恋姫無双〜バレンタインパニック〜前日編
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華琳発案の『馬恋対陰』を発表してから六日後の事でございます。

つまり、明日はバレンタイン当日。場内では文官も武官もそわそわしております。

(やっぱり、どこの世界でも行動は変わらないんだなぁ)

 仲間と警邏の最中、貸すとは城での皆の落ち着きの無さにどこか懐かしさを思いだしておりました。

 ふと、そんなことを考えていますと自分の愛する彼女達の事を思い出しました。

(そう言えば、今日の皆どこかおかしかったな。やっぱり明日のせいか?)

 そう思うと、今日会った方々の奇妙さにお気づきになりました。

 

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「あれ、春蘭? どうしたんだ?」

 一刀が廊下を歩いていますと、どこか落ち着きのない春蘭がうろうろしております。声をかけてみると、ビクッと肩を震わせ、声のほうを振り向きました。そして一刀の姿を見つけるとますます挙動不審になりました。

「ほほほほ北郷! 何でここに!?」

「いや、だってここ俺の部屋の前」

 一刀の言う通り。ここは一刀の部屋の前。自分の部屋の前でうろうろされていたら誰だって不審に思います。

「だ、だから何だ!? べ、別にお前に用事があったわけではない!」

「いや、だから。ああ、もういいや」

「何だと! 私と話したくないというのか!?」

「何でそういう結論に達したんだよ!」

 二人でいつものようにギャーギャーと騒ぎ合っていると、静かな声が響きます。

「姉者に北郷。どうしたんだ?」

 いつ来たのでしょうか、秋蘭が仲裁するように間に割り込んできました。

「あ、秋蘭。いや、春蘭が俺の部屋の前に居たから、俺に何か用なのかと思って」

「何だ、そんな事か。それならそうと早く言え」

 馬鹿だな。と言わないばかりに呆れた表情を浮かべ、一刀に文句を言います。

「最初に聞いただろ!」

「お前の言葉は分かりずらい! もっと分かりやすく言え!」

「……秋蘭」

 どうにかしてもらおうと声をかけます。しかし、秋蘭はうっとりとしております。

「ああ、可愛いだろ?」

 幸せそうな顔をしている彼女に突っ込みを入れる気を失くしてしまった一刀は諦めてしましました。

「……もういい。それより秋蘭はどうしたんだ?」

「いや、二人の声が聞こえてきたので、一体どうしたのかと思ってな」

「そんなに響いてたか?」

「中庭まで届いていた。姉者が北郷を殺そうとしてるのかと思ったのだが」

 そうではないようだな。と安心し、ため息をつきました。

「それで、姉者一体どうしたんだ?」

「いや、明日のば……ば――」

「バレンタイン」

「そう、そのバレンタインで一刀に明日は何をく――」

 そこまで言った途端、秋蘭は素早く自分の姉の口をふさぎました。

 突然の行動に驚く二人でございます。

「ふ、ふうはん?(しゅ、秋蘭?)」

「どうしたんだ、一体?」

「すまない、北郷。私と姉者は華琳様に呼ばれていたんだ」

「そ、そうなのか?」

 秋蘭が忘れているなんて珍しい。と思いましたが、そんな日もあるのだろうと思いなおします。

「ああ、すまない。それと、明日は楽しみにしておく。姉者行こう」

「へ、明日? でも――」

 と、口に出しかけてから気付きました。

「あれ、春蘭が大人しくないか? 春蘭?」

 しかし、春蘭から返事はありません。

「ん? 姉者?」

 秋蘭も異変に気付きます。

「あ、秋蘭。鼻まで塞いでいるぞ!」

 そこには顔を青白くさせた春蘭の姿がありました。

「あ、姉者!?」

 慌てて、手を退けますが、そのまま倒れてしまいました。

「春蘭!」

 

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 次に会ったのは魏の頭脳、軍師三人組でした。

「ゲッ。何でここに居んのよ。この精液男。自分の精液で溺死しなさいよ」

「おや、お兄さん。どうしたのですか?」

「こんなところで会うとは珍しい」

 一番最初はともかく、後の二人の驚きは至極当然でございます。ここは書庫なのでございますから。

「少し、必要なあるんだ」

「だったら、さっさと取って居なくなってよ。あんたと同じ空気吸ってたら妊娠するでしょ!」

「しねえよ! 俺は病原菌かなにかか!?」

「そんなもんでしょ!」

「桂花ちゃん、お兄さんを一人占めするのはずるいのですよー」

 風の声にはっとすると、桂花は風の方を睨みました。

「だ、誰がこんな鬼畜な男を一人占めするのよ!」

「ひ、一人占め。一刀殿のあれが桂花殿だけの……プ、プハッ」

 その場に綺麗な赤いアーチの出来上がりでございます。

「はーい、稟ちゃん。トントンしますよ〜」

「フ、フガ」

 いつも通りの展開に一刀は冷静に鼻血が止まるのを待ちます。

「そう言えば、さっき春蘭達に会ったんだけど――」

 先ほど起きたことを話していきます。

「それでさ、春蘭達の様子がおかしかったんだけど何か知ってるか?」

 その言葉に一瞬、軍師達の顔色が変わります。

「さ、さぁ? わ、私は知らないわ。北郷の気のせいじゃない?」

「私も知りませんね」

「おうおう兄ちゃん。野暮な事は聞くもんじゃねえぜ。女心ってのを知らねえのかい?」

「駄目ですよ、宝ャ。真実は時に人を傷つけてしまうのですよ」

 どうも、おかしな軍師に一刀は不審な目を向けてしまいます。

「おかしい」

 一刀のつぶやきに稟が恐る恐る尋ねます。

「な、何がです?」

 リンの質問に一刀が答えます。

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「桂花が普通に返事を返してきたことだ。いつもの桂花なら『そんなこと知るはずないでしょ! 

何で私があんな脳筋のことを知っとかなきゃならないのよ!もし、知ってたとしてもあんたなんかに教えるもんですか! あ、でも死んでくれたら考えてあげてもいいわよ』ぐらい言いそうなもんだろ」

 一刀の言葉に明らかにほっとした軍師達ですが、一刀は気付きません。

「桂花、体調でも悪いのか?」

「はぁ!? 何で――」

「そ、そうなのです。今日は少し体調が良くないようでして」

「そうなのですよー。それなのに桂花ちゃんたら華琳様に褒めてもらおうと頑張っちゃいまして」

「ちょ、ちょっとそんなこと――」

「桂花殿、少々こちらへ」

「な、なによ」

 妙に怖い顔をした稟はずりずりと桂花を引きずって書庫の棚の裏に消えた。

時折、「華琳様のご命令」「バレンタイン」「贈り物」「楽しみ」等の単語が聞こえてきます。

「なぁ、いいのか?」

「いいのですよ〜。でもお兄さん?」

「何だ?」

「桂花ちゃんの話題ばかっりはずるいのですよ〜」

「悪い、悪い。じゃあさ、治水についての資料がほしいんだけど、どこにあるか分かる?」

「む〜。お兄さんは意地悪です〜。風は虐められて喜ぶ女の子じゃないですよ」

 頬をかすかに膨らませ、文句を言いますが、一刀はキョトンとするだけです。

「え? 何か悪かった?」

「別にいいですー。では治水ですね。どうぞこちらですよ」

 近くの棚から書簡を取り出し渡しますが、どことなく乱暴なのは怒りが現れているからでしょうか。

「おうおう兄ちゃん。明日は簡単なものだったら許さねえぜ?」

「宝ャ、駄目ですよ。そんな事言っちゃ、お兄さんが可哀想ですよ? それでは、お兄さんまた明日」

「あ、ああ。じゃあまた明日」

 風の怒気に気圧されるように出ていく一刀でした。

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 どうもすいません。遅筆で有名(自称)なくらのです。皆さん。お久しぶりの方はお久しぶりでございます。初めての方はどうも初めまして。

 さて、バレンタインもとっくの昔に過ぎたというのに、いまだ書きあがらないのは自分の腕の悪さのためでしょうか。さて、今回はバレンタインの前日のお話。少しばかし、今後のために伏線を張っていますが、気がついた方はいますでしょうか? 前日のお話はもう少し続かせていただきます。といっても次あたりで前日は終わりですが。

 さて、それでは次の作品でお会いしましょう。それでは。See you next again!

 

 

説明
投稿遅くなり、おられるかどうか分かりませんが、お待ちの皆様に深くお詫びを。申し訳ありません。さて、前回の続きでございます。ごゆるりとお楽しみを。感想をいただけると至極恐悦にございます。
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コメント
>>よーぜふ様 大丈夫です! 春蘭は生きていますから! (くらの)
あ、姉者ー!!!w(よーぜふ)
タグ
真・恋姫無双  一刀 バレンタイン 

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