真・恋姫†無双〜赤龍伝〜第34話「許昌での出来事」 |
真・恋姫†無双〜赤龍伝〜第34話「許昌での出来事」
――――許昌――――
今日も赤斗は、玉座の間で曹操と話をしていた。
赤斗「………またか」
この頃、曹操と話していると、不意に殺気じみた敵意を感じることが多々ある。
曹操「どうかしたのかしら?」
赤斗「この頃、殺気みたいなものを、向けられているんだよね」
曹操「殺気とは、穏やかじゃないわね」
赤斗「今も、一瞬だけど感じたんだ」
この場にいるのは、赤斗と曹操。それに夏候惇と夏候淵の四人だけ。
赤斗「夏候惇じゃないよね?」
夏候惇「貴様、私を疑うのか!?」
赤斗「ごめん。違ったみたいだ」
夏候惇「ふんっ!」
赤斗は夏候惇を疑ったが、すぐに違うことが分かった。感じた殺気は夏候惇の敵意と比べると、まだ可愛いものだったからだ。
赤斗「誰かに恨まれているのかな?」
曹操「私たちではなく、あなたに向けられている。……なるほど、そういうこと♪」
赤斗「曹操。何か心当たりがあるのか?」
曹操「ふふふふ。さあ?」
曹操は笑っているが、答えてはくれない。そこに、また殺気を感じた。
赤斗「…………」
赤斗(そういえば曹操と話している時に、この殺気は感じるな………ならば)
赤斗「曹操。少し外で話さないか?」
曹操「外で? それは何故かしら?」
赤斗「良い天気だしね。中で話をしているよりも、良いかなと思ってね」
曹操「良いでしょう。中庭で話しましょうか」
赤斗、曹操、夏候惇、夏候淵の四人は、玉座から中庭に移動した。
曹操「さあ、どうするのかしら?」
曹操が期待するかのように赤斗を見る。夏候惇と夏候淵も、赤斗が不審な動きをしないか警戒しながら赤斗を見る。
赤斗「ここなら、すぐに分かるからね。“月空”」
赤斗が気を自分の周りに張り巡らせる。
夏候惇・夏候淵「!!」
曹操「何をしたのかしら?」
三人は辺りの変化に気がつく。
赤斗「ちょっと、殺気の主に罠を張ってみた」
曹操「罠?」
赤斗「そう罠。あとは罠に掛かるまで話をしていよう」
曹操「そう、分かったわ」
そして、二人は城の中庭で話をして待つことにした。
………10分後
曹操「あなたの世界は、こちらの世界と比べて、随分とものの考え方が柔軟のようね」
赤斗「まあね。……ん」
曹操「どうしたの?」
赤斗「……来た」
“月空”の範囲内に、殺気の主が侵入してきた。今は、赤斗のすぐ後ろの茂みの中に隠れている。
赤斗「はっ!」
隙を見て、赤斗が茂みの中に右手を突っ込んだ。そして、茂みの中から頭巾を被った少女を引きずり出した。
頭巾の少女「ちょっと何すんのよ。離しなさいよ!」
曹操「やはり、あなただったのね。桂花」
荀ケ「あ、華琳様。この汚らわしい男から、お助けください」
荀ケは赤斗に服の背中部分を掴まれて、まるで子猫のように宙に浮いている。
赤斗「曹操の部下か?」
曹操「ええ。軍師の荀ケよ」
赤斗「あの王佐の才の! その軍師の荀文若さんが、何で僕に殺気を放っていたのかな?」
荀ケ「あんたには関係ないでしょ! しかも何で私の字を知ってるのよ! いい加減、離しなさいよ! っていうか死になさいよ!」
赤斗「………すごい、元気……だね」
曹操「その娘は、私とあなたが話しているのが気に入らなかったようね」
赤斗「そうなの?」
荀ケ「あなたのせいで、華琳様の貴重な時間が無駄になっているのよ。っていうか私に話しかけないでよ。耳が腐るわ!」
赤斗「はいはい」
そう言って赤斗は荀ケを解放した。
荀ケ「きゃっ」
急に解放された荀ケが、上手く着地できずに尻もちをついた。
荀ケ「痛ーいっ! ちょっと、いきなり離さないでよ!!」
赤斗「…………文句が多いな」
曹操「ふふ……可愛いでしょ」
赤斗「そうかなぁ?」
赤斗(ツンデレならぬ、ツンツンな娘だな)
赤斗は荀ケを見てそう思った。
その日の夜。
赤斗「ごちそうさま」
部屋で赤斗は、典韋が作ってくれた夕食を食べ終える。
その後、休んでいると部屋に誰かがやってきた。
赤斗「ん。誰、 典韋か?」
張遼「せーきと。ウチやウチ♪」
部屋にやってきたのは、張遼だった。
赤斗「張遼。どうしたの? まさか、この前の約束を!?」
赤斗は、張遼と戦うという約束を思い出して、身構えた。
張遼「違う違う。今日はこれを持ってきたんや」
そう言って、張遼は酒瓶を見せた。
赤斗「酒…か」
張遼「そや。一緒に飲もうや♪」
赤斗「いいけど。僕はあまり飲めないぞ」
張遼「まあ、いいやないの。ほい、赤斗の分の杯や」
張遼が赤斗に杯を手渡して、酒を注いでくる。
張遼「ほな飲もうか」
赤斗「あ、ああ。そうだね」
二人同時に酒を口にした。
張遼「ぷは〜〜」
赤斗「ふう〜」
張遼「何や飲めないと言ったわりには、いい飲みっぷりやないの。ほれ、もう一杯」
空になった赤斗の杯に張遼が酒を注ぐ。
赤斗「あ、ありがとう。ほら張遼も」
赤斗も空の張遼の杯に酒を注ぎ返す。
張遼「お、おおきに」
そして、また二人同時に酒を飲み干す。
赤斗「ふー。そういえば張遼」
張遼「何やー?」
赤斗「いきなり、酒盛りなんてどうしたの?」
張遼「……別にーー、何もないで」
張遼はふて腐れたように答える。
赤斗(……何かあったな)
赤斗「良かったら話してみてよ。話せば気分も、少しは良くなるかもよ」
張遼「……ほんまにウチの話、聞いてくれるん?」
赤斗「張遼さえ、良ければね」
張遼「ほんまに?」
赤斗「ああ」
張遼「ほんなら。……聞いてや、赤斗!」
張遼は赤斗に話し始めた。
張遼「ウチの上司に、司馬懿っちゅう奴がおるんやけどな」
赤斗「……司馬懿」
張遼「その司馬懿が、これまた嫌な奴なんよ。嫌味をネチネチ言ってくるわ、色々仕事は押しつけてくるわ。本当に嫌な奴なんやっ!!」
赤斗「そ…そうですか。張遼さんも大変ですね」
赤斗は、張遼の勢いに押されてしまう。
張遼「そうなんよ。分かってくれるんやな」
赤斗「でも、張遼の上司って、司馬懿なんだ。知らなかったな」
張遼「ほんまに、嫌な奴の部下になってしまったで。虎牢関で司馬懿に………あれ?」
張遼の様子が、急に変わった。
赤斗「どうしたの?」
張遼「……ウチは気づいたら、司馬懿に連れられて華琳に降っていた……」
赤斗「張遼?」
張遼「ウチは虎牢関で………。何でや、何で思い出せへんのやっ!」
赤斗「落ち着け、張遼。飲みすぎたんじゃないの?」
張遼「………そうかもしれへんな。……ウチ、もう帰って寝ることにするわ」
赤斗「それがいいよ」
張遼「すまんな……赤斗」
赤斗「気にしなくていいよ。おやすみ」
そう言って、赤斗は張遼を見送った。
張遼「ウチ、一体どないしたんやろ……」
張遼は赤斗の部屋から、自分の部屋に戻る為、廊下を歩いていた。
歩きながら、虎牢関での出来事を思い出そうとしていた。しかし、虎牢関を賈駆と一緒に出撃してから、曹操に降るまでの間の出来事を、どうしても思い出せずにいた。
張遼「……何でや。……ん」
その時、廊下の先に一人の男が立っていることに気がつく。
張遼「司馬懿……か?」
司馬懿「…………」
司馬懿は黙ったままである。
張遼「何で黙ったままなんや? ……でも、ちょうど良かったわ。あんたに聞きたいことがあったんや」
司馬懿「…………」
張遼「虎牢関でウチに何をしたんや?」
司馬懿「はあー。…………術が甘かったですかねぇ」
司馬懿は張遼の質問に答えるのではなく、ため息をついて独り言を話した。
張遼「術? 術ってなんのことや!?」
司馬懿「あなたが知る必要はありません」
そう言って、司馬懿は張遼の前に掌を出した。そして、夜よりも暗い、黒い光が張遼の身体を包んだ。
張遼「なっ、何やこれは?」
黒い光は1〜2秒で収まった。
司馬懿「張遼よ。今宵あったことは忘れて、もう休め」
司馬懿は、黒い光から解放された張遼に命じた。
張遼「…………(コクッ)」
虎牢関の時と同様に、司馬懿の命令に張遼は無言で頷き、部屋に戻っていった。
司馬懿「……これは、お前の責任だぞ。鴉」
司馬懿は張遼を部屋に戻ったことを確認すると、誰もいない暗闇に向かって話しかける。
鴉「……すまなかった」
玄武「まさか、仲達様の術が破れかかるなんて……」
暗闇から鴉と玄武が姿を現した。
司馬懿「……想定外だったな」
玄武「これも全て、お前が風見を連れてきたせいだぞ」
鴉「すまなかったと言っただろ。それに仲達が…あいつのことを気にしていたから連れてきてやったんだ!」
玄武「馬鹿め! いきなり奴が仲達様のもとにいたら、誰だって不審に思うだろ。だから、わざわざ城門の前に捨てたんだぞ!」
司馬懿「よせ。騒がしいぞ。……もう済んだことだ。それと風見赤斗のことは、今は放っておけ。もう少し様子を見てみたい」
玄武「はっ」
鴉「…………」
司馬懿「風見赤斗……か」
騒がしかったのは、ほんの少しの間だけだった。今夜も静かに更けていった。
つづく
〜あとがき〜
呂です。読んでくださって、ありがとうございます。
真・恋姫†無双〜赤龍伝〜に出てくるオリジナルキャラクターの紹介
オリジナルキャラクター@『風見赤斗』
姓 :風見(かざみ)
名 :赤斗(せきと)
字 :なし
真名:なし
武器:花天と月影……二振りの日本刀(小太刀)。赤色の柄で赤銅の鞘に納まっているのが“花天”で、黒色の柄で黒塗りの鞘に納まっているのが“月影”。
本編主人公の少年。
身長168a。体重58`。年齢17歳。赤髪黒眼。
放課後に道場で古武術の達人である先生に稽古をつけてもらうのが日課だったが、ある日道場で黒尽くめの男に襲撃される。
その際、赤い光に包まれて恋姫の世界に飛ばされる。
死にかけていた所を、火蓮によって保護され“江東の赤龍”という異名を付けられる。
古武術 無双無限流を学んでおり、その奥義を使えば恋姫の世界の武将とも闘えることができる。
無双無限流には、『全ての奥義を極めしとき、その身に龍の力が宿る。』という伝承がある。
奥義には“疾風”“浮葉”“流水”“月空”“烈火”“絶影”“龍鱗”“狂神”などがある。
能力値:統率3・武力4・知力4・政治2・魅力4
オリジナルキャラクターA『孫堅』
姓 :孫
名 :堅
字 :文台
真名:火蓮(かれん)
武器:南海覇王……やや長めの刀身を持つ、両刃の直刀。派手な装飾はないものの、孫家伝統の宝刀。
孫策(雪蓮)たちの母親。
身長173a。腰まで伸びる燃えるような赤い髪の持ち主。
血を見ると雪蓮以上に興奮してしまう。
孫尚香(小蓮)には非常に甘い。周りの人間が呆れるほどに甘い。
この外史“赤龍伝”では孫堅は死んでいない。
能力値:統率5・武力5・知力3・政治4・魅力5
オリジナルキャラクターB『諸葛瑾』
姓 :諸葛
名 :瑾
字 :子瑜
真名:藍里(あいり)
武器:不明
諸葛亮(朱里)の姉。
諸葛亮(朱里)とは違い、長身で胸も大きい女性。髪は金髪でポニーテール。
温厚で気配りのできる性格で、面倒見も良い。赤斗の世話役として補佐につく。
一時は、自分たちとは違う考え方や知識を持つ赤斗に恐怖心を持っていた。
政治、軍事、外交と様々な仕事をこなすが、諸葛亮(朱里)には僅かに及ばない。
能力値:統率3・武力1・知力4・政治4・魅力4
オリジナルキャラクターC『太史慈』
姓 :太史
名 :慈
字 :子義
真名:嶺上(りんしゃん)
武器:雷電(らいでん)……二本の小型の戟。
非常に勇猛かつ、約束に律儀な武将。銀髪レゲエの女性。
孫策(雪蓮)と一騎打ちして引き分けたことがある。
それ以来、孫策の喧嘩友達になっており、よく喧嘩をしている。
また、諸葛瑾(藍里)と仲が良い。
弓の名手でもあり、その腕は百発百中。
能力値:統率4・武力4・知力3・政治2・魅力3
オリジナルキャラクターD『司馬懿』
姓 :司馬
名 :懿
字 :仲達
真名:不明
武器:不明
黒尽くめの衣装を身に纏った、曹操軍の軍師。
曹操軍に属しているが、曹操からの信頼はないといっても良い。
色々と裏で暗躍しており、虎牢関では張遼を捕え、術により自分の傀儡にしている。
能力値:統率5・武力?・知力5・政治5・魅力?
オリジナルキャラクターE『玄武(げんぶ)』
姓 :不明
名 :不明
字 :不明
真名:不明
武器:魏軍正式採用剣……魏軍に配備されている剣。
司馬懿の部下。
普段は何の変哲もない魏軍の鎧を身に纏い、普通の兵士にしか見えない。
しかし、眼の奥からは異質な気を醸し出している。
虎牢関では、鴉と一緒に張遼を捕えた。
能力値:統率2・武力4・知力3・政治1・魅力2
オリジナルキャラクターF『鴉(からす)』
姓 :不明
名 :不明
字 :不明
真名:不明
武器:爆閃(ばくせん)……司馬懿から受け取った回転式拳銃。
司馬懿の部下。
性格は軽く、いつも人を馬鹿にしているような態度をとる。
司馬懿と同じ黒い衣装だが、こちらの方がもっと動きやすい軽装な格好をしている。
寿春城では、孫堅(火蓮)を暗殺しようとした。
能力値:統率2・武力4・知力2・政治1・魅力3
オリジナルキャラクターG『氷雨(ひさめ)』
姓 :不明
名 :不明
字 :不明
真名:不明
武器:氷影(ひえい)……氷のように透き通った刃を持つ槍。
司馬懿の部下。
青い忍者服を着た長い白髪の女。
背中には“氷影”を携えている。戦闘時には全身からは氷のように冷たい殺気が滲み出す。
洛陽で董卓(月)と賈駆(詠)を暗殺しようとした所を、赤斗と甘寧(思春)に妨害される。
能力値:統率2・武力4・知力3・政治1・魅力3
オリジナルキャラクターH『宮本虎徹』
姓 :宮本(みやもと)
名 :虎徹(こてつ)
字 :なし
真名:なし
武器:虎徹……江戸時代の刀工が作った刀。
赤斗の古武術の師匠。
年齢は50歳。実年齢よりも、肉体年齢は若い。
赤斗と一緒に、恋姫の世界に飛ばされたと思われる。
最初は河北に居て、それからは用心棒をしながら、色々と辺りを転々としている。
赤斗曰く、『無双無限流の妙技を見せてやるっ!』が口癖で、その実力は呂布(恋)以上。
能力値:統率?・武力6・知力5・政治?・魅力?
※能力値は「5」が最高だが、呂布の武力と劉備の魅力は「6」で規格外。
説明 | ||
この作品は、基本的に呉√にそっては行きますが、他√に 脱線することもあります。 赤斗が曹操の保護下に入ったので、ただ今は魏√に脱線中です。 主人公も含めてオリジナルキャラクターが多数出てきます。 未熟なため文章におかしな部分が多々あるとは思いますが、長い目で見てくださると助かります。 |
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何をたくらんでいるのやらwwww(スターダスト) 霞が・・・!!(かんがるーO) |
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