用しない。
「かは……っ!」
足を払われ、背中から地面に叩きつけられた。
今度は受け身も取れず、息ができなくなる。
「お前の覚悟はそんなものなのか?」
違う。
そう答えたいが、息ができなくては言葉も出ない。
なので、言葉の代わりに木刀を突き出す。
だが、そんな不安定な体制で放たれたそれが、一斎に当たる訳がない。
「がぁっ!」
突きを流し、一斎は一刀の胸を思いっきり踏みつける。
その衝撃に一刀は意識が飛びそうになる。
「まだ……ま……だ……!」
なんとか足を払いのけようと腕に力を込めるが、足は動かない。
そんな一刀に、一斎は嘲笑を浮かべ。
「その程度では、お前の守りたい大切な人達とやらも、たかが知れてるな」
そう、言い放った。
その言葉に、一刀の中で何かが切れた。
「…………に……な……!」
声を絞り出す。
しかし、その声は一斎には届かない。
「何だ? 聞こえんぞ」
「彼女達を……馬鹿にするなっ!!」
叫び、一刀は一斎を払いのける。
その勢いのまま起き上がり、一刀は一斎に斬りかかる。
「彼女達は! こんなに! 弱くない! 何も知らない癖に! 知ったような事を言うな!」
叫びながら、一刀は何度も斬りかかり。
しかし、その全てを一斎に受け流された。
……それが数十分は続いただろう。
既に一刀の攻撃から勢いは消え、立っているのもやっとという状態だ。
「彼女達は……俺なんかより……ずっと強いんだ……」
木刀は既に床に転がり、少しでも衝撃を加えれば倒れてしまうだろう。
それでも、一刀は涙を流しながらも倒れない。
「…………」
一斎は黙って木刀の柄で一刀の頭を軽く突く。
たったそれだけで、一刀は床に倒れた。
「はぁっ……はぁっ……!」
道場に一刀の激しい息遣いのみが響く。
そんな一刀を一斎は見下ろす。
「……お前の覚悟はわかった。お前がその人達をどれだけ大切に思っているかも」
「じゃあ……?」
「……ああ、お前に北郷流刀術『光翔』を教えよう」
その言葉に、一刀の顔に喜びが浮かぶ。
そんな一刀に、一斎は言葉を続ける。
「だが、その前にお前に話す事がある」
「話す事……?」
「ああ……北郷流刀術は一子相伝。これは知っているな?」
一斎の言葉に一刀は頷く。
「そして、既に北郷流はお前の義妹に教えている」
「え……!? それじゃあ、教えられないんじゃ……!」
思わず立ち上がる一刀。
一斎はそんな一刀に落ち着けと促し、座らせる。
「話を最後まで聞け。確かに本来ならお前に北郷流を教えることはできない……が、お前に教えることができる方法もある」
「その方法って……?」
再度尋ねる一刀の頭に木刀が叩きつけられる。
「いって〜……!」
「最後まで聞けと言ってるだろうが。……一刀よ。南条家、東方院家、西園寺家は知っているな?」
「あ、ああ。どこも幼馴染だし……」
そう答えながら、一刀は昔を思い出す。
ことあるごとに顔を真っ赤にしては殴ってくる同い年の少女。
よく活発な子が悪戯してはそれを真面目な子が怒り、それを無口な子が眺めていた年下の三つ子の少女達。
幼馴染達の中では一番年上で、少々過保護な所があってたまに暴走するが、面倒見の良い頼れるお姉さんといった感じの少女。
思い出してみると、あの世界の彼女達に負けず劣らず濃い連中だったなぁ。
確か彼女達も聖フランチェスカ学園に通っているのだったか……小学校以来一度も会っていないので定かではないが。
そう思いながら、一刀は苦笑いを浮かべる。
そんな一刀を気にせず、一斎は話を続ける。
「これに北郷を加えた四家の先祖は、同じ人物に師事していた。そして、そこで習ったことを発展させ、それぞれの家は独立した。そうして生まれたのが北郷流刀術『光翔』、南条流拳術『神無』、東方院流弓術『幻零』、西園寺流槍術『聖華』だ。そして、これらの流派も一子相伝だ。……だが、それぞれの後継者以外にも受け継ぐ事ができる者がいる」
一斎の言葉に一刀は知らず知らず唾を飲み込む。
「その四家に武術を教えた人物の家系……皇家の者になら、教えることができる」
「え……? でも、それじゃあ俺が教わるのは無理なんじゃ……?」
一刀の言葉に一斎は呆れたようにため息を吐く。
「……お前の母親の旧姓を言ってみろ」
「え? 母さんの旧姓って……皇でしょ? ……ああ、そういうことね」
「ようやく気付いたか、この馬鹿が。お前の母親……一恵さんは元々皇家の者だ。そして皇流総合武術の後継者でもある。……何の因果か、馬鹿息子に惚れて家に嫁入りしてきたがな。つまりだ。お前が皇流総合武術の後継者となれば、北郷流刀術を習うことができる。……まあ、それだけでなく南条流、東方院流、西園寺流、そして皇流も習わなくてはいけないがな。お前にその覚悟があるか、一刀?」
その問いに一刀は即答しようとする。
しかし、一斎の真剣な目を見て、言葉が出なくなる。
「…………」
自然と、一刀は目を閉じる。
同時に瞼に浮かんだのは一刀にとっての武の象徴。魏武の大剣、夏侯惇元譲――春蘭。
いつも後ろから見るしかなかったその姿の、隣に立ちたい。
「……ああ、ある。今度は逃げない」
「……そうか」
一刀の真剣な目を見て、一斎は笑みを浮かべる。
「わかった、他の三家や一恵さんには儂から話を通しておこう。ただし、修行は明日から行う。……ああ、それと皇流以外は四年で物にしろ」
「四年!? それはいくら何でも無茶じゃ……!」
「そうでないと、皇流の修行には耐えられん。……わかったな」
一斎の有無を言わさぬ口調に、一刀は頷く。
それを見てから、一斎は道場の出口へと向かう。
「そろそろ飯じゃ。お前も汗を流してから来い」
「あ、うん」
「……ああ、それと」
外に出た一斎が、出口から顔をのぞかせる。
それに一刀は首を傾げ。
「お前の大切な人達……彼女達、か。なかなかに色男じゃのお、一刀」
「なっ!?」
次の瞬間には、その顔を真っ赤に染めた。
〜後書き〜
いや、今回も短くてすいませんです、はい。
もっと長く書けるようになりたいなぁ……。
まだまだ序盤ですが、後書きついでにアンケートを取ろうと思います。
一刀が外史に戻った後、桂花をデレさせようか思案中なのですが……以下の選択肢から選んで下さい。
1.比率逆転、100%デレ。ツン?何それ美味しいの?状態
2.普段はツン。たまにデレ。正統派ツンデレ?状態
3.原作通り、100%ツン。デレなんて知りません。状態
たくさんの方に投票して頂けると嬉しいです。
それでは、また次回〜。
説明 | ||
第一話、投稿です。 ……あれ? オリヒロインが登場する筈だったのにな〜…ヒロインのヒの字も見えないやw おかしいなぁ……。 次話でやっとオリヒロインが出てきます。 上手く書けるかは分かりませんが、よろしくお願いします! |
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1(*´・ω・`)bかねー 続き〜 まだ〜?(十六夜 出雲) 1で!ところで、更新まだかなぁ。(迷い猫@翔) 1です(よしお) 1かな(ジン) 1でギャップを楽しまないと(TKS) 2でお願いします(an) 爺ちゃん・・・やっぱそう思うよねwwwwwww いや・・・申し訳ないが俺ケフィアあまり好きじゃないので任せます。(スターダスト) あえて1(2828) 2で! 1も見たいけど・・(くりっと) |
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