−真・恋姫無双 魏After−月下の誓い 7 |
― 一刀Side ―
「目覚めたようですね」
目を覚ますとそこは闇に包まれた場所だった。
目に写るものは胡蝶と名乗る人物。
あれ?俺は何してたんだっけ?
・・・・・・。
「黄蓋さんは!?黄蓋さんはど、いっ・・・・・・・!!」
体を起こすと背中から激痛が全身に駆け巡った。
そうか、俺撃たれたんだっけ?
よく生きてたな・・・・・。
違う!!今はそれどころじゃない!!
「どうなってるんだ?」
「心配しなくても彼女は無事です。君のお陰でね。」
「そっか・・・・・・・・はぁ、よかった」
胡蝶の言うことは事実なんだろう。
何故だかわからないが目の前の人物が嘘をつくとは到底思えなかった。
そういえば、撃たれたんだっけ?
・・・・・・・・・あれ?手当てしてある。
「これ、手当てしてくれたのは胡蝶さん?」
彼女を見ると眉間に皺を寄せている。
「現地の人間とその他・・・・・です。多少面倒な輩でしたが・・・・・」
「・・・・・なるほど」
彼女の顔を見る限りよほど面倒だったのだろう・・・・・。
黄蓋さんも無事なようだし・・・・・・・。
そうだった・・・・・・。
「一つ質問いいかな?」
「なんでしょう?」
「・・・・・・・あの世界はどうなる?」
俺は一番の疑問をぶつけてみた。
「そうですね、あの世界の望む姿にむかって進み始めた・・・・・・というところですね。もう、心配いらないと思います」
そっか、うん、よかった。
「ありがとう」
俺は彼女に向かって心から感謝の気持ちを送った。
華琳達の望んだ世界。
華琳達の望んだ国。
華琳達の笑顔。
それが崩れ去ることなく続いていくのなら俺は悔いなんて・・・・・・・・・・・。
だめだ、これで良かったんだ。
よし、グダグダ考えてても何も変わらない。
「さて、願いは聞いてもらったし次は俺が聞く番だね」
「そうですね。・・・・・その前に先ほどは伝えていなかったことがあります。卑怯かと思いますが伝えます。」
「あ、ちょと待って」
気づいてたんだ。
俺もそこまで馬鹿じゃない。
あの世界で黄蓋さんを助けるということがどういう事になるのかくらいわかってた。
だから、あえて自分の口から言いたかった。
「俺が、もう一度歴史を変えることによって歪みは解消された。
それによってあの世界の俺、『北郷一刀』は歪みを嫌がった世界から弾かれることもなくなった。
そして世界に『北郷一刀』は二人いらない。胡蝶さんが言おうとしてたことはこれでしょ?」
「・・・・・えぇ、そうです」
「自分に会っては駄目だって言われたときから何となくわかってはいたんだよ。
だから、・・・・・・とっくに覚悟はできてた」
俺がこの手で彼女達を幸せにしてやりたい。
でも此処にいる俺には、もうできない。
だからあっちにいる俺に任せるしかない。
なんせ俺なんだから誰がなんと言おうと彼女達を愛している。
あっちの世界の俺も、この愛はこの先も揺らぐはずはない。
「よし、それじゃ聞かせて。俺は今からどうなるのかを・・・・・・」
「わかりました。それでは伝えましょう。君は・・・・・」
「はい、ちょっと待った」
― ???Side ―
「ふざけるな!!!」
「ご主人様はふざけてなんかいないわよん」
ふざけてないだって?
どう考えてもふざけてるだろう!!
なにかおかしいと思ったさ!!
今まで体中に張り付いていた不快な感覚と痛み。
それがあの戦の最中に突然跡形もなく霧散した。
終わりが近づいていると思った。
だから覚悟した。
「なんだよそれ!! おかしくないか!? それじゃ俺はどうなる!!」
「そうね、多分だけど良くて元の世界、最悪消えちゃうかもねん」
『帰る』か『消える』
こんなに愛してる華琳達を置いて?
「馬鹿だな」
「えぇ、馬鹿ね」
「あぁ、馬鹿だ!! 我ながら馬鹿だよ!!」
馬鹿にもほどがある。
なんもかんも背負って一人であがいて。
勝手に世界の都合に振り回されて。
自分の愛した人のために自分を犠牲にするか?
あぁ、するな。
俺も同じ状況になれば確実にするさ!!
「なぁ、貂蝉」
「なぁに、ご主人様」
「殴ってやらないと気がすまないんだけど・・・・・・」
「殴ってあげればいいんじゃなぁい?」
「できるか?」
「できるわよん」
「そっか」
「えぇ」
「頼む」
「わかったわん」
待ってろ。
思いっきり派手なのをくれてやる。
「おい、この世界よ、聞いてるんだろ?」
空に向かって言葉をぶつける。
「俺達はお前の我侭に散々つき合わされたんだ!!」
返事なんてあるはずもない。
「今度は俺達の我侭に付き合ってもらうぞ!!」
聞こえてくるのは風の音と、そして足元から聞こえてくる三国の楽しそうな宴の音。
「準備ができたらあの先の小川にきてねぇん」
「あぁ」
「またねん、ご主人様」
そう言って貂蝉は姿を消した。
「一刀?」
その声に振り向く。
「やぁ、華琳」
宴の喧騒の中で俺と華琳は月に照らされ見詰め合った。
「・・・・・少し歩こうか」
「・・・・・そうね」
俺達は歩く。
月に照らされながら。
この先の小川へと。
― 一刀Side ―
「よし、それじゃ聞かせて。俺は今からどうなるのかを・・・・・・」
「わかりました。それでは伝えましょう。君は・・・・・」
「はい、ちょっと待った」
あれ?
空耳か?
なんだか妙に聞き覚えのある声が・・・・・・・
「歯、食いしばれ・・・・・・」
「え?」
『ドゴッ!!!!!!』
頬に痛みが走る。
俺は自身が殴られたと理解するまでに時間がかかった。
殴ぐられた。
『俺』
自身に殴られた。
「どういうことだ?」
「見たまんまだよ。『お前』は、『俺』に、殴られた」
「いや、殴られたのはわかるけど・・・・・・・」
何でそこにいるんだ?
目の前にいる『俺』が何処から来たのかだけはすぐに理解できた。
だからこそ・・・・・・。
「違う!! なんで『お前』がここにいるんだよ!!!」
「それくらい自分で考えろよ。『お前』は『俺』なんだから。逆の立場になって考えてみればすぐわかるだろ」
逆の立場?
おいおい、まさか、たったそのためだけに?
いや、違うだろうな。
駄目だ、そんなことはさせない。
『お前』は華琳達をあの世界で幸せにしてあげなくちゃいけないんだから。
そんな中、胡蝶がもう一人の『俺』に向かって言葉を発した。
「来てしまいましたか。少し前、歩き疲れてか、座り込んだ『君』を見つけました」
「ここに『俺』が来てた事気が付いてたんだ」
「えぇ。まさかこんなに早く来るとは思ってもみませんでしたけどね」
どう言う事だ?
そんなに前からあの『俺』はここに居たってことか?
「完全に裏をかかれましたね」
「あぁ、わざわざ報告してくれた人がいたからな」
俺の知らないところで何が起こってたんだ?
・・・・・・だけど今はそれ所じゃない。
何とかして『俺』を帰さないと!!
華琳達が待ってるんだから・・・・・・・。
― 胡蝶Side ―
目の前にいる彼を見て思う。
まったくもって迷惑な話。
北郷一刀といい貂蝉といい、どうしてこうも常識ハズレな存在なのだろう・・・・・。
今、目の前に存在する
『二人の本郷一刀』
同じ世界での記憶を共有し、思いを共有している完璧な同一人物。
違うのはあの世界での最後の記憶。
そしてここに来てからの記憶だけ。
同じ場所に存在していられる理由、ここは歴史の狭間。
同一人物の接触によって影響を受ける物は何一つない場所。
だからと言って、易々と起こってはいけない事象。
「完全に裏をかかれましたね」
彼とは会う予定でした。
それも、全てが終わった後に。
「あぁ、わざわざ報告してくれた人がいたからな」
軽々と言ってくれるものだ。
ここは、過去も未来も全て見れる場所なのだから。
有限な命を持つ者にとってここは存在してはいけない場所。
突如あの世界に飛ばされた、異端な彼とて本当は知り得てはいけない場所だったのだから。
それなのに、貂蝉は後先考えずに彼を此処に飛ばした。
しかし、こうなってしまっては考えても仕方がないのかもしれない。
それよりも早くこの場を収めてしまった方が面倒が少なくて済む。
「北郷一刀」
「「はい」」
「・・・・・・」
ややこしい。
貂蝉には全て終った後で、この行いに対する報いを受けてもらいましょう。
「先に此処に来ていた北郷一刀。君には消えてもらわなければなりません」
「はい・・・・・・・、っ・・・・・・・・やっぱそうだよな」
「はい、あの『世界』には『北郷一刀』は一人しか居らないのですから」
「っな!」
最初に来た北郷は悲痛な表情を浮かべながら下を向く。
後から来た北郷は悲痛な表情を浮かべそして何かを考えている。
「わかった。後は、もう一人の俺がしっかりやってくれる。さぁ好きにしてくれ」
「心得ました」
「ちょっと待った、ぇーと・・・・・」
「・・・・・・胡蝶、とでも呼んでください」
まただ。
どうしてこうもうまくことを運ばせてくれないのだろう。
それもこれも貂蝉が関与しかたらに他ならない。
貂蝉は北郷一刀のこととなると手段を選ばない。
そのおかげで北郷一刀が関わると何処からか嗅ぎ付けて、必ずといっていいほど全てを引っ掻き回していく。
それなのにどうして貂蝉は存在していられるのだろう?
私は不思議でならない。
思考に耽っていると後から来た北郷が口を開く
「胡蝶さん、それは俺でもいいんだろ?」
「は? ・・・・・なんでお前は関係ないだろう!!」
「関係ないはずないだろう!!お前は俺なんだぞ?俺だって秋蘭のことや赤壁でお前と同じことしてるんだよ!!
なのに勝手にヒーロー気取りで勝手に一人で背負い込むな!!
それに何だよその顔『寂しい』『悲しい』『辛い』『会いたい』って全部纏めて書いてある様な顔してそんなこと言ったって説得力なんてねぇよ!!」
「あらん?さぁすがご主人様かっこいぃわん。・・・・・胡蝶ちゃぁんご主人様は間違ったことを言ってないわよねぇん?」
また突然現れて・・・・・・・。
「最初からそのつもりだったのですね貂蝉」
「ぬふふぅ〜、ねぇ、ご主人様達、半分こにしたらどう?」
「うわぁ!! 何だあの物体!!」
「俺にこの状況を教えてくれた人だ。貂蝉、それはいい考えだ。ありがとう」
「いえいえん、ご主人様のためなら問題ないわよん」
「何処がだよ!!大問題だ!!! 半分にしても結局は2人だろ!!・・・・・・だから、俺でいいんだよ。お前はさっさと戻れ」
まったく貂蝉は突拍子もないことを考え付いたものだ。
貂蝉は自身の考えを直接北郷一刀には伝えていないだろう。
事実北郷一刀達も驚いていていた。
数多の歴史の北郷一刀を私よりも近い位置で見てきているのだ。
北郷一刀がどういう人間なのか、それを貂蝉は良く知っているから此処までするのだろうか?
いや、『北郷一刀』だからこそ貂蝉はここまでするんだろう。
どちらにしろ
貂蝉がかかわった時点で穏便に事を終わらせることはできなくなってしまったのだ。
「はぁ、貂蝉の言った方法でもいいでしょう。
しかし北郷一刀、あなた達は今、此処では二人存在しています。
そして二人が半分ずつ消えたとしましょう。残りは『半分』の北郷一刀が二人になりますがよろしいですか?」
「うわ・・・・・それは考えてなかったっていうか半分だけ存在してる俺なんて考えたくもないな・・・・・・どうする俺?」
「どうするもこうするもお前が帰れば問題ないだろう」
「それは却下する。お前一人に押し付けて俺だけ華琳達と笑って過ごせると思うか? 冗談じゃない!」
「だけどそれしか方法がないだろう!! 俺は華琳達を悲しませたくない!! だから頼む、お前しかいないんだよ!!」
そう、存在を半分持たない北郷一刀、それはもう人とは呼べない虚ろな存在。
いったい何を考えているのだ貂蝉は。
貂蝉も気付いているはず、自身の存在が半分消えるということはもう人として生きていくことはできないのだから。
二つの虚ろな存在はこの場所で永遠と彷徨うのみ。
二つの虚ろな存在・・・・・・まさか・・・・・
「ぬぅっふっふ〜、胡蝶ちゃん気付いたようねぇん」
「やはり・・・・・貴方は最初からそのつもりで・・・・・・」
「どうかしらねぇん」
「やはり貴方が関わるとろくな事にはなりませんね。この償いはしっかりとしてもらいますよ」
「あらやだ、胡蝶ちゃんお顔が怖くなってるわよ〜ん」
私の横に立つ貂蝉はまたあの笑みを浮かべていた。
まったく北郷一刀のこととなるとろくでもないことを思いつく。
視線を前に送ると二人の北郷はどちらが残るのか帰るのか言い合いをしている。
二人ともお互いに譲る気はないようだ。
先の北郷は彼女達を思う気持ちがよほど強いのだろう、自身が泣かせてしまった彼女達のためなのだろう。
後の北郷は彼女達のために自分を犠牲にし、何も知らされないまま残った自分に全てを託そうとしている自分を許せないのだろう。
「ふざけんな!!お前を犠牲にして、笑って華琳達と過ごせるわけないだろう!!」
「ふざけてねぇ!!二人ともいなくなったらまた華琳達を泣かせることになるだろうが!!
って言うかもう既に泣かせてるんじゃないか?何やってんだお前!!!馬鹿野郎早く帰れ!!!」
「んじゃ、俺が全て受け持つからお前が帰れ!!」
「最初に俺が決めたんだからお前には関係ない!!」
「俺はお前だって何度言えばわかるんだよ!!」
「・・・・・・・やかましい!! 儂が寝とるというのに横でわめいとるのは誰じゃ!! ・・・・・って此処は何処じゃ?」
「え? っあ、あれ?・・・・・・黄蓋・・・・・さん? 何でここに!?」
「え?黄蓋さん?赤壁で船から転落して行方不明って・・・・・・・・」
「っひ!! なんじゃ!? 同じ顔の孺子が二人も・・・・・しかも孺子のその顔!! 赤壁で儂を船から落とした孺子じゃな!!」
「え?・・・・っあ!!いや、これは・・・・その・・・・・」
「あ、いや、俺は関係ないですよ?」
さすがに同じ歴史で生きた同一人物と言うところか、お互いに一歩も引かずに言い争いを続けていた。
そして面倒なことに、黄蓋まで連れて来てるとは。
「あなたって人は・・・・・・・」
私は貂蝉を恨みを込めた目でにらみつける
はぁ・・・・、本当に面倒なことになった。
それもこれも全て横にいる貂蝉のおかげだ。
「って、何でここに黄蓋さんがいるんだよ!!」
「というか、儒子、ここはいったい何処なんじゃ!!」
「だってぇん、傷も深くないから帰りなさいって言ったのに、『あれだけの口上を述べて、いまさら恥ずかしくて帰れるか!!』
な〜んて言って帰らないんだもの、だ・か・らちょ〜っとお休みしてもらって、ご主人様に何とかしてもらおうって思ってねん」
「っな! 何もこの儒子の前でそのことを言わずとも良かろうて!!」
「「いや、黄蓋さん帰ろうよ・・・・・・」」
「うるさい!! 元はと言えば儒子お主らのせいじゃ!! 儂の死に場所を勝手に奪いおって!!」
「っちょ、弓下ろして!!」
「お願いだからその弓下げて!!」
はぁ、そんな理由でここに連れて来るなんて・・・・・・・。
何から何まで迷惑極まりない・・・・・。
「あらぁん、なんだか収集つかなくなりそうだわねぇん・・・・・、胡蝶ちゃん、さっさとやっちゃってぇ〜」
「さっさとって・・・・・簡単に言ってくれますね。いったいどれほどの力がいるのか知っているでしょう?
しかし、こうなっては仕方ありません。貂蝉、この代償はきっちりと支払ってもらいます。覚悟していてください」
「ぬふ、胡蝶ちゃん、顔が怖いわよぉ」
私は三人の居る方に向けて手をかざす。
(・・・・・・これは・・・・・・・まさか)
そう思った瞬間三人は一瞬で光に包まれる。
「「なんだ!?」」
「何じゃこれは!?」
三人を包む光の中から一つの小さな光の玉が私の方へと飛び出してくる。
それは私の差し出した手に落ち、静かに輝いていた。
「ちゃんとやってくれたのかしらん?」
「どうでしょうね、後の彼のことは貴方にお任せします。それと貴方に一つ忠告しておきます」
「なぁに?」
「次に・・・・・・こういう事をしても私は感知しませんからね」
「肝に銘じておくわん」
本当にわかっているんだろうか・・・・・。
貂蝉の考え、それはあまりに突拍子のないことだった。
存在を半分奪われ虚ろな存在になった二人の北郷一刀。
その虚ろな存在になった北郷一刀同士を統合して一人の『本郷一刀』と言う存在として確定させる。
本当はとても難しいことなのだ。
それがいとも簡単にできてしまった。
これすら見越して貂蝉はあの世界に存在していなければならないはずの本郷一刀をこの貂蝉が無理矢理この場所へ連れて来たのだろうか?
「貴方は、北郷一刀を此処に連れてくることであの世界がまた不安定になることはわかっていたはずですよ?」
「だってね、悲しそうに、それでも覚悟した顔で流れ着いたご主人様を見捨てることできるわけないじゃなぁい?
それにね、あたしだけじゃないのよん」
なるほど・・・・・・だからすんなりここまで来れたのですね。
そしてあんなに簡単に統合がうまくいった。
それが『あなた』なりの恩返しというわけですか。
まったく・・・・・・。
北郷一刀の事となると貂蝉にしろ『あなた』にしろ手段を選ばないのは相変わらずと言う事ですか。
「貂蝉、あなたは私が本気で全てを奪うと思っていたのですか?」
「そんなことないわよぉ、どうせ、胡蝶ちゃんのことだから、ご主人様に難しいこといって色々御託を並べただけ。
終わった後は、すべて貰うとか言ってぇ此処の記憶だけ消して、あの世界のご主人様と統合するつもりだったんでしょう?
まぁそれでも問題なかったんだろうけど、流れ着いたご主人様の顔見たらいてもたってもいられなくてねん」
「・・・・・・なるほど。だから彼に話すことによってあの『世界』にまで手助けさせたんですね」
「ぬぅっふっふ〜、どうかしらね」
北郷一刀のこととなると本当に手段を選ばない存在だ。
私は、そこまで考えもしなかった。
まさか『世界』まで動かして彼達を救うなんて。
記憶の統合を考えていたことは事実、だが、黄蓋を助けた事実と此処での遣り取りのことは残すつもりはなかった。
私達は『世界』の中の人間に直接手を出すことはできない。
でも、『北郷一刀』と言う人間はあの『世界』の人間ではない。
他の世界から、他の世界に干渉することは唯の人間ができることではない、だから此処に来てから起こった物事を記憶に留めて置く必要はない。
しかし、彼は普通じゃない。
彼は時を遡り自らが生まれ育った世界とは違う無数にある世界に入り込み生きている。
だからこそ『世界』彼に対して貪欲になる。
彼は『世界』に手を加えることができる。
彼からすれば理不尽極まりないことだと思う。
『世界』の我侭にいつの間にかつき合わされているのだから。
それに気づいているのかいないのか彼はそれでも手を差し伸べる。
だからこそ『世界』は彼を『愛している』
「それでは、先ほども言った通り、後のことは任せましたよ。それと、黄蓋をここに連れて来た挙句
彼女が目を覚ました責任は貴方にありますのでしっかりと隠蔽してくださいね」
「わかったわん、後は任せて頂戴。黄蓋ちゃんの方もうまくごまかしとくわよ。
そ・れ・よ・り・も、その手の上の光ってるご主人玉はどうするのかしらん?
いらな「駄目です」・・・・・まだな「だ・め・で・す」・・・・・・そんなに睨まなくてもぅ」
「あの『世界』彼は元の『世界』に帰る気はないようですし。この『北郷一刀』は、元いた世界に帰します。
『あの世界』に関わる以前の部分を双方から別々に集めたものですからね。
また別の世界に飛ぶか、そのまま元の世界で生きていくのかは私にはわかりませんが」
「ご主人様のことだからぁ、また別の世界にいくと思うわよん」
「そうですね。・・・・・そうなれば、また私の監視先が一つ増えるだけです」
「ぬっふっふ〜」
私は貂蝉の怪しい笑みを背にその場を後にする。
これであの世界はまた進みだすだろう。
それにしても、彼が変えた歴史のお陰で彼女達は味合わなくていい消失感を味わったことになる。
しかも今回は『北郷一刀』本人の意思。
さて、あの歴史に戻った彼は彼女達に何を言われどういう目に合わされるのだろう。
私の予想が正しければ・・・・・・。
「かわいそうとは思うけどこればっかりは・・・・・・・・・・・・自業自得ね」
結末が見えたような気がした。
あとがきっぽいもの
12度目まして獅子丸です。
なんか今回は色々詰め込みすぎた気がしないでもないです。
読者様に気づいていただけたかどうかわかりませんが複線を回収しています。
回収できていると思います。
自信はありませんがorz
次回で最終話となる予定です。
実は最終話に当たって思いついたことがあり一度まっさらな白紙に戻して一から書き直しています。
ご期待ください!!!・・・・・・・・なーんてことは言いません!!!!
頑張りますので読んで頂けると幸いです。
次に『思いついたからつい書いてみた』に関してですが
なんかとっても複雑ですw
最終話を考えて煮詰まって現実逃避した時にふと思いついたネタなのに
な・ぜ・か
獅子丸が投稿した話の中で一番コメント多く付いていました。
しかも続編希望と書かれたコメントがorz
書けばいいんですか?w
バカみたいなネタでよければ書きますよ?
ただし、次の連載?もあることなので、書いても連載形式ではなく1話完結になると思います。
獅子丸はボキャブラリーなど皆無ですから笑えるか保障できません!!
さてと、この話はこれくらいにして。
毎度の一言
生温い目でお読みいただければ幸いです
説明 | ||
第7話です。 なんか色々詰め込みすぎた気がします。 実は次で終わります。 生温い目でお読みください。 |
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