真・恋姫†無双?虚像の外史☆三国志演義?(蜀編) |
―-――許昌・玉座の間。
階段の上の玉座に座ってる曹操は、荀ケから徐州に襲撃した袁紹の戦果報告を聞いた。
「麗羽と側近の文醜、顔良が劉備に捕まったの?」
「はい、華琳様。ですが敵の大将が捕まっても袁一族は降伏はせず、新たに袁譚と袁尚が大将となって第二次徐州攻略の準備をしているそうです」
「そう……」
曹操は、すっと細い足を組んだ。
曹操の武将、軍師達は玉座の前、決められた席で、曹操の指示を待っている。
「春蘭!」
「はっ」
夏侯惇が、すっと曹操の前に出る。
「これより冀州に住んでいる袁譚を襲撃する。兵を五万用意しなさい」
「御意っ!」
夏侯惇が玉座から出て行く。
「稟!」
「はっ」
郭嘉が、すっと曹操の前に出る。
「袁尚に書状を送りなさい。内容は……そう、『袁譚が貴方を裏切る素振りを見せている』という内容を」
「御意」
郭嘉も、玉座から出て行く。
「霞!」
「あいよ」
「袁尚はその書状を見た後、すぐに袁譚と戦うでしょう。どちらか勝っても兵は疲弊して戦えない。兵を三万与えるから、その隙を突きなさい」
「え〜〜……ウチ、そんな卑怯じみた作戦なん?」
「お願い霞。この戦いは迅速な対応で勝負が決まるの」
「………ウチにこういう指示だすのこれっきりやで?」
「ええ」
張遼はしぶしぶ承知すると、玉座を出て行く。
曹操は玉座から立ち上がり残っている武将、軍師達に指示をだした。
「そして私と他の者達は、徐州攻略へ乗り出すわよ。全兵を徐州にまわしなさい」
「二十万の軍勢、すべてですか〜?」
「ええ、そうよ風。……私の勘が言っているのよ。ここで劉備を倒さないと後々強敵になってしまうとね」
―-――徐州・玉座の間。
それは劉備も全く予想していなかった出来事だった。
孔明の策によって、袁紹軍の襲撃を防ぎ、袁紹と仲間を捕らえたその次の日に、蜀から二人の使者が来た。しかもその使者二人は厳顔、魏延だった。
「……つまり、蜀の劉璋を倒して、劉備様に蜀を治めてほしいということですか?」
「その通りです諸葛亮殿。我が主である劉璋は、民を苦しめ、兵も苦しめ、もはや王という名で好き放題にしておる」
劉備は『それならなぜ、自分達で反旗を覆さない?』と尋ねた。
「ふんっ! それが出来たら貴様なんぞに頼むか」
「馬鹿もの! それが人に対する口の聞きか方か焔耶っ!」
「……ふん」
どうやら魏延は少し荒い性格なのか、厳顔に注意されても顔は不服そうにしている。
だが、そんな彼女でもわざわざ遠い蜀から徐州まで来ているのだからよほどの事だなとも伺える。
しかし、いくら歴史上、劉備は蜀を手に入れるとはいえ、あまりにも都合が良い。それどころか二人話を聞けば黄忠が治めている城を拠点にしてもいいと言っているほどだ。
しかも黄忠という仲間のオマケつきで。
「………」
劉備は孔明が二人に袁紹との戦いが終わったばかりで兵が疲れているということを説明したり、どうして劉備なのかと鳳統に尋ねられて、二人がその理由を述べている最中、ずっとそのことばかり考えていた。
「……主? どうなされました」
やがてずっと無言だったのが気になったのか趙雲が話しかけてくる。
劉備は『なんでもない』と答えると『助けを求めている人達がいるのに無視をすることなど出来ない』と述べた。
そこへ兵士が大慌てで玉座の間に現れて報告した。
「申し上げます! およそ二十万の曹操の兵が此方へ向かって来ておりますっ!」
玉座に緊張が走った。
(……理屈的には、袁紹との戦いで疲弊したばかりだから隙をついてきたという所だろうな。でも……)
劉備は気分が悪くなった。
あまりの都合の良い話がこう立て続けに起こることや時間の流れが急激すぎることなど。
このゲームとも言えるようなご都合主義的な流れ。
そして、歴史通りみんなを守るために徐州を捨てないといけないことに。
第五話
『都合』
説明 | ||
前回のお話 袁紹が徐州襲撃。 しかし、袁紹は劉備を甘くみていた。 |
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