Revival Kingdom〜天下戦乱〜第三話 |
第三話「勇士、旅に出んとするのこと」
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西国について。
ほとんど、無法とも言える地域。
一昔前に氾濫があり、地域を治める「王」が空席となっている。
尚、一部の「領主」「市街町村長」は存在する。
荒れた大地や、岩山が特徴的な無骨な地域である。
昔は栄華を誇っていたという。
主な主食は小麦粉。パスタやパンなどが主である。
酒はワインなど。
南西部には「蜀州」と呼ばれる盆地があり、あまりの田舎すぎて、朝廷から忘れ去られているとか。
北西部に、一部この大陸の人間が存在していたが異民族により、地域を追われその民族は遊牧騎馬民族が大陸を遊牧しているらしい。
「本当に決心がついたのだな」
「はい、俺はこの大陸のために全身全霊を賭けて戦います」
「うむ、お主には不思議な雰囲気があるからな」
村の門にて、村人は三人を見送っていた。
共に戦ってくれた義勇兵達は、これからも訓練や、農作業を行う自警団を行うらしい。
よほどな数が無い限り、自衛できるだろう。
「リアナ殿、ヒューイとミイを頼みます」
「はい、私の命を掛けて護ります」
「うむ。頼もしい。ミイよ。お主も兄や姉を助けるのだぞ」
「うん!兄ちゃんや姉ちゃんはミイが護る!」
「ほっほっほ・・・」
二人の頼もしさに尊重から笑みが零れる。
「ヒューイよ」
「はい、これを持って行くといい。餞別じゃ」
「これは・・・」
手渡されたのは二本の対になる刀。
太陽の光を受けて輝くそれは見事な刀の反りを出し、詳しくない彼でも名刀に感じた。
唾のところには、ミイのお守りに使われた「青燕石」がふんだんに使われており、陽の光を受けて、海のように輝いている。
「鍛冶屋が一生の名刀といっとった。刀の名は「蒼燕」と言う。大切にしていやれ」
「ありがとうございます」
「それに、旅に必要じゃろう。これとあれとそれ・・・」
「おおう?」
次から次へとどんどん出される餞別に困惑する。
結局受け取ったのは、二日分の食料、外套、流通している硬貨を少し。
「ともかく頑張って来い」
「はい」
村人全員がヒューイを見る。
老若男女構わず、共に戦った仲間達、お世話になった老婆など。
「・・・っ」
思わず感動して涙が出そうなのは我慢する。
長くに渡ってお世話になり、成長し、生きてきた村。
ヒューイは頷く。
「皆、行ってくる。絶対に、ただいまって帰ってくるから」
「ああ!行ってこい!」
「いってらっしゃい!」
「達者でな!」
「ミイちゃんを護ってやれよ!」
「お幸せになー!」
・・・最後は何かが違う。
ヒューイは苦笑しながら、歩みだした。
共に、リアナとミイという仲間を加えて。
この三人は群雄割拠にて、名を上げていく。
どうなるかは分からないが・・・。
「・・・で」
「はい」
「どこに行くの?」
村を出てから、そんな単純な疑問が思い浮かぶ。
「そうですねえ。・・・まだ決めてはいませんね」
「とりあえず前に進むのだ!」
「ハハハ・・・どうしよっか」
「とりあえず西に進みましょう。西はほとんど無法地帯ですが、その反面通りやすいですし」
「村を出るなんて初めてなのだ!」
「確かにそうだなぁ。俺もあの時の桜地帯が初めてだったなぁ」
「・・・外に出たこと無いんですか?」
「まあね。近くの森で狩りをしていたり、農耕民族だったし」
「私は大陸一周しましたよ」
「すごいなぁ!どんな所に行った!?」
「・・・共に見て行きましょう」
「ええー?話くらい聞かせてよー」
「・・・そうですね・・・。客将をやったこともあります」
「すごいのだ!さすがお姉ちゃん!」
「うむ。・・・といっても百単位しか率いたことしかありませんが」
「十分凄いさ。俺なんて世間知らずの田舎者だぞ?」
「・・・とりあえず、大陸を回って、功名を手に入れる機会を探しますか」
世間から見れば三人はただのトリオにしか見えない。
「あ」
「どうしたリアナ?
突然、何かを思い出したように声を上げるリアナ。
「さっきの客将の話なのですが」
「うん」
「ここから二日くらいで、私が客将をやっていた街長の治める街があります」
「・・・で?」
「どこで客将として雇ってもらい、独立を手伝ってもらいましょう」
「おおー!」
「だけど、利用する形で気が進まないなぁ」
「大丈夫です。あのお方は豪快で人の見る目がありますから」
「・・・それって関係あるのか?
二日、途中、宿で休憩を鋏なら歩き続ける。
田舎者の二人は街を通るたびに「おおー!」と言ってはしゃいでいたのだが。
途中、盗賊といった匪賊を退けながらの行動だった。
「・・・そういえばリアナ」
「はい」
「いつ客将やってたの?」
「三年くらい前です」
「ぶっ!」
最近ではともかく、三年前という単位に吹いてしまうヒューイ。
忘れられているのですはないか、としか思いつかない。
城壁に囲まれている街に入り、城の入口にいる兵士に理由を話すと、兵士は慌てた様子を見せる。
「・・・やっぱり不審者に思われてるんじゃないの?」
「そんなはずがありませんよ。私が客将をやめる時に涙目で止めてきた方ですから」
「・・・よく覚えているな」
城の中から一人の青年が出てきた。青年といってもヒューイよりは年上なのだろうが。
「よく来たねリアナ」
「おや、孔信殿ではありませんか」
その孔信という青年の第一印象。
(人が優しそうだな・・・)
(優しすぎそうな兄ちゃんなのだ・・・)
その青年は、白髪を短く揃え、整った顔立ちをしている。・・・しかしそれくらいしか説明が出来なさそうである。
「父上殿は?」
「ああ・・・、親父は去年死んだよ」
「っ!?」
「盗賊討伐の時にね」
「こ、これは済まない」
「いや、いいんだ。・・・こんなところで話すのはあれだし、中においで」
三人は、孔信に連れられ、玉座に迎えられる。
「それで用は?ただの旧遊を深めるだけじゃないだろ?」
「はい、私たちを客将としていただきたいのです」
「・・・これまた、いきなりだね・・・」
孔信はヒューイとミイを見る。まるで珍しいものを見ているようであった。
「この二人は?」
「はい、このお方は私の主であり、義兄弟の契りで兄となったお方と妹です」
「ミイ・ヴィードっていうの!」
「ヒューイ・ピースです」
「「っ!!?」」
突然、孔信が玉座からひっくり返った。リアナは驚いた表情でミイを見ている。
「いつつつ・・・」
「大丈夫ですか?」
「ああ、なんとか・・・。ってピース姓といったら皇族の姓だし、ヴィード姓といったら伝説の武神の姓じゃないか!」
「ミイがぁー?」
「・・・私も知らなかった。まさかミイが武神の末裔だったとは・・・」
「兄ちゃんー」
「なに?」
「ミイはすごいの?」
「んー。すごいらしいねえ」
「いやいやすごいって!俺も書物で呼んだけど血は途絶えた!とか記述があるし!歴史的発見だぞ!」
「まあ孔信殿、このことは内密に」
「あ、ああ・・・。それでヒューイ殿の姓は?」
「ご主人様は初代皇帝の直系の末裔だ」
「っ!!?」
再びひっくり返った」
「またですか」
「そりゃあそうだろ!またまた歴史的発見だぞ!?」
「まあまあ、落ち着いてください」
「はぁ・・・」
孔信は落ち着かさせるように、再び玉座に座る。
「まあ客将に関しては親父からリアナの凄さは散々聞いている。ヒューイ殿とミイ殿の力量が分からない」
「お二人とあなたを比べたらあなたの方が強いでしょう」
「・・統率力は」
「あなたの方がいくらかマシでしょう」
「・・・経験は」
「ありません。三日前に少数の義勇軍を率いて、少数の盗賊を倒したくらいです」
「・・・また難しいのを連れてきたな・・・。まあ、いいけどさ」
(やっぱり人が良かった)
(優しいのだ)
「とりあえずミイは置いていってもらうとして・・・ヒューイ殿には補佐をつけるか」
「では良いのですね?」
「ああ、こちとら将が少なくて困ってたしさ。最近は何かと盗賊が多いから」
「ありがとうございます」
「・・・堅苦しいのはやめてくれ。俺は孔信。字は士奉だ」
「じゃあよろしく孔信」
「ああ、それが楽だ。よろしくなヒューイ。ミイ、リアナ」
「よろしくお願いします」
「よろしくなのだー!」
孔信は自分の人の良さに苦笑していた。
(やっぱり優しすぎるのかな俺・・・)
「じゃあ同じ客将同士に頼むか。趙遜!聞いてたのだろう」
「はい、ここに」
扉から入ってきたのは、ヒューイとそう歳の変わらない青年であった。
黒い髪を束ね、額には帯を回してある。今まで見たことのないような強い雰囲気を出している。背は高く、体格はたくましいながらも爽やかな雰囲気を兼ね備えていた。
「彼もここで客将をやっている」
「それがしは趙遜。字は子閃と申します」
「ヒューイ・ピースといいます」
「ミイはミイ・ヴィード!」
「私はリアナ・ウィングだ」
「っ!?」
一瞬、驚いた様子を見せる。
(扉越しには聞いていたが、この人物は・・・)
「じゃあ趙遜。彼らも参戦することになった」
「御意」
「今日は急な用事もないし、休んでくれ」
ヒューイ達は侍女に連れられ、各々の部屋に案内された。
「あー。疲れた・・・」
倒れこむようにヒューイはイスに座った。
すると、扉を叩く音が響く。
「どうぞー」
リアナだと思って現れたのは趙遜だった。
「あ、趙遜さん。どうなされたのですか?」
突然、膝ま付いた。
「!?(どこかで見たことのあるようなデジャブ!?)」
「ヒューイ様。どうか私を臣下の末席に加えてください!」
「えーと。ごめんなさい。話が読めない」
「あなたの雰囲気に惹かれたのです!大きな志をお持ちになられている様子!」
「確かに天下泰平の世は目指しているけど・・・」
「やはり!おれがしの主になってください」
ヒューイはあまりの迫力におどおどしながらも、落ち着きを取り戻し、口を開いた。
「駄目です」
「なぜですか!?」
ヒューイは膝ま付く趙遜を立たせ、再び口を開く。
「趙遜さん。あなたは今、孔信という主君の客将をやっています。その立場であるのに自分を選ぶというのは義に反するのではないでしょうか」
趙遜は打ち抜かれたような表情をする。
「もう少し。時を待ちましょう。俺なんてまだ強くも頭もいいわけではありませんから」
「はい・・・確かに」
趙遜はこの言葉に、微笑んでしまう。
(それがしの目に狂いは無かった!)
「では、まだ時を待ちましょう。ですが、それがしのことは呼べ捨てでどうぞ」
「あ、ああ。よろしくな趙遜」
「よろしくお願いしますヒューイ殿」
堅い握手を交わす二人。
「・・・出来れば俺も呼び捨ての方が・・・」
「いけませぬ!」
ともかくとして、孔士奉の客将となったヒューイ一行。
そして判明したミイの本性。
話は再び、うねり、混ざり、荒れて行く。
説明 | ||
第三話です〜。 最初に1ページ目は世界観の説明・・・ってことで。 少しグダグダで話の展開が速いのはお気になさらず・・・。 |
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