真・恋姫夢想 続・続ッ!とある桂花のデレ日記 |
〜続・続ッ!とある桂花のデレ日記〜
◎月☆日
−あの日。
三国鼎立が成った、その祝いの宴席。
私が春蘭の馬鹿をからかっていた、ほんのちょっとの間に、華琳さまと、彼の姿が見えなくなっていた。
一体どこに行ったのかと、皆が不思議がる中。
華琳様が戻ってこられた。
”お一人だけで”。
そして、その口から、その”事実”は語られた。
”天の御遣い”が、”天に還った”と。
最初は理解できず。そして、次第に、その顔を青ざめさせていく皆。・・・多分、私も、青い、を通り越して、真っ白に、顔色を変えていたと思う。
動揺が広がり、泣き出す者、怒鳴り散らす者、ただ固まる者。そして、ただ気丈に、そして、今にも崩れそうな表情で、それらの者達を、叱咤し、激励をする華琳様。そして私も、
「・・・あの馬鹿が居なくなったところで、これからのことが変わるわけじゃないわよ。・・・むしろ、あいつが居なくなってせいせいしたわ。もう、あの性欲魔人に悩まされることもないんだから」
と、ひたすら冷徹に。無表情に。そんな台詞を吐き捨てた。
嘘だ。
「桂花!貴様が北郷を嫌っていたのは知っているが、何も今ここでそんなことを言わなくていいだろう!」
春蘭が私に食って掛かってくる。
「はんっ!まさかあんたまで、あいつにいかれちゃってたなんてね!魏武の大剣・夏候元譲ともあろう人が、あんなぶ男にまいっちゃってたなんて!」
全部、嘘。
「・・・・・・春蘭、もうよしなさい。桂花、貴女も、皆の心境を読み取りなさい」
そんな春蘭と私を、静かな声で制する華琳様。
「・・・・・・・申し訳ありません、華琳様。では、私は明日の政務の準備がありますので、これで失礼いたします」
「ふん!この冷血女が!かってにどこなと行ってしまえ!」
バタン、と。
春蘭のそんな声を背に受けつつ、私は宴席場の扉を閉め、一人自分の部屋へと歩き出す。
一歩。
また一歩。
足を踏み出すごとに、私の体が震えを始める。
さらに一歩。
またさらに一歩。
どんどん重くなっていく私の足取り。
長かった。慣れたはずの城の廊下が、とてつもなく、長く感じられた。
やっと、自分の部屋に辿り着いた。
扉を開け、中に入る。そして、扉を閉め、鍵をかける。
寝台の隣、そこにある机の上に、私の視線が止まる。
そこには、いつだか真桜が作った”かめら”とかいう物でとった、みんなの写真。
華琳様を中央に、魏の面々がそろった、その写真の中央で、彼の右腕を華琳様がしっかりと掴み。
そして、その華琳様から彼を引き剥がそうと、その彼の左腕にしがみつき、すごい顔をしている私。
この時、私の心臓は激しく鼓動を打っていた。彼の腕に、しがみついていられる、その幸せに。
寝台に、私は仰向けになる。そして、自分の腕を、自分の顔にかぶせて、我慢していたその一言を、やっと、口にできた。
「・・・・・・・・・・・・なんで、黙って、還っちゃうのよ・・・・・・・・・・・・」
そこからは、もう、止まらなかった。
「かず、と・・・・・・、かずとぉ・・・・・・っ、か、ずと・・・・っ!!ばか、ばか、ばかぁぁぁ!!なんで、何で居なくなっちゃうのよおっ!?帰って、帰って来てよぉ!!私の、私の傍に居てよぉ!!私の、名前を、呼んでよおっ!!・・・・・・・・・・・・・・かずとぉぉぉっっっ・・・・・!!」
そうやって、一晩中、誰にも知られぬよう、私は一人で、声を殺して泣いた。
愛しい人。
恋しい人。
この世で誰よりも。
華琳様よりも。
私が一番、愛する人。
会いたい。
会いたい。
もう一度。
もう一度。
その笑顔を向けて欲しい。
その優しい声で、”桂花”って、私の名前を呼んで欲しい。
そして、もう一度。
その、優しい腕に、抱いて、欲しい、よ・・・・・・・っ!!
「かず、と・・・・・・・・・・・・・・・・っっ!!」
―――――――――そして、三年。
それだけの月日が流れた、そんなある日。
◆月■日。
「ただいま、みんな」
−あいつは、ひょっこり、何事もなかったかのように帰ってきた。
みんなに手荒い祝福を受けるあいつ。
そして、遠巻きにそれを見ていた私と、その目が合った。
「・・・・・・・ただいま、桂花」
ただいま、桂花、と。
変わらぬ笑顔で、その優しい声で、私に空いていた”穴”を、一瞬で埋めてくれた彼。
・・・でも、そこで素直になれないのが、私なわけで。
この口から出てきた言葉は、いつもの如く。
「・・・・・・ふ、ふん!別に帰ってこなくてもよかったのに!あ〜あ、ようやくお邪魔虫が居なくなって、華琳様とじっくり愛し合える日が来たと思ってたのに!・・・って、なにこっちをいつまで見てんのよ!さっさと向こう行きなさいよ!てか視界から消えて!ニヤニヤしてんじゃないわよ、この歩く全身性液男!!」
とまあ、悪態を通り越しての罵詈雑言である。
心中はもちろん、狂喜乱舞。
嬉しさのあまり、思わずその胸に飛び込んで行きたがってるのに。
心と体はまったくの正反対。
も、自分の意思でもどうにもならないです。はい。
困ったように頭を掻く彼にその背を向け、私はこう呟く。
「・・・・・・・・・・ま、一応、とりあえず、むちゃくちゃ嫌だけど、可哀想だから、言っておいてあげるわよ。・・・・・・・・・・・・・・・お帰り///」
▽月∠日。
あいつが帰ってきてから、丸二年が過ぎた。
この間に、あいつはどうやったのか、蜀や呉の連中ともその親睦を深めた(まあ、要は”そういう”関係になった)らしく、しょっちゅうそれぞれの国の面子と、仲良く交流をしている。
とうぜん、そんなのを見てると、彼が好きなほうとしては居ても立っても居られず、私はなんだかんだと文句をつけては、その邪魔をするという日々が、ほぼ日常になっていた。
「この節操無しの三国一の種馬!いい加減学習能力ってのを持ったらどうなわけ?!」
なんていう、いつもながらの悪態を、華琳様始め、三国の見目麗しい少女達に囲まれ、その鼻の下を思い切り伸ばしてる、このスケベ男に。
(何でこんな男に惚れてるんだろ)
我ながら、たまにそう思うこともあるのだが、理由なんて思いつくはずもない。
だって、理屈じゃないんだもの。
そう。
恋は計算でも式でもなんでもない。
ただ、感情あるのみ。
−好きになったんだからしょうがない。
だから、彼女達が羨ましい。
素直に、気持ちを言葉にできる、彼女達が。
彼を囲む、その少女達を、決して悟られないように、羨む私。
愛していると叫びたい。
愛して欲しいとすがりたい。
そんな本音を悪態で隠し、私は今日も、彼の傍に居続ける。
大好きな、私を惹きつけて止まない、その笑顔の傍に。
私の愛する天の御遣い、北郷一刀の、その傍に。
「いつまでもデレデレしてんじゃないわよ!このど変態のどすけべの性欲魔人ーー!!」
〜続・・・・く?〜
説明 | ||
こりもせずの第三弾〜w ま〜、デレた桂花を妄想するのが、最近は楽しくて仕方がないwww というわけで、これもシリーズ化することにしました。 さあ、今回も可愛い桂花で、思う存分萌えて下さいませ^^。 あ、萌えたら支援ボタンもぽちっと、 してくれたら嬉しいですので。ではw |
||
総閲覧数 | 閲覧ユーザー | 支援 |
22057 | 16543 | 209 |
コメント | ||
支援ちょっと減ったな(たこきむち@ちぇりおの伝道師) いいよ、桂花(RevolutionT1115) 素晴らしいの一言ですな。(mokiti1976-2010) 王道にして至高ですな。素晴らしい。(東方武神) ふむ、これはこれは・・・ 三国志篇が後いくつか続くとして、その後現代篇、ですな??(よーぜふ) まさか第3弾まで投下される事態になろうとわw この分では生涯を纏めたデレ日記作成の予感?(村主7) さぁ、次はどんなデレを荀ケが見せてくれるのか楽しみです(うたまる) 執筆お疲れ様です。godjobです。次回は誰になるんでしょうか…(nakatak) 執筆お疲れ様です。これで三国鼎立まで達成!後は無限に積んで行くアフターのみ!日常のデレ桂花、閨でのデレ桂花、政務中のデレ桂花、色んなデレ桂花があると思います、これからも貴作の続・続・続・続・・・・・・・(×無限)編を楽しみにしています 次作期待(クォーツ) 28282828(乱) デレ桂花はいいっすね。Gj 詠などのほかのツンキャラもみたい。(VVV計画の被験者) YEAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAH!!!(峠崎丈二) デレ桂花良いっす!GJ(聖槍雛里騎士団黒円卓・黒山羊) |
||
タグ | ||
恋姫 一刀 桂花 ツンデレ比率10:0 でも日記の中では0:10 | ||
狭乃 狼さんの作品一覧 |
MY メニュー |
ログイン
ログインするとコレクションと支援ができます。 |
(c)2018 - tinamini.com |