『舞い踊る季節の中で』 第111話外伝
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真・恋姫無双 二次創作小説 明命√

『 舞い踊る季節の中で 』 -群雄割拠編-

   第百十一話【外伝】 〜 暴走する想いに舞う魂は、頭を抱える 〜

 

 

(はじめに)

 キャラ崩壊や、セリフ間違いや、設定の違い、誤字脱字があると思いますが、温かい目で読んで下さると助

 かります。

 この話の一刀はチート性能です。 オリキャラがあります。 どうぞよろしくお願いします。

 

北郷一刀:

     姓 :北郷    名 :一刀   字 :なし    真名:なし(敢えて言うなら"一刀")

     武器:鉄扇(二つの鉄扇には、それぞれ"虚空"、"無風"と書かれている) & 普通の扇

       :鋼線(特殊繊維製)と対刃手袋(ただし曹魏との防衛戦で予備の糸を僅かに残して破損)

   習得技術:家事全般、舞踊(裏舞踊含む)、意匠を凝らした服の制作、天使の微笑み(本人は無自覚)

        気配り(乙女心以外)、超鈍感(乙女心に対してのみ)、食医、太鼓、

        神の手のマッサージ(若い女性は危険です)、メイクアップアーティスト並みの化粧技術、

        

  (今後順次公開)

 

 

 

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【最近の悩み】

 

「くっ」

 

 それと分からぬよう歯噛みする。

 目を向けぬよう視線を逸らす。

 見ては駄目だ。 と何度も俺の中で言い聞かす。

 だけど俺の視線は、意志とは反対に自然と其方に行ってしまう。

 

「ぁぅぁぅ…どうしたんですか? くうきーと言う天の世界の焼き菓子を作ってみたのですが、 ち、違いましたか?」

「あ、いや、うん、おいしいクッキーだよ」

 

 乾燥しきった唇を何とか動かし言葉を紡ぎだす。

 翡翠の作ったお菓子は以前にも食べたが、そこらのお店なんて太刀打ちできないぐらい美味しかったから、今回も美味しいに決まっている。

 わざわざ夜に俺の部屋まで手作りの茶菓子を持ってきた翡翠に、勧められるままにクッキーを食べたが、正直緊張のあまり味など感じられないが、そう決まっている。 と、とにかく今は動揺している事を悟られてはいけない。 ……いけないと分かっているのだが、どうしても翡翠の身体に視線が言ってしまう。

 何せ俺の目に映る翡翠は、料理用の前掛け、いわゆるエプロンから覗く染み一つない肌が覗き。 行燈の火が放つ光を反射する瑞々しく艶やかに光る。

 小ぶりながらも形の良くツンと上がったお尻と、其処からまっすぐ伸びる脚。

 そして横から僅かに覗く彼女のつつましい胸。

 いわゆる裸エプロン姿で俺の前で座り、顔を羞恥心で赤く染めながらも、俺のためにお茶を淹れてくれている。

 そのうえ、顔を赤く染めるほど恥ずかしがっていると言うのに、その瞳は此方の反応を楽しげに、そして口元は何かを期待するかのように妖艶に微笑んでいる。

 

 はっきり言って、クッキーなど放り投げて飛び掛かりたい。

 そう身も蓋もなく言えるほど、恥ずかしげにしている翡翠の裸エプロンを姿には破壊力があった。

 電気ではなく炎のによる明かりと言うのが、これまた不味い。 とにかく薄暗い上、何もなくとも揺れる明かりのおかげで、必要以上に想像が掻き立てられてしまう。

 翡翠の少女そのものの身体とは反対に、其処にあるのは大人の女だけが持つ怪しげに溢れる程に浮かぶ艶。

 そもそも好きな娘にそんな恰好で給仕されて燃えない男がいるものだろうか。

 きっと及川ならば、たとえ教室だろうと、人が行き交う往来だろうと、そう高らかに叫ぶだろう。

 今の俺ならば、その突発的な行動に呆れつつも、その意見に賛成しただろう。

 なんて言ったか、こう……そう、チラリズムだったか、とにかくはっきり見えるより、前だけとはいえ隠されていた方がなぜか燃える。

 

 だが、此処で欲望に任せて翡翠に飛び掛かる訳にはいかない。

 翡翠と明命とは所謂恋人の関係なのだから、翡翠がそのつもりならば何の問題はないのだが、今回ばかりは彼女の思惑に乗るわけにはいかない。

 事の元凶は、七乃に頼まれて書いた天の世界の衣装にあるのだが、……まぁ調子に乗って変なものまで書いてしまい、それが翡翠にバレた。

 此処までは良い。 良くはないがまだ理解できる。

 一応その場では何とか誤魔化したのだが、翡翠にはしっかり見抜かれていたようで、書かれた衣装の意図を誤解する事無く理解してしまい今にあたる。

 

 そんなわけで、せっかくの翡翠のお誘いであろうと、飛び掛かるわけにはいかない。

 以前の猫耳の件もあり、此処で本能赴くままに欲望を全開しては、俺がそういうのが大好きな変態だと思われかねない。

 ……いや、こう言うのが好きではないと言えば嘘になるが、それそのものが好きと言う訳ではない。 何より、彼女達にそう言う趣味の人間だと誤解をしてもらいたくない。 まぁ所謂男の沽券と言うものに拘わると言う奴だ。

 そんなわけで俺は翡翠の焼いてくれたクッキーを口にしながら、必死に己が欲望と戦い続けていると。

 

「一刀君、視線が泳いでいますが、もしかして不味かったですか?

 美味しくなかったら、遠慮無く言って下さいね。 ……ぁぅぁぅ、やはり恥ずかしです」

 

 いえ、不味いのは翡翠の行動です。

 頼みますから、此方が耐えているのを分かっていて近づくのは勘弁してください。

 それに恥ずかしいと言うのなら止めましょう。 すごく勿体無いけど止めよう。

 そう心の中で叫びながらも、ごくりとからからに乾いているはずの喉が唾を嚥下する。

 美味しそうだなぁと心のどこかで呟いた声が俺の頭の中に響く。

 何処かだよっ、むろんクッキーだよなっ?

 そう自分の中で突っ込みを入れるが、俺の視線はついエプロンから覗く脚へと言ってしまう。

 すぐ目の前に迫る彼女に視線を合わせないように、必死に視線を泳がせながら、最後のクッキーを口の中に含む。

 

「お、美味しかった。 御馳走様でした」

 

 白々しいかもしれないが、とにかくこれで乗り切った。

 これで、後は翡翠を傷付けぬよう何とかこの場を誤魔化せば・

 あの翡翠、何でそこで机の上に腰掛けるんですか?

 そのなんというか………とにかく危険です。 特に俺の理性が。

 

くにっ

 

 目の前の机に腰かけた翡翠は、自由になった足とその指先を俺のモノに当ててくる。

 い、いや、あの……そんな服でそんな足を動かしたら、 その見えてしまうと言うか見えそうと言うか…。

 

ぐっぐっ

「う゛っ」

 

 何度も微妙な力加減で刺激される度に、……彼女の小さな足の指先から受ける感触に思わず声が漏れ出てしまう。 だから駄目だって、そんな踵で根元に強く刺激与えながら、指先で頭を優しくい弄るだなんてしちゃっ!

 もはや拷問としか言いようがない事態に、それでも歯を食い縛って耐える。

 翡翠が持って行ったデザイン画には、まだかなりの衣装がある。

 あんなもので、こんな事をされ続けたら、これ以上どんな噂がたてられるか分かったものじゃない。

 だから耐えろ、北郷一刀っ! これを耐えきれば、きっと翡翠はあのデザイン画に興味を無くすはず。

 そう自分に何度も必死に言い聞かせていると言うのに翡翠は、彼女の瑞々しい唇に指を当てながら艶やかに言ってくる。

 幼い肢体とは裏腹に妖艶な笑みを浮かべ。

 

「一刀君、美味しいというのならば、の、残しては駄目ですよ」

 

 ごくり、頭の中所か体中に唾を嚥下する音が響く。

 いったい何を?

 もう皿の上には何も乗っていないというのに…。

 食べるものなど何もないというのに…。

 もう逃げられ無いように、俺を深紅の瞳で縛り付けながら…。

 俺の理性を容赦なく破壊しに来る。

 

「ぁぅぁぅ………食べてくれます……よね?」

 

ぷちっ

 

 何かが切れる音がした。

 俺の中で何かが崩れ落ちる音を聞いたような気がした。

 だけど、そんな物はもうどうでも良い。

 此処までされて、黙っていられるかっ。

 

「だぁぁぁ−−−−−っ! 翡翠っ!」

「あん♪」

 

 

 

------< 中略 >------

 

 

 

「はぁ……はぁ………美味しく食べられちゃい…ました♪」

 

 荒い息を突きながらも横でそう呟き、俺に甘えるように躰を寄せてくる彼女。

 結局あの後翡翠の思惑通り、机上で二連続で欲望を翡翠の中に吐き出したと言うのに、我慢しまくったせいで反動が大きかったのかそれだけでは収まらず。 彼女と繋がったまま寝台に行くなり欲望の赴くままに貪りついてしまった。 翡翠の全てを食べつくすかのように、全身をくまなく愛撫しながら、何度も彼女の中で果てた。

 だから、彼女がそう言うのは分からなくもない。 あれだけの事をした後では何を言っても言い訳にしかならないと思う。 だけど、それでも彼女に問いたい。

 

 食べられたのは、俺の方な気がするのは気のせいですか?

 

 と。 せめて明命が真似しない事を祈るばかりだけど………無理だろうな多分。

 そう思いながら翡翠が持っていったデザイン画が脳裏を掠めてゆく。 メイド服、エプロンドレス、巫女服に修道服、etc……。 ううっ、幾ら及川の影響を受けたとは言え、俺って奴は…………。

 

 

 

 

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【おまけ】

 

 陽もすっかり暮れ、電灯が道路を照らす道の先にある屋敷。

 舞踏・北郷流本家と書かれた立派な表札の掛かった門の奥に、その立派な表札に負けない程大きな屋敷の裏手に、その雰囲気を何とか壊さないように佇むごく普通の家。

 そこが北郷一刀の実家であり、その家族が住む家であった。

 大きな屋敷は、歴史ある流派の本家と言う対外的なものと言うものもあるが、そこに住まわずに普通の小さな家に居を構えているのは、現当主である一刀の祖父の趣味と一言で片づけられるものではあるが、実際には北郷家の関連会社の経営で忙しい両親を持つ一刀達兄妹を心配して、せめて家族の温もりを感じていられる家をと言う親馬鹿もとい、じじ馬鹿心によるものだった。

 だが、その家も一刀達が寮生活をしてからは、その小さな家ですら寂しものと祖父は感じるようになった。

 そして1年半前に、愛する孫の一人である一刀が行方不明になってからは、いっそう寂しさを感じる………暇は齢85を超える老人に与えられる事はなかった。

 

どすどすどす

 

 一月ぶりに家に帰宅するなり、老人の心中を表すように音を立ててダイニングに向かう老人は、そのドアを開けるなり、中にいるもう一人の愛すべき孫娘に向かって。

 

「この不良娘っ! この請求書はいったいなんじゃっ!」

 

 祖父のために夕食を作り待っていた孫に帰宅の言葉もなしに、いきなり怒鳴りつける。

 北郷流舞踏と言う本家の当主だけあって、礼儀に煩い老人ではあるが、此処にいるのはただの孫馬鹿な爺に過ぎず。 孫が悪さをすれば礼儀など放り投げて怒鳴りつけるだけの愛情をその老人は確かに持っていた。

 そんな孫馬鹿な老人が、愛すべき孫娘を不良娘と言うにはわけがあり。 一刀が行方不明になって二か月余り過ぎた頃。

 

『お兄ちゃんが居ないんならあんな学園に居てもしょうがないから、こっちに転校してきちゃった。

 おじいちゃんも可愛い孫娘とまた一緒に住めて嬉しいでしょ。 てへ♪ 』

 

 と茶色の掛かった腰まである黒髪を指で梳きながら、そんなとんでもない事を突然帰宅するなり報告してきた。 家族に無断で全ての手続きを完了してしまう手際は英才教育の賜物であるのだが、正直この時ばかりは本気で教育方針を間違えたのではと家族一同頭を抱えた。

 だけど、その自由奔放ぶりを見せる孫娘の本心は、祖父や両親を心配してと言う優しい心根があると分かってしまうだけに、溜息を吐きながらも、その事に嬉しさを感じながら孫娘のさせたいようにさせていた。

 そうして明るい孫娘のおかげで何とか寂しさを誤魔化しながら月日を過ごしていた訳だが、一月程全国にある流派の支社や関連会社を廻って社の会長室に戻ってみると覚えのない請求書が届いており、連絡を取ると孫娘が家の者が誰もいない隙に勝手に何かの工事をしたモノだと分かった。

 いくら目に入れても痛くないほど可愛がっている孫娘と言えども、それはそれ。 どうしても必要な事ならば工事も仕方ない事かもしれないが、黙ってと言うのが問題だ。 しかも千万単位と話となれば尚更の事。

 これはしっかりと説教せねばと活き込んで帰ってきた老人だが。 一刀の妹であり可愛い孫娘は……。

 

「お兄ちゃんが帰って来た時に必要だったの。 黙って勝手やって御免なさい」

 

 そう素直に謝ってきた。

 自分が悪い事をしていると自覚しながらも、愛すべき兄のために必要な事だと……。

 孫娘は孫娘なりに、元気に振る舞いながらも兄を心配し、行方を断った今でも必ず帰ってくると信じて、今回のような事を起こしたのだと。

 きっと言えば反対されると思ったのだろう。

 北郷流本家と言う体面もある以上、一度長期に渡って行方を断っている今、警察や探偵社に行方を任せる以上の事をする訳にはいかない。 だけど孫娘の勝手と言う事であれば、ある程度は誤魔化せるし、分家も目を瞑ってくれる。 そう計算しての事なのだと、老人は思った。

 自分以上に、あの馬鹿者の帰りを待っているのだと。

 そう思ったら、老人は怒鳴る事などできなくなってしまった。

 可愛い孫娘が、其処まで想っての事の行動を感情のままに怒る事など、この爺馬鹿な老人にはとてもできるはずもなかった。

 後でしっかりと叱る事はしようと思いながらも、爺馬鹿な老人は可愛い孫娘を優しく抱きしめる。

 寂しい思いをしているのは自分だけではないと、幼い時よりあの大馬鹿者とずっと一緒にいるこの孫娘の方が、よほど寂しく辛い思いをしているのだと。 そう思うと抱きしめざる得なかった。

 

 大戦を特殊任務に就いていたにも拘らず、身に着けていた特殊な舞いと技術によって生き抜き。

 その時得た国との関係を最大限に活かしながら、北郷流を守り、大きくしてきた老人と言えども、一度家の中に入れば孫に甘い一人の老人でしかなかったと言う事なのだろう。

 あいにく遅くになってやっと出来た一人息子には、家を継ぐほどの才能はなく嘆いていた所に、そうそうに出来た孫息子は自分をも凌ぐ才を持つ事が分かった時には、諸手を上げて喜んだもの。 もう一人の孫娘もそれに負けない程の才能がある事に一晩に酒を樽で空けるほどに喜んだ。

 実際は孫娘の方は勘違いだった事に気がついた時には、その理由に本気で頭を抱えたものだが、それでも才能のない息子よりは遥かにマシなため、現在は古いしきたりを廃して孫娘が後継者候補になっている。

 

 そんな可愛い孫娘の健気な想いに感動し涙を覚えながらも、孫娘があの大馬鹿者のために準備したものを確認するために、案内させた先にあるものを見た老人は絶句した。

 目の前にあるものが何なのか理性が拒絶し、その代わりに思考が空白に埋め尽くされてゆく。

 されど流石あの悲惨な大戦を生き抜いた老人。 空白に埋め尽くされた思考を早急に理性が塗り替えして行くのだが、…………目の前の物の正体を感情が否定し続ける。

 其処にあるのは孫息子がこの家で使っていた家具や、学園の寮から引き揚げてきた荷物。

 本来は別の部屋にあったのだが、この新たに出来た部屋にあるのは……まぁ百歩譲って良しとしよう。

 問題は…………。

 

「……一つ聞くが、これは一刀の部屋なのか?」

「他に何に見えるんです? きっとお兄ちゃんもこれくらい広い部屋なら喜んでくれると思う」

 

 無邪気な笑顔で答える孫娘に、一筋の汗を覚えながら、老人はもう一度その部屋の中を見回す。

 先程はあまりの異様さに気を取られ気が付かなかったが、確かに部屋は広く、16畳ほどの広さがある上、どうやらトイレや風呂までも部屋に繋がっていた。

 これだけのものを此方に知られずに手配する手段は、どう見ても法の一つや二つ軽く破っていると思いつつも、そんなものなどこの部屋の異様さの前には些細なものと思えてしまう。

 ………信じたくはなかった。

 だが、そういう予兆は確かにあった。

 そのうち諦めるだろうと、老人はたかをくくっていたのは確かだった。

 

「………もう一つ聞くが、えらく分厚い窓ガラスだな。 しかもはめ殺しになっているように見えるが」

「うん、ボーリングの球を投げつけたってヒビ一つ入らないんだって、これならお兄ちゃんを狙う人も入って来れないでしょ」

 

 自慢げに、それが当たり前のように言う孫娘に老人は更に質問を口にする。

 

「………もう一つ聞かせてくれ。 この部屋の入口が偉く仰々しかったのだが」

「えへへっ、私の網膜パターンでしか開かない特別なドアなんだよ。 これならお兄ちゃん、もう何処にも消えたり出来ないでしょ」

 

 幸せそうに、 それが当たり前の事だと信じて疑っていない笑顔で、可愛い孫娘は自分の兄を監禁すると言い放った。

 その事実に目が眩む。

 この孫娘が幼き頃より、実の兄を男としてみている事は知っていた。

 孫娘が8才時に一刀に見せた舞いは、兄である一刀の舞い以上に心を打つもので、老人や二人の両親をたいそう喜ばした。

 まだ童女と言っていい娘が、兄の一刀を想い、その想いが叶わぬ事を憂いながらも、その想いが叶う事を夢見て舞った舞いと知るまでは。

 まだ子供だと言う事を差し引いても、女心にどうしようもなく鈍感な一刀は、その舞いに素直に感激し、その才能を自分以上と勘違いし、自分も妹には負けられないと、その才を磨いていた事もあり、一過性のものだと目を逸らしてきたのだが、それが大きな間違いだったと現実を叩きつけられた。

 

 たしかに孫娘は、兄に甘えるふりをして一刀に大胆なスキンシップを放っていたり、一刀に近づく女友達を一刀に気付かれない様に、あの手この手で遠ざけていたり。 一刀に告白しようとする娘を邪魔をしたり。 想いを寄せる娘達の気持ちに一刀が気が付かぬよう、一刀の鈍感さに磨きをかけるような事をしてきた。

 それでも、いつか諦めざる得ない事に気が付くだろうと信じ、それとなく注意する程度にしてきたのだが………どうやら一刀の失踪が、孫娘の想いをどうしようもない所まで追いつめてしまったようだと、老人は顔を手で覆い。 襲い来る頭痛になんとか耐えていると、ふと亡き妻のある言葉を思い出す。

 

『女は生まれた時から恋を知る生き物なんですよ。

 本当の恋などしたら、生半可な事では止まったりできないんです』

 

 ………確かにそうかもしれないと。 兄が帰って来た時の事を想像しているらしく幸せそうな顔をしている孫娘を見て老人はいっそう頭痛に悩まされる。

 孫息子にはどんな形であれ帰ってきてほしいと想い続けてきた老人だが、この時ばかりは一瞬だけ、幸せでいるならば帰ってくるなと思ってしまう。

 ……だがまぁ、いざとなったら裏に手をまわして戸籍を書き換えれば済む話だと、そうならない事を祈りながら心の中で呟く老人であった。 そして心の中で呟く代わりに出た言葉が、

 

「……アイツには、生まれながら女難の相が出ていたのかもしれんな」

 

 色々と複雑な想いを込めて重い溜息を吐く。

 そんな祖父の想いをよそに、孫娘は幸せそうに。

 

「ふふっ♪ お兄ちゃんと此処で一緒に暮らすの♪」

 

 と呟き。 その間違った想いを暴走させ、祖父をより一層悩ませるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづかない。

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あとがき みたいなもの

 

 

 こんにちは、うたまるです。

 第百十一話【外伝】 〜 暴走する想いに舞う魂は、頭を抱える 〜 を此処にお送りしました。

 

 前回字数制限で、泣く泣くおまけを削除した事をmixiで囁いたら、おまけだけで投稿してほしいと言う某氏のコメントがあったのを機会に、おまけをもう一つ加えて投稿いたしました。

 内容的には、どちらもかなり暴走していたり病でいたりしますが、まぁ外伝と言う事でお許しください(w

 

 一応もう登場する事はないでしょうが、一刀の祖父と妹の設定を軽く紹介します。

 ともに名前は決めてありませんが、祖父は大戦を生き抜いたと言う事で、裏舞踊の腕だけに関しては外史に行く前の一刀より上です。 一刀的には、子供の頃から見てきた祖父のその腕を神格化している所があると言うだけです。 現在の腕としては、実力そのものは一刀の方が上ですが、駆け引きとか相手の心理を読む事に掛けては、まだ祖父の方が一日の長があると言った所です。

 

 妹は、今話ではかなり暴走していますが、一刀が行方不明になる前は、お兄ちゃん大好きな甘えっ子と言った姿勢を見せていました。

 北郷流の腕としては、一刀の事を想って舞った時だけは一刀以上の舞いを見せます(w 一刀の前で舞う時は、もういつも兄に見られている事の嬉しさに想いを暴走させながら舞っているので、その辺りを一刀は妹の暴走する想いに気が付かずに、自分以上の才だと勘違いしています。 女の子の想いの力って、本当に反則ですよねぇ(ぉw

 ちなみに妹は刃物マニアでナイフや投擲ナイフなどの小型の刃物を数多く愛蔵し、いつもどこかに隠し持っていたりします。 何故いつも携帯しているかと言うと、乙女心の説得のためだそうです(汗

 まぁ何にしろ、全て種馬のくせに鈍感な一刀が悪いって事ですよね(ぉ

 

 ………おまけだけで一話分書いてしまう日がまさか来るとは(汗

 

 では、頑張って本編を書きますので、どうか本編の最期までお付き合いの程、お願いいたします。

 おまけは期待しないでくださいね。

説明
『真・恋姫無双』明命√の二次創作のSSです。

 前回おまけが字数制限のため削ってしまったので、加筆修正しておまけだけで投稿してみました。
 おまけ故に深くは突っ込まないでくださいね♪

拙い文ですが、面白いと思ってくれた方、一言でもコメントをいただけたら僥倖です。
※登場人物の口調が可笑しい所が在る事を御了承ください。
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コメント
妹さんこえー なんかいろいろ乗り越えてこの外史にやってきそうだよ。。(qisheng)
続いてくれ!!(ほいほい)
妹の暴走っぷりが半端ないwwwww(雪華)
怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い!ヤンデレ妹怖いぃぃ〜〜〜!!!妹さんの姿も見たいです(翡翠のように是非絵をw)(フェイト)
妹の暴走っぷりがwww(無双)
ぶふぅ(鼻血放出中)!!くっ、翡翠の裸エプロン。なんと言う破壊力だ!あっ、いかん・・・。また鼻血が(ほわちゃーなマリア)
はっはっはっは!。いや面白い。ところで、うたまる様・・・翡翠の裸エプロン姿・・見たくないですか??(意味深) その気がありましたらご連絡くださいませw(Sirius)
あぅあぅ。そんな恰好で迫られたら我慢できませんよ翡翠さん!それと妹ちゃんのヤンデレっぷりがすばらしいですね(葉月)
ああ、妹さん、可愛いよ。なるほど、流石うたまるさん。私がヤンデレ好きと知って、こんな可愛い子を登場させてくれるなんて! 感謝感激です! え? 違う? いやいやそんな嘘はつかなくていいですよ。……ウソデスヨネ?(くらの)
てらこり様、濃いだなんてそんな、一刀の人格形成の背景として軽く設定してあっただけの、名前すらない人物ですよ?(w (うたまる)
アボリア様、妹が降りったら……反則的な未来の知識を駆使して国を乗っ取り、大陸に覇を唱えそうですよね。 近親婚が許された時代ですから、兄を手に入れるために大陸を火の海に………しないとは言い切れないですねぇ(汗(うたまる)
鬼間聡様、こうして翡翠や明命に知らず知らずに調き…もとい教育されてゆくんでしょうね(ぉぃw(うたまる)
jackry様、恋する女の子を舐めてはいけませんよぉ〜。 好きな人のためには重機の如く突き進んでいけるのですから(w(うたまる)
妹と祖父の話だけでもシリーズ化できるんではと思うくらい濃いキャラですね・・・(てらこり)
妹様が怖すぎるのですがw ……もし、彼女も何らかのきっかけでこの世界に降り立ったとしたら、地獄絵図が展開されるのでしょうねw(アボリア)
翡翠の誘惑にギリギリまで耐えた一刀に乾杯。そしてその鈍感力を養う調きょ、もとい教育を施した妹に完敗。翡翠と妹の最終決戦をみたいです。(鬼間聡)
mokiti1976-2010様、………想像してみましたが、恋姫の世界と言う事を差し引いても人間の戦いじゃないような気がするのは私の気のせいですか?(w 恋ですら立ちいる事が出来なさそうです(汗(うたまる)
hokuhin様、まぁ本人達(女性陣)が幸せならばそれでよいのでは? 一刀に人権ないし(ぉw(うたまる)
ヒロアキ様、……えーと実力行使しまくる妹の方が上と?(うたまる)
samidare様、……あの妹ですので、否定できないところが我ながら怖いです(汗(うたまる)
nanashi様、せっかく平和になったと言うのに、また戦国の世に戻すつもりですか?(笑(うたまる)
めがねマン様、この後日きっと、一刀は明命の英断にも鼻血を噴くことになったでしょう(w それと、誤字ですがこの場合はこれで合ってます。 ご報告ありがとうございました。m(_ _)m(うたまる)
柾棟さま様、なるほどそうでしたか、生憎ライダー系は知らないのでネタが分かりませんでしたm(_ _)m(うたまる)
aki様、どっちが勝つと?(ぉw(うたまる)
2828様、いえいえ、おそらくじっちゃんとかが、それなりに取り成してくれると思いますよ……たぶん(w (うたまる)
ここは是非とも翡翠・明命連合VS妹君の一刀争奪戦を大いに期待する所であります!(私の予想ではほぼ互角・・・勝負の鍵は黒翡翠か妹のヤンデレか・・・)(mokiti1976-2010)
外史に残れば翡翠たちに尻に轢かれ、戻ると妹に解禁される生活か・・・一刀はどっちを選んでも苦労しそうだなw(hokuhin)
でも実行するぶんこっちのほうが上かと・・・(ヒロアキ)
翡翠が裸エプロンだと・・・は、鼻血が!! 一刀、お前戻ったらもう人生終わりなんじゃないか?洗脳とかもされそうだな(samidare)
三国統一済んだら(完結したら)妹この外史に放り込んでカオスなAfterを期待してしまいたくなる(nanashi)
もう一つ脱字報告です。 3p30行目(くらい)誤「・・・関連会社を廻って社の会長室に・・・」 訂「・・・関連会社を廻って会社の会長室に・・・」かと(めがねマン)
おまけだけど、翡翠が久しぶりに登場!しかも裸エプロンだと・・・ww想像しただけで、鼻血出そうっすww あともし、天に明命と翡翠と一緒に帰ってきたらと思うと、ガクブルですw 誤字(?)報告です。2p中に「燃える」という表現が何度かありますが、前後の文脈上「萌える」の方ではないでしょうか?(めがねマン)
うたまる様> ご返事有り難うございます。  天というのは仮面ライダーカブトの某あの人の事です。  今回の話の中で翡翠ちゃんの変わりようを表現するために一刀の祖母が言っていた事をカブトの某あの人風に言ってみました。 次回も楽しみにしてます。(劉邦柾棟)
・・・妹の想いが世界をつなげそうで怖いですねwww妹vs明命&翡翠か・・・うん、大丈夫でしょう。勝てる勝てる(aki)
・・・もし天に帰ったら監禁確定ですかw(2828)
いいですね、外伝! 面白かったです^^(サーメット)
こるど犬様、とりあえず楽しめていただけたならば幸いです(うたまる)
GLIDE様、私もまさか今あ日が来るとは思いませんでした。(汗  全ては字数制限が原因ですね(;´Д`)(うたまる)
柾棟さま様、翡翠ちゃんの可愛い姿を見れるのは一刀だけですよぉ(ぉ  えーと天と言う事は天保ちゃんの事ですか? (うたまる)
よーぜふ様、妹ちゃんがいっちゃってたぶん、翡翠へがスルーされるかなぁ-と思ってましたが、しっかりと脳裏に残ったようで良かったです。 また誤字報告ありがとうございます。m(_ _)m(うたまる)
たれパンダ様、すみません、そのネタは分からないです(汗 m(_ _)m(うたまる)
シグシグ様、彼女がこの外史で別の場所に降りていたら、きっと呉に攻め込んで、一刀を力づくで手にれるでしょうね(汗(うたまる)
ヒロアキ様、朱里や雛里が、こう言う属性があると思うのは私だけでしょうか?(w(うたまる)
poyy様、続けませんし、続けれませんよぉぉ?・゚・(ノД`)・゚・(うたまる)
はりまえ様、女難の相が出ていても、本人がそれを不幸と思っていないので、予測が正しかったのかどうかは怪しい物ですけどね(w(うたまる)
砂のお城様、ええ続きません。 設定は前からあったものの、一発ネタですので(うたまる)
shimon様、無理ですっ。 世界観が崩壊します(ぉw(うたまる)
ryu様、ええ一刀のおかげで、妹ちゃん病んじゃいました(汗 無自覚も此処まで来ると罪ですよねぇ(うたまる)
こ これはまた・・・w(運営の犬)
ついに最近の悩みとおまけで1話とはww次は最近の悩みだけで1話かなww(GLIDE)
おまけの話とてもよかったです。  翡翠ちゃんも最初の頃と比べると随分かわいくなりましたねwwww!?  天「おばあちゃんが言っていた『女は生まれた時から恋を知る生き物なんですよ。 本当の恋などしたら、生半可な事では止まったりできないんです。』、と」 翡翠ちゃんかわいいです。(劉邦柾棟)
翡翠さんかわいいっす、これはもう・・・はぁはぁw そして妹君・・・いあもう突き抜けちゃえ♪ 3p22行目「・・・こっちに転向してきちゃった・・・」→「・・・こっちに転校してきちゃった・・・」 でしょうか? お疲れのようですなぁ・・・いつまでもお待ちしておりますし、フヒーヒするなり2424するなり、少しリラックスされてはどうでしょうか?(よーぜふ)
なんだか得意な料理が八宝菜なきがするwww(たれパンダ)
この妹・・・絶対ヤンでるだろwww一刀が帰ってきてもBad End以外の結末が見えないんだけど・・・。でも、たしかに妹は一刀を越える才の持ち主だよ色んな意味でwww(シグシグ)
むしろその妹さんがいいwww(ヒロアキ)
続くものだと思ったんですがwww(poyy)
おじいちゃん・・・その予想正しくて思わず涙がほろり・・・・・(黄昏☆ハリマエ)
いっそのこと本編に出しちゃいなよwww(shimon)
あれ、妹さんは病んでるのか?笑顔で監禁・・・こわっ!(ryu)
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